ようこそ百合至上主義のハーレムへ 作:ド級のスランプ、ドスランプス
全部を結果1にする。要は裏切り者を出さなければいい。一番簡単なやり方は、話し合いを全員が放棄してしまうことだろう。優待者が分からなければ裏切るにも裏切れないのだから──と言いたいところなのだけど、足を引っ張りたいAクラスの坂柳派閥と、話し合いなんかしなくとも当てられそうな高円寺君が問題なのである。そもそもの話し合いの放棄にしたって、ウチが単独でやっても大した意味は無いし。
だからBクラスを巻き込むのである。けど沈黙作戦だけじゃちょっと足りない。一方的に話しかけるだけでも見抜けそうな人達居るし。高円寺君とか綾小路君とか有栖ちゃんとか……いや、有栖ちゃんは船に乗ってないけども。
まずするのはお互いの優待者の情報の交換。りゅーたんは全員分の携帯を持ってるから証明も簡単。Bクラスを信じられるか? こっちが覚悟を示さなきゃ信用は得られないのです。まありゅーたんとか有栖ちゃんみたいな相手にこんな事したら嬉々として全員裏切りに使われそうだけど、一之瀬さんなら平気です。
「一之瀬、お前の言う優待者が本当だという証拠は?」
「にゃはは、そこは信じてもらうしかないかなぁ。……というか、これで法則を見つければ本当って分かるでしょ?」
都合七人分の優待者の情報。流石にこれだけあったら法則を言い出しても不自然じゃないよね?
「……りゅーた……えん、コホン、龍園。五十音順の、干支の順番の人だよ。優待者」
「……なるほどな。Bクラスも一致してやがる」
「だから言ったでしょ? それで、虎居ちゃん、ここからどうするの?」
「そりゃ勿論……」
脅迫、これ一択である。
ということで辰グループの話し合い一回目。試験の始まり始まり~
「……我々Aクラスは話し合いを放棄する。これはこのグループのみではなく、他の全てのグループで、だ」
葛城君の宣言。まあ悪い戦術じゃないと思うんだけど……優待者に法則なんて作った学校が悪いね。というか坂柳派閥の端末を把握出来ない以上葛城君にとれる選択肢が無かっただけかも。プライベートな写真が入ってるから見られたくない、の一言で拒否できるだろうし。
「同じく俺達Bクラスもだ。まあ、学校側への申し訳が立つ程度に自己紹介ぐらいはしてもいいと思うが」
「クク……Cクラスもだ。七面倒臭い話し合いなんかする気はねぇ」
うーん3/4が話し合いを放棄してる。こんなんじゃ試験になんないよ。ほら、葛城君もビックリした顔でこっち見てるじゃん。
「……どういうつもりかしら? 特別試験を放棄するということ?」
「なんでわざわざ雑魚に説明しなきゃならねぇんだ? 虎居、任せる」
「えぇ……じゃあ葛城君と……Dクラスは平田君かな? グループでの話し合いの後にちょっと着いてきてよ。あ、神崎君はどうする? 一之瀬さんから話聞いてるだろうけど」
「一応行かせてもらう。まあ、別に口出しはしないから安心してくれ。話し合いは一之瀬に任せる」
「あいあいさー」
以上でグループでの話し合い1回目終了。というか何もしないで待つのもしんどいね。次の集まりはなんか遊び道具持ってこよう。
「それで、全クラスの代表者を呼び出して何をするつもりだ?」
「んー……談合? 要は、全グループで結果1にしちゃおうってお誘い」
試験回答時間まで誰も名乗り出ず、法則を導き出せなければもう結果1以外選ぶ余地は無い。強いて言うなら、嫌がらせとして嘘をついて名乗り出たり、途中で適当にメールを送信したりの裏切りが出来なくもないってぐらい?
