「オサケ」を要求してきたり、「カライ」を要求してきたり、こちらがノームと会うのに協力的だったりする小人のクレイアイドルたちの要求を満たしまくって、ロイドたちは大きな赤いリボン(削岩機)を頭に結んで、まん丸に太ったモグラといった風体のノームと戦い、契約することに成功した。
なおタバサは、ソーサラーリングの機能を変換して地震が起こせるようになったリングから脆い木の足場を壊しまくって落ちる際とか、落ちたら地獄に真っ逆さまであろう手すりも何もない細い道を歩く際、いつものようにジーニアスの手をギュッと握りっぱなしであった。
ジーニアスはもはや照れも何もなく、「大丈夫だよ」「慎重に歩けば問題ないよ」と終始励ましていた。そうすると、タバサは安心しきった顔となるのが、ジーニアスにとっていちばん得意気になれる瞬間であった。
ノームは地の精霊らしく、『ロックブレイク』や『グランドダッシャー』の魔術で攻めてきたが、その肥満体が災いして前衛にボコボコにされる時間が長かった。なので、「まいったよ~」と言わせるのにさほど時間はかからなかった。
しかし激戦はここからだった。
いつものように、タバサの『リレミト』でロイドたちが地の神殿を脱出した途端、入り口で聞き覚えのある女の声が耳に入った。
「待っていたぞえ」
「う、うわあ、何だ!?」
ロイドが仰天したのは、女に待ち伏せされていたからというより、女があまりにも禍々しい気配をまとわせていたからである。
女の正体は、フウジ山岳とガオラキアの森で交戦したディザイアン五聖刃の長プロネーマであった。
しかしながら、以前は緑色だった長い髪が、燃え上がるような赤い髪となっている。さらに、ふわりと自らを浮かせているだけではなく、自らを囲うように、双剣、長剣、チャクラム、けん玉、杖、お札、大斧を浮かべている。さらにプロネーマの脚にはレガースがついていた。
「あれは……死霊術書(ネクロノミコン)!?」
リフィルが叫んだ。
プロネーマの足下には大きくて黒い禍々しい気を放っている本が置かれていた。
プロネーマの黒い気はこの本から発せられたもののようだ。
プロネーマは髪と同じく瞳も赤くして、ただ一点タバサを見据えた。
タバサはその気を当てられただけで、まるで突然魔界に放り込まれたかのような目まいがした。
プロネーマは熱に浮かされたかのように叫ぶ。
「殺せる……! 殺せる……! これで千年王国計画を潰さんとする目障りな小娘をこの手で……!」
ロイドは途端に双剣を抜く。
「くそっ、プロネーマ! おまえはどうしてそこまでタバサにこだわるんだ!」
プロネーマは、もはや機械的に答える。
「邪魔……邪魔……邪魔する者は闇に滅せよ! ……メテオスォーム!」
プロネーマはほぼ無詠唱で、大量の隕石群を降らせる魔術を放った。
この世界の魔術の専門家たるジーニアスは急いで叫ぶ。
「みんな、急いで防御技を!」
ロイドたちは自分たちに隕石が当たるタイミングに合わせて、防御技を展開した。しかし、重力で強化された隕石のダメージを軽減するのは容易なことではなく、一時的だがしいなとプレセアは膝をついた。
ロイドは隕石群が降り終わった後、プロネーマに斬りかかっていく。
しかしプロネーマは、ロイドが近づいてくるタイミングで双剣を掴んだ。
「剛・魔神剣、獅子戦吼!」
それから剣術を連発する。
「くっ! ……うおっ!?」
ロイドはプロネーマが全体重をかけて押し潰そうとする剛・魔神剣は防げたが、獅子戦吼を防ぐことはできず吹き飛ばされた。あらかじめ戦う場所を把握していなかったら、ロイドは地の底に落下していただろう。
リフィルは解説する。
「あの武器一つ一つに技が宿っているんだわ……きゃっ!」
リフィルを黙らせようと、プロネーマが無詠唱で『ダークスフィア』という暗黒のエネルギーで彼女を固める。ガオラキアの森の時とは桁違いの魔力にリフィルは崩れ落ちた。
「『ヒャダルコ』!」
