『異種族玩具店(アダルトショップ)の店主はインキュバス』   作:微糖コーヒー

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第10話:全種族対応(ユニバーサル)デバッガー・クリム

 

 「……ゼクス様、ついに彼(彼女)を呼んでしまったのですね」

 

 リリがいつになく複雑な表情で、カウンターに置かれた『両性対応型・全自動感度同期デバイス』を見つめる。

 

 「ああ。これまでの道具は『男用』か『女用』、あるいは特定の種族に特化したものだった。だが、俺が目指すのは**全種族・全性別対応の究極の汎用性(ユニバーサル・デザイン)**だ。……そのためのデバッガーは、クリム君以外にありえない」

 

 そこへ、おどおどとした様子でクリムが店にやってきた。

 

「あ、あの……ゼクスさん。スタンクさんたちに、ここに来れば『天界では学べない、深い自己探求ができる』って言われて……」

 

 「よく来たな、クリム君。……ああ、服はそのままでいい。これから行うのは、君の『聖なる身体』が持つ無限の可能性を、最新の工学で解き明かす聖域のデバッグだ」

 

 開発アイテム:『ジェンダー・レス・ハイブリッド・ローター』

 

 今回のゼクスの発明品は、装着者の「その時の性別(優位な感覚)」を自動検知し、最適な刺激をリアルタイムで生成する人工知能(AI)的術式を組み込んだ逸品だ。

 

 第一術式: 聖力・魔力ハイブリッド変換回路(クリムの天使としての力を燃料に変える)。

 

 第二術式: 形状可変型アタッチメント(両方の「部位」を同時に、かつ独立して愛撫する)。

 

 デバッグ作業:聖なる「二重奏」

 

 「ひゃっ!? な、なんですか、これ……っ! 下の方が、熱くて、ムズムズして……っ!」

 

 防音魔法を施した実験室。ゼクスとリリに見守られながら(リリはメモ帳を握りしめている)、クリムがデバイスを装着する。

 

 「クリム君、落ち着いて。君の中の『男』の部分と『女』の部分、その両方が同時に、かつ互いに高め合うような波形を送っている。……どうだ、今までにない感覚だろ?」

 

 「あ……あああぁぁぁっ! どっちも……っ、どっちの私も、同時にイきそう……っ! 脳が、半分に割れて、それぞれが天国に行っちゃうみたい……っ!!」

 

 クリムの光輪(ヘイロー)が、かつてないほど激しく明滅し、七色の光を放つ。

 

 天使特有の「清廉な魔力」が、快楽という名のフィルターを通ることで、極上の「聖水」として溢れ出した。

 

 「ゼクス様! 数値が……クリム君の感度数値が、通常のサキュバスの4倍を突破しました! これ、測定不能(オーバーフロー)になりますよ!」

 

 「構わん、続けろ! クリム君、君のその『両義性』こそが、人類と天界を繋ぐミッシングリンクなんだ!」

 

 「ひぃ、ぁ……っ! ゼクスさん、もう……私、どっちがどっちだか……わからないぃぃぃっ!」

 

 レビュー:クリム君の事後報告

 

 【本日のデバッガー:クリムヴェール】

 

 評価:測定不能(天界追放レベル)

 

「……凄かったです。自分の身体の中に、あんなにたくさんの『スイッチ』があるなんて知りませんでした。終わった後、自分が男の子なのか女の子なのか、それともただの『快楽の塊』なのか分からなくなって……。でも、なんだか凄く……魂が洗われたような気がします(顔を真っ赤にしながら)」

 

 エピローグ:リリの危機感

 

 「……ゼクス様。クリム君のデータのおかげで、ついに『全自動・両性愛撫システム』が完成しましたね」

 

 リリは、幸せそうに(魂が抜けた顔で)帰っていくクリムを見送りながら、ボソリと呟いた。

 

 「ああ。これで世界中のどんな種族、どんな性癖の客が来ても対応できる。完璧だ」

 

 「……でも、クリム君。あの後から、店に来るたびに『今日もデバッグ、ありますか?』って上目遣いで聞いてくるようになりましたよ。……責任、取ってくださいね?」

 

 「……それは、エンジニアとしての『アフターサービス』が必要だな」

 

 ゼクスの道具屋は、天使という名の「究極のデバイス」を手に入れたことで、さらなる禁断の領域へと加速していくのだった。

 

 

 

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