「Aクラスとしては得しかない誘いだが……良いのか? クラスポイントを詰めるチャンスだろう?」
「それはそうだけどさー……この試験、露骨に嫌がらせじゃない? ほら、囚人のジレンマってやつ? 50クラスポイントと50万プライベートポイントはねぇ……」
「つまり貴女は、目先の利益の為にクラス間闘争を捨てるということかしら?」
うーん呼んでないんだけどな、初期北さん。そりゃDクラスからしたらクラスポイントを詰めたいんだろうけど……もう手遅れなんだよね。りゅーたんはニヤニヤしないの。
「そうだよ? ついでに言うとBクラスとはもう結託済み。ね、一之瀬さん」
「ねー、虎居ちゃん」
可愛い。結婚しよ。
「……性格の悪い。Aクラスはお前の指示に従う事にする。契約書はもう用意してるのか?」
「勿論。最後の解答時間以外での回答の禁止。違反者が出たクラスは1000万プライベートポイントを他の3クラスに渡す、って所かな」
「いや、違反者自身に責を負わせた方がいいんじゃないか? 例えば、恒久的にプライベートポイントを他のクラスのリーダーに渡す、だとか」
「いいね。神崎君の案採用〜」
「待ちなさい、私はまだ賛成するとは──」
「うん? どうなの平田君。Dクラスが賛成してくれれば私達全クラス2150万の収入になるんだけど……」
「……僕個人としては誰も損しないならそれが1番良いとは思うよ。でも、クラスポイントを得たいって意見も否定は出来ないかな。何せ、最下位だからね」
うーん、真の事なかれ主義。まあ多分自分のクラスの優待者の数も把握してないだろうし、上手く行けば600クラスポイント! とか思ってるのかもしれない。
「そんな平田君に虎ちゃんアドバイス〜。この学校では2000万プライベートポイントで退学取り消しの権利が買えるのです。例えば赤点を取ったりしても……まあ、それは流石に点数買った方が安いだろうけど」
よし、目の色が変わったね。退学絶対許さないマンには効くと思ったんだ。まあ初期北さんはそんなの切り捨てればいいって思うんだろうけど……
「クク……Dクラスはアホしかいねぇのか? 葛城がなんで大人しく従ったか考えてみろよ」
「そんなの、トップを守りたいAクラスとの利害の一致でしょう?」
「いいや? 分かりやすく言ってやる。俺達とBクラスが組んだ時点で、俺達は優待者を互いに外し合うって作戦が取れるんだよ。そうすりゃ後は他の2つのクラスを食うだけだ」
「……そういうことだ。そして俺達Aクラスが加わった以上、悪いがお前達のクラスに選択肢は無い。3クラスでDを叩くだけの試験をやるか、大人しく談合に加わるか……考えるまでもないだろう?」
「ついでに言っておくが、俺と虎居、ついでに一之瀬は優待者を全グループ知ってるんだぜ? この談合は、そこの虎の慈悲でやってるにすぎねぇ」
「改めて聞くけど、どう? 平田君。拒否するなら今ここでDクラスの優待者を当てちゃうけど。丁度仲良く分けられるしね」
「にゃはー。それで残りは外し合わせてもらうかな。そうすれば私達は50ずつ増やして、Dクラスは150のマイナス。……って言っても、私達もプライベートポイントは欲しいから出来れば結果1に協力して欲しいかな?」
「……他に選択肢も無さそうだね。僕達も協力させてもらうよ。というか、頭を下げてお願いするべきかな?」
「契約書だけ書いてくれればなんでもいいよん」
干支試験終わり! 閉廷! 初期北さんが凄い顔してるけど知らなーい。こんな2クラスが結託した時点で負けが無くなる試験を考えた学校を恨みなさい。
さて、談合が終わったとはいえ話し合いは続けなければいけない。とはいえ1日2回だから大した負担では無いのだけど……
「あれ? 軽井ざ……恵ちゃんじゃーん! ウチのクラスの女子と一緒に居るなんて珍しいね!」
「あ……優里」
「……虎居? 何しに──」
「何? 撮影会? まあ恵ちゃん可愛いもんね〜分かる分かる。でも嫌がってるのにやるのはどうかと思うな〜」
「か、関係ないでしょ貴女は。ソイツの写真が要るのよこっちは」