詠唱が終わったタバサがプロネーマを氷漬けにする魔法を放ったが、普通の敵なら固まる攻撃にプロネーマは全く怯まず、射貫かんばかりの憎悪の瞳で、タバサに浮きながら接近していく。
ここでそうはさせじと、コレット、ゼロス、リーガル、起き上がったしいなとプレセアがプロネーマを囲うように近づいていく。
しかしプロネーマはチャクラムを掴んで、
「レンジウィングル!」
その場で一回転して5人をまとめて振り払った。5人は予期せぬ攻撃にやや吹き飛ばされて倒れこむ。
「『サイクロン』!」
ジーニアスの詠唱が完成して、猛烈な竜巻がプロネーマを切り刻むーーのであるが、確かにプロネーマの全身から血は飛んでも、全く止まる気配がない。
プロネーマはけん玉を掴み、お返しとばかりに、
「『バイトオブアース』!」
を無詠唱で放った。
「くっ! ……うわっ!?」
ジーニアスは小規模な電撃に拘束された後、大地からワニのような口が開き、噛み砕かれんばかりのダメージを受けた。痺れと痛みに、ジーニアスは立っていられなくなった。
タバサは仲間が次々と倒れ伏す様を焦って見つめながら、『マホカンタ』を唱えた。すべての魔法を鏡のように跳ね返す魔法である。当然、回復魔法をも跳ね返すが。
しかしプロネーマは、思いも寄らぬ一手を打った。
「クルシスの技術をなめるでない、小娘! 『レインボーエミット』!」
プロネーマの杖から虹色の光が放射状に放たれて、タバサを呑み込む。
直接的なダメージはないが、『マホカンタ』は完全に破壊された。
フォシテス戦で使った魔法がこんな形で返ってくるとは、とタバサは思いつつも、プロネーマに『ルカナン』を放った。相手の守備力を下げる魔法である。とにかく敵が怯まないことには、こちらが蹂躙される一方となるので。
プロネーマは自らの守りが薄まったことなど気にも止めず、新たな魔法を放つ。
「『タイムストップ』!」
タバサは思わず「うそっ!?」と叫んでしまった。時間を止める魔法まであることはどこの文献にも記されていなかった。
ジーニアスは倒れながらも、術が発動するまでの猶予の時間にタバサに叫んで指示する。
「タバサ! 防御技を! ……うわっ!?」
プロネーマは倒れているジーニアスに容赦なく、魔神剣・双牙を放った。強烈な剣圧を二撃も受けたジーニアスは、そのまま気を失ってしまう。
「『フォースフィールド』!」
タバサは決死の思いで伝えたジーニアスの言葉を無駄にはせず、再度防御技を自分の周囲に展開した。
時間停止後、プロネーマはありったけの力を込めて、タバサを大剣で薙いだり、斧で叩き割ろうとしたり、禍々しいレガースで頭を蹴飛ばしたが、防御技が邪魔で思うようにはいかない。
とはいえーー
「きゃあっ!?」
時間停止解除後に重複した痛みが一斉に来て、タバサは仰向けに倒れこんでしまった。
するとプロネーマは、鼻息荒く唇を醜く歪めながら、タバサを見下ろしながら高らかに宣言する。
「ユグドラシル様が正気を取り戻されるため、覚悟をし、小娘! ……ぐうっ!?」
プロネーマが気が付いたときには、ロイドの双剣、ゼロスの長剣が背中を貫いていた。そして、3本の刃先が胸から血とともに飛び出る様をプロネーマは見つめた。
『ルカナン』で守備力を下げられていたプロネーマは、タバサに集中していたこともあり、まともに食らってしまったのだ。
さらに攻撃はそれで終わらなかった。
「『エンジェル・フェザー』!」
コレットの天使術の桃色の光輪がプロネーマを貫き、
「『風刃縛封』!」
しいなによる風の縛めに切り刻まれつつプロネーマの体は持ち上げられ、
「鷹爪猛襲脚!」
浮かんだプロネーマの体を飛んだリーガルの足技で地面に叩き落とされ、
「空旋連転斧!」
落下したプロネーマを四回転斬りするプレセアの斧に大量の武器ごと薙ぎ払われて斬り裂かれた。
プロネーマはようやくタバサから背後を振り返って一行を睨みつけた。
「くうっ! 邪魔するで……かはぁっ!?」
