辺境の惑星でリアル弾幕ごっこ 作:わさびの食べ方にうるさい人
外。
白。
すべてが凍っている。
マイナス50度。
皮膚は露出すれば数分で凍傷。
呼吸すら危険な世界。
……ゴォォォォ……
吹雪が地面を削る。
対照的に――
拠点内。
暖房が効いている。
……ウィン……
蒸気が巡る。
ここだけが、生きられる場所。
作業台。
禰豆子、裁縫中。
グリズリーの毛皮。
厚く、重い。
……チク、チク……
「……(まだ足りない)」
防寒着はいくらあっても足りない。
だから縫う。
ひたすら縫う。
研究室。
ハイテク研究卓。
青白い画面。
無数の数式。
分解された部品図。
机には工具とメモが散乱している
「……ここをこうして」
……カチャ、カチャ……
部品を組み替える。
回路を繋ぐ。
試算を修正する。
「宇宙船は止めない」
誰に言うでもなく呟く。
一方――
トイレ。
……ゴボッ……
霊夢、しゃがんでいる。
手には――
スッポン。
「……はぁ」
疲れ切った声。
……ズボッ
「なんで私が……」
詰まり。
頑固。
「ちょっと!!」
「こんな時に詰まる!?」
「このっ、このっ!」
……ズボッ!ズボッ!!
無駄に真剣。
同時に――
禰豆子は毛皮を縫い、
魔理沙は宇宙船を研究し、
霊夢はトイレの詰まりを取る。
……ゴボッ……ジャー……
水が流れる。
霊夢、静止。
「……勝った」
霊夢、立ち上がる。
疲れた顔。
「もう二度と詰まるな……」
魔理沙、呟く。
「お前が紙を流しすぎるんだよ」
「聞こえてるわよ!!」
「……(がんばった)」
拠点内。
食卓。
並ぶのは――
少量の肉。
乾燥保存されたもの。
「……これだけか?」
魔理沙が皿を見つめる。
「これでも多い方よ」
霊夢が肩をすくめる。
冬が長すぎる。
狩りに出るには危険が大きすぎる。
作物など当然育たない。
備蓄だけが頼りだった。
倉庫。
残りの食料。
減っている。
確実に。
「冬が終わるまで保たせる」
「それが最優先よ」
「ああ……」
三人、静かに食べる。
無駄な会話はない。
咀嚼音だけが響く。
・禰豆子:裁縫
・魔理沙:研究
・霊夢:設備管理、家事
日々は回る。
だが余裕はない。
研究室。
魔理沙、一人。
図面に向かう。
「……ここまで来たか」
モニターに映る式と構造。
複雑な設計。
「ジョンソン・タナカ・ドライブ……」
小さく呟く。
「量子スケール効果を利用して……」
「空間的な距離の制約を歪める」
数式が流れる。
「推進力というよりは――」
「“到達する仕組み”だな」
シミュレーション。
軌道が描かれる。
遠くの星へ。
「これがあれば……」
「この惑星から出られる」
霊夢と禰豆子、呼ばれる。
「完成したぜ」
「何が?」
「ドライブだ」
「ジョンソン・タナカ・ドライブ」
「これで別の惑星に行ける」
「……」
霊夢、沈黙。
「……(帰れる?)」
「ああ」
そして少しだけ苦笑した。
「理論上はな」
外は吹雪。
食料は少ない。
気温はマイナス50度。
それでも――。
三人の前には、初めて“未来”が見えていた。
Rim Worldでもトイレは詰まります。
妙なトコがリアルなんですよね。