超かぐや姫 スーパーフォルテッシモ!! 作:あるふぁせんとーり
『『NEWS TSUKUYOMI!!』』
『みんなのために、わんわんお! ヤチヨカップの公式実況兼ニュースツクヨミのメインキャスター、忠犬オタ公で〜す!』
『アシスタントの月見ヤチヨで〜す! 今日も元気に〜、職務果たしちゃいます!』
『さ、キメ台詞を取られたところで今週もヤチヨカップ特集! 暫定4位までは公式を要チェキ! 君の推しはいるかぁ?』
4位:黒羽カカ
5位:神北林檎
6位:オ・ランダム・オメガ
7位:運銅寺睡馬
8位:マル=マリー=真珠
9位:両舷航希
10位:米斗王里
『ではではトップ3! 3位! 癒し系アイドル湯雲ぬくみ!』
第3位:湯雲ぬくみ
ぬっくん!
ゆっくりしたお喋りが癒やされる〜!
お風呂中や寝る前にどうぞ!
『2位! ハイスペエルフ、テレリリ・ティートテート!』
第2位:テレリリ・ティートテート
通称テテテ!
マルチリンガルで資格オタク!
最近ワインにハマってソムリエ資格ゲトだって!
『そして〜……下馬評通り独走状態だ! 堂々第1位、ブラックオニキス!』
第1位:ブラックオニキス(ビリヤード中)
「当然だな」
「俺、帰っていい?」
「まだまだ、応援よろしく!」
『もはやこの3人で決定か〜? ちな圏外だけどランキング爆上げ中のチームがいるんだよね』
『みんな知ってるかな〜? もちろんヤッチョは大注目! ヤチヨカップは下剋上大歓迎、番狂わせも期待しまくりメリクリなのです!』
『それじゃみんな、また来週!』
ニュースが終わったのを確認し、真実はピッとモニターの電気を消す。
リゾート仕様のラタンチェアに腰掛けた真実はその辺のクッションへポイとリモコンを投げ捨てた。
「いや〜、流石に黒鬼強いか〜」
「次なる舞台は世界一、だっけ。本当、よくやるもんだね」
「桜楽は泰然自若だねぇ。終盤でこの差って中々キツいんじゃない?」
「きーつーくーなーいー!」
言ったのは芦花なのに、一緒に入ってる私の胸をぽかぽか叩きながら浴槽で暴れるかぐや。
私はそれを宥めつつ、相変わらず無味無臭なトロピカルジュースを啜る。
本当、口を紛らわすという表現が相応しいと思う。
「でもすごいね、黒鬼。新規ファン数だから本来はかぐやみたいな新参者が有利なはずなのにそれでも1位なんだ」
「まあ黒鬼ぐらいになるとツクヨミの外からファン引っ張ってこれるからね〜」
「ぐぬぬぅ〜〜!!」
「仕方ないでしょ。それを相手にするって決めたのはかぐやなんだから」
「あっ、彩葉だ」
「おつ〜、身体はもう平気?」
「まあね」
病み上がりということで少し遅れたながらも彩葉も無事ログイン。
今日は真実の家……ではなく、ツクヨミ内の真実、つまりはグルメインフルエンサー「まみまみ」の家に集合していた。
湖面に面したリビングでは釣りができたり、はたまた露天風呂があったりと、随所に食に限らない真実のこだわりを感じさせるオーダーハウスである。
「いやまあ黒鬼は強いよ〜。だってあの帝様だもん」
ちなみに真実は帝様こと帝アキラの大ファンなのでブラックオニキス1位という途中経過にはご満悦。
その隣ではご満悦とは程遠いバスタオル1枚のかぐや姫がグルルルとチワワの威嚇のように唸っている。
「真実の裏切り者めぇ……」
「だいじょぶだいじょぶ、二推しでかぐや達も応援してるし」
「それじゃ駄目ー! かぐやだけにしてー!」
「わーっ!? 魚逃げちゃう!」
そしてひとしきり暴れ終えたかぐやはツクヨミの空をぐっと睨み、息を吸った。
