辺境の惑星でリアル弾幕ごっこ   作:わさびの食べ方にうるさい人

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1万分の1の奇跡の脱出を果たした後は?


惑星の彼方

宇宙船。

上昇継続。

 

……ゴォォォ……

 

振動。

徐々に弱くなる。

窓の外。

空。

青から黒へ変わっていく。

 

「……うぉ」

 

雲。

遥か下。

さらに上昇。

 

……ゥィィィ……

 

そして。

成層圏突破。

空が消える。

黒。

完全な宇宙。

 

無数の星。

静かに輝いている。

 

重力。

少し軽くなる。

 

「……宇宙だ」

 

三人。

ゆっくり起き上がる。

 

全身ボロボロ。

血。

火傷。

煤。

 

それでも。

立つ。

 

霊夢。

窓へ近づく。

その後ろ。

魔理沙。

禰豆子。

 

窓の外。

惑星。

白と青。

そして。

茶色く焼けた大地。

 

ほんの少しだけ。

炎も見える。

 

「……あそこにいたのか、私ら」

 

「信じらんないわね……」

 

禰豆子。

静かに惑星を見る。

 

「……小さい」

 

あれだけ広く。

あれだけ地獄だった場所が。

今は窓の向こうに収まっている。

 

誰もしばらく喋らない。

 

……ゥゥゥ……

 

宇宙船だけが静かに進む。

 

魔理沙。

小さく笑う。

 

「……帰れたな」

 

「まだ帰ってないわよ」

 

「でも脱出は成功だぜ」

 

霊夢。

少しだけ笑う。

 

三人。

並んで。

静かに惑星を見つめ続ける。

 

宇宙空間。

静寂。

窓の外。

惑星が遠ざかっていく。

 

全員。

死液まみれ。

宇宙船に腐臭が漂う。

 

「……臭せえ」

「……風呂入りてぇなぁ」

 

「あー……」

 

霊夢。

窓に寄りかかったまま。

疲れ切った顔。

 

「帰ったら絶対豪華温泉行く……」

「露天風呂付き……」

 

「いいなそれ」

 

「腐臭とハエはもう嫌」

「美味しいご飯食べて……」

「柔らかい布団で寝るの……」

 

禰豆子。

静かに聞いている。

 

「シルバーもギリギリまで精錬してたし……」

「最終日に積み込む予定だったし……」

 

そこで。

止まる。

 

「……あ」

 

「ん?」

 

沈黙。

 

「積んでない」

 

「……え?」

 

「襲撃ラッシュで忘れてた」

 

宇宙船内部。

静まり返る。

 

「あー……」

 

本来は積む予定だった。

でも連続襲撃で完全に頭から抜けていた。

 

「精錬したシルバー全部置いてきた……」

 

「マジかよ……」

 

「温泉代ぇ……」

 

霊夢。

その場へ崩れ落ちる。

 

……ペタッ

 

「私の高級旅館が……」

 

「いや生きてるだけマシだぜ……」

 

霊夢。

涙目。

 

「絶対結構な額あったのに……」

 

禰豆子。

少し考える。

 

「……取りに戻る?」

 

「却下だぜ」

 

霊夢。

床に突っ伏したまま。

 

「温泉ぇ……」

 

魔理沙。

疲れた顔で笑う。

 

「まあまずは生きて帰ろうぜ」

 

宇宙船。

静かに宇宙を進む。

 

十五日間の地獄を生き延びた三人。

だが。

霊夢だけは。

置いてきたシルバーに本気でダメージを受けていた。

 

 

宇宙船内部。

静か。

 

……ゥゥゥ……

 

エンジン音だけが響く。

 

窓の外。

無数の星。

 

三人。

しばらく黙って座っていた。

 

「……寝るか」

 

「そうね……」

 

疲労。

限界。

もう立っているのもしんどい。

 

禰豆子。

静かに耐圧冬眠カプセルを見る。

 

「……これ入るの?」

 

「多分大丈夫だぜ」

 

「壊れてなければね……」

 

「縁起でもねぇ」

 

三人。

それぞれカプセル前へ。

 

霊夢。

チャージライフルを名残惜しそうに置く。

 

魔理沙。

ビームマシンガンを横へ立てかける。

 

禰豆子。

ヒートダガーを静かに置く。

 

十五日間。

ずっと握っていた武器。

ようやく手放す。

 

カプセル。

開放。

 

……プシュッ

 

霊夢。

中へ入る。

 

「……やっとまともに寝れる」

 

「床より全然マシだぜ」

 

禰豆子。

少しだけカプセルを警戒。

 

「噛まないわよ」

 

「……なら入る」

 

「なんだその警戒」

 

三人。

それぞれ横になる。

 

カプセル内部。

柔らかい機械音。

 

……ゥィン……

 

透明カバー。

ゆっくり閉じる。

 

霊夢。

目を閉じる直前。

小さく呟く。

 

「……次起きた時は」

「平和だといいわね」

 

「地球で温泉だな」

 

「シルバーないけどね……」

 

「まだ引きずってんのかよ」

 

禰豆子。

静かに目を閉じる。

 

「……一緒」

 

冬眠システム起動。

 

……プシュゥ……

 

意識。

ゆっくり沈んでいく。

 

宇宙船。

無音の宇宙を航行。

 

次に三人が目を覚ますのは。

地球到着前。

 

 




次回、遂に最終回です。
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