ようこそ百合至上主義のハーレムへ 作:ド級のスランプ、ドスランプス
みんなありがとね
「赤点を回避する方法、答えは過去問だ」
「なんでそこは真っ当なの……いや、これ過去問っていうよりただのテストの使い回しじゃ……?」
頭脳労働組を集めたかと思えば、りゅーたんは見事に赤点回避の方法を持って来てくれた。でもこれ単なる学校側のサボりでは? せめて数学なら数字を変えるとか、古典なら題材同じにして問題変えるとかしようよ。まあでも大学のテストとかこんな感じだったし、ある意味先を見据えているのかもしれない。大学生活はぼっちにはキツイのです。
「三年分、しかも全教科全て一緒ですね……これなら確かに赤点を取らずに済むんでしょうけど……」
ほらひよりちゃんも微妙な顔してるよ。『じゃあ今までの勉強会の時間全て無駄では……? それなら読書に当てたかったのですが……』とか思ってるよ。知らんけど。
「では早速全員に渡しますか? 勉強会も全部暗記に費やす、というのも選択肢かと」
ワイトもそう思いますよ金田君。こんなのあったらみんな100点だよ。え? 過去問貰っといて赤点だった人が居るんですか?
「いや、まだ早い。お前らには渡す……が、雑魚共には見せるな。あくまで目的は弱点の克服だ」
「……これを前提に模擬試験でも作れってこと? あくまで解き方を覚えさせろって?」
「ああ、その通りだ。理想は本番で万が一数字だの単語だのが変わっても対応できることだな」
澪ちゃんとりゅーたんが学生みたいな会話してる……! アニメ初見の時完全に暴担当だと思っててごめんよ。
「それと虎居。これのコピーをDクラスに渡してこい。駒を作ったんだろ?」
「いいけど……なんで?」
りゅーたんのことだから退学者を出して退学のペナルティを探る、とかやると思ってたのに。よしんばそれを置いといても自分達だけが独占すると思ってた。
「0のままだと借金が回収出来ないだろ?」
「絶対建前だ」
悪そうな笑顔で言ってるもん。……あ、分かった。原作イベの暴行冤罪でのペナルティを測るためにわざと一旦Dクラスのポイントを増やす気だ。あわよくばDのクラスポイントをCに移すとか要求する気だ。りゅーたんの奴そこまで考えて──
「……はいはい分かりましたよ。うけたまかしこまつかまつり~」
「上手くやれよ?」
まあどうせ私が何もしなくても原作主人公が過去問手に入れてきてくれるんだけど……そうだ。
「すみませーん、綾小路君いますか~? ……借金組は早くポイント返してね~」
お昼休み。Dクラスに向かってぼっち小路君を呼び出す。この頃の会話相手って初期北さんだけなんだっけ? 三馬鹿ともそれなりに話すんだっけ? 忘れちった。
「虎居……だったか? 俺に何の用……その顔は大丈夫なのか?」
「見た目が派手なだけ~。それよりちょっと顔貸してくんない? ご飯一緒に食べようぜ!」
てか飯行かね?作戦成功。綾小路君(初期の姿)は友人付き合いに飢えてくれてて助かる。機械小路君だったら絶対付いてきてくれないもん。
「……山菜定食でいいの? 安いやつでいいなら奢ろうか?」
「ポイントが厳しいからな。それに、奢って貰っても返せるものが無い」
「目の前でそんなもの食べられてたら私が気にするの。……じゃあちょっとお仕事頼むからそのお礼ってことで……どうしたの微妙な顔して」
「いや、奢りだと思って食べたら後から恩に着せられた事を思い出してな……」
初期北ッパリはさぁ……
「うーん、意地でも奢りたくなってきちゃったな……最悪お仕事は断ってくれてもいいからさ。あ、でもスペシャル定食は勘弁ね!」
スペシャル定食と山菜定食しか知らなかったけど、普通の学食っぽいメニューは大体ある。カレーとかラーメンとか粉ものもある。フードコートかな?
「それで、俺に頼みたいことって何なんだ?」
「ん? ああ、これをね……見てもらった方が早いね。ファイル送るから連絡先ちょうだい?」
「……ああ、分かった」
内心女子の連絡先ゲット! って浮かれてたりするのかな? でももう初期北さんとかクラス崩壊田さんとかで女子が嫌になってきてるかもな。普通の学校生活に憧れてた子にDクラスは酷だよ。平田君ぐらいだよ初期のDクラスで友達になりたいの。
「ありがと~。そんではい、次のテストの過去問三年分。これをDクラスに配って欲しくて」
パッと見ただけで同じ問題しか出ないことを理解したらしい。速読技術もホワイトルームで叩き込まれてるのかな?