「……聞いてるか帝ーー!!」
「聞いてるわけないでしょ」
「帝出てこい!! なんなら黒鬼全員出てこい!! かぐや達と勝負しろーー!!」
「あ、それいいんじゃない? かぐや対帝でゲーム対決、世紀の竹取神戦と洒落込んじゃうってのは?」
「……!! それだー!!」
ああ、無茶を言ってる。
私と彩葉のため息が自然とシンクロした。
「マジでなし。相手はプロゲーマー、こっちはエンタメ配信者、格が違いすぎるって」
「なーんーでー!! かぐや対決するもん!」
「何としてもダメ! ダメったらダメ! ダメダメ!」
「桜楽ぁ……」
「ん〜、RANSEだったら多分勝てるんだけどなぁ」
「芦花ー、あれ桜楽以外にやってるの見たことあるー?」
「なーい」
「うぅ……かぐや勝ちたいけど、彩葉に迷惑はかけられないし……また倒れちゃったら大変だし……、……あ、でもでも、もしかしたら、KASSENはゲームだし、息抜きに、なるかも……?」
「……フンッ」
珍しく交渉が決裂した。
鼻息荒くソファに背中から倒れ込む彩葉にかぐやは「ヤチヨカップ終わっちゃうよ!? かぐやのお迎えだって来ちゃうかもよ!?」と縋り付く。
「でも一向に来ないじゃん。来るなら早く〜、このわがままかぐや姫を月に帰してやってくれ〜!」
「あー、イジワル! イジワル彩葉だ!」
「まあまあ、2人とも落ち着いて」
私もかぐやを追って浴槽から上がり、彩葉の隣に腰掛ける。
「桜楽! 桜楽はハッピーエンド好きだよね!?」
「そりゃもちろん。ちょっとくらい無理したってハッピーエンドが見たいよ、私は」
「だよねだよね! ハッピーエンド! あそ〜れハッピーエンド! ハッピーエンド! あそ〜れハッピーエンド!」
バスタオル1枚のままハッピーエンド盆踊りで縁側を練り歩くかぐや。
その振動で真実お目当ての魚達は蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
そして私と芦花がハッピーエンド盆踊りに合わせて手拍子をしていた、まさにその時──
ドシュゥゥゥゥゥンッッッ
まるで隕石のように、一軸のお手紙が飛来した。
くるくると開いていくかぐやの手元を覗き込むと、差出人は──「Black onyX 帝アキラ」。
「ヒャ」
「ひゅ〜」
「ひょ?」
はじめましてかぐやちゃん!
俺はブラックオニキスの帝アキラ
ファン数100万おめでとう!
ここからは提案なんだけど…
KASSENで
帝VSかぐやの竹取合戦
ってのはどう?
かぐやちゃんが負けたら。…z
やっぱ俺と結婚、かな?
こっちが負けたら、なんでもお願い聞くよ
俺らでツクヨミ盛り上げようぜ!
わ、間違いないやつだ。
二、三度目をこすっても一向に文面は変わらない。
「やっぱり、かぐやは持ってるね」
「ウソ、ウソでしょ……」
「わーい! 次のっ! 相手はっ! 黒鬼だーーっ!!」
「えっ帝様が!?」
「真実竿!竿めっちゃしなってる!」
空気の抜けた風船のようにしょぼしょぼと倒れ込む彩葉と、対称的にますますエネルギッシュに大喜びするかぐや。
「……はぁ……、はぁ〜〜…………」
「どうしたの、彩葉」
「桜楽……あんたKASSENって出来るっけ」
「……メンテと、トレモなら」
「……やるしか、ないかぁ……」
この場どころかツクヨミにすら似つかわしくないくらい、彩葉は大きくて深い溜息を吐いた。
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