ちょっと死に方、こだわってみたんですけど、やっぱり主人公虐めるの楽しくなってる自分がいて、不思議な気分ですね。
最初は、ちょっと早く終わらせたい感じだったので、変な感じになりましたけど、アビドス編は不思議と腕が鳴るので、頑張りたいです。
作られる。
崩壊し、体の外へとばら撒かれた臓器が、新たに作られた器へと流れ込む。
活動停止した心の臓の音が、鼓動が自身の体の在りどころを示し、最後には動力となる『魂』の輪郭を帯びた球体が、体に入り込んで、
「……ぁ。」
最悪の目覚めを迎えた。あまりにも呆気なく、紙屑が風に流されて、宙へと舞うあの光景を、自身の命を使って再現する事になった。
死因は、不明。突然の死に発狂を選び、硝子細工に崩壊した心の破片を、無理矢理にでも押し固め、肩に爪を突き立てる。
ジクジクと広がる痛みが、自身の脳に冷静さを与え、前に比べ、死へ順応しつつある心の変化には触れず、ベット横へと設置されたタブレット端末を起動する。
『理解。32回目の帰還、労い申し上げます。』
「…ただいまって言いたいけど、今の状況だと不謹慎にしか聞こえないから、一応はありがとうだけ伝えておくわ。」
淡々と、されど、悲痛の表情を言葉に乗せる相棒『シロナ』は、今目の前に、壊れかけた少年の目で全ての惨状を汲み取り、少年へと労いの言葉を贈る。
酸素を体に取り込み、全身の力を抜き、現状の確認を行うシュウ。
前回の周回で得た、敵の情報。まずは第一に、カイザーPMCが手を回し、シュウへと銃撃の嵐を浴びせ続けたヘルメットが特徴な軍団、名を改め『ヘルメット団』と名付け、第一の障害とカウントする。
武装は殆どが、機関銃を所持し、弾の温存という戦闘の括りにおいて、常識的な考えに囚われず、理性を失った獣の様に機関銃を撃ち続けるヘルメット団。
攻略の糸口を手繰り寄せるのなら、前回とは違い、車を捨て自身の足のみで、アビドス砂丘を渡る算段を脳裏に浮かべるが、シロナの不可能の三文字に、知識皆無の少年は黙って、シロナに従う。
「…ヘルメット団は、なんとか出来るが、どうやってもアレを回避するのは無理じゃないか?」
『肯定。状況を考えるに、アビドス側からの銃撃に巻き込まれた可能性が最も高いと思われます。』
「じゃあ、俺ってただの威嚇射撃で死んだの、か。」
この世界では牽制程度の銃撃など、ササキ・シュウの命を終わらせるのに、十分過ぎる機能を発揮する。
呆気ない、呆気ない。
死に慣れた、と豪語する馬鹿げた真似は無いが、あまりにも呆気なく自身の命が絶たれる虚無感には、慣れる事は困難。
「…いや、今は浸ってる場合じゃ無い。」
やる事は明確なのだ、止まる理由は無い。
ベットから飛び起き、病人らしからぬ乱暴な身振りで病服を脱ぎ捨て、慣れ親しんだ学校指定のジャージへと身を包む。
「……銃は、持ってても意味無いか。」
情報を掻き集め、必要最低限の準備で最短でアビドスへと向かう計画を練る。
第一に装備品の確保は、タクティカルアックスのみで切り抜ける。銃など撃たなければ、ただの鉄屑の塊。
持っているだけで重りになるのなら、そんな飾りなど投げ捨ててしまえば良い、一分一秒も無駄に出来る状況では無い。
最後に、移動手段の車も捨てる。言ってしまえばカイザーPMCはキヴォトス全土に企業展開を行う大手企業。
更には、企業分野で多岐に渡る手を伸ばすカイザーPMCには、様々な方法で、自身の居場所を特定する事など容易い。
例えば、キヴォトス全土の利用履歴や購入履歴から、シュウの事を特定し、GPSなどで追跡する事も、
「結局、頼れるのは自分の足だけか。」