「……ちょっと待て。こんなものをなんでわざわざDクラスに渡すんだ?」
「クラスポイント0だと借金が回収できないから。まあ、退学者続出も見てて面白いかもしれないけど」
理由としてはそんなにおかしくないはず。舐めてるとは思われるかもしれないけど、クラス間闘争とか興味無いっす状態の綾小路君ならセーフのはず。
「確かにそうか。だが、何故俺に? 虎居とは特に接点も無かったと思うんだが」
「私が一方的に知ってただけだよ。小テストで全教科50点の面白い人がいるってDクラスの友達から聞いてさ~」
友達(原作知識)です。軽井沢さんに聞いてみたけど他の人の点数なんて覚えてないって言われたんだもん。いや、まあ興味ない人の点数なんて見ないだろうけどさ。
「面白い? 点数を知ってるなら俺が特徴のない普通の生徒だと分かるだろう?」
「……待って、もしかしてなんだけど。100点満点のテストの平均は50点だと思ってる?」
「……違うのか? ちょうど真ん中。平凡だろう?」
「普通の人は得意不得意とかあるもんだよ……数学は80点だけど英語は60点みたいな。というかクラスの平均点50点じゃなかったでしょ」
「む……」
ホワイトルームはまず一般常識を教えた方がいいんじゃないっすかね。忌憚の無い意見ってやつっす。どうせあの施設合格か不合格の二択でしか評価しなかったんだろうなぁ……
「まあそれは置いといて。借金組には恨まれてるし、平田君とか櫛田さんは借金を軽くしてって話しかしてこないしでDクラスに頼れる人あんま居なくてさ。ついでに友達の新規開拓もしようと思って」
「…これをしたら俺と虎居は友達でいいのか?」
「え、一緒にご飯食べたし連絡先も交換したし、もう友達でしょ。なんなら今度一緒にゲームでもする? 流石にテスト終わってからになるだろうけど」
「ああ。是非やってみたい。ゲームセンターとかカラオケとかも行ってみたいんだが……」
「お、いきなりデートの誘い? 流石私。モテモテで困っちゃうぜ」
「……それはデートになるのか?」
「……綾小路君、もしかして友達作れてない?」
「まぁ……そうだな……」
知ってたけどいたたまれないよ。そうだよね。コンパスで刺してくる人やら痴漢冤罪やらか、胸のサイズで賭けする連中やらかだもんね。一緒に遊びに行ったり出来んわそんなん。そもそも大半金欠だろうし。
「……クラス違うけど、仲良くしようね? ウチの子達も……敵にならなきゃ基本いい子達だし」
「……助かる」
微妙な空気になっちゃったよ。全部ホワイトルームが悪い。人たらしの技術も教えとけよ、手駒を作る技術じゃなく。豊臣秀吉を見習え。
「そうだ虎居。ついでに聞いておきたいんだが、普通の高校生だったら今回のこのテストはどのぐらい点が取れると思う?」
「その質問がもう普通じゃないと思うけど……うーん、過去問ありきならだけど、勉強が苦手じゃなければ満点取れるんじゃない? ああでも証明問題とかは覚えきれない人もいるかな……でも9割はいくんじゃない? 過去問なんて使わない、みたいな縛りしなければ」
高円寺とか使ってなさそう。『そんなものは美しくないねぇ。テストとはあくまで己の実力を知る為の物だよ』って感じで。でも自力で満点取れそうでもある。
「ありがとう。参考にさせてもらう」
「どいたま~。あ、もし自分で配るのが嫌だったら軽井沢さん使ってよ。虎居からって言えば従うと思うから」
「弱みでも握ってるのか?」
「いや、身体の関係──冗談だよ?」
「驚かせないでくれ。最近の学生はそれぐらい奔放なのが普通なのかと思ったぞ」
「んー……でも私も初体験早い方だったし……いや、こんなの食堂でする話じゃないね。そろそろ出よっか」
「ああ。過去問、ありがとう」
原作主人公とついに接触出来たし、りゅーたんに言われた頼みも達成したし、これは大成功と言っていいんじゃないだろうか。大体原作の流れからも外れてないし。でもぼっち小路君とCクラスの関わりが出来たのは不味いか? テストの後でりゅーたんDクラスに冤罪吹っ掛けるだろうし……まあ、その時になったら考えればいいか。
テスト3日前になってりゅーたんが過去問をクラスに公開した。負ける気せぇへんクラス全員答え知ってるし。
まあ答えを貰った上で赤点を取る人も居るわけだけど……寝てて見なかったんだっけ確か。周りの気遣いを本当に何も思ってない行為だよね。
そんな訳でテスト当日も最早消化試合。ただ覚えた事をアウトプットするだけ。そして先生による試験の結果発表。
「──さて、テストの結果ですが……ご覧の通りです。50点以下は居ませんので当然退学者もゼロです」
最低点でも8割越え。チートアイテム頼りとはいえいい結果じゃなかろうか。まあ原作で赤点1人出したDクラスですら87クラスポイント加点されてたから学校としてもボーナスチャンスみたいなもんなんだろうけどさ。
「他クラスも含めて誰一人赤点者が出なかったこと、教師として嬉しく思います。それでは──」
あれ? 赤髪ヤンキー君は?
ホワイトルームって房術は仕込まないんですかね