ジャンル:世紀末・和風ファンタジー
コンセプト:夢で見た光景の具現化。現代とよく似た文明が崩壊し、妖怪と呼ばれている異形の怪物がはびこる世界で生きる一人の少年を追う物語。
主人公:本名未定・能力や容姿、性格などの設定あり
ヒロイン:設定なし。
備考:妖怪は現実で妖怪と呼ばれる存在とよく似ているだけの怪物であり、人に近しい姿をしていようとも意思疎通は不可能。基本的に妖怪にとって人間は捕食対象。人間の限られた能力持ちのみ妖怪を討伐可能。なお、日本のような文明があった土地では妖怪だが、他地域ではモンスターやヤオグアイ等その土地の元の言語圏のローカルな呼び方がされている
……気味が悪い。
その男への最初の印象はまさにそれだった。
齢こそまだ若く、この村の酒場の看板娘よりも二つか三つも歳が下のように見える。
だがそいつの雰囲気が……格好と、このあたりじゃぁ珍しい「獲物」が目を引いた。
格好は時折この辺りを通る傭兵たちとよく似た物。
昔、村の長老だったババアがガキだった俺に散々言い聞かせていた「旧時代」の遺物を再利用した装備と服だ。
いけ好かない"あの連中"のそれとはまた違う、どこのもんかもわからねぇ軍隊のものみたいだった。
大方どっかの廃墟で拾ってきた奴を着ているんだろうが、随分と着慣れた様子な上に相当使い込んでる形跡もある。
しかもそれをそれを着込んでる当の本人も不気味なほどに大人しいが、その割には目がギラついてやがった。
俺の下に来たのも、獲物に付けてるらしい部品を作ってくれって話だ。
俺は別にあんな遺物を扱うような職人じゃねぇ。
だが、その部品は俺の家業………鍛冶屋にとってはうってつけのものだった。
「コイツを複製しろってのか?」
「……あぁ」
「ケっ、随分な物好きだなアンタ?
こんな邪道なナイフを頼もうもんなら、ふつうの 鍛冶屋ならすぐに叩き折って追い返すぞ」
刃渡りは大体6〜7寸ぐらいだろうか?
反りのない大振りの直刃であり、刺突斬撃の両方に優れた形状となっている。
柄は相当に短く、直接振るうなら扱いづらい部類なのだが………コイツはあくまで部品。
この男の獲物に取り付けて使うのであれば納得のいく設計だ。
とはいえ、こんな変わり種の刃物なんぞ作りたがる鍛冶師はほぼいない。
良くて門前払い、下手すりゃへし折って殴り飛ばしにかかられるだろう。
「……アンタはそこら辺の鍛冶師と違うと聞いている」
「……ふん、まぁな」
確かにそこら辺の無駄にプライドだけデカい馬鹿どもと俺は違う。
奴らは作った物にしか拘らんが……俺は仕事の出来に拘る。
こんな珍妙なナイフだろうが、仕事は仕事だ。
「材料はどうする?」
「……」
男は無言で相当デカい大麻袋を差し出した。
受け取って中身を確認すると、中からは陽鉄……「妖怪殺し」に使う材料が出てきやがった。
「……なるほどな。お前さん、モグリの退魔師か?」
「…………」
沈黙はつまり、そういうことなのだろう。
まぁ俺にゃあ関係ねぇ。
「中々良い質の陽鉄だな。コイツで作るならそれなりに長持ちするもんを作ってやれる」
「金は……」
「一本で六石、十本単位で五十石に負けてやる」
俺が見積もった金を要求すると、男は懐から出した財布からゴロゴロと翡翠石を転がした。
額としちゃぁ……大体百石ぐらいだな。
「つぅと大体二十だな。こんだけ出してくれんなら俺も作りがいがあるってもんだ」
「……どれぐらいかかる」
「ざっと見積もって六日は貰う。出来の保証付きなら追加で三日だ」
「なら、そっちで頼む」
……得体のしれねぇ奴だが、客としては上客だな。
久々に良い仕事ができそうだ。
「……しばらくここの近くに滞在する。近くに川辺はあるか?」
「村の北側にあるが……まさかお前さん、野宿するつもりか?」
「問題ない。妖避けは持っている」
妖避け。
俺達人間を襲う化け物「妖怪」から旅人が身を守るために使う呪具。
色々と種類はあるが、置いとけばそこら辺の低中級ぐらいの連中が寄ってこなくなる優れものだ。
この辺は特段強い妖怪こそいないが、それよりも問題なことがある。
「……今は雨季だ。さらに言うなら、この辺の川は上流で川の流れも速い」
「……問題ない。木の上で寝ればいい」
こいつは馬鹿なのか?
流されるのもそうだが、この辺りの空気は冷えやすい。
下手すりゃ死ぬぐらいの風邪をひく羽目になる。
「悪いことは言わねぇ、村の酒場に頼んで厩舎でも借りろ。お前さんに死なれたら俺の仕事がおじゃんになっちまう」
「…………?」
こいつ……分かってんのか?
この感じだと今まで野宿でどうにかしてたみたいだが、今のこの時期にやるのは自殺行為だ。
「はぁ………」
仕方がねぇ。
俺としてはこんな上客に死なれちゃ困る
「……ちょっと待ってろ、俺から店主に………」
「きゃぁぁぁぁぁッ!?」
「「……!」」
外の方から悲鳴が聞こえた。
この声は……まさか、酒場の!?
「おい、あん……」
「妖怪……ッ!」
俺が声をかけようとした途端、男は獲物を構えて外へと目にも止まらない速さで飛び出していった。
「言うまでもない、ってか?……って、そんな場合じゃねぇッ!」
俺はすぐに我に返り、備え付けている対妖怪用の槍を手に取って外へと駆け出した。
村のほかの男衆も各々で武器を手にして酒場へと駆け出していた。
「おい!誰か退魔師のジジイ呼んでこい!」
「ダメだ、今あの爺さんは腰をやってて動けねぇ!隣のとこまで行け!」
「隣までどんだけ距離があると思ってんだ馬鹿野郎!」
「無駄口叩いてる暇あったらさっさと走れ!」
村中騒がしくなり、女子供は家の戸を閉めて立て籠もる用意をしている。
あの客がどんだけの腕かはわからねぇが、できるなら間に合っててくれ…!
俺はただそれだけを願って酒場に走る。
そして、たどり着いた先には……
――ドパンッ!カチャン、ドパンッ!
――ヒュッ、ザシュッ!!!
『ゴガッ……ァァァ……』
何匹もの低級妖怪の骸と、今トドメを刺された中級妖怪の無残な姿。
……そして、腰を抜かして地面に座り込んだ酒場の娘の目の前にはあの男が。
「……この程度か」
先端から煙立つソレを……。
旧時代の遺物……後に文献から「ボルトアクションライフル」と言う名であると知るソレを肩に担ぎ、塵と化し始めた骸を見下ろし仁王立ちしていた。
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