ようこそ百合至上主義のハーレムへ   作:ド級のスランプ、ドスランプス

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有罪!没収!死刑!!

「──この動画を持っていたなら、裁判など行う必要も無いだろう?」

 

「あっはっは。ウチのクラスみんな持ってますよこれ。この場を開いてもらった理由は橘先輩に伝えたとおりです」

 

「『本人に反省の色があるなら更生の機会を与えないのは酷ではないか』でしたね」

 

「……少々甘過ぎるような気もするが……被害者がそれでいいと言うならこちらから言うことは特に無い」

 

「ま、私としても反省もせずに退学して『はいさよなら』が気に食わないってのもあるんですけどね」

 

 嘘です。ほんとはどうでもいい。女の子が殴られてたら別だけど、ザッキー達なら唾つけとけば治るでしょ。アニメとか漫画ってアバラが2、3本折れても普通に動けるし。

 

 でもそんな言葉でも生徒会長と橘さん(役職なんだっけ? 副会長……は南雲か)には納得を与えられたらしい。わざわざ早めに来といた甲斐があるというもの。これで更にこっちの心証が良くなったんじゃないかな。

 

「──申し訳ありません。遅くなりました」

 

「いや、まだ時間より早いくらいだ。問題無い」

 

 坂上先生と茶柱先生、当事者の須藤は来るとして、他に来たのは……堀北さんと綾小路君、それに平田君と軽井沢さん……いや、多くない? こっち一人なのが恥ずかしくなってきた。というか軽井沢さんは来るなら教えてくれても良くない? 調教が足りなかったかな。ともあれ謝罪をしたのが平田君だったからメインは彼かな? 初期北さんはお兄ちゃん見て固まってるし。

 

「……だが、全員揃ったなら開廷としようか。時間も無限ではない」

 

「……? 待ってください。Cクラスの生徒は──」

 

「私だけだよ? 須藤君に殴られたのがトラウマで顔も出せないんだってさ。酷いことするよねぇ」

 

「ざけんな! 元々お前らが──」

 

「静かに。開廷前であるから大目に見るが、発言があるなら許可を求めるように」

 

「はーい。そっちも気を付けなよ? 借金暴力ゴリラ君?」

 

 うーん必死に抑える平田君が可哀想になってきた。こんなキレッ早いなら挑発セリフザッキー達に任せて良かったかもな。

 

「……それでは始めさせていただきます。進行は私、生徒会書記の橘茜が務めます」

 

 あ、もう須藤を見る目が冷たくなってきてる。やっぱ安全なとこからの悪口って言い得だね。

 

「今回の事件の概要としては、Dクラスの須藤君が特別棟にCクラスの石崎君、小宮君、近藤君を呼び出して怪我を負わせた、というものになります。ここまでは?」

 

「待てよ、呼び出してきたのはCクラスの方だ!」

 

「先輩に敬語ぐらい使いなよ赤ゴリラ君。……とりあえずどっちが呼び出したかは水掛け論になりそうなので私からは一つだけ。呼び出されたのはバスケ部の二人だけで、石崎君は『暴力的な相手』への用心として付いて行っただけ、と訂正しておきます」

 

「ありがとうございます。……虎居さんもあんまり煽っては駄目ですよ?」

 

「はーい」

 

 嘘をつく時は真実を少し混ぜる。水掛け論なんかしてる暇があるなら『コイツは真実を言っていそうだ』と思わせる努力をするべきだ。人は感情でも物を判断するのだから。

 

「暴行の理由は……Cクラスからの訴えによれば『部活動中の態度が気に食わなかった』とのことですが。Dクラスから言い分は?」

 

「だから! ソイツらの言うことは全部嘘なんだって! 殴ったのは、そいつらが俺を散々馬鹿にしてきたからだよ! ズルしてレギュラーを手に入れただのなんだのって──」

 

「須藤君!」

 

 平田君、止めるの遅いよ……にしても凄いな。ほっとけば無限に失言を吐いてくれるんじゃなかろうか。

 

「虎居さんからは反論は?」

 

「まあ私は訴え以上のことは知らないんですけど……仮にDクラスの言い分が全て真実だったとして、正当防衛でもなく暴力を振るった時点で人としてどうかなとは思いますね……失礼。反論にはなっていませんねこれは」

 

「ああ!? 散々舐めた口利いた上に俺を潰そうと三人がかりで襲ってきたんだろうが!」

 

「それにしてはそちらが怪我一つ無いのはおかしいでしょう?」

 

「三対一でも俺に負ける雑魚だったからだろうが!」

 

「……申し訳ありません。正直相手をするのも疲れて来たので、進めていただけると……」

 

