リハビリがてらとまったりとやっていくつもりですが、すぐ更新止まるかも…。
岡山県瀬戸市
日本刀の聖地と呼ばれるこの場所には御刀を用いて荒魂を祓う刀使、そして刀使をサポートするオペレーターや技術者を育てる養成学校、通称『
そんな長船女学園には今日、珍しい客が来ていた。
白いスーツを着用した黒髪の女性。しかし、腰に二振りの太刀を帯びたその立ち姿は、歴戦の武将を思わせるほど威風堂々としている。
「ようこそお越し下さいました、
折神紫、400年以上の古い歴史を持つ折神家の当主にして警視庁刀剣類管理局局長の座に就く、言うなれば全ての刀使の頂点に立つ存在だ。
そんな彼女が、この学園に自ら足を運ぶのは極めて異例のことだった。
紫は長船の職員に案内され、物々しい雰囲気が漂う廊下を進んでいく。
「こちらの部屋です。既に本人を待たせております」
職員がそう言って部屋の扉を開ける。しかし中には誰も居らず、窓から吹き込む風がカーテンを揺らしているだけだった。
「誰も居ないじゃないか?」
「そんなはずは……! 先ほどまで間違いなくここに……!」
案内役の職員が慌てる。先に連れてきていた人物が居なかったのだ。
今回、紫がわざわざ長船まで来たのは、とある刀使に会うためだ。
事前にこの部屋に待機するよう伝えていたにも関わらず、あろうことかその姿を消していたのだ。
「河谷のやつ、一体どこに行ったんだ」
「ん、これは……?」
そんな時、紫はテーブルにある1枚の置き書きに気が付いた。
同時刻
瀬戸市内某所
学園からほど近い住宅街、普段の
突如として現れた荒魂が容赦なく民間人を襲っていたのだ。
逃げ惑う民間人の悲鳴、呻き声のような咆哮を上げる荒魂、場は混乱を極めていた。
その場に集まった警察官は必死に避難誘導に徹していたが、悲鳴と咆哮に言葉がかき消され、住民避難は進まない。
そんな中、1人の女の子が足を挫いて転んでしまった。
それに気付いた荒魂は、すぐさま女の子に狙いを定める。
「い、いやだ……!」
万事休す。
誰もが最悪の事態を予感し、目を背けたその時──。
キィィィン
耳をつんざくような、鋭い金属音が響いた。
「え?」
少女が恐る恐る目を開けると、そこには藍色のポニーテールをなびかせた少女が、御刀を持って立っていた。
そして次の瞬間、荒魂は頭部から真っ二つに裂け、音を立てて崩れ落ちた。
一撃、それも防御の隙を一切与えない圧倒的な速さを伴った居合によって、少女は荒魂を斬り伏せたのだ。
「危ない危ない、ギリギリだったわね。間に合って良かった。さてと、ねえ君、大丈夫?」
「う、うん。ありがとう、お姉ちゃん!」
しばらくすると、ノロの回収班がやってきた。
ノロとは、荒魂を構成する物質だ。荒魂はノロが結合して擬似的な生物と化した存在だが、御刀によって斬り祓われると再び元のノロへと戻る。しかし、放置しておくとまた結合して荒魂になってしまう。そのため、回収しだい荒魂化しないよう厳重に保管されるようになっているのだ。
住民の避難をしていた警察を交えて、荒魂を倒した少女はひと通り報告を行った。
「──分かりました、お勤めご苦労様です。後の事は我々、回収班が引き継ぎます」
「お願いします。では、失礼します」
引き継ぎも終えて少女が学園へと戻ろうとする。
すると、先程の女の子が声を張り上げた。
「お姉ちゃん!」
「あ、さっきの。どうしたの?」
「ねえ、お名前教えて」
「私の名前?」
「うん!」
「私は
刀使の少女、河谷心は陽だまりのような笑顔と共にそう答えた。
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