リフィルの『フォトン』が無詠唱で魔法を発動するプロネーマの動きを光のエネルギー球で拘束する。
その隙にプロネーマの背後から自らの長剣を引き抜いたゼロスが、プロネーマの頭を目がけてトドメを刺す。
「雷神剣!」
「くはぁっ!! ……ああっ……」
脳天を貫かれ、さらに追撃の雷をも叩き落とされたプロネーマは、遂に全身から力が抜けてしまった。禍々しい武器と共にその場に崩れ落ちる。
ロイドはプロネーマに刺さったままの己の双剣を抜き取る際に絶命を確認してから、タバサの元に駆け寄り座りこむ。
「大丈夫か……ひどいな、これは……」
タバサの顔には浅く抉られた傷が残り、蹴られた際の青アザに、全身を袈裟懸けに浅く斬られた跡があった。ーー全ての傷が深傷だったら、タバサの命は無かっただろう。以前にジーニアスが防御技を教え、プロネーマの『タイムストップ』の時にとっさに展開するように指示してくれたおかげだった。
リフィルは急いで駆けつけて、倒れているタバサに治癒術をかける。
「大丈夫。見た目ほど傷は深くないわ。……『ハートレスサークル』」
タバサに青い癒しの光を降り注がせて、タバサの傷はたちまち回復していく。
タバサは急いで起き上がって問いかける。
「ジーニアスは!?」
これにはゼロスが応える。
「しょうがねぇから、俺さまが診てやるよ。……『ヒールストリーム』! ーーおら、起きろがきんちょ!」
緑色の回復の魔方陣がジーニアスの周囲に展開される。たちまちプロネーマによってボコボコにされた傷が回復して、ジーニアスは意識を取り戻す。
ジーニアスは、ガバッと起き上がってすぐに、「タバサは!?」と訊ねた。
すると、ゼロスは笑いながら呆れた。
「おまえら、同じことしか訊かねーのな。うひゃひゃひゃ」
それからゼロスは、ジーニアスにタバサの無事を伝えた。
その後、リフィルの『ナース』でプロネーマから受けた傷を治した一行は、プロネーマの死体と、その周囲に散らばった武器の数々を見つめる。
ゼロスは「どうするよ?」と訊ねると、リーガルが答える。
「下手に武器を握ったり、放置したりしておくと、また禍々しい気が当てられそうだな。死者に対する礼儀作法には欠くが、この場合、致し方あるまい。私が地の底に沈めよう」
リーガルはレガースの付いた足で、プロネーマの死体とその武器を底が見えぬ闇の穴へと落としていった。死霊術書(ネクロノミコン)が落とされた時には、リフィルは思わず「ああっ!?」と悲鳴を上げたが。それらが落ちた時の音すら聞こえなかった。
しいなは一息ついてから怪訝な表情となる。
「しっかし、何だってコイツはタバサの命を狙い続けたんだろうね。しかも呪われた武器まで大量に用意してさ」
リフィルは見解を述べる。
「千年王国計画が、とは言ってたわね。それが何を意味するのかはわからないけれど、タバサが潰そうとしているとか」
タバサは慌てて首を振る。
「わたしは何にも関わっていませんが……」
ゼロスはあっけらかんと言う。
「ま、もう死人に口なし、だ。少なくとも、もうこのおばさんには聞けねーよ」
ロイドは言う。
「ユアンなら知ってるかもな。あいつもクルシスの天使なんだから」
リフィルは頷いた。
「そうね。ノームとシルフの契約をした見返りに教えてもらおうかしら」
それから一行はグランバニアの城にまた泊まった後、今度はシルヴァラントのバラグラフ王廟に『ルーラ』で移動した。テセアラ組にとっては初めてのシルヴァラントである。前よりもマナが濃くなっていると、ジーニアスは告げた。
王廟内は、相変わらず床の穴からトゲが飛び出してきたり、鋭い歯の付いた侵入者対策の装置があったりと、一行は辟易させられた。そこのかつて風の封印を守護する魔物と戦ったところにシルフ三姉妹がいた。
全員翼の生えた三姉妹は、長女のセフィーは剣で攻撃し、次女のユーティスは弓矢で攻撃し、三女のフィアレスは盾で隠れながら風の魔法で攻撃したが、ロイドたちは1人につき2人の前衛をあてることができたので、分散攻撃をすれば苦も無く倒すことができた。
