尾張水神伝 ~SF世界の天使っぽい種族に転生したけどワープ事故で戦国時代の日本に漂着しました~   作:Lavian

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第六十話 白翼号

 1582年(天正10年)。

 

 信長の版図はさらに広がっていた。四国の長宗我部氏が従属し、九州の大名たちも次々と信長の傘下に入った。

 

 セララは水神教団に同行して活動を行っており、この日は水不足の村からの要請でコールレインを発動して雨を降らせていた。しかしセララは魔法の発動の違和感を感じていた。

 

「以前より雨雲の効果範囲も接続時間も上がってる。ここ数年、すごい勢いで魔力が上がってる気がする」

 

 数年前からセララの魔力は右肩上がりで成長を続けていた。コールレインの範囲も接続時間も十年前と比較すれば以前の四倍を超えている。魔法が得意なスカイエルフであっても異常な成長だった。

 

「何で魔力だけこんなに上がってるんだろう?身長は全然伸びないのに……」

 

 セララはうんうん唸って考えるが、こうなった原因には全く心当たりが無かった。とはいえ魔力が成長している事は良い事であり、体調も問題ないためセララは急激な魔力成長について気にしないことにした。

 

 

 

 

 水神教団の活動を終えるとセララは伊勢の港に立ち寄った。伊勢の港ではガレオン船の建造が進んでいた。

 

 小型実験船や鉄甲船での成果を踏まえて設計を重ねること数年。試行錯誤が繰り返され、材料の調達から加工技術の向上まで多くの問題を一つひとつ解決してきた。南蛮の船匠の協力と、日本の船大工たちの技術が組み合わさり、日本初のガレオン船が完成に近づいていた。

 

 セララはガレオン船の進捗を確認し、完成が近い事を確認すると安土城に戻り、丹羽に頼んで船員を選抜するための手続きを行った。

 

 経験豊富な船乗りが精鋭として選ばれた。外洋航海の経験がある者を優先し、体力と判断力のある者を集めた。船乗りだけでなく、南蛮や外国に興味のある学者も募集された。さらにイエズス会からも数名が乗り込むことになった。言葉の壁を補うためだ。

 

 選抜が進んでいたある日、安土城に一人の男が現れた。

 

 前田慶次だった。

 

 背が高く、派手な着物を纏い、腰に大きな太刀を帯びている。歩き方からして普通の武将とは違う。何というか、全てが大げさだった。

 

 信長の執務室に入るなり、慶次は大声で言った。

 

「信長様、俺をガレオン船に乗せてくだされ!」

 

 信長が書状から目を上げた。

 

「またお前か。今度は何をやらかす気だ」

 

「やらかすなど人聞きの悪い。海の向こうを見てきたいと思っただけでございます」

 

「海の向こうを、な」

 

 信長は慶次を見た。呆れたような顔だったが、追い払う様子はなかった。

 

「お前を船に乗せれば、何かと騒ぎになりそうだが」

 

「騒ぎになった方が面白うございます」

 

「……セララに話してみろ。お前を使うかどうかはセララが決める」

 

 信長はそれだけ言って書状に視線を戻した。慶次は満面の笑みで執務室を出ていった。

 

 

 

 

 セララが慶次と話したのはその翌日のことだった。

 

 庭で向き合うと、慶次はセララの翼とヘイローをまじまじと見てから言った。

 

「噂には聞いていましたが、本物の水神様とはすごいものですな。空も飛べるし奇跡を使えるとか」

 

「うん、飛べるし奇跡も使えるよ」

 

「ならば水神様が作り、奇跡の加護もある船は沈まないのでしょうな」

 

 慶次は豪快に笑った。

 

「それは違うよ。そこまで都合の良い奇跡や加護は無いんだ。ボクが作った船でも嵐に遭えば沈むかもしれない。海を甘く見てはダメだよ」

 

「おお、それは失礼。では改めて聞きますが、どのような航海となりますか」

 

「日本からマニラまでの外洋航海だよ。嵐もあるし、海賊の危険もある。簡単ではないと思う。航海の期間も片道で三カ月から半年はかかる」

 

