病弱な白洲の姉   作:脱力戦士セシタマン

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 アズサ went to the トリニティ。

 想像より伸びてて怖いって。まあそういう事なので頑張って連日投稿しちゃうぞ☆




ステージ2

 

 

 

前話から数週間後………………

 

 

 

「姉上、暫くはお別れだ」

 

 私達はカタコンベの前にいた。

 昨日聞いたが、アズサはトリニティにスパイとして潜入するようだ。それはトリニティのパテル派トップ『聖園ミカ』がどうにか転校させるらしい。

 

「アズサ、よかったね。今よりはいい環境で過ごせるよ」

「いや……それより私は姉上の事が心配だ」

 

 私は病弱でポンコツだからなんだろう。私は弱い。誰かに守られていなければ危ういように見えるんだろう。でも私はアズサが一人で頑張らなければいけなくなったのなら、私も一人で頑張らなくちゃいけない。誇れる姉ではないかもしれないけれど。

 

「私は大丈夫。何とかしてみせる」

「……そうか、そうならいいんだが…………」

 

 そういうアズサの顔はちょっとシュンとしていた。アズサは私と離れ離れになるのが寂しいのかも。私とアズサが長期的に離れる事はなかったから不安もあるだろう。

 

「寂しい?……」

「!……いや、大丈夫だ」

「顔に出てるよ。うーん…………そうだ、これをあげよう」

 

 そう言って私は灰色の耳につける羽飾りを渡す。

 

「これは?……」

「本当はアズサの誕生日に渡したかった物。なんか体の一部送るとかメンヘラ感すごい気がするけど……私は羽根だけでもアズサの傍にいるから」

「……ありがとう…………!」

 

 アズサは凄く嬉しそうにしていたから、励ますぶんには良かったのかな?……私が誕生日で渡せるのはこれぐらいなものだ。強いて言うなら、この羽飾りは私の呪われた力を持ち主に与えられる。持っているだけで銃弾の威力が上がっていたから、そう言う呪物なのかも。まあ、代償は多分私の健康なんだろうけど、私が傷付いてアズサの為になれるなら何でもよかった。

 

「……それじゃあ私の羽根も渡す」

「?……」

「姉上が寂しくないようにだ」

 

 そう言ってアズサは純白の羽根を一本取って私に渡してくれた。

 

「ふふっ……ありがとう」

 

 私は思わず笑みがこぼれてしまった。意外と大切な人から貰えた物は何であれ嬉しいのかもしれない。私はその純白の羽根を大切に胸ポケットに仕舞った。

 

「それじゃあ、行ってくる」

「向こうでも頑張ってね」

「あぁ。姉上も無事でいてくれ」

 

 そう言ってアズサはトリニティへ向け行ってしまった。

 

「………………」

「戻るぞ。そろそろカタコンベのルートが変わる」

 

 私はカタコンベの見張り担当の子にそう言われて、踵を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 家に着くと、私はこれだけでも疲れたのかベッドにうつ伏せで倒れ込んでしまった。

 

「………………」

 

 家には私一人だ。当たり前だ。アズサがいなくなったんだから。けれど、それがどうしようもなく悲しかった。

 あの時はよく分かってなかったけど、これが寂しいって感じなのか。私はそれがどうしようもなく嫌だ。でもアズサも一人になったのだから私は耐えないといけないんだ。

 

 能力で負けてしまうなら、せめて精神性だけはアズサより強く有りたかった。

 

「ゴホッゴホッ!ゴホッゴホッ!げはっ…………」

 

 私はまた咳込んで血を吐く。喘鳴で呼吸はゼヒュゼヒュと鳴り続け、胸がずっと苦しい。寂しいからと言うのもあるんだろうけど、私の肺はなにかに蝕まれて体を鈍らせているのだろう。誰か……この苦しみを何とかして欲しかった。

 だからといってこれが解決するわけじゃないんだけれど……でも、私が兎に角どうしようもなく苦しい事だけは確かだった。

 

「糧食……取りに行かないと…………」

 

 そう呟かないと私は動く気にすらなれなかった。けれど無理矢理立ち上がって外に出た。

 私は前よりまた重くなったように感じる体を起こして、立ち上がった。私は見た目が変わっていない、太っていないんだ。何なら一昨日サオリに担がれた時は軽くなったんじゃないかと言われた位だ。でも、私にとっては重い。これは筋力が弱ってるからなのかもしれない。