そしてしいながシルフとの契約を終えて、バラグラフ王廟からタバサの『リレミト』で脱出すると、途端に地震が発生した。
ジーニアスが慌てることなく呟く。
「ユアンの言っていたとおりだね」
リーガルが大きく頷く。
「またマナの楔が1本引き抜かれたのだ。この地震も当然と言うべきなのだろう」
リフィルはタバサに指示する。
「ユアンのいるテセアラベースに飛びましょう」
タバサはコクリと頷いてから、『ルーラ』を唱えた。
一行はまた、レネゲード兵に広い会議室のようなところに案内された。それから各人が振る舞われた水を飲んでいると、ユアンがやって来た。
会議室に入るなりユアンは即座に言う。
「ノームとシルフと契約できたようだな。こちらでも地震を観測した」
リフィルが首を縦に振る。
「あなたの言っていたとおり、相反する属性の精霊と契約すると、マナの楔が抜かれて地震が発生するようね」
ユアンは頷く。
「そのようだな。予想の範疇ではあったが」
ここでロイドが訊ねる。
「なあ、千年王国計画ってなんだ?」
ユアンは不思議そうな顔をする。
「どこでそれを聞いたのだ?」
ジーニアスが説明する。
「いや、前にユアンさんとフウジ山岳で一緒にいたプロネーマっていうディザイアンに、タバサが地の神殿で襲われたんだけど……」
するとジーニアスの言葉を遮るように、ユアンが大きく目を見開いて口角泡を飛ばした。
「なんだと!? 奴が襲ってきたというのか!?」
ゼロスは疲れたように肩を落とす。
「……ったく、隕石を降らせてくるわ、色んな武器を振り回してくるわ、挙げ句の果てに時間を止めてくるわ、もうとんでもねぇ化け物に化していたぜ……」
ゼロスの言葉を聞いたユアンは、たいていのことには動じないこの男が、口を閉じることができなかった。
「なんだ、それは……。エターナルソードを装備したユグドラシルでないと敵わない相手だぞ」
リーガルは大きく頷く。
「確かに今までで最も恐ろしい怪物と形容しても過言ではなかった」
ユアンは机に身を乗り出して訊く。
「奴は……プロネーマはどうなった!?」
ロイドが言う。
「死んだよ。俺がちゃんと確かめた。それでかわいそうだけど、地の神殿の底の見えない穴に不気味な武器もろとも放り込んだんだ」
ユアンはここで、そうか、と安堵して腰を下ろした。
リフィルが問いただす。
「それで、こちらとしては、千年王国計画とは何か、なぜプロネーマはやたらとタバサに執着したのか、今後タバサに危険はないのか、この3つについて知りたいわね」
ユアンは、よかろう、と言ってから答え始めた。ただしわからぬこともあるが、と付け加える。
「まず千年王国計画について説明しよう。これはユグドラシルがクルシスの輝石を用いて全知的生命体を無機化することを計画の支柱としている。言い換えれば、全ての種族を天使化するという計画のことだ」
これには、ロイドたち一同、驚愕に固まった。全知的生命体を天使化するなど、とてつもなくスケールの大きな話だったからである。
しかしユアンは、さほど興味なさげに首を振る。
「だが、肝心かなめのクルシスの輝石はごくわずかしか残っていない。古代対戦時には生産できたのだが、今ではもう既に生産技術は失われている。そこで最近クルシスの輝石を産み出すエンジェルス計画が進行していたわけだが……」
ロイドが左手の甲とプレセアを見ながら呟いた。
「母さんとプレセアが関わった計画か……」
リフィルは冷静に言う。
「研究内容を聞いたのだけれど、大量のクルシスの輝石を作るには途方もなく時間がかかりそうね」
ユアンは、その通りだ、と吐き捨てるように言う。
「エンジェルス計画そのものが非人道的なものであるし、ユグドラシルはこの計画をもって全知的生命体を無機生命体に統一して差別を無くそうとしているようだが、とてつもなく馬鹿げている」
