『理想郷』を求めて   作:hobby32

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22話:トイズバレー鉱山からオゼットまで~拉致と警告~

一行は再びエレカーに乗って海を渡り、リーガルの案内のもとトイズバレー鉱山へと向かった。

 

しかし鉱山入り口のメタリックな扉の前で、リーガルが警告を発する。

「いかん……扉のガードシステムが暴走している。誰かが強引に侵入しようとして破壊したのだろう」

 

タバサはよく理解できなかったが、リーガルに訊ねる。

「では、その“がーどしすてむ”を破壊した方が良いのですか?」

 

リーガルは苦い顔で頷く。

「うむ。しかし、通常の武器で壊せるかどうか……」

 

すると、ジーニアスは満面の笑みを浮かべる。

「よーし、じゃあボクとタバサの出番だね。最近覚えた『エクスプロード』を使ってみたかったんだ」

 

ジーニアスはけん玉を取り出して、詠唱のリズムを取る。タバサは言われるまでもなく、『イオナズン』の詠唱を開始する。

 

ジーニアスのけん玉から放たれた爆弾の種は上空へと舞い上がり、金属の扉近くに落ちて、火炎の爆発でガードシステムを飲み込む。ガードシステムは、少し凹んだ。

 

続いてタバサの『イオナズン』は、一瞬閃光が走った後、目も眩むような巨大な爆発でガードシステムをガタガタと揺らしていく。

 

身の危険を察知したガードシステムがガードアームを伸ばしたが、遠くから魔法を唱えるジーニアスとタバサには到底届かない。

結局、『エクスプロード』と『イオナズン』をそれぞれ3回ずつ撃ち込んだ結果、ガードシステムは金属の扉ごと吹き飛ばされて破壊された。

 

リーガルは憐れな目線をガードシステムに向けながら呟く。

「恐るべき子どもたちだな」

 

しかし、ドン引きしているゼロスを除けばいつもの光景だったので、ジーニアスとタバサをロイドが「よくやったな、2人とも!」とねぎらった後は、破壊されて煙を上げているガードシステムを脇目に鉱山へと入っていった。

 

ゼロスは、ジーニアスとタバサの凄まじさを目の当たりにしてから慄く。

「そりゃ、こんな破壊力を持つちびっ子たちが置いていかれるわけないわな」

 

リーガルはゼロスの言葉に、うむ、と頷いた。

 

 

 

しかしトイズバレー鉱山の内部が、ジーニアスとタバサの本領がますます発揮される場所であった。

 

閉鎖された鉱山だけあって大きな岩があちこちの道を塞いでいたのであるが、どれも『エクスプロード』と『イオナズン』によって、バコーン、ドカーンと爆破され続けたのだ。

ただ魔力消費が激しいので、2人ともたくさんのオレンジグミやパイングミを食べなければならなかった。

ちなみに魔物たちは意思無きロックゴーレム以外、爆風に恐れをなして逃げ出していった。ロックゴーレムも2人に木っ端みじんに爆破されたのは言うまでもない。

 

なので結果としてロイドたちは、魔物の住み処なのにほとんど戦うことなく鉱山の最深部まで辿り着けた。

そして、リーガルの指示した木箱をロイドが開けて、抑制鉱石を入手することができた。

 

ロイドは抑制鉱石を手にしながら言う。

「あとは、コイツを加工するだけだな」

 

リーガルは真剣な口調で訊ねる。

「どれぐらいかかる?」

 

ロイドは解説する。

「実はちゃんと加工するにはドワーフでないといけないんだ。けど、これにまじないを刻み込めば、要の紋の代わりにはなると思う。それならすぐにできる」

 

ロイドは手にした抑制鉱石にまじないを刻み込む。

「これでよし。コレットが正気を取り戻したように、これでプレセアも大丈夫だろう」

 

リーガルは安堵したように頷く。

「ありがとう。では、プレセアのもとに戻ろうか。あの死臭に満ちた家に長居させたくはないからな」

 

