ようこそ百合至上主義のハーレムへ 作:ド級のスランプ、ドスランプス
体育祭が終わって。なんか生徒会長の交代とかいう一般生徒からしたらどうでも……まあこの学校だと良くないんだけど。まあ段位が怪しい生徒会長が金髪チャラ男の女の敵みたいな生徒会長に交代して。真の実力主義とやらを目指す演説を聞いていた。真の実力主義なら全国模試でも受けた方が早いんじゃ……?
まあチャラ男会長のことは今はいい。それより大事なのは中間テスト……などではなく。
「で? ホワイトルームってなんなの?」
「一言で言えば俺の出身施設なんだが……」
「人工的に天才を作り出す。その為に子供達を集めて英才教育を施すための施設、になるんですかね。ちなみに作ったのは綾小路君のお父様です」
いつもの3人+綾小路君って感じ。ちょっと何か間違ってたらこのメンバーで4Pが始まってたかもしれない。綾小路ちゃんだったらなぁ……
「孤児院みたいな?」
「まあ、そうだな。問題があるとするなら……」
「人道的に問題があるような教育方針だったことですね」
「待って、これ聞かない方がいい話なんじゃ……」
「あっはっは、もう遅いよ万引きちゃん」
「……それもそうね」
まあ正直この学校ポイント払えば万引きも無かったことに出来そうだけど。来年入ってくる一年には初手で人を殺す権利は何ポイントですか? って聞いてみてもらいたいもんだね。私? むしろ聞くなら先生のと夜の運動をする値段を聞くよ。
「まあ詳細は省くが、その施設から逃げてきたのが俺、ということになる。この学校に来たのは外部からの……連れ戻そうとしてくる父親の干渉を避けるため……だったんだがな」
「担任にAクラス目指さないと退学にするって脅された?」
「見てたのか? ……いや、無人島試験の時にある程度気付いていたな」
いいえ。原作知識です。でも勘違いしといてもらおう。
「まあそれでAクラスを目指す……かはともかくとして、結果を残さなくてはならなかったんだ。結果はこのザマだが」
「まあ……うん、なんかごめんね?」
干支試験で談合しなければもうちょい詰めてたかもね。でも原作でもDクラスが一年で追い付けてたわけじゃないしな。三年かけて最後には逆転するのかな? いや、2000万貯めて移籍……? でも綾小路君は別にAになりたいわけじゃないもんね。ラストまで知らない以上そこはもうわかんなーい。
「いや、仕方のないことだ。茶柱もAを目指しさえすればそれ以上の文句は言ってこないしな。事実、体育祭でも個人としてはそれなりに本気を出させてもらったし、それで満足しているようだ」
「あれでそれなりなの……?大体一位だったよね……?」
まあクラス単位での争いだからね。しかも体育祭は回収イベだし。というかDクラスが最初0ポイントだったのが全部悪いよ。
「で、有栖ちゃんはなんでホワイトルームを知ってたの?」
「父に連れていかれまして。社会科見学のようなものでしょうか」
「そんなところに自分の子供を……?」
パパ柳ってもしかしてやべぇ奴なんじゃ? とは思ってます。普通自分の子供を明らかに法に反した施設に連れてく? いや、パパ柳もホワイトルーム賛成派なんだっけ? 原作もっとしっかり読み込んでればな……アニメ派であることを後悔する日が来るとは思わなかったよ。
「ついでに、有栖ちゃんが綾小路君に拘ってた理由は?」
「人工の天才なんて作れないと証明するため、になるんですかね。ホワイトルームの存在意義を崩壊させてやろうと思いまして」
うーん邪ロリ……とも言い切れないね。ホワイトルームがカスだから。やっぱり悪を潰せるのはより強い悪なんだなって。
「まあ、なんとなく事情は分かったし、別に有栖ちゃんを止める気も無いんだけど……綾小路君、どうするの? 最低限Aクラスを目指す動きはしとくの?」
「……そのつもりだったんだがな。元々三年普通の学生として過ごすのが目的のようなものだったから。だが……」
「だが?」
「……他の3クラスの方が楽しそうでな……」
「な、なんかゴメン……いや、ほんとに……」
そうだね、綾小路君なんならウチのクラスの方がDクラスより友達多いもんね……ザッキー達とゲーセン行ったり小宮君達とバスケしたりしてたもんね……もしかして綾小路君のDクラスの心残り佐倉さんぐらいなんじゃ……?
