王女の騎士へと   作:たい焼きの型でたこ焼きを

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今回はいつもと比べると少しだけ長くなっております。


レッツプレイ!

「え、えっと、アリス…ちゃん?」

 

「肯定。私はアリスです」

 

「うん。じゃあこれからアリスちゃんって呼ぶね」

 

「ちゃん付け、ですか。私は呼び捨てなのに…」

 

私は少し気恥ずかしいのかモジモジしながらアリスに話しかけるミドリを見ながら不満を装って言った。

 

何だかさっきから私の扱いだけ雑な気持ちがするからちょっといじわるしちゃお。

 

「それにしても話し方か…よく考えると普通は周りを真似たりして習得する感じだよね」

 

いや無視かい!

 

「うーん…何かインターネットに良さそうなもの落ちてたりしないかな…」

 

「……」

 

「どうかしましたか?アリス」

 

ミドリが私の不満を装った言葉を無視して自分のスマホで教育プログラムを探す中、私はさっきまで隣に座って忙しそうに部屋中を見回していたアリスの頭がピタッと止まりある物を興味深々に見つめてることに気づいた。

 

「正体不明の物を発見。情報収集のため確認します」

 

「何かの雑誌…でしょうか?」

 

「ん?あっ、それは…!?」

 

アリスが床から拾い上げ手元に持ったのは、コップを上に置いたのか黒い円ができ、表紙はパッと見ても曲がっているのが分かるほどだった。

 

酷い状態だな…これ…まあ床にほっぽり出されてる時点でこうなるのは仕方ないか。

 

「えっと…ちょっと恥ずかしいいんだけど、実はその中に私たちが作ったゲームが載ってるんだ」

 

ミドリは手を頭にあてながら恥ずかしそうに、お世辞にもあまり綺麗な状態とは言えないになった雑誌を拾い上げ興味深そうに雑誌を見つめるアリスと私に向かって言った。

 

「あ、そうだ!二人がどう思うかはわからないけど…もしよかったら二人とも私たちのゲーム…やってみない?もしかしたらアリスちゃんの“会話“の練習にもなるかもだし!」

 

「ここまでの言動の意図を完璧に理解不能ですが…肯定。アリスはゲームをします」

 

「ゲームですか…良いですよ。面白そうですし、何よりアリスがやるので」

 

「ほ、本当に!?ちょっと待ってね二人とも!すぐにセッティングするから!」

 

アリスの言葉を聞いたミドリは声を弾ませながらすぐにゲーム機の電源コードを入れ、テレビに繋いだ。

 

「よし、準備できた!アリスちゃんこれ持って!」

 

「…アリス、ゲームを開始します」

 

若干興奮気味のミドリから渡されたコントローラーを持ち、私の隣に座ったアリスは床に座りゲームを起動した。

 

「タイトルからわかるかもしれないけど、このゲームは童話テイストで、色彩豊かな王道ファンタジーRPGなの」

 

ゲームについての説明をし始めるミドリをしり目にゲームはピコンと言う起動音と共にプロローグらしき文章がスクリーンに映し出した。

 

——コスモス世紀2354年、人類は劫火の炎に包まれた——

 

「……???」

 

「あれ…?入れるかセット間違えてませんか…?」

 

「いや、えっと…王道とは言っても色々な要素を混ぜたりして作ったりもするから。トレンドを取り入れるとどうしてもこんな感じになっちゃうんだよね」

 

「な、なるほど…?」

 

「……ボタンを押します」

 

私はいくら何となく知っていたとはいえ聞いていた説明とはかけ離れたSFチックなプロローグを見ながらあははと引き攣った笑いをするミドリを見ていた。

 

いや、確かにこじつければ何とか…いや、ごめん。私のイメージする王道RPGとはすでにかけ離れてるわ。

 

「Bボタンを押す…」

 

「あっ!ちょっとまっ…!」

 

ゲームのチュートリアルの指示に従いBボタンを押そうとするアリスの独り言を聞いたミドリがそれを止めようとした次の瞬間、ドカン!と音を立てながらキャラが爆発四散した。

 

「!?!?!?」

 

「え?」

 

「あはははっ!予想できる展開ほどつまらないものはないよね!あ、ちなみにここはAボタンを押さなきゃいけないの!」

 

「お姉ちゃんおかえり…でもやっぱり改めて見てもこの部分酷すぎない?」

 

アリスが自分の身に起こった理不尽なほどの初見殺しに対しフリーズしていると、いつの間にか帰ってきていたモモイが笑いながらこちらに近づいてきた。

 

いやチュートリアルでこれは酷すぎだろ!初見殺しってレベルじゃねーぞ!