ここでタバサは指示を出す。

「では、わたしの周りに集まってくださいーー『リレミト』」

 

ロイドたちは瞬時に鉱山の入り口、すなわち破壊されたガードシステムの前まで戻った。

 

しかしそこで、思わぬ鉢合わせがあった。

 

「うおっ!? なんだ!?」

太った人相の悪い男が突然現れ出たロイドたちの姿に驚愕する。

 

リーガルがその男を見た瞬間、すぐさま怨嗟の声を上げる。

「ヴァーリ!!」

 

ヴァーリと呼ばれた太った男は、リーガルにすぐさま反応する。

「リーガル! ガードシステムを破壊したのは、おまえたちだったのか!」

 

ゼロスが眉をひそめる。

「うん? エクスフィアブローカーのヴァーリが何でこんなところに?」

 

ヴァーリは、魔物対策だろうが、剣を抜いた2人の傭兵を側に置いていた。

 

リーガルは怒りの声を上げる。

「貴様、なぜここにいる! 教皇はおまえを捕らえるという約束をしていたではないか!」

 

ヴァーリはリーガルを思いきり嘲笑う。

「ハハハ! 教皇様が殺人鬼の囚人と本気で約束をされると思ったのか? おまえだってコレットを連れてくる約束をすっぽかして、仲間に成り下がっているじゃねーか」

 

リーガルの怒りが爆発する。

「黙れ! ならば、私自ら貴様を討つ!」

 

ヴァーリは駆けつけてくるリーガルを見ると、一目散に逃げていった。

 

ジーニアスとタバサは魔法で攻撃することもできたが、事情がよくわからないため避けた。まあ、ヴァーリの方が悪人だとは思えたのだが。

 

タバサがリーガルに目を向ける。

「リーガルさん、どういうことですか?」

 

リーガルは心の中の怒りを押さえつけながら答える。

「私は、殺人罪で服役中の囚人だ。軽蔑してくれてかまわん」

 

ゼロスは言う。

「そう言われると、軽蔑するなって聞こえるぞ」

 

リーガルは、そうだな、と頷く。

「だが詳しくは言えん。言えば言い訳になる。ただ、私は罪を背負っている。それだけは確かだ」

 

リフィルが口を開く。

「何か重たい事情がありそうね。今は詮索しないけれど、これまでのあなたの言動を見る限り、好きで人を殺したわけではないように思えるわ」

 

リーガルは瞳を閉じて言う。

「今は……どう思ってくれても構わん」

 

重苦しい空気となったところで、タバサは静かな声で言う。

「まずはオゼットに戻りましょう。少なくとも、あなたのプレセアを救いたい気持ちは確かですから」

 

リーガルが無言で頷くのを見てから、タバサは詠唱を開始して、『ルーラ』を唱えた。

 

 

 

リーガルが宙に浮かび、地に足が着く感覚を覚えた時に目を開けた際、そこにはあの暗い印象の拭えぬオゼットの村が目に入った。リーガルはまたも、タバサの魔法に驚かされることになった。

 

ロイドたちがプレセアの家に行こうとすると、村の中央の広場あたりでわめき声が聞こえた。

「教皇騎士団の皆さま! あ、あいつらが、手配書の連中です!」

 

ロイドたちが声のした方を向くと、騎士団の甲冑をつけた人たちが3人ほどいた。

またも戦いになるのか、とロイドたちは身構えたがーーところが騎士団の連中の方が慌てふためいた。

「お、おい。俺たちだけで戦えっていうのか? ムリだ! 10人の騎士に謎の援護があっても敵わない連中に勝てるもんか!」

 

「ハーフエルフ含めて魔法を使える奴らだけで4人はいるからな! こんなトコで死んでたまるかってんだ!」 

 

最後の1人は、完全にロイドたちから逃げながら叫んだ。

「ひえーっ!! お助けを~!!」

 

