ようこそ百合至上主義のハーレムへ 作:ド級のスランプ、ドスランプス
高円寺君との勝負──の前に、2日目の話し合い。
とはいえ談合でもう優待者は当てないと決めてしまった以上、特に何かする事は無い。各々自由に過ごしていればいいのである。これはウチのグループに限らず他のグループも。するとどうなるかと言えば──
「虎居、お前やり込んでるだろ。ハンデ付けろハンデ」
「え〜? 王様がそんな物要求しちゃうの〜?」
「この手の物をやるのは初めてだが……む、このキャラはよくコラボ商品を見かけるな」
「俺は小学生以来だな。懐かしい」
「……僕らも混ざっていいのかな?」
「多人数プレイが醍醐味でしょ! ほら、櫛田さんと堀北さんも」
ゲーム大会である。年頃の学生だからね、仕方ないね。この為にわざわざモニターを話し合いの部屋まで持ってきたのだ。あ、コントローラーは私の私物です。よく部屋で有栖ちゃん達と遊んだりしてるからいっぱい持ってるのである。
「あ、貴女達……今は特別試験中よ? こんな事……」
「えー、円滑な会議の為に仲を深めるべくコミュニケーションツールを使用してるだけだよ? ねぇ櫛田さん」
「まあ禁止されてないしいいのかな……? 他のクラスの子と遊べる機会なんて普段ないもんね」
「呆れたわ。付き合ってられ──」
「まあ堀北さん負けず嫌いだけどこういうのやった事無さそうだもんねぇ。そりゃやりたくもないかぁ」
「クク。葛城はこんな積極的に参加してるのになぁ? 人としての器の差ってやつか?」
「良い機会というのは俺も同意だからな。ついでに虎居、使いやすいキャラでも教えてくれると助かるのだが……」
「パーティゲームにそんなこと気にしないの! さっき知ってるキャラ居るって言ってたしその子にしなよ」
電気ネズミさんの知名度は頭1つ抜けてるね。配管工兄弟も最近映画になってるし広まってるかも。
「──良いでしょう。私もやるわ。負けて後悔する事ね」
「お、釣れた。はいコントローラー」
みんなでやるならタイマンより大乱闘だよね。クラスごとでチーム乱闘とかでも良いかもだけど。アイテムあり、ギミックあり、最後の切り札ありがワイワイやるなら1番いいルールだと思ってます。終点縛りタイマン? オンラインにソロで潜るなら兎も角、皆がいるのにそんなのやっても楽しくないでしょ。普通の格ゲーでもやってたら?
「この……遠くからネチネチ……!」
「最後に勝ってりゃいいんだよ!」
「なんだ!? デカイ犬!?」
「妨害アイテムだよ、余所見してるとやられるよ〜?」
「ちょっと、さっきから私だけ狙ってない?」
「え〜? なんの事か分かんないな〜?」
見てるか、高育? これが各クラスのリーダー格を集めたグループの話し合いだよ? 貴重な高校一年生の夏休みに騙し討ちで特別試験なんかやるのが悪い。みんなストレス溜まってたんだねぇ……
とりあえずこの風景は撮影して他のグループにも送ってあげよう。みんな多分どう過ごしたらいいか分かんなくなってるだろうし。……ひよりんは本積み上げてひたすら読みふけってるのが容易に想像できるけど。
「やぁウルトラガール。準備は出来たのかい?」
「勿論。……というかなんで既に水着? 着替えるの早くない? もしかしてもう泳いでた?」
「ウォーミングアップさ。本気の勝負でなければ意味が無いからねぇ」
話し合いという名の義務時間を消化したので、次は高円寺君とのバトルという義務を消化する。早くしないと勝手に正解しちゃうしね。
「……なぜ俺達まで呼んだんだ?」
「審判が欲しかった! そしたらちょうどよくデートしてる二人が居たから」
「で、デート……」
最近……でもないけど、この船では特に綾小路君と佐倉さんはセットになってる。原作だと……あれ? 綾小路君って誰とつるんでたっけ……? 堀北さん……? 軽井沢さん……は船の後だもんね…… 原作綾小路君、誰と過ごしてたの……? ご飯とかさ……
「なに、我々の勝負より美しい物などこの船に有りはしないさ。存分に見物していくといい」
「うーん凄い自信……なんなら綾小路君も泳いでく? 佐倉さんに動画撮影お願いして」
「何故俺を巻き込む」
「えー、青春イベントじゃーん。それに、彼女さんにカッコイイとこ見せられるよ?」
「か、彼女じゃないよ……! まだ……」
うーん青春。なんで私にはまだ彼女が出来てないんですか? ……でもよく考えるとまだカップルってこの学年一組も出来てないのか? 軽井沢さんは偽装カップルだし。メタ的には綾小路君とフラグをいつでも立てられるようになんだろうけど。オタクは非処女に厳しいから……
「そもそも水着を持ってきていないんだが」
「更衣室にレンタルあるよ? 流石にガチの競泳用は無いだろうけど」
「……まあ、たまにはいいか。だが、別に俺は運動神経良くはないぞ?」
「はいはい書道とピアノでしょ。ほら着替えてきな。私も……もうここで着替えちゃえばいいか……」
「いえ、良くないと思いますけど……え、ほんとに脱ぐんですか?」
だって綾小路君着替えに行っちゃったし、ここに居るの同性の佐倉さんと性欲とか無さそうな高円寺君だけだもん。犬猫の前で着替えは躊躇わないのと同じ同じ。
「ほう? 中々美しい身体をしているじゃないか。私ほどではないがねぇ」
「いや美少女ボーナスで私の勝ちでしょ?」
私はガチの水着を着るつもりだったので私物を持ち込んでいる。だからわざわざ更衣室まで戻る必要もない……いや、高円寺君がもう準備万端って知ってたら私も事前に着替えてから来たけど……別に裸を見せたいとかそんなんじゃないからね? ……私は誰に言い訳をしているのだろうか。
「佐倉さん、ちょっと背中のジッパー上げてもらっていい?」
「う、うん」
流石オリンピックで禁止された水着。一人じゃ着れないってマジだったんだ。こりゃどの道プールサイドで裸を晒す羽目にはなってたね。……あれ?佐倉さんが居るんだから一緒に更衣室に行って手伝ってもらえばよかったのでは……?