二週間前のあの日に、闇雲に歩き始めた頼りない自身の足が、今は最も信頼出来るものになるとは、皮肉なものだと思う。
「色々と整えたけど、やっぱり分かんないのはリンの表情、だよな。」
あの時に見せた、何かに怯え、逃げる様に病室を飛び出したリンの悲痛の表情が、どうしても頭から離れず、自然と眉間に皺を寄せる。
考える説は、連邦生徒会の内部状況であり、空崎ヒナが提示した連邦生徒会内部にカイザーPMCと繋がる『何者』かが、裏で暗躍している可能性もゼロでは無い。
____汝、隣人を愛せ。
何処か、そんな言葉が脳裏に焼き付くが、隣人が裏切り者と考えれば、到底愛する事など、不可能。
現状を加味すれば、連邦生徒会にすら疑いの目を掛ける現状を、容認する事はシュウ自身は望んでいなければ、戦う事すら望んでいない。
『…シュウ様。少し、肩の力を抜かれになった方が宜しいかと。』
「あ、あぁ。ごめんな、ちょっと色々と考え過ぎた。…おし、じゃあさっさと行動開始と行こうか。」
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夜の砂漠は、凍える寒さに包まれ、車外から出る事すらままならない気温だったが、日中の砂漠は照り付ける太陽と、肌が焼ける様な暑さに見舞われ、乱暴に額の汗を拭う。
ただ、何も無い地平線の彼方すら砂で埋め尽くされた砂漠で、自身の息遣いと自転車のチェーンが回る音以外は、この無機質な空間には存在せず、不思議とこの世界には、自分以外は存在しないと馬鹿げた考えが浮かぶ。
「…っが。」
何度も、何度も何度もこまめな水分補給を心掛け、体の負担を軽減しようと、ありとあらゆる手で、砂漠を自転車で越えようと策略したが、結局は無駄な足掻きと『数回』の⬛︎で何度も、身に染みた。
どれ程、⬛︎体の山を積み続けようと、得られる物は、記憶と激痛のみ、⬛︎に続ければ、幾度も無く積まれた力が目覚めるなど、主人公補正は皆無。
否、主人公などでは無い。自身は、既に存在する『希望』に纏わり付く『絶望』。
用意された物語の舞台に、突如として現れ、道化の如く『先生』が描く筈だった物語のレールに登り、あまつさえ十代の幼稚な子供の戯言を並べる少年には、真に⬛︎を望む『少女』の心を救い上げる事は不可能。
そもそも、既に⬛︎にたがりな少年が、誰かを救いたいと、ほざく事すら、他でも無い神でも、運命でも無く、ササキ・シュウ自身が許さない。
シロナのサポートは、豪語するが完璧に近い、水飛沫の様に無数に襲い掛かる銃撃の嵐を、的確な指示と未来予知にも近い、予測を叩き出し、俺を確かに⬛︎地から救おうと、懸命に努力している。
____しかし、当の本人はどうだ?銃撃の嵐を前にすれば、自然と体が⬛︎を選択する。違う、選択するんでは無い。無自覚に⬛︎を望む俺の弱い部分が、シロナを悲しませる。
シロナが、あの時、死なないでと叫んだ男が、⬛︎⬛︎⬛︎・⬛︎⬛︎⬛︎ならば、今、この場に立って足が、筋肉痛で悲鳴を上げ今にでも、砂漠のど真ん中で大の字に倒れ伏そうとしてる健気な少年は誰だ。
____⬛︎⬛︎⬛︎・⬛︎⬛︎⬛︎。お前は結局、一回だけ⬛︎地を切り抜けれただけで、単に悦に浸って、自分が『特別』なんだと思い込んでただけだろ。
「なら、どうすれば、良いんだよ。」
____知るかよ、馬鹿。
不快で、今すぐにでも殺したいぐらいの声と共に、自身の体は自転車と共に、宙へと投げ出される。
危機的状況でも、首にぶら下げていた『頼れる相棒』が、防御壁を展開し、シュウに怪我一つなく着地を成し遂げるが、今の⬛︎⬛︎⬛︎には、頼れる相棒は首には、いない。
「ぁぎゃ!?…ぁががが!」
