終わりのセラフ もう一人の従者   作:烟月

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2,教室

教室。

よくある、普通の学校の風景。

そこに彰哉は、いた。

一年五組の、窓側の一番後ろの席。

今は入学して初めてのホームルームの時間だ。担任らしい男が、このあと行われる入学式について話をしている。

ちなみにグレンや小百合、時雨はこのクラスにはいない。

グレンは九組。

小百合は一組。

時雨は二組、とあきらかに何者かの意志が介入しているとしか思えないほどに、三人ともグレンのクラスから一番離れているクラスに配された。

「まぁ、当然のことだろうなぁ...」

なぜなら、グレンがここにいる目的が、柊家がどれほど優れていて、圧倒的な力を有しているかを一瀬の次期当主候補に見せつけるということなのだから。

ふと彰哉は昔のことを少しだけ思い出した。

あの日の記憶を。

グレンと真昼が最後に会っていた日の記憶を。

柊家の者たちに殴られ、傷だらけで家に帰った時の記憶を。

父親はすまなさそうにこちらを見ながらこう言ったのだ。

「力がない、何も出来ない父さんを許してくれ....」

父親は、今にも泣きそうな顔でぼろぼろの息子を抱きしめてから、すぐにグレンの父親とともに柊家に謝罪をしに行った。

息子を殴られ、ぼろぼろにされてもなお、謝罪をしに行ったのだ。

 

「はぁ.....」

溜め息をつき、物思いから抜け出して顔を上げる。

クラスを見回す。

四十人。

男女比は半々、それがこのクラスだった。

クラス名簿によれば、ここは『帝ノ鬼』の中でも幹部クラスの子女たちはいないようだった。

ちなみに一瀬家は、かつては柊家を支える第一位の家柄だったらしい。だかいまは、もっとも低い階級ということになっているが。

その階級は絶対であり、グレンは今も嫌悪や敵意を感じているだろう。

実際に一瀬家の従者である自分も、同じクラスになったということへの嫌悪や、敵意を向けられているのだから。

さらに教師が言う。

「さて、皆さんは今日から日本でも最高峰である呪術学校、第一渋谷高校の一員になりました。この第一渋谷高校の生徒としての誇りと、自信を持ち、実りある学生生活を送れることを願っています」

そう言った後にその、教師は楽しげにこちらを見ながら、

「まぁ、若干一名、人とは言えないネズミが混じっていますが、そのへんは気にせずに。このクラスの生徒たちは、エリートとして、ネズミにこの学校の威信を見せつけていただければと思っております」

ネズミとは、彰哉のことである。

クラスの生徒たちが笑う。

全員が笑う。

しかし彰哉は何の反応もせずに考える。

自分を馬鹿にしたこの教師が、自分より強いのかどうか。

馬鹿にされるのはわかっていたことだ。

だが、力で負けることは許されない。戦闘で負けるのは、許されない。

そして窓の外を、空を見ながら、

「グレンたちが心配だなぁ」

小さく呟いた。

教師の話はまだ続いている。

入学式の手順について。

この呪術学校の始まりや、授業はどうなっていくのかについて。

それを聞き流しながら、外を見続ける。

少しすると、教師が言った。

「では、そろそろ入学式の時間になります。皆さん、いきましょうか」

生徒たちが立ち上がる。

彰哉も立ち上がる。

 

そして彰哉は、講堂へと移動した。




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