終わりのセラフ もう一人の従者   作:烟月

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11,霧雨隆二

「やっと見付けたよ。兄さん」

少年はそう言った直後に殺気を放ってきた。

 

「...ッ!」

彰哉は即座に反応し、後ろに下がる。

だが、少年はすぐに動き出す。

後ろに下がった彰哉に対して距離を詰めながら刀を抜き放つ。

彰哉は、それを袋に入れたままの(黒死)で弾き、刀を抜く時間も惜しかったのか、刀を抜かずに鞘の部分で少年を突く。

少年は後ろに飛び、それを避ける。

 

「あはは、やっぱり兄さんは簡単には倒せないか!」

 

「....なんでお前がここにいる?」

彰哉は少年に問う。

 

「なんでって?そんなの決まってるじゃないか。兄さん、貴方に会いにきたんだよ」

 

「ただ会いに来ただけの奴がいきなり斬りかかるわけないだろ。そもそも何故お前がここにいる。お前は地下に幽閉されていたはずだ、隆二」

彰哉は、再度少年に問う。

 

「あはは、別にいいじゃんそんな奴がいても。そうだね、少ししたいことが見付かったんだ。だから僕はここにいる」

少年(隆二)はさも、当然のことのように言った。

 

「したいこと?」

 

「そうしたいこと。僕が前からしてた研究の事は知ってるよね?あれの続きをしようと思ってるんだ。丁度、いい人と手も組めたし」

隆二はへらへらと笑いながらそう答える。

 

「よせ。あの研究は禁じられている。お前が誰と手を組んだのかは知らないがやめておけ」

 

「やだよ。あ、ちなみにその人、あ~もうめんどくさいからいいや。柊真昼から伝言だ。百夜孤児院には行くな、だって」

 

「待て、柊真昼だと。何故お前が真昼と関わっている?それに百夜孤児院には行くなだと?」

 

「それ言う必要ある?まぁ、あっても言わないけど。そう、百夜孤児院に行くな。それを兄さんに伝えろってさ。本当なんで兄さんに伝える必要があるんだろう。」

 

「俺がそれを信じるとでも?」

 

「まぁ、普通はそうだよね。こんなこと言っても信じないだろうから僕が持ってる情報を、少しだけ教えようか。愛しの人(グレン)のために力を求める柊真昼、そのための《鬼呪》(きじゅ)の武器、そして柊の情報を売り百夜教に逃亡。これでどう?」

 

「..........」

確かにそれはこの時点では、真昼しか知らないであろう、情報だ。だが、こいつが言ってる事が全て嘘なら....いやそんなことをする理由がない。もし仮にこいつが柊家からの間者だったとすれば俺達の野心は既に割れているはずだ。

 

「で、用件はそれだけか?」

 

「そうだね。あの人(柊真昼)からの用件は終わったからもう終わりかな」

 

「最後に一つ聞かせろ。お前は、どこに所属している?」

 

「どこにも。しいていうなら面白いほうかなぁ。あ、柊真昼にってのもありかな?まぁ、正直どうでもいいんだよね、研究ができて、面白ければ」

 

「そういうところは変わらないんだな」

 

「人間なんてそう簡単に変わらないさ」

隆二は、笑いながら答える。

 

「これで頼まれ事も終わったことだし、さよならかな。あ、そうだ。グレンさんのとこにも誰か行ってこのことは伝えてると思うから。じゃ、また今度会う時に。その時はまたよろしく~」

隆二はそう言いながら、その場を去っていった。

 

結局、最後まで隆二が自分で喋ったこと以上の事は聞き出せなかった。

あいつが、なぜ脱走してまで研究を続けようとしたのか、どうやって柊真昼とコンタクトをとり、手を組むことになったのか。

今はまだ、分からない。

 

「先祖が残した技法。お前はそれを再現することを諦めていなかったのか。本気か、隆二」

と、かつて──幼い頃、本物の兄弟のように育った義弟の名前を呼び、彰哉はあきれるようにため息をついた。

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