そんな調子で3人の教皇騎士団の連中は、甲冑をカタカタ鳴らしながら逃げていった。

 

通報した村人も、

「ああ! 教皇騎士団の方々~! ひえーっ!」

と叫んで逃げていった。

 

ロイドたちは狐につままれる気分となる。

 

ゼロスはポジティブに捉えたが。

「いや~、俺さまたちの強さが方々に知れ渡ったってことか。なっはっはっは!」

 

リフィルはため息をつく。

「余計な戦いを避けられたのは歓迎すべきだけど……これはこれで良い気分にはなれないわね」

 

ロイドたちが少し歩を進めると、村人たちは老若男女問わず、化け物でも見たかのような顔となって、近くの家へと走って入っていく。

 

タバサは暗澹たる気持ちとなって言った。

「……今夜はここの宿屋に泊まれそうもないですね」

 

そう呟きを漏らした時のことであった。

 

突然コレットが両膝を付いて両の手も地面につけた。そして、今まで聞いたことのない苦悶の悲鳴を上げる。

「痛いっ!! くう……! うう……!」

 

先頭を歩いていたロイドが大慌てで駆け寄ってきて、コレットの側に膝をつく。

「コレット!? 先生! コレットが!」

 

「わかっていてよ!」

リフィルはまずコレットの側にひざまずいて、嫌な汗が滴り落ちる彼女のおでこに手を当てた。

 

リフィルは目に見えて慄いた。

「すごい熱……! だけど、この痛がりようは?」

 

ロイドたちの誰もがコレットの周りを囲んで、心配して見つめている時のことであった。

 

「今じゃ!」

 

突然老人の叫び声がしたと思ったら、見知った少女ーープレセアが斧を持って駆け寄ってくるのが見えた。

 

リーガルが「プレセア?」と呟いたが、彼女は無言でコレットの周りを囲むロイドたちに斧を振り回した。ロイドたちはとっさに飛び退いて避ける。それから、斧の柄でコレットの頭を殴って気絶させる。

 

「よくやった、プレセア! そのまま奴を狙いなさい!」

老人の声とともに、プレセアはタバサの方へと近づいてきた。

 

そしてタバサに向けて躊躇なく斧を振り回す。

 

タバサは慌てふためいて叫ぶ。

「プレセア!? ……操られているの?」

 

斧をかわすだけなら、タバサにとってはどうということはない。ブン、ブンと風を切る音を耳に受けながらも、斧の射程の届かないところにまで距離を開ければ良いだけだ。

しかしーー

 

「コレットさん!!」

 

コレットの方が、突然空から飛来してきた飛龍に背中を掴まれて運ばれてしまう。

それを阻止するための魔法をタバサは行使することができない。

 

そしてもう一人の魔法の使い手はーー

「『アイシクル!』」

 

タバサに向けて斧を振り回すプレセアの足下を凍らせて転倒させた。「かわいい」と思っていた女の子だけに心苦しかったが。

威力を弱めた初級の氷の呪文であったが、プレセアは斧こそ手放さなかったが、糸が切れた人形のようにそのまま動かなくなってしまった。

 

その隙に飛龍に乗った老人は高らかに叫ぶ。

「わしの名はロディル! ディザイアン五聖刃随一の知恵者! 再生の神子はいただいていきますぞ! ふぉっふおっふぉっふおっ!」

 

意識のないコレットの背中を飛龍が鷲づかみにして、別の飛龍に乗ったロディルは東の方角へと飛び去っていく。

 

ロイドが急いで村の東側の柵まで駆けつけて、「コレットーーー!!」と絶叫するも、飛龍が止まることはなかった。

 

コレットはどうしようもないと判断したしいなは、プレセアから斧を引っ張って取り上げる。それからリフィルがプレセアを立たせた。ーー目は開いていたが、何をも認識できていないようであった。

 

リーガルが、無念そうに柵を掴んでいるロイドの元に駆け寄る。

「ロイド……。すまないが、プレセアを頼む」

 