 

「理解不能…」

 

「あ、アリス私が変わりましょうか…?」

 

「…否定。も、もう一度始めます」

 

「そうですか…む、無理のないように…」

 

私はいまだ呆然と画面を見つめていたアリスに変わることを提案するが、どこか固い意思のようなものを感じる声に拒否され引き下がった矢先、またキャラが爆散した。

 

「……テキストでは説明不可能な感情が発生しています」

 

「あ、それきっと“興味“とか“期待“とかそういう感情だと思う!」

 

「いえ、絶対に“怒り“だと思います」

「あはは…」

 

「え!?」

 

「…なぜそんなに意外そうな顔を?」

 

先ほどから理不尽極まりないことをされているアリスが放った言葉についてモモイがあり得ない方向に翻訳しようとしたのを正すとミドリは引き攣った顔で笑い、モモイは本気でそう思っていたのかかなり驚いた顔で私を見た。

 

 

 

その後もアリスのゲーム攻略は続いた。

 

「つばめ返…」

 

“攻撃が命中、即死しました“

 

「!?!?!?」

 

時にはそれがなぜか銃を隠し持っていた敵からの即死攻撃を喰らって、

 

「今ある所持金全額を使ってこの魔剣を買うことが一番効果的と判断」

 

“ハプニング発生!“

 

「今度は何ですか…?」

 

“アリスは詐欺に遭いすべての装備と所持金を失った!“

 

「……」

 

「エラー発生」

 

「あ、アリスー!」

 

時には相変わらず理不尽なハプニングイベントにアリスがフリーズしたりもしたが、ゆっくりとしかし確実に進めていると、気がつくとゲームも終盤に差し掛かっていた。

 

「思考表示システムおよび処理システムに異常が発生」

 

「頑張ってアリス!ここさえ乗り切ればクライマックスだよ!」

 

「質問…どうして母親がヒロインで、それでいて実は前世の妻でさらにどうしてその妻の元に、子供の頃に別れたきりの腹違いの友人がタイムリープしてきて…」

 

「あ、アリス…!それ以上は…!」

 

「エラー発生!エラー発生!」

 

「またですか…」

 

あまりのシナリオの意味不明さに少しでも考えようとするとパンクしもう何度目かもわかないフリーズを起こすアリスに私はまたかと手を額に当てた。

 

「が、頑張ってアリスちゃん!クライマックスまであと本当にちょっとだから!」

 

「………プロセスの回復を確認。再開します」

 

「頑張ってください…!アリス!」

 

「これが、ゲーム…」

 

覚悟が決まったアリスは、ポーズ画面からゲーム再開のボタンを押して再びゲームの世界に飛び込んだ。

 

「こ、ころ、し、て…」

 

「すごいよアリス!3時間でトゥルーエンドなんて!」

 

「よく頑張りましたね!アリス!さ、こっちに…」

 

「……」

 

やっと地獄から解放されたかのごとく心身疲れ切ったような顔を浮かべながらアリスは感心するモモイの言葉を聞きながらゆっくりと私床に座る私の膝上に這うようにして近づいてきた。

 

か、かわいいいいいぃぃ!やばい!アリスが今私のひ、膝に…!

 

「それはそうだけども…もしかしてアリスちゃんの喋り方のパターンがどんどん多彩になってきてる…!?」

 

「勇者よ、汝が同意を求めるならば、私はそれを肯定しよう」

 

「確かに…そうかも?」

 

「ゲームからそのまま覚えたせいでまだ不自然だけど、言葉を羅列していた時と比べるとかなり良くなったと思う!」

 

「確かに私もそう思います。ふふふ…」

 

「…ニーナ?なぜ私の頭を?」

 

私の膝上からどこか誇らしくアリスがミドリの言葉に同意すると、私は妹を見ているような気分になりアリスの頭を撫でながら少し笑ってしまった。

 

妹がいたらこんな感じなのかな?…にしても可愛い。一生撫でててたいぐらい。

 

「ところでこういうのを面と向かって聞くのは恥ずかしいんだけど…」

 

「「私たちのゲームどうだった?面白かった!?」」

 

「……面白さ、それは明確に存在」

 

「おおっ!」

 

アリスの顔を心配そうな顔で見つめていた二人に向かってアリスはゲーム中に感じたことを途切れ途切れになりながらも説明し始めた。

 

「まるで別の世界を旅しているような…夢を見ているような、そんな感覚に陥り…もう一度…」

 

「あ、アリス!?」

 

「え、えぇ!?」

 

数秒の沈黙の後、アリスが急に涙を流し始めたことに対し私とモモイは驚きを隠しきれず声を出して驚いてしまった。

 

「あ、アリスちゃん!?なんで泣いて…!?」

 

「決まってるじゃん!それぐらい私たちのゲームが感動的だったんだよ!」

 

「い、いくら何でもそれは…というかこのゲームギャグよりで作ったはずじゃ…」

 

「ありがとうアリス!その辺の評論家よりもその涙の方が百倍嬉しいよ!あーここにユズもいたらよかったのに……!」

 

「ちゃ、ちゃんと、全部見てたよ」

 

「え?」

 

静かな部屋の隅に置いてあるロッカーから突如姿を現したミレニアムの校章が入った上着と特徴的な赤色の髪が目につく人物が発した声。その声は小さかったが、確かに嬉しそうな声色だった。

 

「ユズ!いつからそこにいたの?」




最近リアルの方が忙しかったので投稿期間が少し空いちゃいましたね…ごめんなさい!
これからは週一回程度を目指して書いていきます。
あと誤字脱字、その他のミスの指摘や感想もお待ちしています!
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