「ここだけの話にしておいて欲しいんだが、今の目標は他のクラスへの移籍だな。他の担任は脅してくるようなことも無さそうだし」
「ほんとにハズレ引いたね……有栖ちゃん買い上げてあげたら? 同じクラスになったら好きなだけ盛り……じゃない、競い合えるんじゃない?」
「その為にはまずクラスの完全掌握ですね。葛城君の派閥の息の根を止めないと」
これは邪ロリ。葛城君は良い人だよ。現状多分社会で葛城君が一番通用するよ。
「でも私はウチ来て欲しいかな。りゅーたんも喜ぶだろうし。馴染みやすいだろうし」
「む……真澄さん。ウチのクラスのアピールポイントは何かないんですか?」
「一番お小遣いが多いぐらいじゃない? 正直未だに派閥争いしてる時点でどうかと思う」
「ぐう」
お、ぐうの音。でも実際葛城君をトップに据えて有栖ちゃんが参謀やるのが一番上手くいくと思うよ……
「ちなみに聞きたいんだが、虎居が俺の立場だったらどう動く?」
「え、クラスの移籍ってこと? それともクラスをAまで引き上げるってこと?」
「ああ、すまない。言葉足らずだった。施設から脱走してきて自由を奪われそうな立場だったらどうする? という意味だ」
「なんで私にそんなことを……?」
「この学年で一番自由そうだからだな」
「えー……うーん……閉鎖空間なんでしょ? なら他のホワイトルーム生と結託して職員なり父親なりをぶち殺すかなぁ……でも綾小路君もう外出て来ちゃってるし……え、なんでみんなそんなテロリストを見るような顔を……?」
「優里が当たり前のように殺人を選択肢に入れるからでしょ」
私、また何かやっちゃいました?
「ま、まぁ殺すのは冗談として! そうだねぇ……父親の醜聞を集めまくるかな。そんで有栖ちゃんとか、高円寺君とかの伝手を使って世間にバラマキまくる。んで自分は被害者アピールしまくるかな」
「……外部との連絡手段の無いここでか?」
「ん? いや、だってまずお偉いさんが退学させようと圧力をかけてること自体が醜聞でしょ。というかぶっちゃけ、綾小路君が普通に卒業してネットにホワイトルームについてあげまくればそれだけで大打撃じゃない?」
「ネット……学内掲示板みたいなやつだよな? そんな効果があるのか?」
「え、つぶやくやつとか映えのやつとか……そっかホワイトルームじゃそんなのやらないのか……佐倉さんに聞いてみ? 多分SNSとか広告とかに一番詳しいのあの子だし」
圧倒的世間知らず……! そうか、週刊誌のスキャンダルとかも触れて来ないで生きてきてるからそういう発想が出て来ないのか……まさかホワイトルームの全てを管理ってのはそこまで考えての……?
「……もしかしてなんだが、俺は普通に学校生活を楽しんでいいのか?」
「うん? ……うん。まあ退学にならないようにはした方が良いと思うけど……学歴的に……」
「そうか……そうか……蒙を啓かれた思いだ……」
「あの、もしかして、ホワイトルームでは何かしらの刷り込みが……?」
「……否定できない。少なくとも俺は、自分からホワイトルームに攻撃する発想が出て来なかった」
天才邪ロリも絶句してるよ。まあ邪ロリはなんだかんだちゃんと愛された子供だからそんな親が居るって想像しにくいのかもね。真澄ちゃんはどうなんだろ。
「ちなみに真澄ちゃんはどう思う? 例えばSNSとか雑誌読んでたら、いきなり政治家とかが子供を攫って虐待してたってニュースなりが流れてきたら」
「逮捕されろって思う。少なくともソイツに投票することは無いわね。まあまだ選挙権は無いけど……」
「まあ卒業する頃にはあるから……」
というかパパ小路が政界に出て、その手駒なり後継者なりで綾小路君を使おうとしてるとしたらだけど、アプローチ完全に間違えてない? 土下座してホワイトルームの情報を漏らさないように懇願する以外の選択肢ある? 恨まれてないと思ってるのかな?