「良いですな。危険であるからこそ、行く価値がある」

 

 慶次はあっさりと言った。

 

「慶次さんはなぜ行きたいの?」

 

「誰もやったことのない事をやりたいからです。この国の者で、船に乗って海の向こうへ行った者がどれほどいるか。数えるほどもないでしょう。ならば行ってみたい」

 

「それだけ?」

 

 慶次の言葉はなんだか軽い。しかし面白い事に対する情熱は本物だった。この情熱があればきっと外洋航海をやり遂げられるだろう。

 

「慶次さんは航海の経験は無いんだよね」

 

「ございません。船に乗るのも今回が初めてです」

 

「じゃあ船長は任せられないけど……慶次さんは人と仲良くなるのが得意そうだね。それに、城も出世もそんなに欲しくないでしょ?」

 

「ははっ、図星です。面白い事をして生きていければそれで満足ですから」

 

「だったら向いてる仕事がある。外国との交渉や、船員たちの結束を保つ役目だよ」

 

「船員の結束についてはお任せあれ。俺の得意分野です。しかし交渉の方は俺にできますかな」

 

 慶次が少し不安そうに言った。

 

「慶次さんの度胸と人当たりの良さなら、知らない相手とでも上手くやれると思う。失敗するかもと思って一歩引くのではなく、知らなくても積極的に進める人に頼みたい」

 

「水神様がそう言われるのであれば、交渉もやってみましょう。言葉が通じなくても美味い酒を使って何とかしてみます」

 

 慶次の前向きな返事を聞いてセララが頷く。これなら大丈夫そうだ。

 

「慶次さんを使節団長に任命するよ。外国との交渉や船員の士気確保、他にも様々な問題解決が任務になるよ」

 

「なんと、使節団長ですか。承知しました。この前田慶次、命に代えても船と船員を守ってみせましょう」

 

「それと、慶次さんには貿易の交渉も任せたいんだ。輸入品はもう決まってるよ。砂糖の植物と香辛料」

 

「砂糖と香辛料ですか。承知しました」

 

「輸出品はまだ検討中なんだ。今のところ考えてるのは日本刀、漆器、陶磁器、それに様々な言語に翻訳された尾張水神伝や鬼滅の刃かな」

 

「銀は入れないのですか。南蛮の連中は銀を欲しがると聞きますが」

 

「銀はできるだけ輸出を控えたいんだ。日の本の銀は限りがあるし、外国に出し過ぎると将来この国が困ることになる。だから銀じゃなくて、刀や工芸品、本みたいな作り続けられるものを輸出の中心にしたい」

 

 セララは前世の知識で日本の金・銀が大量に海外輸出され、金・銀の資源不足で苦しむことになる事を知っていた。

 

「承知しました。ところで水神様、提案ですがそれらに加えて水神様を描いた絵はいかがですか」

 

 慶次が輸出品の追加を提案した。

 

「ボクの絵?そういえばイエズス会の人もボクの絵をやたら描きたがるけど……わざわざ輸出品にするほど高値で売れるかな?」

 

「輸出品にするべきでしょう。絶対に高く売れます」

 

 慶次は迷いなく言い切った。

 

「水神様はキリスト教の天使として認められたという話も聞いております。天使様の御姿を描いた絵を欲しがる者はきっと山ほどおりましょう」

 

「うーん、そうなのかな。まあ、ボクの絵だったら以前に絵師さんが描いてくれたのがいっぱいあるよ」

 

 セララはまだ半信半疑だったが、慶次の自信は揺るがなかった。

 

「俺の見立てに間違いはございません。何枚か持って行かせてください。高く売れたら今後も増やしましょう」

 

「分かった。慶次さんがそこまで言うなら持っていってもらおうかな。出発までに準備しておくよ」

 

 セララが頷き、話を続ける。

 

「輸入品と輸出品はこんな所かな。航海の知識が無いという事だから、出発日までに色々と勉強してね。例えば航海における栄養の問題」

 

「水神様の本を読んで栄養の知識はありますが、航海だと注意が必要になるのですか?」

 

