魔法科高校の劣等生 ~隻腕の魔法使い~   作:なべを

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第二話

翌日。

 

朝、登校すると俺は指定されたクラス1-Eに向かい、指定された席に着く。

たしか学生証を指して、コンソールを起動するんだよな。大丈夫、予習はちゃんとしてある。

コンソールを立ち上げ、校則やこれからのカリキュラムについての資料を読んでいると、俺の席の前にいる男子生徒達の会話が聞こえてきた。

その言葉を耳に入れながら右腕でコンソールを叩いていく。

 

「いや、この時代にタイピングなんて珍しくてな。わりぃ」

「構わないさ。慣れればこっちの方が速いんだがな」

「そういうものか。俺は西城 レオンハルト<さいじょう れおんはると>。レオって呼んでくれ。将来は機動隊や山岳警備隊を希望してんだ」

「俺は()() ()()()<しば たつや>。俺も達也でいい。将来は魔工師を目指している」

 

そのあと、周りに居た少女達も自己紹介を初めたが、その名前を聞いた瞬間、俺の頭の中の混乱スイッチが入った。

ん? 司波 達也? ()()司波 達也?

まって? ここがあの「魔法科高校の劣等生」の世界だってのは知っている。一応そのくらいの()()()()()()()()

しかし、いきなり主人公が目の間にいるのはちがくないか? 単純に俺のリサーチ不足か?

 

そうして、コンソールに向かったまま固まっていると、

前の席の司波 達也の肩越しに赤毛のガタイが良い西城 レオンハルトがこちらを見てきた。

片腕が無くコンソール前で固まっている俺を心配したのだろうか、俺に向かって声を掛けてきた。

 

「なぁ、あんた大丈夫か? コンソールを立ち上げたまま固まってるけど」

 

それがきっかけで俺の前の席にいた集団が全員、こちらに視線を向ける。

当然、前の席にいる黒髪を短くした、少し鋭い目つきの司波 達也も椅子の上で体を捻り、こちらへと体と視線を向ける。

 

いや、落ち着け。落ち着くんだ、俺。そう素数を数えよう。1,1,2,3,5,8,13…。

なんとか混乱したまま、返答する。

 

「ああ、ちょっと面食らっていただけ。新しい機材には慣れて無くて」

「そっか。俺は西城 レオンハルトだ。レオでいいぜ、よろしくな!」

「ああ。俺は世羅 芥だ。芥でいいよ、よろしく」

 

すると、レオは視線を司波 達也に向けた。その視線の意味を理解した司波 達也は自己紹介をしてくれた。

 

「俺は司波 達也だ。俺の事は達也でいいぞ。よろしく」

「解った、達也。よろしく」

「……」

「どうかした?」

 

達也の視線は俺の無い左腕で注がれている。

達也は頭を振ると「なんでもない。悪い」といって会話を切った。

 

そして、周りにいた少女達も自己紹介をしてくれた。

先ずは、紅い髪のショートヘアの少女だ。

 

「次はわたしの番ね。わたしは千葉 エリカ<ちば えりか>。エリカでいいわよ。よろしくね」

「よろしく、エリカ」

 

次はメガネを掛け、黒髪をセミロングで切りそろえている少女。

 

「私は柴田 美月<しばた みつき>です。美月でいいですよ。よろしくお願いします」

「よろしく、美月」

 

なんとか、無難に返事を返したが、一気に情報を浴びせられて、混乱は最高潮に達した。

主人公グループと親交を持ってしまった! これからどうなるんだ? いや、関わる気は全くなかったけどさぁ!

そんな俺をよそにエリカが、気にするのも野暮なのかな? といった感じで俺に質問してきた。

 

「まぁ。面と向かって聞くのはマナー違反なんだと思うけど、芥さ。『それ』で大丈夫なの?」

 

「それ」と言われて視線も注がれれば、流石に俺も気付く。俺は先が無い左肩だけを軽く掲げて、応じる。

 

「慣れればなんとかなるもんだよ? だからあまり気にしないで欲しいかな。助けがいる時は声を掛けるよ」

「そっか」

「そうだよ」

 

レオは張り切った声で言う。

 

「ああ、助けがいる時は何時でも言えよ!」

「そうさせて貰うよ」

 

達也もそれに乗っかってくる。

 

「俺も何かあったら手伝うよ」

「ありがとう」

 

エリカと美月もそれそれ助力してくれることを言ってくれた。

この体になってから気を使われたのは初めてだったのですごく、すごく嬉しかった。

 

そうして、雑談に花を咲かせていると(大体はレオとエリカのじゃれ合いだったが)教室の入り口が開き、教員らしき人が教壇にむかって歩いていく。

一校は生徒が自身で講義を選択するスタイルなので、担任という制度は無くなったと聞いていたが。

 

その教員、小野 遥<おの はるか>は自身をスクールカウンターだと名乗った。

カウンセリングの話に関する話が終わると、これからのカリキュラムに関する説明を行った。

 

俺はなんとかコンソールを操作して、講義を聞きながらカリキュラムを設定していく。

分からないところは、前の席の達也に聞きながら、時間内に設定することが出来た。

 

昼休み。

前時代を思わせるチャイムがスピーカーから流れると、レオは俺達の方に向いて率先して言った。

 

「なぁ、学食行ってみようぜ!」

「そうだな」

「行きましょ、行きましょ。混む前に席確保しないと」

 

達也、エリカがそれに応えて、美月も学食に行くようだ。

だが、

 

「悪い。俺はちょっと電話することがあるから、今回はパスで」

「そっか。次は一緒にいこうぜ!」

 

片手を上げて謝罪をし、みんなの背中を見送る。

俺は廊下に出て、懐から携帯電話を取り出す。通話相手はもちろん昨日の夜に話した相手だ。

通話相手はすぐに出た。周りに気づかれないように、廊下の窓の方を見ながら会話する。

 

「おい! なんで司波 達也が1-Eにいるって教えてくれなかった!?」

『いや、なんかその方が面白くなりそうだなって思って。てか、()()()()()()()

「俺の記憶なんてとっくに劣化してるよ! 細かい事は覚えてないんだって!」

『いやー、草生えるわ!』

 

()()()()()()()()を使って通話の向こうの相手は爆笑している。

 

「生やすなや!」

『今は時間的に昼休みか? まぁ、ここでも一悶着あるから行かなくて正解だったかもな』

「え? そうなの?」

『そうなの。後は放課後だな』

「……放課後もなんかあるの?」

『……大分薄れてんな。後で、細かいことは教えてやるよ。今は学生生活を楽しみな!』

 

携帯電話からつーつー、と聞こえてきて、会話が終了したことをお知らせしてきた。

はーっ、と溜息をついて携帯電話を懐にしまう。

 

廊下の窓から空を見上げると曇り無く青く澄んできた。俺の心は暗澹としているが。

俺は昼ごはんを買うべく購買部に足を運んだ。昼ごはんは中庭でパンと牛乳で胃袋を満たした。

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