God, I need help   作:nyasu

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どこかで経験したことある視線、ふとそれがニンニク食べたと他人に匂いを指摘された時のホンマにコイツ迷惑だなぁと言う視線であると思い出す。

うわぁ、道端でギャルにすごく迷惑そうに見られてる。

 

なんだよ、神性って……なんか、響き的に神聖さとか神性とか多分そういうのだと思われる。

うわ、ありそう。

だって、ジャンル的には神様転生って奴じゃないか?

響きがチープで好きじゃないけど。

 

「んじゃ、私はこれで」

「待ってくれ!」

「待たない!どこの所属か分からんけど、天然物はヤバいって決まってんの」

「決まってない!」

「ヤバすぎ、てかついて来んなし!アンタも受験生でしょ!これ以上は実力行使に出るから!」

 

じゅ、受験?そうか、そういうのもあるのか。

いや、そんなことより言葉が通じる人間に初めて会えたんだ、これから会えるかどうかも分からないし、唯一の情報源だから逃したくない。

あと、ツラがいいから知り合いになりたい。

 

「君しか言葉が通じないし、学園には俺も通いたいんだ」

「私しか言葉が通じない?」

「そうそう、さっきだって宇宙人みたいなのが何喋ってるか分かんないし」

 

距離を取っていたギャルが足を止め、むしろ逃げるどころか近付いてきた。

真顔で、此方を逃さないような鋭い視線で、鋭い速さで白い手が俺の胸ぐらを掴む。

金色のオッドアイが輝いてるように見えたのが印象的だった。

 

「うおっ!?」

「日本語話者未登録、日本類似クラスタ不明、事象改竄ログなし、クオリアチェック通過、起源ハブ未接続、霊視位相タグ付けなし、儀礼霊障未編集、義体化未改造、ゲノムコード未調整、神性位相測定エラー、上位存在プロトコル発動、起源域アクセス……制限ッ!?」

 

ジージーっと、何かが這うような、擦れるような、ノイズ音。

ブツンと画面が切り替わる時に似た人工的な電子音声のようなものが聞こえた気がした。

そして、俺の目の前で金色の瞳の周りが急激に発光し、目の前の女が蹲る。

すぐに、その異音が女の目からした物だと察した。

 

右目、そこ瞳を押さえて崩れる女に近付こうとする。

すると、胸ぐらを掴んでいた手が横に振られて、俺は倒れるように引っ張られて体勢を崩した。

周りのざわめき、俺達の周囲だけ空間が開くが……それだけ。

何だコイツらと、みんな何事もなかったかのように無視していく。

 

「痛って……おい、大丈夫かよ」

「ハァハァ……クソが!」

「大丈夫じゃ……なさそう……」

 

どう考えてもダメージを食らってるかのように見える。

何かやろうとして、手痛いしっぺ返しを喰らったかのような、そんな様子だ。

っていうか、女の子の口からクソがとか聞こえると怖すぎ。

立ち上がった俺はちょっとずつ後退して距離を取る。

熊と会ったみたいに、視線はそらさず後ろに逃げる。

 

「侵食型防御呪術……じゃねぇな、訳がわからない何かが私の身体を乗っ取ろうとした、感染型の異界技術か。ただの一般人にラベリングだけして、放り出したかのように偽装しやがって」

「あの……俺は……これで」

「危険分子だ、今すぐ殺す」

 

瞬間。

世界から色が消えた。

文字通り、白と黒の世界に変わったのだ。

俺と彼女しかいない、モノクロの背景。

 

「あー!もう、嫌な予感的中!」

 

正確には、変わったのは世界であって、俺と彼女は色がある。

何かをやった、というのだけは確かだ。

これ、急にバトル展開とかそういうの?

 

「待て、待て待て!俺は別に危害を加えようとは思ってない!事故、事故なんだ、いやそれだと俺が悪いんだが!」

「先にマナー違反をしたのは私だし、本当にアンタは何も知らないんだろうね。でも、アンタを利用するナニカが何を仕込んでるか分からない。悪いけど、私は私の世界保障の為にアンタを殺す」

「いやいや、本当になんもないって!待て待て、まずは話し合おうぜ」

「問答無用!」

 

ギャルの足が爆発した。

というか、分厚いソールから異音がしたら火花を散らしながら、こちらにスライド移動してきた。

ローラースケートだ!しかもなんかブースターみたいなのある!

 

目の前まで来るギャル、下からローラー付きの鉄の塊みたいなシューズが俺の頭部目掛けて振るわれる。

ハイキック、スカートの中身に気を取られたら俺は死ぬ!?

 

「黒ッ!」

「ッ……死ね!」

 

あっ、ヤバ、エロ不注意!

避けたと思った右足の一振りは、地面に着地した瞬間に捻られる。

ギャルの左足が、着地した右足を軸に回転を加えて、俺の視界の外から胴体に入った。

知ってる、これ、テコンドーだ。

 

「がッ……ハァ、痛っ……ぐぅぅう!?」

 

全身が痛い。

視界が入れ替わって、気付いたら離れた場所に移動している。

蹴り飛ばされたと理解した。

 

立てないほどの激痛、パート2だ。

あぁ、クソ、こんなんばっかだな。

チュートリアルにしては酷すぎる。

 

「やめろ、俺の身体に封印されたヤバいのが死んだら出てくる」

「嘘だ!」

「早いよ、即断即決過ぎるだろ」

「私の右目、天眼は隠されたモノを見通す。詐術は私に通用しない!」

 

おい、本当に、おい!

