辺境の惑星でリアル弾幕ごっこ 作:わさびの食べ方にうるさい人
夏。
短い夏。
だが、この惑星では貴重な季節。
雪は消え、
風は暖かい。
二度目の夏。
そして、おそらく最後の夏。
研究室。
巨大な演算装置。
内部を流れる青白い光。
コンピュータコア
完成。
魔理沙、端末を見る。
「制御系、完了」
さらに別区画。
並ぶカプセル。
厚い耐圧ガラス。
生命維持装置。
「冬眠カプセルも問題なし」
建造区画。
残された最後の大型設備。
反応炉
巨大な炉心構造。
まだ骨組みだけ。
「残るはこれだけだ」
「ここまで来たのねぇ……」
拠点内部。
禰豆子、家事中。
洗濯物。
食料整理。
設備点検。
完全に手慣れている。
「……(今日は平和)」
製錬室。
……ゴォォ……
炉の中で溶ける銀鉱石。
霊夢、満足そうに見ている。
「綺麗……」
魔理沙、横から見る。
「まだやってたのか」
「当然でしょ」
「地球帰ったら換金するんだから」
「だから重量が――」
「まだ言ってる」
外。
風が吹く。
タレットは停止状態。
警報も鳴らない。
襲撃がない。
それだけで空気は変わる。
夕食。
三人揃って座っている。
普通の食事。
普通の会話。
「こうしてると普通の生活っぽいわね」
「普通の生活で宇宙船は作らねぇよ」
「……(確かに)」
窓の外。
建造中の宇宙船。
ほぼ完成している。
霊夢、静かに見る。
「帰ったらまず、みんなで温泉行きましょ」
「風呂好きすぎだろ」
「この星で何回トイレと風呂に苦しめられたと思ってんのよ」
「……(お風呂好き)」
魔理沙。
反応炉設計図を見る。
最後の工程。
「これが終われば、本当に飛べる」
「失敗しないわよね?」
「多分な」
「急に不安になる言い方やめて」
でも空気は明るい。
翌日。
静かな拠点。
誰も戦闘準備をしていない。
警報もない。
ただ、
建造音だけが響いている。
……カン
……ウィン……
建造区画。
巨大な円筒構造。
複雑に絡み合う冷却配管。
多重装甲。
中央炉心。
反応炉
最後のパーツ。
……ガン
……ウィン……
魔理沙、最後の接続を行う。
端子固定。
制御接続。
冷却系同期。
……ピッ
モニター。
表示。
『全システム接続確認』
『宇宙船建造完了』
「……できた?」
魔理沙、少し止まる。
その後、
ゆっくり笑う。
「ああ」
「完成だ」
宇宙船。
巨大。
白と銀の船体。
増設装甲。
外部センサー。
JTドライブ。
核物質エンジン。
すべて接続されている。
墜落から始まった
極寒の惑星での生存
戦い
採掘
研究
その全てが――
この船へ繋がっていた
三人。
宇宙船を見上げている。
「……ほんとに帰れるのね」
「……(飛ぶ)」
「飛ばすんだよ」
魔理沙、端末を操作する。
……ピッ
……ピピッ
反応炉起動シーケンス。
大量のチェック項目。
「すぐ飛べるの?」
魔理沙、首を振る。
「いや」
「反応炉の起動シーケンスに15日必要だ」
「長っ」
「核反応炉だぞ」
「むしろ早い方だ」
魔理沙。
起動キーを押す。
……ピッ
モニター表示。
『反応炉起動シーケンス開始』
『推定完了時間:15日』
……ウィィィン……
宇宙船内部。
少しずつ光が灯る。
「……(動いた)」
「おお……」
魔理沙、モニターを見たまま言う。
「この15日を乗り切れば終わりだ」
「地球に帰れる」
三人、静かになる。
15日
それが最後の時間
だが同時に――
最も危険な時間でもあった
反応炉。
起動に伴い、
大量のエネルギーが流れ始める。
魔理沙、顔が少し険しくなる。
「どうしたの?」
「……この出力」
「隠し切れない」
「つまり?」
「今、この惑星で一番目立ってる」
空。
宇宙船。
反応炉起動に伴い、
青白いエネルギー光が漏れ始める。
遠くからでも見える。
それは希望の光だった
同時に――
敵を呼ぶ狼煙でもあった
霊夢、宇宙船を見る。
「じゃあやることは一つね」
「……(守る)」
魔理沙、うなずく。
「15日間、防衛戦だ」
「宇宙船完成」
「反応炉起動開始」
「発進まで、あと15日」
「そして――」
「最後の戦いが始まる」
Rim Worldでは反応炉を起動すると、宇宙船の発射準備が完了するまで15日間のカウントダウンに入ります。この期間中は、休む間もなく連続で敵の襲撃を受け続けることになります。