ポケモンゲットができない! 作:ういあ
砂埃が舞いに舞い、風が私を押し退ける。吹き飛ばされそうになる中、ディアンシーの頭にあるトゲトゲとした宝石を固く握りしめた。何とか地に足を着き続けることができて嬉しくもあるが、報復が恐ろしい。ディアンシーは3〜5M進んだ頃、定期的に宝石を不意打ちで飛ばしてくる。
「っ、あっぶ…!」
砂が口の中に入ってくる。不自然に途切れた言葉にディアンシーは首を傾げる。そして、私が口から砂を出そうと懸命に努力をしていると彼女は思い立ったのだろう。あぁ、こいつは今!喋れないんだと。
彼女は悪だった。いや、邪悪だった。自分の方が今、圧倒的なアドバンテージを抱えている。下僕は今、ディスアドバンテージを抱えている。そして、彼女は突然止まったかと思うと腹にパンチをいれる。
「……グ!!!!」
予想外の攻撃に喘ぎながら口を開かんとする。まさかと心の中で思いながら、咄嗟に伏せる。ディアンシーはもしかして、私の不幸を祈っているのではないか?そう思った時、私の行動は早かった。
ハイポニキウム(爪下皮)に砂が入りながらも握りしめたそれをディアンシーの顔に狙いを済まして投げつけた。
私が人間の誇りを捨てるとは思っていなかったのだろう。砂かけという弱々しい攻撃は不意をつく。私が生み出した間隙を突き、私はミュウツーの方向に走り出して尻尾を掴んだ。
ピクっと体を震わせたミュウツーは尻尾にしがみついている私を確認した。ディアンシーが少しずつ確実に近づいている中、ミュウツーはぐるぐると体を回転させる。おぉ、まさか守ってくれているのかと思い、私の中にある評価を上昇……したのは間違いだった。これは、こいつは、獣風情はあろうことか遠心力を利用して吹き飛ばした、私を!
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カルムという名の実力者。彼は中々に強かった。変身をせずに本来のフォルムで人目を気にせずにディアンシーと共に戦った。相手が先に倒れ伏したが、結果だけを見てはいけない。なぜなら、彼は泥臭くも戦い抜いたのだから。
これが、あの下僕だったらこうはいかない。あれはきっと自分が不利だと、勝てるわけが無いと悟ってしまったらその時点で"降参"するヘタレだからだ。下僕がもしカルムの立場だったらこういっただろう。『え、強くね。降参でーす。』はぁ、考えただけでも軽蔑に値する。
〇
砂埃が舞い、方向感覚が失われるなかレーダーとしての役割を持つ私はカルムの近くでサポートに徹していた。話に花を咲かせ、これまでのジムでの戦績を聞きながら楽しんでいると、何か察知した。どうせ、ディアンシーと下僕がじゃれているのだろう。私にまで被害が及ぶわけが無いと思い、無視をする。
それが良くなかった。誰かに尻尾を触られた。下僕だ。
〇
そして、何時の間にか下僕は空を飛んでいた。
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ゲホゲホ、あぁぁ、目がぁ、耳がぁ、口がぁ、鼻がぁ、ァァァァァ!
私は蟻地獄にハマった。くそ、どうやるべきだ。どうやって抜け出すべきだ!くそくそくそ!抜け出せない、それどころかドツボにハマっている。登ろうと、もがくたびに足が取られ、体力が無くなっていく。
詰んだ、そう思っていると人影が見える。「た、助けて!」と手を振りながら叫ぶとこちらに駆け寄ってくる。良かった、そう思い、手を伸ばしているとき、ヒーローのシルエットに気がつく。
頭部にある2本の角らしきもの、首の後ろから背中へ伸びる管、そして太く長い尻尾などを持ったミュウツーではないか。
私は思った。ただのマッチポンプだと。
最後は強引に終わらせました