 暴力事件でどんどん自白しちゃ駄目でしょ。せめて自分が被害者だってもっとアピールしてかないと。

 

「そうですね……他に証拠や証言が無ければここまでの話を元に処罰を決めていくのですが……」

 

 チラ、と橘先輩が赤ゴリラに目をやる。……普段ほんわかした人の冷たい目線って怖いね。コイツ反省の色ゼロだわって思ってそう。生徒会長? ずっとゴミを見る目してるよ。

 

「待ってください! 証人を一人呼ばせてください! 判決はその後で……」

 

「……了承します。では、どうぞ」

 

 入ってきたのは佐倉さん。提出された証拠は自撮り写真……の奥に写っている取っ組み合っている四人の姿。原作だと確かどっちが悪いんだか分からないって感じの写真だったはずだけど、これは……まあ頑張ればお互い様と言えなくも無いような写真。丁度良くそんな物が撮れたから諦めずに裁判まで来たんだね。まあそれにしたって両成敗からの怪我の有無で罰の重さを変える原作の沙汰で終わっただろうけど。

 

「なるほど……確かにこの写真だけを見ればCクラスも悪いと言えなくも無いかもしれませんね。後ろから羽交い絞めにしているわけですし。ですが……虎居さん、もう動画を再生しても?」

 

「構いませんよ。Dクラスに反省の色が無いのはもう分かりましたから」

 

 流れるのは私謹製の例の動画。勿論音声は削除済み。何かを話した後に須藤から殴りかかり、Cクラスが三人で止めようとするも、暴力を躊躇わない人間とそうでない人間では数の差も意味はなく──うん、我ながらよく出来てるね。

 

「匿名でウチのクラスに渡された動画なんだけど……そっちも知ってたよね? Bクラスが情報募集してた掲示板にも貼られてたらしいし」

 

 ちなみにそっちは今は削除済み。だから知らないって言い張れはするんだけど……どの道赤ゴリラの心証がマイナスになってることは変わらない。

 

「……最初からこの動画を出さなかったのは、虎居からの要望だ。反省しているのなら減刑を更生の機会をと嘆願してきてな」

 

「じゃあ──」

 

「だが、その必要は無かったな。審議中の態度。無抵抗な相手への暴力。証拠が無いと思っていたのだろうが偽証に近い発言。退学で妥当だろう。それでいいな? 虎居」

 

「……仕方ないですね。まさかこの歳で反省すら出来ない人間が居るとは思いませんでしたが。そういえば会長、退学者が出るとクラスにペナルティなどはあるのですか?」

 

「本来教師から説明するのだが……まぁいい。今回の場合ならクラスポイントを300減らすことになる。プライベートポイントで退学を阻止する制度もあるが、事が事だからな。今回はそれは認められん」

 

「ありがとうございます。……ま、どの道あなた達にそんなポイントは払えないだろうけど」

 

「それもそうだな。ではこれで終わりとしよう。先生方もそれで──」

 

「待ってください!」

 

 ……軽井沢さんが割り込んできた。割り込むなら平田君だと予想してたんだけど、外れちゃったな。

 

「虫のいいことを言ってるって分かってるけど……お願い! もう一度だけチャンスをください!」

 

 さては綾小路君の差し金だな? 軽井沢さんが私の駒だって知ってるの彼だけだし。負け方を考えるとか余計なアドバイスをしたかな……ん、いや、違うな。これは──

 

「……まぁ、私はあくまで代理人だから。ザッキ……石崎君達がいいっていうならいいんだけど……退学以上に反省を示せる方法なんてある? 本人があの調子なのにさ」

 

「それは……そうだけど。でも、こんな形でクラスの仲間を失いたくないの!」

 

 クラスのポイントを、じゃないの? は流石に言ったら意地悪すぎるかな? でもそのぐらい怒って見せた方が自然? 迷うね~♠

 

「虎居さん! 僕からも頼む! 僕らでなんとか反省させて見せるから……!」

 

「いや、だから私に頼まれても……分かった、分かったよ。じゃあ明日までに自分達でどんな罰を受けたいか決めてきてよ。それを聞いて決めるから……っていうのは出来ます? 会長」

 

「当事者間で合意があるのなら問題はない。……だが、あまり甘やかすなよ?」

 

「分かってますって。こう見えて結構怒ってるんですよ? 私」

 

 嘘だけど。

 

 

 

 

 

「はい、審議会の録音はこれで終わり。ちなみに龍園君はなんかDクラスに付けたい条件とかある? 今なら大抵のことは通ると思うけど。多分平田君とか身体を差し出せって言ったら差し出してくるよ?」

 

「やめろ気色悪い。……そうだな、クラスポイントは差し出させるとして……プライベートポイントも徴収できるようにしておきたい」

 

「あんまり欲張ると退学の方に傾くんじゃない?」

 

「まあそうだな。殺しちまっちゃ旨味が無くなる」

 

「とりあえず向こうの申し出待ちかな? 交渉はそれからだね」

 

「クク、上手くやれよ?」

 

「当然。この裁判が終わる頃にはBクラスかな?」

 

 

 

 綾小路君が軽井沢さんを連れてきていなければ退学で終わっていただろう。わざわざ彼女を連れて来たのはこの交渉でもっと搾り取ってしまえということ。気が利く友達は最高だね。というか綾小路君もDクラスに切れ始めてるんじゃ……? 

