ようこそ百合至上主義のハーレムへ 作:ド級のスランプ、ドスランプス
コツコツと400問作成している間にペアを決める小テストが終わった。私の相方はザッキー。何かと縁があるね。知らない人じゃなくて気が楽なのも有り難い。りゅーたんのペアとか胃が痛くなりそうだし。頑張れ、木下さん。
私は問題作成の息抜きと、ついでに用事を済ませるのも兼ねてカフェに来ていたのだけど……
「あ、綾小路君が……クラスメイトと一緒に……!?」
「まあ、成り行きでな。俺はあまり人に教えた経験も無いんだが……」
「いつも成績上位だろう? 俺一人じゃ正直不安だったんだ」
「あー……えーっと……信繁君!」
「幸村だ。覚えていてのボケなのか微妙に分かりにくいのはやめてくれ」
虎居ちゃん豆知識。ゲームでも有名な真田幸村の本名は真田信繫。じゃあ『幸村』はなんなのかというと江戸時代の小説的なもので出てきた名前なのだとか。そこから広く一般に知れ渡っちゃったせいで今や『幸村』じゃないと伝わらなくなっちゃったわけだね。簡単に言うとおとわっかの方が有名になっちゃったFF10。もしくは初心者に優しいキースさん。
「あと……ごめん、長谷部さんは一方的に知ってるけど男子は分かんないや。与一君?」
「三宅明人。なんで与一なんだ……?」
弓道部だから……弓道部だったよね? 違うかも。
「虎居ちゃんは私も流石に知ってるよ。龍園の女だって」
「ふ、風評被害……! せめてりゅーたんが私の男でしょ……!」
「いいのかそれで」
「……まあ改めて。Cクラスの虎居優里です。綾小路君の親友です。皆さんにはウチの清隆がいつもお世話になって……」
「母親か?」
どっちかっていうとおばあちゃんのイメージ。母親はもっとこう……真冬に冷水ぶっかけたりタバコ押し付けたりするもんでしょ。
「それで、四人は何の集まり? 仲良しグループ? なんかあんま見ないメンバーだけど……」
「いや、勉強会だ。ペーパーシャッフルに備えてな」
「ああ、教えるのがどうこう言ってたもんね」
なんか得意科目と苦手科目が被ってるんだっけ? でもペーパーシャッフルに勉強も何もなくない? 対策方法とかあるならぜひ参考にさせてもらいたいけど。
「生徒が作る問題にテスト対策とかあるの?」
「まあ習ってる範囲からしか出題されないだろうからな。その分勉強の量は増えるが……」
性格悪い問題なんて想定するだけ時間の無駄か。元素周期表の穴埋めだけで100点分にしようとしたらNG出されたし。でも20点分までならいいらしい。どういう基準?
「まあそうだよね~。にしてもびっくり。綾小路君がクラスメイトと仲良くしてるの初めて見たかも……いや、佐倉さんが居たか」
「綾小路君って休んでても気づかないタイプだよね~。あんま喋んないし」
「俺達もあんま人のことは言えないだろ。というか割とこの四人……」
「友達少ない組?」
「あんまりはっきり言わないでくれ虎居……」
「じゃあDクラスのグループに馴染めない組とか?」
ざっくり平田君グループ、三馬鹿グループ、櫛田さんグループ、恵ちゃんグループ、篠原さんグループって感じ? こうして見るとやっぱ女子ってめんどいな。私はよくグループの例外扱いされてたから分かんない。グループの中心人物抱いちゃえばいいだけだったし。
「まあそうだ。元々長谷部が他の女子と一緒に勉強するのを嫌がったからだしな」
「え~私のせい? でも相性悪い物は仕方なくない?」
「俺も女子に囲まれるのは嫌だったから人のことは言えないけどな」
うーん思春期。でも分かるよ……合わない人と二人の夜勤とか地獄だもんね……あと女社会の黒一点の扱いの酷さとか。勉強会ならまだマシだろうけど。
「ちなみに長谷部さん、私は? 相性どう? 直感で!」
「え? うーん……一緒のクラスだと合わなそう。クラスが違ったら丁度いい気がする」
「今がベストってことだね!」
実際その通りだと思う。構いまくって逃げられる未来が目に見える。仲良くはなりたいんだけどね、性的な意味で。
「まあこれも何かの縁ってことで虎ちゃんがちょっとお手伝いしてあげましょう。どういう問題作るか考えてるところでしょ?」
「いいのか? 他のクラスを手伝って」
「媚び売り媚び売り。あと問題作りの参考にしようと思って」
「じゃあちょっとその間にコーヒーお代わり貰ってくる」
「俺も」
「いってらっしゃーい……あと綾小路君」
「ん?」
「どうせ気付いてるんでしょ? 佐倉さん」
「ああ。……だが、どう声をかけたものかとな」
