途中も酷いんだ!こんな奴が書いた小説なんて所詮自己満足でしかないんだ!
それでも私は書き続ける……待ってくれている(はずの)人がいる限り……
いつも通り多くはあとがきにて語るとしましょう。
まだ本気を出す前の、柔らかな朝の陽射しが窓から射し込んでいる。
午前六時になろうかという時刻。まだ安眠に耽る人が多い中で、布団からむくりと体を起こす影があった。
葉月。八月の月娘である。
葉月の朝は早い。隣の部屋で文月が寝息をたてている時には、もう軽装に着替えて家の前に立っている。
美しい金髪をポニーテールにまとめ、入念に準備体操を行ってから、
「ふぅ」
一息ついて走り出す。日課の早朝ジョギングである。
いつも文月と一緒にいるので、イメージまで混同されやすいが、葉月はかなりの努力家である。
自分のスタイルには自信を持っており、それを維持するためにはこうして毎日のジョギングから食生活に至るまで、一切の妥協を許さない。ただその熱意が本職である月の管理に至らないだけである。
先日、葉月は大きな敗北を味わった。絶対の自信を持つ己のスタイルが、格下と思い込んでいた先々月担当の月娘に負けたのだ。
(何よあれ……反則よ……)
頭の中で愚痴りながら、葉月は回想する。
無論、スタイルには自信を持っているとはいっても、個々の部分では劣っている相手には出会ったことはある。
一月担当の睦月には胸の大きさで負けるし、美脚という点では二月担当の如月に軍配が上がるだろう。目鼻立ちという面では四月担当の卯月じは敵わない。
それでも葉月は『総合的に見て』自分よりスタイルのいい月娘はいないだろうと密かに思っていた。その矢先だった。
月娘の中でも屈指の長身を誇る六月担当の水無月。いつも肌の露出が限りなく少ないので、どうせ身長だけが特徴の女だろうと思っていた。だが先日、とある事情で水無月の水着姿を拝む機会があった。
するとどうだろう。モデル並みの長身に加え、睦月に勝るとも劣らない豊満でハリのある胸、しっかりくびれた腰、柔らかそうな尻、健康的で美しいラインを描く脚など、人間界であればトップモデルとして活躍間違いなしというレベルのスタイルだったのだ。
どこをどう見ても勝てる要素がない。そんな経験をした葉月だが、それに挫けることなく、むしろ水無月に追い付こうという野心さえ抱えて日々を過ごす。
もっとも、こんなことを水無月が知れば、仕事の方をちゃんとやれと言われるに決まっているのだが。
ジョギングすることと三十分。コースを回って自宅へと戻った葉月は、真っ先に浴室へと向かった。
まだ熱線が届かない早朝の時間帯に流す汗は心地よい。それをぬるめのシャワーで洗い流すのが、彼女の楽しみのひとつでもある。
一通りシャワーを浴び終えると、今度はキッチンへ。どうせ文月は昼前まで起きてこないので、さっさと自分の分の朝食を作る。
あらかじめ予約しておいた炊飯器から炊きたてのご飯をよそい、色とりどりの野菜を慣れた手つきで切っていく。同時にフライパンに油を引いて、溶いた卵を流し込む。それを焼いている間に、冷蔵庫からリンゴを取り出してカットした。
ご飯、サラダ、卵焼き、そしてデザートにリンゴ。それぞれボリュームがあり、一人の少女の朝食にしてはいささか多い気もする。
「いただきます」
葉月は合掌すると、運動で空かせた胃に朝食を送りこみ始めた。終始箸のペースは衰えることなく、あっという間に完食する。
朝昼はしっかり、間食せずに夜は抑えめ。葉月が徹底する美への意識である。最近はこれらに加え、牛乳を始めとした乳製品も積極的に摂るようにしている。もちろん、水無月に劣る身長を少しでも伸ばすため。
太陽が高くなり始めた。時間を追って気温も上昇する。
その熱気に押されるようにして、文月が布団から這い出してきた。
「ふぃー……暑いー……」
短パンにシャツ一枚という目のやり場に困る格好で、寝癖の残る髪をかき分けながら階段を降りる。この格好が水無月や葉月であれば色々と問題が起こりそうだが、貧相(本人曰くスレンダー)な体型の彼女だと完全に夏休みの男子中学生である。
リビングに向かうと、ようやく気付いたのか葉月がソファから振り返り、
「あら、いつも通りね。少しは早起きしなさい」
「うぇーい……」
「朝は適当に食べなさい。私は作らないわよ」
妹分のだらしない姿がキッチンへ消えるのを確認し、葉月はふぅ、と溜め息をついた。
文月は人に縛られるのを嫌う。好きな時に起き、眠り、食べる。それでいて一向に太る気配がない。体質的な問題と言われればそれまでだが、真逆の体質の自分とどうしても比較してしまう。
(ふと気を抜くとすぐ太るのよね……)
体調管理や食生活に厳しい葉月だが、単に太りやすい体質であり、太った自分が許せないというのもある。
もしかすると水無月のように年中黒い衣服に身を包み、滅多に外出しなければあの美貌とスタイルを手に入れられるのかと一瞬考えたが、一歩間違うと病人一直線なので諦めた。
「さて、どうしたものかしらね」
ソファでくつろぎながら、考えるのは自分が如何に美しくなれるかということだけ。
こんな調子なので、人間界では連日狂ったような猛暑に見舞われる地域が出てしまうのである。
まずはここまで読んでくださった皆様に感謝を。
さて八月です。一年八ヶ月かかってます。放り投げたような二月。そして今年から急に三月から書き始め、なんだかんだ五ヶ月連続達成。内容に目を瞑れば(そこが一番大事なのだが)自分としては上出来です。これに満足することなく精進して参ります。
今回はこの辺りでお別れです。機会があればまた次回お会いしましょう。