 

 とはいえプライベートポイントを搾り取るような契約は恐らく無理だろう。須藤を退学させない方に傾かせつつこちらに利益を向かせないと。クラスポイント? 300引かれるぐらいなら87ぐらい差し出すでしょ。

 

 なんて考えていたところに、軽井沢さんからメッセージが飛んできた。

 

『クラスポイントを渡すのでまとまりそうだったんだけど、借金組が文句言ってて。そんな事したら俺達も退学になるじゃないかって。どうしたらいい?』

 

 そういえばそんな契約だっけ。来月に何かが起こってクラスポイントが150以上増えない限り払えない訳だ。そうすれば貸した10人……から軽井沢さん抜いて9人退学。Dクラス終わるんじゃない? でもそもそも須藤が退学になったらクラスポイントマイナスになるから借金組も退学確定するんだけど……まあ、そんなの考えられてたら借金しないか。

 

『借金組に返済免除する代わりにプライベートポイント徴収の契約でどうって提案してみて。嫌なら須藤と一緒に退学したらって脅しながら』

 

 まあ徴収率にもよるだろうけど通るだろう。何せ退学がかかっているし、借金組以外の面々からしたらお前らが拗らせなきゃ早く終わる、って話だから。となると……

 

『とりあえずかなりキツいぐらいの条件で持ってきてよ。そしたら私が引き下げて恩に着せるから』

 

『分かった。けど、キツい条件でまとめるのに手間取るかも』

 

『重めに出さないと納得しないってゴリ押して。それでその後軽井沢さんが「私が何とか虎居さんに頼んでみる」って言ってくれたら私が譲歩した感じにするから』

 

『それで私のカーストも上がる?』

 

『そういう所は頭回るんだね。褒め言葉だよ?』

 

「とりあえずDクラスへの対応はこんなもの……ん?」

 

 新規メッセージ。送り主は一之瀬帆波。なんか約束してたっけ? 

 

『夜にごめんね。今回の審議会で掲示板に送られてきた動画が使われたって聞いたんだけど、ウチのクラスも関係しそうかな?』

 

「あー……」

 

 あくまで匿名の情報提供、だから別に何も無いだろう。私がBクラスが隠してた動画だとか言い出したら別だろうけど。というか、不利な証言を隠すのは心証はともかく制度としては問題無いし。黙秘権ってやつだね。

 

『大丈夫だと思う。不安だったら私から龍園君に言っとこうか? Bクラスは巻き込まないようにって』

 

『いいの? でも、また殴られたりしない?』

 

『今回は私が全部任されてるから大丈夫。もし殴られたら一之瀬さんに優しくしてもらうからいいよ』

 

『ごめんね……でもありがとう。私に出来る事ならなんでも言ってね!』

 

 ん? 今何でもって……というか、文章なのにテンション高いね。りゅーたんにまた痕付けてもらったら胸に埋めてもらうぐらいしてくれないかな? あのサイズはもう触りに行かない方が失礼でしょ。

 

 

 

 そんなやり取りをしてからの翌日。

 

「あれ、今日は平田君と軽井沢さんだけ?」

 

「そっちは今日も虎居さんだけなんだね。……その、堀北さんは連れてこない方がいいかなって。お兄さんが苦手みたいだったし。それと須藤君は……」

 

「あー……言わなくていいよ。私も逆の立場ならアレは連れてこないもん」

 

「うん……まあ……そういうこと」

 

 大正義平田君にここまで言わせるの、最早偉業じゃなかろうか。

 

「──早いなお前達。ならばさっさと済ませてしまおうか」

 

 今回はザッキー達……というかまあ私が条件を飲むかどうかだけで審議の場ですらない。生徒会長が立ち会って、Dクラスが提示する条件を見て私が是と答えるか否と答えるかだけだ。

 

 さて、全ての責任を負った平田君が提示してきた示談の条件とは──

 

 




お気に入り、評価、感想よろしくお願いします

クラスポイント80とかで退学者が出ても0になるだけでしたっけ…?それともマイナスになるんでしたっけ…?それとももしかして原作ではそんな事になったことが無い…?
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