「壊血病という病気があって、長い航海では野菜や果物が不足して体が弱っていく。だから船に積んだ食料の管理と、船員の体調管理をちゃんとやってほしい。使節団長として船員の体を守るのも仕事だから」

 

「野菜と果物を食べれば良いのですか。それくらいなら任せてください」

 

「それとカボチャや豆も大事だよ。船の上で大豆を育てると良いかも。細かい説明は後でするから、ちゃんと聞いてね」

 

「承知しました。説明を聞き、航海の開始まで勉強いたします」

 

 慶次は素直に頷いた。豪快な外見とは裏腹に、肝心なところでは話をきちんと聞く人だとセララは思った。

 

「よろしくね。慶次さんが乗るなら船員たちも心強いと思う」

 

「ははっ、お任せを。それと水神様、一つお願いがあるのですが」

 

「なに?」

 

「進水式の前に、水神様に船を祝福していただけますか。水神様のご加護があれば、どんな嵐も乗り越えられる気がします」

 

「もちろんだよ」

 

 セララは翼を広げた。光魔法を手のひらに集めて、柔らかく輝かせた。

 

「船と船員全員に、無事な航海を祈るよ」

 

 慶次はその光を見てしばらく動かなかった。それから深く頭を下げた。

 

「……ありがたき幸せ」

 

 珍しく静かな声だった。

 

 

 

 

 進水式は伊勢の港で行われた。

 

 晴れた日だった。港には大勢の人が集まっていた。船大工たちが誇らしげな顔で並んでいる。南蛮の船匠も参加していた。城下から来た町人や商人が岸壁を埋めて、まだ見ぬ大きな船を見上げていた。使節団長となった慶次も船員たちと共に並んでいた。

 

 船体は全長四十五メートル、三本のマストに大きな帆が張られていた。竜骨がしっかりと船体を支え、横揺れに強い安定した構造を持つ。砲門もあった。外洋を航行するのに十分な能力を持つ船だった。武装も大砲を複数積んでいる。

 

「名前を決めてほしい」

 

 とセララが信長に言った。

 

 信長は船体をしばらく眺めてから言った。

 

「白翼号だ」

 

「白翼号?」

 

「セララの白い翼からとった。この船はお前の力と知識で生まれた。ならばその名を持つべきだろう」

 

 白翼号。セララは少し照れくさくなりながら、でも嬉しかった。

 

 舷側には白い翼を模したシンボルが描かれた。三本のマストに帆が張られ、伊勢の海風を受けてはためいた。

 

 慶次が船体を見上げながら言った。

 

「白翼号か。良い名前だ。この名に恥じない航海をしてみせます」

 

 信長が慶次を見た。

 

「お前が使節団長とは、船員たちも賑やかな航海になるだろうな」

 

「賑やかな方が士気が上がります」

 

「……まあ、無事に帰ってこい」

 

 信長は短く言った。慶次は深く頭を下げた。

 

 

 

 

 出発の一か月前、セララはフロイスを安土城に呼んだ。

 

 フロイスは久しぶりに安土を訪れていた。セララの用件を聞いたフロイスは少し考えてから頷いた。

 

「マニラはスペインの支配下にございます。現地の権力者はスペイン総督です。総督宛の紹介状を書きましょう。さらに、キリスト教の熾天使であるセララ様の権威を説明する書状を添えます。この二通があれば、総督との会談の糸口になるはずです」

 

「ありがとう、フロイスさん。助かるよ」

 

 書状が完成すると、セララはそれを慶次に手渡した。

 

「これを持っていけば、マニラのスペイン総督との会談を求める際に役立つよ。イエズス会の名前はマニラでも知られているはずだから」

 

「書状一通でそれほどの効力があるのですか」

 

「書状にはボクが熾天使であるという説明も添えてある。キリスト教を信じるスペインの人たちにとって、熾天使の使者という言葉は大きな意味を持つはずだよ」

 

 慶次はフロイスに向かって深く頭を下げた。

 

「かたじけない。この書状、大切に扱います」

 

 続いてセララは自身の翼から羽根を二枚丁寧に抜いた。手のひらに乗せて光魔法を付与すると、羽根がほのかな白い光を放ち始めた。

 