 そんなどうでも良い事を考えながら糧食が配られる場所へ来た。列に並んで待って、糧食を配る係から糧食を受け取る。

 

「お前は……やっとアズサ頼りじゃなくなったんだね」

「まあね」

 

 …………やっぱり周りからはアズサに頼ってばかりの人に見えていたみたいだ。

 

「ほら、お前の分の糧食だ」

「ありがとう」

 

 糧食を持った時はなんだか重たくて、一瞬落とすかと思ったぐらいだ。やっぱり筋力は落ちてる。けどそれ以上に心の方が弱っているような気がした。

 

「……お前本当に一人で大丈夫か?マジでいつも顔色悪いんだけど」

「大丈夫。大丈夫だから」

 

 そう私は言い聞かせるように言う。まだ大丈夫。大丈夫なんだ。大丈夫じゃなきゃいけないんだ。そう思っていなければ今頃倒れている。

 

「ならいいけど……倒れたりするなよ?アリウスが陽の目を浴びるのも近いからな」

「そっか……」

 

 私にはアリウスが陽の目を浴びるとか、凄くどうでも良かった。私が大事なのはアズサだけだ。それ以外は全部滅んだって良かった。

 私は糧食を受け取ったらとっとと帰って私はまたベッドにうつ伏せで倒れた。

 

「食べないと…………」

 

 でも私はもう食べる気にはならなかった。食べないとサオリに怒られる。食べないから動けないんだって怒られてしまう。けど…………食べたくなかった。

 

 ズズッ……

 

 私は椅子を引きずって動かし、机に食器を置いてその上に糧食を乗せる。食べてみる。でも、とても味気なかった。不味いんじゃない。美味しくも不味くもない、辛うじてしょっぱいことは分かるけど、それ以外は特に感じなかった。

 アズサといた時は楽しかった食事も、今は何も感じない。ただ今は何かを噛んで飲み込んでいるだけ。そう言う作業、必要なものでしかない。

 

「ゴホッ!ゴホッ!……おえっ……」

 

 私は咳と共に食べたものを食器に吐き出してしまう。いるんな物が混ざった赤い色で汚い。気持ち悪い。まだいつも吐き出している血の方がまだ綺麗に見える。でもこれは私が吐き出したものなんだ。

 

「はぁ……はぁ……ゴホッ!ゴホッ!」

 

 あぁ……苦しい。苦しい。辛い。こんなに生きるのが苦しいのなら、生きていたくなんかなかった。アズサがいる。アズサを守らなきゃいけない。でも…………やっぱり苦しい。

 全ては虚しい。けれど、虚しくても変えられない物はある筈だ。私のアズサは何より大切な妹で、妹を守る為に今まで頑張れたんだ。だから…………生きなくちゃいけないんだ………………

 

「ゴホッ!………………」

 

 私は食べ物の代わりに苦しみを飲み込んで、私の吐き出したものを片付ける。何もしたくない。でも、生きなくちゃいけないんだ。やらなきゃいけないんだ。

 

 私は吐き出したものをゴミ袋に二重にした物に入れて捨てた。シャワーでも浴びようかと思ったけど、そんな気力も沸かなくて、髪を解くだけに留まった。

 

 私は再びベッドに倒れ込んだ。今度は仰向けで倒れ込む。天井は私の羽根みたいに汚れていた。それ以上は何も感じなかった。私が感じているのは全身の苦しみと家にアズサが居ない寂しさだけだった。

 

 生きていたい筈だ。生きなければいけない筈だ。でもこれからこの苦しみが続くのなら…………私は……

 

「生きていたくないよ…………」

 

 そう呟いてから、眠ってしまったのだろう。気づけばよく分からない場所にいた。廃墟だけど、見覚えはない。

 

「君は…………何者だい?」

 

 そう言う狐耳の少女がいた。

 

「私は……白洲アズサの姉だよ」

 

 私は簡潔にそう答える。私はアズサの姉、そう思われているだけでいい。

 

「成る程……名前はないのかい?」

「名前は……名前は………………」

 

 私は肝心の名前は思い出せなかった。そう言えば、私は名前を思い出せなくなっていたんだ。でも私に名前がなくたっていい。アズサを守る姉。それだけでいい。

 