その言葉で我に返ったロイドは、「……わかった」と頷いた。

 

ロイドはプレセアのエクスフィアに先ほど作った要の紋を取り付けた。

「これで正気に返るはずなんだけど……」

 

その瞬間、プレセアの瞳に生気が戻った。

「……え?」

 

プレセアはしばらくロイドたちを見回した後、

「私、何をしているの? ……パパは!?」

一目散に自分の家に向けて走り出した。

 

結果を知っているロイドたちが悲痛な表情で追いかけると、プレセアは死臭に満ちた家で鼻を覆うことなく、布団がこんもりと盛り上がっていたベッドの側で膝をついた。

「私……何をしていたの!? いやぁーーーー!?」

 

プレセアの悲鳴に胸を痛めない者はいなかった。

 

 

 

深夜。月明かりが辛うじて大地を照らす時間帯に、プレセアの父親の遺体を土葬して、木の墓標を立てただけの簡素なお墓が完成した。

他のオゼットの村の者が手伝うとは思えなかったので、ロイドたちが墓づくりを手伝った。

 

墓に父親の遺品の斧を捧げてから、プレセアはロイドたちに向けて振り返り、頭を下げた。

「パパのお墓をつくってくださって、どうもありがとうございました」

 

ジーニアスが優しい声をかける。

「大丈夫? 無理しないでね」

 

プレセアは頷いた。以前よりも感情のこもった頷きであった。

 

それから謝罪する。

「すみませんでした。私は皆さんに迷惑をかけていたようですね」

 

ロイドは穏やかに訊ねる。

「どのぐらい覚えてるんだ?」

 

「だいたい……覚えてます……」

 

リフィルが訊ねる。

「どうしてあんなエクスフィアを身に付けていたのかしら?」

 

「ヴァーリという人からもらいました」

 

リーガルが鋭敏に反応する。

「やはり、奴か!」

 

プレセアは、ポツリポツリと語り出す。

「病気のパパを助けたかったんです。パパの代わりに働きたくて、斧を振るえるようになりたかった。そしたらヴァーリがロディルを紹介してくれて、サイバックの研究所に連れて行かれたんです」

 

タバサは、憐れみのため息を漏らす。

「……あんまりです」

 

ゼロスが腕を組む。

「プレセアちゃんの実験は教皇の命令だったよな。だとすると、教皇とロディルって野郎はつるんでいるってことか」

 

リーガルが心配しながらも訊ねる。

「プレセア。きみに他の家族は?」

 

「妹が1人。奉公に出てそれっきりです。ママも小さい頃亡くなりましたし」

 

しいなは沈痛な表情となる。

「他に身寄りがいないなら、この村で一人きりというわけにはいかないね」

 

プレセアは問いかける。

「あの……皆さんに付いていっても良いでしょうか? コレットさんがロディルに捕まったのは私のせいですから。だから、コレットさんを助け出すお手伝いをしたいんです」

 

リーガルもここで頭を下げる。

「便乗するようだが、私も連れて行ってほしい。おまえたちの敵は……私の因縁の相手でもあるようだ」

 

ロイドは即座に了承する。

「もちろんだ。2人の力を貸してほしい。みんなも異存はないだろう?」

 

誰も反対する者はいなかった。

 

そこに聞き覚えのある声が響いた。

「神子を奪われたか」

 

それは白を基調とした軍服をまとったクラトスであった。

 

ロイドはクラトスに対して憤りを叩きつける。

「クラトス! また来たな! コレットをどこへやった!」

 

クラトスは微かに首を振る。

「ロディルは我らの命令を無視して暗躍している。私の関知するところではない」

 

リフィルは嘲るように言う。

「内部分裂かしら。愚かね」

 

クラトスは一切動じない。

「否定はせぬ。だが奴は神子を放棄することになるだろう」

 

ロイドが「どういう意味だ!」と叫ぶ。

 

「神子は、あのままでは使いものにならんのだ。放置しても問題なかろう」

 