「どういう理由……? まあいいや。じゃあ恵ちゃん一緒に写真撮ろ? 腰触って平気? ……よし、もっとくっついて〜、はいチーズ!」
こんだけやっとけば私のものアピール出来るかな? 確かトラブル起こして本人確認の為に写真を撮ろうとしてたって奴だよねこれ。
「はい真鍋ちゃん。写真ってこれでいい?……なんか面倒事なら、龍園に話通そうか?」
「い、要らない! じゃあね!」
「ばいば〜い。……精々背後には気をつけなよ?」
「ありがと、優里」
「守るって言ったじゃんね。でも何事? いやまぁ、ウチのクラスが荒っぽいのは今に始まったことしゃないけどさ」
「その、多分なんだけど……」
カフェの順番待ちでぶつかったとか、正直しょうもねぇ〜って思っちゃう。Twitterで愚痴って終わりでよくない? ここからあの陰湿な虐めに発展するの、女子って怖すぎるよ。
「うーん……まあ軽井沢さんも迂闊だけど……その場で謝っちゃえば早かったんだけどねぇ……」
「その場では他の子も居たから……」
女子のカーストは複雑怪奇。簡単に謝るとそういう奴って舐められるらしい。だから女子って謝らないんだ……って勉強になりました。私? 私はよく謝らせてたから分かんない。夜のベッドの上での話だけど。
「とりあえずなんかあったら直ぐに連絡ちょうだい? あとアピールとして私も名前呼びさせてもらおうかな、ちょうどいい機会だし。いい? 恵」
「う、うん! ありがとう、優里」
「約束したからね、守ってあげるって」
私が傷フェチで良かったね。もし軽井沢さんにあるのが火傷痕だったらなりふり構わずとっくに押し倒して食い散らかしてたと思う。やっぱ傷フェチで良くなかったかも。
とまあ、ちょっとしたイベントに巻き込まれちゃったのだけど、私が要件があるのは別の人なのである。談合を完璧にした上で尚台無しにしかねない人物。自力で優待者当てられそうで、プライベートポイントとか笑い飛ばしそうで、空気を読む気なんか全く無い。もうこんなの1人しか居ないね。
「やあ。こんな夜に私に何か用かな? ウルトラガール」
「やっほ高円寺君……それはウル虎ガールってこと?」
ダジャレかな? でも龍園をドラゴンボーイだし、タイガーガールじゃないだけ……いや、タイガーガールの方がマシ……か……? ……バストリトルガールとか言われなかっただけ良しとしましょう、うん。
「まあいいや。お願いをしに来ただけ。優待者を当てるのをやめて欲しいなって」
「それで私に何の得があるのかな?」
50万ポイントのお小遣い! なんて言って納得する人間じゃない。というか今何ポイント持ってるんだろうね。既に1000万ぐらいあります! って言われても、まあ高円寺だしな……って納得しちゃいそう。その場合はどうやったのかは教えて欲しいけど。
「得? 損得なんて考えるタイプじゃないでしょ?」
「まあ、即物的な物に興味が無いのは否定しないねぇ」
天上天下唯我独尊。己の快・不快のみが生きる指針。両面宿儺かな? コイツは。でもまあ、説得のネタはちゃんと考えてきてるのです。出来る虎なので。
「大人しくしててくれるなら……敗北を教えてあげる」
「……素晴らしい口説き文句だねぇ」
周りのレベルが低すぎるが故の高円寺君の態度。だからこそこの誘い文句は断れまい。ウルトラなんて付けるぐらい評価してくれてるっぽいし。いや、それはただのシャレか?
「折角だし、水泳勝負とか?……明日の1回目の話し合いが終わったらプールで落ち合おっか。男にお尻を見せる趣味は無いんだけど、特別だよ?」
「フッ、ウルトラガールは『私の美しさに見惚れてしまった』と言い訳にしても構わないよ?」
「高円寺君が女の子だったらそうなってたかもねぇ」
……綾小路君に勝つのと、高円寺君に勝つの。どっちが難しいんだろう……?
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高円寺が大人しくしてるところが想像出来なかったから謎イベが挟まっちゃった