ゲーム世界転移……えゲーム世界が来んの!?   作:こくとうまんじゅう

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ある日

 

 

 

 

中世の狩人のような迷彩色のローブを羽織った男が弓を引き握り空を飛んでいる炎……まるで伝説のフェニックスのような鳥を狙う。

 

今にもはち切れそうな弦から矢が放たれる。矢は空中で変形し氷の牙がひじりとなりソニックブームを出しながら炎鳥の頭に命中し、気絶したように落下して行く

 

 

「シャアァァ!!!!やってやったぞコノヤロ!!」

 

 

携帯の画面には「WIN」という文字が光り輝いており戦闘が終了したことが分かる。

 

 

「クソ焼き鳥が!ザマーねーな!一生くたばっとけ!」

 

 男が現在プレイしているVRゲームは 【ワールド・ダンジョン・オンライン】というオンライン対戦ゲームである。

 このゲームは各地に存在するダンジョンを主人公とその仲間たちが攻略して世界の謎を解き明かしていくという王道ストーリーRPGである。

 

 このゲーム一番の特徴は圧倒的なジョブの多さとそれに比例した戦略の広さである。

 その多さなんと約300職。ほぼ組み合わせはほぼ無限である。

 

 また先程述べたようにこのゲームはオンライン対戦機能も存在し、多くの戦略や組み合わせがプレーヤーによって開拓されていった。

 

 だがこのゲームはここまで作り込められた素晴らしい作品なのだが一つ問題が存在した。

 

   敵がクソ強くて面倒くさいのだ

 

 例えばさっきのフェニックス……正式名称は『再炎のフェニックス』というのだがこのボスも色々クソ性能が備わっている。

  

 まず一つ目に【再誕災禍】という5回の蘇生である。これはあらゆる手段を持っていても止めることはできず、防御力と最大HPが落ちる代わりにさらに素早さと攻撃力が上がるというクソ強スキルである。ポケモンの「かそく」に5回復活をつけたようなものである。うん死ね

 

 二つ目にコイツ、自分達の攻撃の届かないところからチクチク攻撃してくるのだ。たまに突撃してくる時もあるがそんなものは稀も稀。弓矢や銃、魔法などの飛び道具を持っていないキャラは肉壁になってしまう。

 

 3つ目、【全てはカエリやがてススム】で全員のバフデバフを自由に反転してくるのだ。フェニックス自身に対するデバフは反転させバフにしプレイヤーのバフをデバフにするのだ。

 聞いただけだとこんなものだと思ってしまうかもしれないが一つ目に説明した【再誕災禍】と組み合わせると酷いことになるのだが……酷すぎるので言いたくありません

 

 わかっていたただけたように、このゲーム死ゲーである。それもプレイヤーをイライラさせる様な種類の。

 まぁ人気は出ないわなと言うことで一部のコアなファンに熱狂てきな人気を誇るゲームなのである。

 

 そんなゲームにのめり込んでいる俺、大学一年生の空咲紡は受験から解放されたことによってできた時間のほぼ全てを使いこのゲームをプレイしている。

 

 そんな幸せの絶頂を味わっていた俺ではあるが一応名が通った大学に通っているため、授業には出なければならない。座っていたソファーから立ち上がりパソコン などの必要なものをバックに入れて家から出る

 

 徒歩数分で着くところにある駅に向かい地下鉄のホームに入る。朝の通勤ラッシュの時間帯であるためなかなか人が多い

 

 ワーダン(省略名)のことを調べながら時間を過ごしていると、横から誰かが倒れるのが視界の端に流れた。

 

 すぐにそちらを見ると自分と同い年ぐらいの女の子がレールの上に立っていた。その女性はとても顔が整った可愛い人であったがその目はどこか虚で今にも消えてしまいそうな儚さがあった。

 俺は咄嗟に下へ降りて、女性の元に近づく

 

「貴方何してるんですか!危ないですよ!」

「…………早く上に戻りなよ。危ないよ」

「貴方もです。早く戻りますよ」

 