なんなんですか、チュートリアルに相性最悪の相手を用意するとか。

俺の力は嘘を本当にするんでしょ、でも発動条件をクリア出来ない。

俺自身が嘘だと認識して、相手に信じ込ませなきゃいけない。

発動条件が他人の認識に依存してて、使い勝手が悪すぎる。

 

相手が本当かもと少しでも信じなければ、何も起きない能力なんだから。

信じたとしても、多少だと多少の出力しか成されない。

考えろ、考えろ、死んで次があると思うな。 

 

「本当にそうかな……俺には特別な力があるんだ。アレが何なのか分かんねぇけど、アンタにも分かんねぇやべぇ奴だよなぁ……今の言葉に嘘はあるか?」

「ッ……本当のようね」

 

ギャルは、身体を45度のように捻る。

左足を前に、右足を後ろに、左腕は顔の横、右腕は胸の高さ。

前後に揺れて、膝は軽く沈んでいる。

揺れる、揺れる、結構あるな。

 

「ボクシングか」

「世界観が近い、本当に何者なのアンタ」

「たぶん、学生だ。俺は主人公にならなきゃいけないらしい」

「人格調整されてないんだから本気で言ってんのよね、狂人過ぎ!」

 

左腕が、いつの間にか前に来る。

おい、ビビって何もしないターンだろ。

俺は何も思いついてないんだぞ。

 

慌てて後ろに逃げる。

意外と戦えるのか、いや、今のはジャブって奴か。

 

「おい、争うつもりはない!俺が本気を出したらアンタは勝てないぜ」

「嘘ね、戦う気満々じゃない」

「あー、いや、本当に戦いたくない」

「本気!勝てる気しないの!?」

 

便利だな、その嘘発見器。

なるほどね、嘘か本当かだけで、文章のどことかが分かる訳では無いみたいだな。

 

「人に使うのは初めてだから通用するか分からないんだ。だけど、お前が思ってるくらいにはヤバい何かだ」

「本気で言ってるみたいね、なら使えばいい」

「話聞いてたか?俺が死ぬかもしれないのに使う訳ないだろ。使うのはどうしようもなくなったらだ、どうせ死ぬならってな」

「時間稼ぎのつもり?」

 

よし、よしよし、本当の事として通った。

相手の信じ具合によるからヤバさは相手次第だし、使ったことないのも事実だ。

迂闊に何もできないようになったな。

 

「どうしたら話を聞いてくれるんだ?」

「怪しすぎるのよアンタ、子供が拳銃持ってて警戒しない奴がいる?」

「それは、確かに怖いな」

「そう、拳銃に脅威度を覚えるレベルなのね」

 

何か分かったように、そうギャルが言う。

今の会話もなんか得られる情報があったのが。

どうにか出来ねぇかな、マジで身の安全を確保したいんだが。

言うことを聞いて欲しいんだが……いや、そうか。

 

「いいのか、発動するだけならもう条件はクリアした。頭のいいアンタなら、色々と何されたか分かるだろ」

「ッ……人体接触、会話による誘導、ミーム汚染、他にもやってそうね」

「…………」

 

なんか色々言ってるけど、そうだとか言ったら嘘って看破されるから黙っておこう。

後は、俺の演技力とどこまで相手が信じ込ませるか。

 

「なら、効果が発動する前にアンタを叩く」

「もう遅い。既に発動している!」

 

俺は、『既に発動している』という嘘を本当になるように能力を行使する。

ただ、既に発動しているという効果の行使だ。

マジでなんの意味もない、カードゲームでもやっているかのような行為だ。

つまり、空振りである。

ただ、今の時点に発動したそれは相手が思うようなタイミングで過去に発動している事になった。

何が?それはこれから、説明することで確定させる。

 

「嘘……いつの間に」

「侵食型防御呪術」

 

ビクッとギャルが身体を震わせ、目を見開く。

よく分からない単語だ、相手が言った言葉だ。

 

「いい線いってた、俺の力とは別だけどな。アンタに危害を加えられないようにするってことは、どんな力が使われたと思う」

「あの時、私に反撃したのは上位存在ではない……なら、操っていたのはアンタ……認識による侵食呪術!」

「それもヤバいけど、人によってはもっとヤバいかもしれない。アンタの知ってる技術に使い魔とかないのか?呪術なら式神でもいい」

「まさか!隷属系の術式、私を強制的に調伏したの!?」

「それだ!」

 

俺の中で確信が生まれた。

まるで、最初から、さっきよりも前に、嘘を本当にする力を使った気がするのだ。

俺の記憶すら改竄された気がする。

この女が俺を調べた瞬間、カウンターで自分の言いなりにしたって事になった。

本人が自分で気付いた事実として認めたんだから、俺の力はそれをしたという事になる。

 

「ほら、もう危害を加える気がしてこなくなるし、構えてるのが辛くなって来ただろ」

「そんな訳……そんなはずは……」

「少しでもそうかもと思ったんなら、既に俺に調伏されてるんだ」

 

だんだんと、ギャルが構えを解いていく。

本当に何とかなった。

 

「君、嘘つきだね」

「えっ?」

「調伏された式神は霊的パスが開通している。セキュリティすらない君の考えから記憶まで、バックトレースしたら丸裸」

「あっ、えっ、あっ……」

 

ファ、ファミチキください。

 

「頭の中、覗かれてると聞いて真っ先に考えることが食べ物とかウケる。どんな文化圏だし」

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