「誘ってあげたら? このメンバーの感じなら馴染めるでしょ」
「虎居が言うならそうなんだろうな……少し行ってくる」
「はいはい。よし、真田君。一緒に問題作ろうね」
「それはあだ名なのか……? 名前を覚える気が無いのか……?」
幸村君と即興で作った問題を三宅君と長谷部さんに解かせてみたら見事なシンクロニシティを見せてくれたり、この時点で佐倉さんがグループに参加したり、綾小路君が「俺が愛里の面倒を見る」と言ってちょっとその場を沸かせたり色々あったのだけど。
「そういえば今更だがCクラスはどこを狙うんだ? 順当に考えたらDクラスだろうが……」
「ん? Aクラスだよ~Dクラスは競争率高いしね」
「となるとウチのクラスに出題してくるのはAかBか……真っ当に勉強するのが一番の対策になりそうだな……」
「まあ葛城君も一之瀬さんも変に捻ってくるタイプじゃないからねぇ……素直に教科書とか参考書とかから拾ってくるんじゃないかな?」
「となると……世界史の用語とかを覚えさせるべきか?」
「げ。苦手なんだよねそういうの」
「同じく」
「まあウチのりゅーたんと違って勝とうとは思っても退学させようとは思わないだろうし、そこまで酷い問題は作ってこないでしょ」
「……ちなみに虎居だったらどんな問題にするんだ?」
「んー……数学は全部証明問題にするでしょ……現代文は小論文形式の解答にして……日本史、世界史は履修内の中で深堀りしまくるかなぁ」
「例えば?」
「漢王朝の初代皇帝の名前とその意味とか? 漢文で鴻門の会やったし楚漢戦争の主要人物を答えろとかもいけるかな? 最近だと項羽も有名になってきたしねぇ」
虎居ちゃん豆知識その2。漢王朝初代皇帝劉邦の『邦』は名前って言うより『あんちゃん』ぐらいの意味しかないぞ。ついでに劉邦の字の『季』は末っ子って意味。皇帝になっても『劉さんのとこの末っ子のあんちゃん』で通したあたりに劉邦の人間性が見えてきて面白いね。
閑話休題。
「Cクラスから攻撃されなくてよかった……」
「幸村君も流石に解けない?」
「というか雑学の領域だろうそこまでいくと……」
「まあ通るか学校に提出してみてどうなるかだね。『史記』の範囲ってことで漢文の問題としてなら許されるかもだし」
「……良かったら結果を教えてくれないか? 学校が認めるラインを知っておきたい」
「んー? それって私に何か得ある?」
「私達が助かる」
「いや長谷部、それは──」
「おっけー。じゃあ連絡先と……あと勉強会する時教えてよ。来れたら手伝うし」
「いいのかそれで」
長谷部さんと佐倉さんの胸が退学になるのは世界の損失だから……せめて一緒にお風呂に入るまでは……! 混合合宿とかでチャンス無いかな? Tレックスとかあの時だったよね確か。
「あ、肝心なこと聞くの忘れるとこだった。綾小路君、明日空いてる?」
「特に予定は無いが……」
「おっけ。ちょっと夜空けといて~。あ、告白じゃないから佐倉さん安心してね?」
「ふえっ!?」
「それは別に期待してないが」
「ちょっとは意識してくれてもよくない?」
意識されても困るんだけど……! なんかこう……プライドが……!
「あ、姐さん、どうでした?」
「ばっちり。やっぱ予約しといて正解だったね」
元はと言えば私はケーキを買いにカフェに行っていたのである。正確に言うなら予約の確認だけど。こういうのって手間暇かけてナンボだからね。
「ザッキーの方はどう? やっぱ場所はカラオケ?」
「はい。VIPルームを抑えときました。龍園さんならやっぱあそこかなって」
「なんでりゅーたんあんなカラオケ好きなんだろうねぇ……歌わないくせに……」
多分監視カメラが無いからだろうけど。良からぬことをしているかどうかは置いといて、見張られてることが気に食わないんでしょう多分。
「飲み物食べ物はカラオケで注文できるから良いとして……あとりゅーたんが喜ぶものってなんだろ? 女?」
「あんまり龍園さんがそれで喜ぶところは想像つかないっすね……」
「やっぱり?」
りゅーたんあんなアウトローって感じだけど女の子侍らせたりはしないよね。澪もよく連れ回してるけどそんな感じじゃないし、ひよりんにも一歩引いてるし。原作の鈴音ぇ…(ネットリ)も性欲とかって感じじゃなかったし。恵ちゃんにもそういう類の暴行は一切しなかったしね。もしかしてホモ?
……明日は10月20日。りゅーたんの誕生日である。
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