超かぐや姫 スーパーフォルテッシモ!! 作:あるふぁせんとーり
「それじゃ、引き継ぎ頑張るんだぞ。じゃあな、桜楽」
「うん、パパも身体壊さないようにね」
三者面談3日目。
初日で芦花が終わり、2日目で彩葉が終わり、そして今日で最後の桜楽が終わって、彼女は駅までお父さんを送りに来ていた。
歯を見せて爽やかに笑いながら去っていく彼をスマホの中から見送りながら、私は桜楽にお使いの内容をリマインドする。
「大丈夫、ちゃんと覚えてるよ」と口を小さく開けて彼女は笑った。
笑い方はあんまり似てないけど、すぐ分かるくらいにはお父さんは桜楽に似ていて……あ、桜楽がお父さん似ってことなんだろうけど、とにかく、一発で親子だって分かるくらいには白い肌だったり、青い目だったりの共通点はすぐに見つけられた。
まあ、髪の色は金髪と銀髪で全然違ったけど。
「そういえば桜楽の銀髪って染めてるの? それとも生まれつき?」
「あー、これ? なんか若白髪?みたいな。ちゃんと小学校の頃は黒かったんだけど……なんかこうなっちゃった。ママの方もパパの方も白髪少ないのにな〜」
「へ〜……もしかして、桜楽のお父さんって外国の人だったりする? 桜楽もそうだけど、なんか日本人離れしてるし……あ、これ別にディスとか差別的発言とか全然そういうのじゃないんだけどね???」
「分かってるから、とりあえず焦りすぎだよヤチヨ。っていうか言ってなかったっけ? 私クオーターなんだ。おじいちゃんが日本に帰化してて……確かイギリスか……アメリカか、オーストラリアか……どっかだったと思う」
「何それ、ガバ記憶すぎるよ〜」
「仕方ないじゃん、私もあんま聞いたことないんだし。ほら、芦花からのお使い終わらせてパッと帰ろ」
「つかまつり〜☆」
そうして私はぱぱっとAIパワーを駆使してイオンに行くルートの中でなるべく街灯の多い、比較的安全であろうものを紹介し、ついでに近くのタクシーも案内する。
少々過保護に見えるかもしれないけど、これも致し方ない不可抗力なのだ。
なんて言ったって彩葉と桜楽……もとい、いろPとさくDは今やヤチヨ配信の正式メンバー、ツクヨミユーザーの殆どが知る超有名人だし、もうちょいちゃんと見てる層まで行けば目下急上昇中のROKAの知名度もかなり高い。
となると身バレを避けるため、ヤチヨが奔走せざるを得ないのです。
だから、人目につかないかつ安全な場所へ誘導する必要があったんですね。
「お姉さん、もしかして1人? 暇ならウチと遊ばない?」
ほらこういうやつ来ちゃうから!!
こいつBAN!!
絶対BAN!!
一ヶ月出禁!!
「ごめんなさい、これから私、夕飯の買い出しなので」
「そっか〜、残念」
「はい、失礼します。……ヤチヨ、なんでそんなにキレてるの?」
「まっさか〜、寛大な電子の海の歌姫月見ヤチヨがブチギレるわけないでしょ〜?」
「……そっか」
▽
それから1年、3人の高校3年生としての時間はあっという間に流れていった。
芦花が悲願の学年一桁入りを果たした一学期期末試験、真実の彼氏に頼まれてサプライズのために大立ち回りをした真実の誕生日、久々に3人のためにヤッチョも本気出したクリスマス、芦花がミス武蔵川になったりいろさくの生演奏が飛び出したりとめちゃくちゃ濃かった文化祭、わざわざハロウィンの時期に時間差で送られてきたかぐやのレシピ、桜楽が明らかに桜楽側が悪い理由で痴話喧嘩に巻き込まれた受験直前のバレンタインと、「真のエリートは遊びも疎かにしない」、そんな彩葉のお母さんの言葉を忠実に守り、面白おかしく受験勉強を乗り越えた彼女達は──
「ふっ、当然」
「ふふっ、よかったぁ〜」
「う、嘘じゃないよね……!?」
「3人とも、合格おめでと〜〜!!!!」
彩葉も桜楽も芦花も、見事第一志望の東大に合格。
3年間努力を欠かさなかった2人も、怒涛の追い上げを見せた芦花も、みんな見事という他ない。
これじゃあ「万が一落ちたら結果改竄してやろ〜」とか考えてたヤチヨだけがものすっごく恥ずかしくなってしまう。
ヨヨヨ〜、人間年取るとどうしても心配性になっちゃうものなのです〜
「わたし、わたし絶対インカレとか入って遊び行くからぁ〜〜!!」
「インカレはやめて、普通に遊びに来て」
そして合格発表から間髪入れずに卒業式の日が訪れた。
校門前で4人で1人足らずのスペシャルファイティングポーズをやっていたため、ヤチヨもカメラの方に入り込んでありがたく青いハリケーンポジションを確保しての記念撮影。
そんな高校生活のラストショットを胸に彼女達は大学へと進学し……数カ月後に迫った最終決戦に臨もうとしていた。
──なになに、結末がどうなるかって?
それを言っちゃつまらないけど……でも大丈夫。
みんなが思ってる、最高のゴールはすぐそこまで来てるよ。
今回は歌姫も参戦ということで、ヤッチョもそろそろ準備しないと。
それじゃみんな、さらば〜い☆