「……分からない」

「分からない????」

「うん。分からない。分からなくていいんだ。私に大切な物を守れれれば、それで」

「でも呼ぶときに不便じゃないのかい?……まあ呼び名くらいはあった方がいいだろう」

「確かに」

 

 そう言えばここでは私は幾文かは苦しくなかった。少なくとも咳が出ない位には楽だ。

 

「それじゃあ君は……そうだね、アズサの姉だから──────」

 

 狐耳の少女がそう言いかけた時、私の体から赤い怨霊と言うか、オーラと言うか、そう言う類のものが溢れ出す。そしてそれは私の呪われた力なのだと、直感的に理解させられた。そうだという根拠も何もない。けれど、それは否定できない事実だと思った。

 

「!?!?」

「っ!……ゴホッゴホッ!…………」

 

 私は呪いに包まれると苦しくなった。咳が止まらなくなって、体が痛くて、息苦しくて…………でも私は倒れたくなかった。倒れたら駄目な気がして、私は足に力を入れ気合で立つ。

 

「これは一体!……」

「……ゴホッゴホッ……貴方の……」

「?……」

「貴方の……ゴホッ……名前は?……」

 

 そして私は狐耳の少女の名前が聞きたかった。私は答えられなかったのに随分わがままだと思えたけど、この出会いはきっと何かある筈だ。そう思って私は質問した。

 

「私は……百合園セイアだ」

「ありが…………ゴホッゴホッ!かはっ!……」

 

 血を吐くと思った時に目が覚め、割れた窓から差し込む朝日が私を照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アズサちゃん、何を書いているんですか?」

 

 私が補修授業の休み時間に姉上の為の手紙を書いていると、新たに私の仲間となった補修授業部、その一人のヒフミがそう聞いてきた。

 

「姉上へ向けた手紙だ」

「姉上?……」

「あら?アズサちゃんにはお姉ちゃんがいたんですね♡」

「あぁ」

「アズサって妹だったの!?」

 

 どこからともなくハナコとコハルも現れ、補修授業部のメンバーが全員集まった。

 

「そうだ」

「今時文通なんて珍しいですね〜」

「姉上とはこういう連絡方法が一番いい」

 

 アリウス生基本的にスマホが繋がらない。だからモモトークも使えるのはかなり限定的だ。本当は電話したりしたかったけれど、やむなく手紙となった訳だ。

 勿論中身を見られない対策はばっちりしてある。

 

「そのお姉さんと言うのはどんな方なんですか?」

「姉上は…………病弱なんだ。喘息で苦しそうにしてるけど、それに負けないで頑張ってる自慢の姉上なんだ」

「あら、健気で良いですね♡」

「そのお姉ちゃんはトリニティにいるの?」

「いや、私が転校する前にいた学校にいる」

 

 姉上はアリウスに残ったままだが無事だろうか……いや、あぁ見えて姉上は色んな意味で強い人だ。きっと大丈夫。

 

「じゃあその灰色の羽飾りは……」

「あぁ。姉上から私が転校する時にお祝いで貰った大切な羽飾りだ」

 

 ハナコが鋭い質問をかけてきた。私は姉上から貰った羽飾りを撫でながらそう答える。

 

「因みにこれは姉上の羽根で出来ている」

「「おぉ!」」

「それは……やはり…………」

「?」

 

 ハナコは何か呟いていたが、聞き取れなかった。何かバレてしまったのだろうか?…………

 

「そのお姉ちゃんと会ってみたいなぁ……」

「それは……どうなのだろう?姉上がトリニティまで来れないかもしれない」

 

 私の姉上はアリウスにいるとはいえトリニティまで攻める作戦に参加できるかどうかは分からない。あの様子で悪化していたら参加なんてさせて貰えなさそうだが………………

 

キーンコーンカーンコーン♪

「……時間か」

「待って教科書は……あった!」

「あら、それは教科書ではありませんよ〜♡」

「なっ!!!!これは……その、違うの!!!!」

 

 私はコハルの叫びを聞きながら、手紙をしまい教科書とノートを取り出した。

 






愛用品 灰色の羽飾り

 アズサがとても大切にしている灰色の羽飾り。これは姉が自らの羽根と血液を用いて生み出した呪物。しかしこの羽飾りは持ち主を(のろ)うのではなく、(まじな)う物だ。
 それは妹を想う心から来る力なのだろう。


…………………………………………………………

 アズサってこれでいいんですか!?教えてアズサマスター!
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