 俺が伸ばした手を彼女は勢い良く叩き落とす。それは明確な拒絶の表れであった

 

「…………ほっといてよ、私のことなんか」

「目の前で死なれると困るんで、ほとっけないです。」

 

「ほっといてって言ってるでしょ!!」

 

 女性は突然叫ぶようにして声を上げる。思わずびっくりしてしまったが、俺が落ち着いてないとどうすると考え一呼吸あけてから理由を尋ねる

 

「ッ…何かあったんですか?」

「うるさいッ!!もうどっか行ってよ!見たら分かるでしょ!死のうとしてるの!私は!」

「取り敢えず戻りましょう!このままだと本当に危ないです!」

 

 遠くからガタゴトと列車が近づく音がする。あと数十秒そこらでここに辿り着いてしまうだろう

 

 俺は彼女に足払いをして体制を崩させ、膝と背中を腕で支えて持ち上げる。所謂お姫様抱っこというやつだが、この緊急時に恥ずかしがってる訳にはいかない。

 

 彼女は一瞬何が起こったかわからないという顔でポカンとしていたが状況に気づくと一生懸命に体をよじりお姫様抱っこから脱出しようともがく

 

 なんとかそれを抑え込みホームに投げるようにして女性を戻す。今気づいたが周りの人々はこちらに携帯を向け動こうとしない。こんな緊急事態で何もしないが一番の悪であることを思い知らされた。

 

俺も上に上がろうとしたがレールに足が引っかかっており、抜こうとしても全く動かない

 

列車はすでに目の前であと10秒もすれば俺は轢かれて死ぬだろう

 

俺は心のどこかでこれが運命なのかと思い始めた。多分これは俺の運命でもう変えようがないのかもしれない。

 あの人を助けなかったら俺は生きれたのだろうか?

 そんなたらればの話をしていても結局今の俺は死ぬのだろう。

 

「ねぇ!早くこっちにきてよ!!」

 

女性がこちらに思いっきり手を伸ばしながら叫ぶ

 

「私のせいで誰かが死ぬなんてダメ!!私はもう人に迷惑をかけちゃいけないの!お願い!!」

 

もう無理だ。さっきからずっと力を入れているが抜ける気配すらない。

 

 

 

 

  どうせ最後だ、やりたい事をやろう

 

 

 

「アンタ、名前は?」

「は?何を言ってー」

「名前は?」

 

最後に名前が聞きたくなった。せめて偽善ではあるが自分が救えた人の名前ぐらい覚えて死にたい

 

「貴方!今の状況分かってるの!?」

「分かってる。だから教えてくれ」

「バカじゃないの!アンタ今死にそうなんだよ!!」

 

音が近づいてくる。もう時間がない

 

「俺は空咲紡」

 

「私は白峯遙!言ったよ!ほら早く!」

 

白峯遙……いい名前だ。アンタみたいな美少女を救えてよかった。

 

その瞬間俺を吹っ飛ばすような衝撃に痛みを感じる事なく、意識がブラックアウトした

 

 

 

 

 目の前には近代的な白い天井が広がり大きな円盤型の電気が部屋全体を照らしていた

 

「知ってる天井だ……」

 

というか俺の部屋である。

俺は確か……電車にはねられたか轢かれたかして死んだはず……というか生きてるとしても病院送りのはず……なんで俺は家にいるんだ?

 

体を起こそうとすると痛みを感じるわけでもなくすらっと起きれた。あらびっくり

 

というか俺今どういう状況なんだ?取り敢えず今何時かな……

 

「……は?2022年?……は?」

 

い、一旦落ち着こう。素数を数えて落ち着くんだ。2,3,5,7,11,13……

 

63(混乱)まで数えることで一旦落ち着きを取り戻した俺は一旦状況整理をした

 

”俺はいつも通りに登校して美少女助けて列車に轢かれたら生き返って過去に戻った“

 

 

 

 

ドウシテ?

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