「これも持っていって。水神の使者である証だよ。マニラでスペインの人に見せれば、ボクの遣いだと分かってもらえるはずだから。一枚目は慶次さんが持つためのもの。二枚目はスペイン総督に贈るためのものだよ」

 

 慶次が光る羽根を両手で受け取った。しばらくその光を見つめていた。

 

「水神様の羽根を……かたじけない。これがあればどんな交渉も上手く行くでしょう」

 

 慶次は頭を下げ、羽根を懐に大切にしまった。書状を受け取った時と同じ、豪快な外見からは想像できない丁寧な所作だった。

 

 

 

 

 出発の前日、セララと慶次と船長が集まり、航海ルートを確認した。

 

 セララが書いた世界地図は船長に既に渡してある。船長が世界地図を広げ、セララが琉球を指さした。

 

「まず伊勢を出て琉球に寄港して。そこで補給をしてから台湾沿岸を経由してマニラを目指してね。それと、地図は機密事項だから他の人には見せないでね」

 

 慶次と船長が地図を見ながら頷いた。

 

「地図について、絶対に他人に見せないことを誓います」

 

「琉球には信長さんの使節として礼を尽くして立ち寄ること。独立した王国だから、失礼のないようにね」

 

「承知しました」

 

「マニラに着いたらまずスペインの総督府を訪ねてフロイスさんの書状を渡してね。その後に交渉に入って」

 

 慶次が頷いた。

 

「交渉の目的は三つだよ。一つ目は商館の設置。二つ目は日本人居住地の建設許可。三つ目は定期的な貿易ルートの確立。全部一度に決まらなくても良い。今回は顔を合わせて話をすることが大事だから」

 

「一度に全部は難しそうですな」

 

「そうだね。まずは信頼関係を作るのが先だよ。輸出品と輸入品は覚えてる?」

 

「もちろんです。輸出するのは日本刀、漆器、陶磁器、それに様々な言語に翻訳された尾張水神伝や鬼滅の刃、水神様を描いた絵ですな。輸入したいのは砂糖の植物と香辛料」

 

「うん、あっているよ。特に砂糖そのものより、砂糖の植物の苗と栽培技術が欲しいんだ。それがあれば日の本で砂糖を作れるからね」

 

「水神様のために砂糖の植物の苗を持って帰るのも使節団長の仕事ですな。お任せください」

 

 慶次が自分の胸を叩いて自信満々に言った。

 

「大事な仕事だよ。ボクの甘味がかかってるんだからね」

 

 セララが真面目な顔で言うと、慶次は笑った。船長も思わず笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 出発の前日夜、慶次は船員たちを甲板に集めた。

 

「皆、聞け。明日からいよいよ外洋に出る。嵐もあるだろう。波も高い。海賊に出くわすかもしれない。簡単な旅ではない」

 

 船員たちが緊張した面持ちで慶次を見ていた。

 

「しかし、この白翼号は水神様が作られた船だ。この国でこれほどの船は他にない。そして俺が使節団長として皆を守る。だから心配するな」

 

 慶次は腰の太刀をぽんと叩いた。

 

「行って、生きて帰って来る。それだけだ。面白い話を土産に持って帰れば安土でも歓迎される。では明日、頼むぞ」

 

 船員たちから声が上がった。緊張していた顔が穏やかになっていた。

 

 

 

 

 出発の日、伊勢の岸壁に人が集まった。

 

 信長をはじめ、丹羽や武将たち、港の商人や町人たちが並んでいた。白翼号の帆が風を受けてはためいている。フロイスも見送りに来ていた。

 

 出発前、慶次がセララのところに来た。

 

「水神様、行ってまいります」

 

「うん。気をつけてね」

 

「土産話を山ほど持って帰ってきますよ。土産話だけで水神様に三日三晩語って見せましょう」

 

「楽しみにしてるよ」

 

「それと」

 

 慶次は少し声を落とした。

 

「水神様、この航海を思いついてくださってありがとうございます。俺のような者に、こんな面白い仕事を与えてくれる世の中になったのは水神様のおかげでしょう」

 

 セララは少し驚いた。慶次がこんな言い方をするとは思っていなかった。

 