「すまん、待たせたか?」
「ううん、ちょうどいいとこ。ついでに一本一緒に泳いで~」
高円寺君は柔軟して準備してる。いっそ遅延しまくって身体を冷やしてやる方が勝ち筋か……?
「構わない。ちなみに男子の平均記録ってどのくらいなんだ?」
「その意地でも平均値を取りたいのはなんなのさ。狙って平均を出せる時点で普通じゃないからね? で、男子の記録だけど……50メートルプールだから……自由型なら21秒ぐらいじゃない?*1」
「なるほどな。じゃあそのぐらいを目指してみるか」
「まあもうちょい緩くいこうよ。疲れすぎてもアレだし。佐倉さん一応タイム測って~」
ホワイトルームの最高傑作は軽く泳いで24秒ですって。それ競泳水着ですらないよね? やっぱ化け物だよ。
「よし、じゃあやろうか高円寺君。50メートル自由型。兎に角先に泳ぎ切った方が勝ちね」
「いいだろうウルトラガール。果たして、君は私に敗北をくれるのかな?」
「やる前に負けることを考える馬鹿は居ないでしょ? ついでに綾小路君も一緒に泳いで今度は21秒切り目指してみよ? 佐倉さんもカッコイイとこ見たがってるよ?」
「そうなのか?」
「ふぇ!? ま、まあ……見たいけど……」
「本人に聞くのは拷問だよ……」
あ、でもやる気出てそう。やっぱこの年頃の男の子なんて女子にかっこつけてナンボだよね。よし。私も目指すは20秒切り*2……高円寺君なら多分21秒くらいは出すでしょ。メアリー・スーの本領発揮だね。
「ぜひゅ……は……ぅおぇ……」
「ハッハッハ! 随分とグロッキーだねぇ! ウルトラガール」
「うるさ……私……女……」
「うむ、その体格で私と五連続で同着とはねぇ。負けるかもしれないと思わされるとは、期待以上だったよ」
「だからって……こんな……なんどもさぁ……」
もうオリンピックに出てくれ。なんでそんな平然としてるんだよ。一回でやめときゃよかった、どんどん速くなりやがるし。あと後ろで平然としてるホワイトルーム生。お前らはオリンピックに行け。
「安心したまえ。引き分けだから無効、などと野暮なことは言わないよ。児戯ではあるが、このお遊びに最後まで付き合うと約束しようじゃないか」
「げんち、とったからねぇ……」
「退屈な船旅に参加した甲斐があったというものだよ。誇ると良い。この私にここまで言わせたのだからねぇ」
「そりゃ……どうも……おぇ……」
「君は魔神のランプを擦ったのだよウルトラガール。一度だけ、どんなことでも君の助けになると誓おうではないか。……それでは、失礼させてもらうよ」
「次は……頭脳系でしょーぶね……」
最後まで余裕たっぷりめ……もしかして手を抜いて……? いや、そんな性格じゃないか。
「……大丈夫か? 虎居」
「大丈夫にみえる……? へやまではこんで……」
「同室を呼んで来よう。誰だ?」
「澪……伊吹ちゃん」
「よし、端末借りるぞ?」
「鞄漁って探して……脱いだ下着とか混ざってると思うけど気にしないで……」
ピタ、と動きが止まった。思春期ボーイ、私は今本当に余裕が無いんだよ……?
「佐倉、頼めるか?」
「は、はい。すみません、鞄触りますね」
「どうぞ……ぉぇ……」
澪は割とすぐに来てくれた。ちょうど暇してたみたい。まあなんだかんだで友達多い方じゃないから暇してたんでしょ、多分。りゅーたんも男子会してるだろうし。部屋が男女別だからね。
ちなみに佐倉さんに動画見せてもらったら、ラストの一本の記録は19秒台だって。化け物がよ。私、チーターみたいなもんのはずなんだけどなぁ……!?
よう実の作中年代っていつだっけ……まあ呪術廻戦もDX日輪刀とか出てるしええか……