着地の概念など、根底には存在しない。柔らかい筈の砂の上など、運動エネルギーの前では意味を成さず、両足を砂の上に踏み締めたその刹那、両膝から先が完全に、使い物に無くなる。
筋繊維の一つ一つが、膝から顔を出し、着地の勢いを一身に受けた両足は、激痛に身を捩る動作の一つ一つで、ぶちぶちと、千切れる音が響き渡る。
耐え切れず、膝から飛び出た白い、自身のカルシウムの塊。骨には、筋繊維の節々が連結し、あまりにもショッキングな光景に、激痛はとうに消え去り、喉から迫り上がった酸っぱい胃液と、尿で砂漠を汚す。
足が駄目となり、更には股関節が外れた様に、両足は酷く脱力し、力の抜けた股からは、耐え切れず失禁する自身の醜い姿。
故に、世界は少年を終わりに誘う。
殆ど、目前と迫ったアビドス高等学校。その正門に当たる場所から、火薬特有の、火の光の一点が⬛︎⬛︎⬛︎の瞳を捉える。
絶え間無く浴びせられる銃撃の嵐。幸か不幸か、姿勢を低く保っていたシュウは、奇跡的に一度も被弾する事なく銃撃の嵐を耐え抜き、安堵と激痛の解放から⬛︎を望む、二つの巨大な思考が渦を巻き、自然と涙が頬をなぞり、
「………ぶ。」
背後から爆風が巻き起こり、激しい爆炎と黒煙が立ち登る中で、綺麗に弧を描く車だった、鋼鉄の塊が、シュウの下半身を押し潰す。
痛いなんてレベルを越えた、肉が押し潰され、腿の筋肉が上から押し潰され、べちゃべちやと不快な音を立て続け、存在していた自身の下が無くなる、最悪な感覚。
即死ならば、どれ程良かったのだろうか、不覚にも即死を迎えられず、鉄の塊が、今度は、自身の上と下を繋ぐ部分を押し切ろうとする。
____まって、まてまてまてまてまてまて。
混濁する意識の中で、必死に鉄の塊に両手を伸ばし、塊を退かそうと抗う体、タイムリットの如く、視界に残る鉄の塊からは、自身の血と肉と、尿が溢れ出す。
段々と、ゆっくり鉄の塊は下半身を押し潰していく、痛みは、もう無い。代わりに、千切れそうな上半身と下半身の繋ぎ目は、文字通り皮一枚で繋がり、切れ目にはピンク色のホルモンが着実に頭を出す。
「……いや……だ、」
嘆きは、無かった事になる。
最後の砦は終わり、何かが離れる感覚と同時に、全ては『ゼロ』へと変える。
幾ら、朽ちても、世界は少年の嘆きを聞き入れる事など毛頭無いのだから。
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幾たび、幾たび、朽ちれば報われるのか。
「…初めまして。私は、ゲマとリア所属の黒服と申します。以後、お見知り置きを。」
自暴自棄に、救えるものなど無い無気力に、病室のベットへと死んだ様に過ごす⬛︎⬛︎⬛︎・⬛︎⬛︎⬛︎。
気づけば、電子版に刻まれた時は、キヴォトス攻防から既に一年以上も経過していたが、それ以上に、
「…こうやって、布団から顔を出すなんて、いつぶりかな。」
筋肉質で、高校生らしく元気溌剌な肉体は、既に無く点滴一つで栄養を補う目の前の『生きる屍』は、目の前の黒服と名乗る男の手で簡単にも握り潰せる程に、やつれ、細々しくなった少年の体。
褐色で、焼けた肌は、一年以上日から断絶した生活を送れば、死体の様に白く染まり、かつて、希望を背負うと決めた闘志を宿した瞳は存在しない。
「本当に、無様に生きながらえていたのですね。ククク、観測者。…記録し、その瞳に全てを見据える貴方は、一体この一年をどう過ごしましたか?」
「…しら、ないよ。俺は、なんも見てないんだから。」
「その様ですね、世界から断絶する道を選んだ貴方には、もう既に終わった事ですが。」
黒服は、ベットの横に置かれた椅子を移動させ、自身のすぐ横へと座り込む。