ここでタバサは叫ぶ。

「そうもいきません! 連れ去られる前のコレットさんの苦しみは尋常ではありませんでした! 早く助けないと!」

 

すると、クラトスはタバサには蔑むような目線を向ける。

「そなたは神子の心配よりも、とっとと元の世界に帰るがよい」

 

ここでジーニアスが噛みつく。

「何だよ、その言い方! タバサがいなかったら、プレセアの要の紋を作る抑制鉱石を確保できなかったんだぞ!」

 

クラトスは冷ややかに答える。

「トイズバレー鉱山には、ソーサラーリングから爆弾を出せるようにする機能変換装置があった。それを使えば良かっただろう。おまえたちは見過ごしていたようだが」

 

リーガルはクラトスを睨みつける。

「なぜそこまで知っているのだ」

 

クラトスはここで背を向ける。

「逐一答える義務はない。とにかくタバサよ、そなたはさっさと元の世界に帰ることを勧告する。クルシスは手段は異なれど、総出でおまえを殺しにかかるだろう」

 

リフィルは全く意味がわからずに訊き返す。

「どういうこと? この子が異世界人であるというだけで、どうしてそこまで目の敵にするの?」

 

クラトスは首だけで振り向いた。

「一概には言えぬ。ただいずれにせよ、その少女の末路は、この世界に留まる限りは死しか残っていない。今や再生の神子よりもはるかに危うい存在だ」

 

ジーニアスがクラトスの言葉を置換する。

「タバサが……コレットよりもずっと危うい存在……?」

 

クラトスは振り向いて頷く。

「その通りだ。おまえたちがその少女を大切に思うならば、二度とその力に依存しないようにすべきだ」

 

ロイドたちはその言葉を受けて、しばし言葉を失った。どれほどタバサの攻撃呪文だけではなく、『リレミト』や『ルーラ』に頼ってきたかに思いを馳せたからだ。

 

クラトスは改めて告げる。

「タバサ、これを最後の警告とする。ーーそなたは元の世界に帰るべきだ。さもなくば、むごたらしい死を迎えることになる。そなたの死は、別段この世界にとって害はない。そなたがいなくとも、この世界は支障なく回ってゆけるのだ」

 

「………………」

タバサは、口を開けなくなってしまった。この世界に貢献することがマスタードラゴンさまからの御命令で、自分はそれに微力ながら貢献できていると思った。

だがクラトスという、明らかにこちらの身を案じている人から「帰るべきだ」とか「この世界に不要だ」と言われると、どうしても悔しさがこみ上げてしまう。

その悔しさから居直って「この世界に残る」と宣言するほど愚かでもないが、しかし意気消沈は免れなかった。

 

そして当然ながら、迷いが生じてくる。

クラトスさんの言葉に従うか否かで。ジーニアスたちとは離れたくない。しかし死にに来たわけでもない。自分は『ルーラ』といういつでも元の世界の故郷に帰れる力がある。ここまではっきりと自分は「要らない」と言われたら、帰ることを考えたくなる。

 

タバサが黙った後に、クラトスはロイドに対して、タバサにかけた言葉よりもはるかに温かみのある言葉で「神子を救いたければ、レアバードを求めよ。ミズホの民がそろそろ発見している頃だろう」と告げた。

 

それからそのまま去っていった。

クラトスさんが最終警告と告げた以上、もうこれからは自分にいかなる忠告をもすることはないだろう。今までが情けに過ぎなかったのだ。

 

そうして、タバサがどうするべきか迷っているとーーまたもジーニアスが手を握ってくれた。

「行こう。タバサがどんな選択をしても、ボクはずっと側にいるから」

 

照れもおべっかもなしにかけられた男の子の言葉に、タバサはこれほど頼もしさを覚えたことはない。

 

タバサは、理屈ではよくわからないけど、ジーニアスの手を放さないうちは、自分は大丈夫だと思えた。

 

 

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