ロイドは訊ねる。
「おまえはそれに荷担しなかったわけか」
ユアンは、「当たり前だ」と言い切った。
「さて、そちらの異世界の王女殿がプロネーマに狙われた理由だが、今となっては正直わからん。推測でしかないが、プロネーマが思い込みで暴走し過ぎた可能性が高い」
ジーニアスが、「そんなので済ませていいの!?」と思わず立ち上がって訊ねる。
ユアンは、やれやれといった表情となる。
「クルシスは既に、王女殿の『ルーラ』でハーフエルフ差別のない世界に行ける情報を掴んでいる。ところが『理想郷』に行けるのは、王女殿によって選ばれた者のみ。王女殿が対象から外した者は『理想郷』には行けない。王女殿を脅して『ルーラ』を無理やり使わせようとしても無駄なことぐらい、クルシスは既に把握している。ーープロネーマはそれでも、王女殿の『ルーラ』でクルシスやディザイアンの多くが千年王国計画を放棄して、『理想郷』に行くことを危惧したのではないのか、としか私には言えん。プロネーマは思い込むと、どこまでも一直線に突き進む女だからな」
リフィルは、なるほど、と頷く。
「クルシスがそこまでタバサの『ルーラ』について情報を掴んでいるのなら、タバサに害を及ぼすのは、もはやプロネーマのように思い込みが激しい存在だけ。それなら……」
ユアンは、「ああ」と頷く。
「異世界の王女殿にはほとんど危険はないはずだ。あるとしたら、中途半端に『ルーラ』の情報をかじったディザイアンかクルシスのハーフエルフだけだろう。情報共有がきちんと進めば、それも解消されるに違いない。私もクルシスの幹部として今一度情報の伝達を徹底しておくよう指示を出す」
ジーニアスは、「まったく、ちゃんと情報収集しないでタバサを殺そうとするなんて!」と怒りながらも、内心相当に安堵していた。
ロイドはここでふと思い出す。
「まったく、クラトスの野郎、脅すようなことを言いやがって。いや、確かにタバサはプロネーマに殺されかけたから、全部が全部、間違いとは言えないけどさ」
ユアンは警戒の目をロイドに向ける。
「クラトスは、何と言ったのだ?」
ロイドは何気なく答える。
「いや、タバサがこの世界にいると、むごたらしい死を遂げることになるとかって」
ユアンは、そうか、とため息をついた。
「まだその時は、王女殿の『ルーラ』についての詳細が知られていなかった頃なのではないか。千年王国計画を潰されると思って襲いかかるクルシスやディザイアンのことを指して言ったのだろう。そうだとしたら、クラトスの言葉もあながち間違いではない」
タバサは、油断は禁物だが、ひとまずはまだジーニアスたちとこの世界にいる権利があると思い、ホッとした。まだこの世界から離れたくなかったから。
ユアンは、さて、と話を切り替える。
「次は氷の精霊セルシウスと火の精霊イフリートと契約してもらいたい。それからここに戻ってきてほしい。手間をかけるが、頼んだぞ」
一行は会議室を出て、レネゲード兵に外へと案内されてから今度はレアバードに乗る。雪景の街フラノールにはまだタバサが行ったことがないからだ。
ユアンは、今一度ボータを呼び、ディザイアン狩りを徹底するよう指示を飛ばした。それから救いの塔へ行くべく、天使の羽を広げた。
陰謀はゆっくりと蠢いている。
『レインボーエミット』→『マホカンタ』破りの特技。プロネーマがタバサ対策のためだけに創造した。全属性のマナを混ぜて対象に放つことで、魔法という「魔力×属性」で構成されているものを『マホカンタ』の反射という演算をオーバーフローさせ、『マホカンタ』を機能不全に陥れて破壊することができるという設定。
大ざっぱに言えば、『マホカンタ』が「火? 水? 土? 風? どれで反射すればわかんない!」と混乱して、反射の働きができなくなるということ。
『マホカンタ』破りのために、別の二次創作(没)を執筆中に思いついたものを拾い上げました。