異形な姿、人間とは程遠い不気味な顔面に、黒服と名乗る通り、全身を黒いスーツで身を包み、歪に笑う口が、自身の選択全てを嘲笑うかの様に思える。
けれど、そもそも喋る生物を見たのは、一年ぶりだ、喋るのも一年ぶりだ、口はちゃんと動くだろうか。
「…どうして、お前は先生を、攫った。」
「まず、そこからですか。…そうですね、私は探究を生き甲斐にこの全てを生きます。その一環に先生の存在があり、先生という存在に強い探究と興味を持ったから、でしょうか。」
「……きょう、み?」
「えぇ。けれど、結果は散々でした。」
淡々と先生の所在の全てを語る、目の前の男。この男は、本当に全てを実験材料としか見ておらず、異形の顔に、不気味に笑う顔が、嘲笑と久方ぶりの恐怖を⬛︎⬛︎⬛︎へと刻み込む。
「望んだものならば、貴方へと様々な試練を与えようと考えたのですが。先に、貴方よりも先に、世界に限界が来てしまいました。」
「…世界に、限界。なに、言ってんだよ。」
意味が分からない。この男は、何故自身の心一つで先生を、世界を変えれると、そんな神紛いな事を、無責任に語るのだ。
世界は、世界だ。一つしか無い自分達が生きるたった一つの世界で、それを自由に書き換え、『用済み』とみなせば、『次』へと託すなど、そんな、そんな事が出来る奴なんて、
「もしも、貴方に『次』を迎える強さがあるのなら、持てる全てで足掻き続けて下さい。私の、探究を…退屈を埋めるのはシュウさん。貴方の歩みだけです。」
黒服は、そう言い残し、病室から去っていく。
どうすれば、良いのか。自問自答を何度も、刃物の様に自身の心を差し続けていく、答えを、教えて欲しい。
投げ掛けを答えてくれる頼れる相棒の姿は、今この場に居ない。居るのは、ただ無気力に生き続け、自暴自棄に逃げ出した愚者⬛︎⬛︎⬛︎・⬛︎⬛︎⬛︎。
筋力なんて消え、脂肪も無い、細い体で強く拳を握る少年に、去っていく男は、最後に言葉を贈る。
「あぁ、それと最後に。…次を迎える強さと私は言いましたが、」
「…貴方がその場で停滞を、アビドス高等学校を捨てる選択を選ぶのなら、私は貴方の周り全てを壊します。無論、貴方自身も。」
病室の扉の向こうから、そう声が聞こえ、何かの線を抜く様な、ピンっという音が不自然にも、明かりの灯らない病室へと響き渡り、謎の暗い緑の球体が病室を転がる。
「……次も、お会いしましょう。観測者。」
全てを包み込む、眩い光は、肌を焼きただらせ、痛みを感じる間も無く、⬛︎⬛︎⬛︎・⬛︎⬛︎⬛︎という存在を、跡形も無く消し飛ばした。
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____⬛︎にたがりが、⬛︎にたがりに贈る言葉はなんだろうな?
黒服に、数十回は殺された、同じ死に方で。
アビドス高等学校以外を救う選択肢を選べば、対策のしようが無く、その日で⬛︎⬛︎⬛︎は命を落とす。
逆も然り、諦め、停滞を選ぶのなら、黒服自身が自ら⬛︎に体の少年の命を終わらせる。
逃げる事も、投げ出す事も、許してくれない。
「…初めまでしてですね✴︎、私の名前は十六夜ノノミと申します。以後、お見知り置きを。」
「あぁ、初めましてだな。ノノミ。」
幾たびの死を迎え、通算二度目となるアビドス高等学校への到着。
いつからか、相棒を首にぶら下げず、重ね続けた経験と⬛︎体の山を踏み台に、アビドスへと単独で辿り着ける様になった自身の変化は、着実に⬛︎⬛︎⬛︎の人間性を削っていく。
貼り付けた仮面の裏で、必死に心を取り繕う少年は、再び、交渉のテーブルへと座り込んだ。
____何も救えない奴なのに。