「ボクはただ船を作って貿易したかっただけだよ」

 

「それで俺には十分です。必ず成果を持って帰ります。商館の許可も、砂糖も、面白い話も全部まとめて」

 

 慶次は深く頭を下げてから甲板へ向かった。その背中はいつもの豪快さに戻っていた。

 

 信長が隣に来た。

 

「あの男、意外と真面目なところがあるな」

 

「そうだね。でも信長さんは慶次さんのこと、ちゃんと分かってたんじゃないの?だから行かせたんでしょ」

 

「……まあな」

 

 信長はそっぽを向いた。

 

 綱が外された。白翼号がゆっくりと伊勢の岸を離れた。三本のマストの帆が風を受けて膨らんだ。船体が水を切り始め、港を出て外洋へ向かっていった。

 

 甲板で慶次が大きく手を振っていた。

 

 セララは翼を広げて飛び上がり、白翼号の上空を一周した。船員たちが甲板から見上げて声を上げた。白い翼がはためく空と、白い帆がはためく海が重なった。

 

 伊勢の港から白翼号が遠ざかっていく。

 

 セララが白翼号を見送り、信長の隣へと降り立つ。信長は遠ざかる船を見ていた。

 

「行ったな」

 

「うん。琉球を経由してマニラへ向かうよ」

 

「戻ってきたときどんな土産話を持ち帰って来るか楽しみだ」

 

「ボクも楽しみだよ。マニラと貿易が始まればこの国に入ってくるものが変わるかもしれない」

 

「それがお前の狙いか」

 

「一つはね。あとは航海の経験を積んでほしいんだ。今回はマニラだけど、いずれはもっと遠くへ行ける船乗りを育てたい」

 

 信長は遠くを見ながら言った。

 

「海の向こうに何があるか。儂も気になるな」

 

「いつか一緒に行く?」

 

「それも良いな」

 

 と信長は言った。その目に珍しく、遠い場所への興味が宿っていた。

 

 海風が吹いた。

 

 白翼号の姿は遠ざかり、やがて水平線の向こうへ消えていった。

 

 セララは水平線を見つめながら、ふと思いついたことを口にした。

 

「信長さん。二隻目、三隻目のガレオン船も作ろうと思う」

 

「もう次の船か」

 

「うん。これからは海外との貿易を広げていきたいんだ。複数の国と貿易をするなら大量にガレオン船を造りたい」

 

「儂としても貿易の拡大は望ましい。今度はどのような船にする」

 

「白翼号の設計を活かしつつ、改良を加えたものにしたいんだ。今回のガレオン船造りで分かった問題点を直してもっと良い船にするよ」

 

「分かった。船大工たちにはまた骨を折ってもらうことになるな」

 

「うん。伊勢の船匠さんたちにまた力を借りようと思う。次もすごい船を造るよ!」

 

 信長は笑みを浮かべた。

 

「お前は止まらんな。どこまで行く気だ?」

 

「どこまで……うーん。とりあえず、船造りに関しては行けるところまで全力で!」

 

「頼もしい返事だ。大量のガレオン船が出来る日を楽しみにしているぞ」

 

 セララは頷き、伊勢の港に視線を戻した。

 

 次のガレオン船の建造がこの日から始まることになった。

 

 慶次が約束した土産話が聞けるのはまだ先のことだ。しかしセララはその日が来るのを楽しみに待つことにした。




現代のフィリピンの首都がマニラです。
ただし、当時はフィリピンという国ではなく。スペイン領東インド(スペイン植民地)でした。

白翼号は日本初のガレオン船です。性能は下記となります。

全長四十五メートル、総排水量八百トン。
マストは三本。大砲は十二門です。

全長・マスト数については当時のヨーロッパの標準的なガレオン船と同等です。
排水量八百トンは「中型ガレオン船の上限」から「大型ガレオン船の入り口」ぐらいになります。
大砲の数はやや少なめです。

日本が独自に造り上げた、ヨーロッパの標準的なガレオン船に匹敵する性能を持つ船となります。


セララの魔力成長に関しては今後のエピソードで理由が判明します(当分後になります)
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