「というわけで私だったらふつーに学校生活楽しむかな。あーでも、Aクラスで卒業してマスメディアに特権でねじ込んでもらって暴露しまくるのも面白いかも」
「そうなると……やはりクラス移動か? 楽しむ為にも、念の為Aクラスを目指す為にも」
「Dクラスは無理そう?」
「不可能……とは言わないが、坂柳や龍園、虎居と比べるとな……」
まあ原作でも綾小路君ありきだったもんね。高円寺君がなんかやる気出しでもしたらわかんないけど。あと綾小路君が育成ゲームに目覚めてもわかんない。『ホワイトルームの理念を俺一人で証明する』って綾小路君と見た目はそっくりだが真逆の信念を持つダーク小路君が山内君あたりを最強に育て上げるかもしんないし。
「まあ気楽に行こうよ。まさか急に理事長が更迭されて、ホワイトルームの息がかかった人が代理として派遣されてきて、明らかに無理矢理な退学者を出すためだけの特別試験を開催するなんてこともないだろうし」
「時々やる優里さんのその未来予知みたいなのはなんなんですか?」
「権力闘争次第では十分あり得る事態か……」
ちしーきいつもありがとう。
「……ここまで来て退学は御免だな。もしそんな事態になったら……助けを求めても、いいだろうか?」
「勿論。友達でしょ? 有栖ちゃんと真澄ちゃんも」
「ええ。偽りの天才に引導を渡すのは私ですしね」
「……散々鳴かされて腰抜かして一日学校休んだ人がそのキャラは無理じゃない?」
「真澄さん? なんだか最近私の扱い方が優里さんに似てきてません?」
おあとがよろしいようで。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢
虎居優里という少女を一言でまとめろと問われたら、『想定不能』と俺は答える。
そもそもの出会いからして、接点も無かったというのに『過去問をDクラスに配って欲しい』だ。あのコミュニケーション能力なら誰でも選べただろうに。今にして思えば、あの時点で俺の実力を見抜かれていたのかもしれない。
ただまあ、それが不快だったかと問われれば否と断言できる。それまで接してきたのはコンパスで刺してくる女子やら、痴漢冤罪で脅してくるような女子やらだったから、カラっとした虎居の性格は好ましく思えた。
そしてその時の友達という言葉が嘘じゃなかったのは、その後何かと気にかけてくれていたことからも察せる。まあ今にして思えば一般常識に欠けている部分をだいぶ面白がられていたような気もするが……ともかく虎居からの繋がりで友人も増えてきた。Cクラスは野蛮、だなんて評価もあまり当てにならないものだ。
虎居と会っていなかったらどうなっていたのだろうか。改めて冷静に自身を顧みても、友人の一人も出来ない学園生活を送っていた気がする。そうなればきっと、Aクラスを目指せという脅迫のままに勝利だけを追い求めていたのではないだろうか。あの白い部屋での無機質な生活のように。
『龍か虎か……お主を助けてくれる縁を大事にすると良い』
いつぞやの占い師に言われた言葉だ。まあ折角出来た友人を粗末に扱う気など元々無かったが──
(父親を殺す、か)
善悪、実現可能性などは置いておけば、これ以上になく効率的で手っ取り早い解決法だ。死人は何も手出しは出来ないのだから。
無論実際に行うとすればその後に提案された告発なり権力闘争をホワイトルームに仕掛けるなりの方になるだろうが……それでも、その提案は正しく俺の思考を切り開いてくれた。
(最悪、殺してしまえば悩む必要もなくなる)
実際にそれを行うかどうかという話ではない。ただその選択肢があるというだけで、世界が随分と簡単になったような気がした。アイツを殺すことに比べれば、ホワイトルームの醜聞をバラまくなり他の権力者──例えば坂柳や高円寺の親族のような──に取り入ることの、なんと容易いことか。
(だが、しかし)
殺人を手段の一つとして真剣に、気楽に提案できる思考回路。ある意味では、あの施設で得られなかったピースの一つだ。
(本当に──興味深い)
或いは。高育に入っての一番の収穫はあの少女に出会えたことであるかもしれない。何故こちらのことを気に入ってくれたのかは分からないが。願わくばこの友人関係が続くことを祈るばかりだ。
(──友人、か)
Cクラスの面々。Dクラスで言えば佐倉。それに虎居が話のきっかけになった軽井沢辺り。それに坂柳と神室……はまだ友人と言うには距離がある気がするが、ともかくどれも虎居が繋いでくれた縁だ。時折話す程度だが高円寺も縁という意味では含めてもいいのかもしれない。
あの白い部屋にいた頃は、誰かと共に時間を過ごすなんて想像もしていなかった。一人の少女と知り合っただけでここまで変わるものなのか。
良く分からないが。なんとなく、胸の辺りがふわふわするような感覚があった。
感想返せてなくてごめんね
全部読んでます。モチベです