辺境の惑星でリアル弾幕ごっこ   作:わさびの食べ方にうるさい人

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地球で最も低い気温はマイナス89.2度。
南極にあるロシアの基地で記録されたそうです。


白い静寂と赤い飢え

朝。

外。

一面の――

雪が積もっている。

木々も、地面も、すべて覆われている。

 

霊夢、小屋の扉を開ける。

 

「……来たわね」

 

息が白く濃い。

空気が刺すように冷たい。

 

「……寒っ」

 

「マイナス35度くらいね」

 

「“くらい”で済ませる温度じゃないだろそれ」

 

湖。

完全に凍結。

風。

強く、冷たい。

 

……ゴォォォ

 

「これ外出るのキツいな」

 

「長時間は無理ね」

 

 

小屋の中。

暖房が効いている。

配管を通る温水。

ほのかな熱。

 

「中はまだマシだな」

 

「設備がちゃんと機能してる証拠よ」

 

だが――

壁の隙間。

わずかに冷気が入り込む。

 

「……それでも寒いな」

 

「これが最低ライン」

 

一拍。

 

「ここからさらに下がる」

 

禰豆子、外に立っている。

雪の中。

 

「おい、寒くないのか?」

 

「……(平気)」

 

「ほんと規格外ね……」

 

霊夢、少し外へ出る。

数秒。

指先が痛む。

 

「……無理」

 

すぐ戻る。

 

「それだけでかよ」

 

「凍傷になるわ」

 

 

拠点内。

行動が制限される。

 

・外出は短時間

・作業は屋内中心

・燃料消費増加

 

「燃料、結構使うな」

 

「想定内よ」

 

 

夜。

さらに冷える。

窓に霜。

配管の音。

 

……ゴウ……

 

「……音が違うな」

 

「負荷が上がってる」

 

 

数日後。

外は――

完全な雪原

森も動かない。

気配もない。

 

「……敵襲、来ないな」

 

「ええ」

 

「この寒さじゃ無理でしょ」

 

温度計。

針が示す。

−50℃

 

「……マジかよ」

 

「ここが底ね」

 

外。

空気が凍るような感覚。

風が吹くだけで――

皮膚が裂けそうになる。

 

……ゴォォォ

 

霊夢、外に出てすぐ

 

「……っ!」

 

即座に戻る。

 

「無理」

 

小屋の中。

暖房フル稼働。

 

……ウィン……

 

「電力、ギリギリだな」

 

「想定内だけど余裕はない」

 

禰豆子、外に出ようとする。

 

「待ちなさい」

 

「……(大丈夫)」

 

「大丈夫じゃない」

 

試しに少しだけ出る。

数秒後――

指先。

うっすら白くなる。

 

「……(痛い)」

 

「お前でもかよ……」

 

毛皮装備。

禰豆子に着せる。

 

「これ着なさい」

 

「……(着る)」

 

「ようやく普通の生き物っぽくなったな」

 

 

外に出られない日々が続く。

 

「……暇だな」

 

「暇じゃない」

 

「生きてるだけで精一杯よ」

 

夜。

完全な静寂。

外には何もいない。

 

「……逆に怖いなこれ」

 

「ええ」

 

「……(何もいない)」

 

「この星……」

 

「冬は全部止まるのね」

 

「生き物も、戦いもか」

 

「ええ」

 

「でも」

 

「でも?」

 

「春になったら全部動き出す」

 

 

静かな昼。

魔理沙、武器整備。

霊夢、配管の確認。

禰豆子――

動かない

 

「……どうしたの?」

 

「……(大丈夫)」

 

でも様子がおかしい。

禰豆子の視線。

一瞬だけ――

霊夢の首元を見る。

すぐ逸らす。

 

「……今の」

 

「ええ」

 

夜。

禰豆子、一人で座っている。

呼吸が少し荒い。

 

「……(足りない)」

 

自分の腕を掴む。

震えている。

 

霊夢、近づく。

 

「……血、飲んでないのね」

 

「……(うん)」

 

「どれくらいだ?」

 

「……(しばらく)」

 

「前に言ってたわよね」

 

「“必要だった”って」

 

「……(血がいる)」

 

一拍。

 

「……(ないと)」

 

「ないと?」

 

「……(自分じゃなくなる)」

 

沈黙。

 

「つまり」

 

「定期的に血吸わないと暴走するってことか?」

 

「……(多分)」

 

「多分じゃ困るのよ……」

 

禰豆子、必死に抑えている。

呼吸が荒い。

 

「……(大丈夫)」

 

「大丈夫じゃないでしょ」

 

禰豆子、再び視線を向ける。

今度は――

魔理沙

 

「……おい」

 

すぐ目を逸らす。

 

「……(違う)」

 

「血が必要なら」

「どうするの?」

 

「この状況で外に出るのは無理だぞ」

 

外は−50℃。

完全に閉鎖状態。

 

「……(我慢する)」

 

「無理よ」

 

禰豆子の呼吸。

さらに荒くなる。

目の色がわずかに変わる。

 

「……やばいなこれ」

 

「ええ」

 

霊夢と魔理沙、少し距離を取る。

無意識に。

 

「……一応聞くけど」

「襲ってこないよな?」

 

「……(しない)」

 

一拍。

 

「……したくない」

 

重い沈黙。

禰豆子は俯いたまま。

呼吸は荒い。

 

「……しょうがないな」

 

霊夢、小さく息を吐く。

 

「ええ」

 

「半分ずつでいいんだろ?」

 

「……(足りる)」

 

「なら、それでいく」

 

霊夢、腕を差し出す。

 

「……来なさい」

 

禰豆子、ゆっくり近づく。

迷いがある。

 

「……(いいの?)」

 

「今さらでしょ」

 

禰豆子、軽く噛む。

 

……カプッ

 

血が流れる。

霊夢、顔をしかめるが――

耐える。

 

「次、私だ」

 

「無理しなくていいわよ」

 

「半分って言ったろ」

 

腕を差し出す。

 

「……(ごめん)」

 

「気にすんな」

 

同じように血を吸う。

少し顔をしかめる。

 

「……思ったよりくるなこれ」

 

禰豆子、ゆっくり離れる。

呼吸が落ち着いていく。

 

「……(戻った)」

 

「……そう」

 

「見た目で分かるな」

 

二人、布で腕を押さえる。

 

「これ、定期的にやるのか……?」

 

「……そうなるでしょうね」

 

 

「……(ありがとう)」

 

小さく頭を下げる。

 

「礼はいい」

 

「その代わり――」

 

一拍。

 

「暴走しないでよ」

 

「……(しない)」

 

三人。

距離は――

少しだけ近づく。

だが同時に――

“関係が変わった”ことも分かる。

 




Rim worldでは禰豆子が暴走するとホラー映画になります。
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