魔法科高校の劣等生 ~隻腕の魔法使い~   作:なべを

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第三話

芥の左隣を歩いているリーナから、手刀が飛んでくる気配を感じた。

 

芥はそれを躱そうともしない。

手刀が芥の身体にどんどん迫ってくる。

 

芥は何もしなかった。ただ歩いているだけだ。

しかし、手刀は芥に触れること無く、身体を素通りするかのように傍からは見えた。

右手に本来返ってくるはずの衝撃が返ってこないことに、リーナは目を丸くして驚いて立ち止まってしまった。

 

「流石だな」

「まぁ、普通じゃない?」

 

そして、芥と達也はは数歩先を歩きながら感想を言い合っている、そして、立ち止まっているリーナに振り返ると、

 

「どうしかしたか?」

「あ、ああ。ごめんなさい……」

 

リーナは自分がされたことに気づいていないが、達也は何をしたのか目ざとく気付いていた。

そうして、狐につままれた顔をしたリーナを連れて学校の巡回を終わらせた。

 

週末の夜。

芥は渋谷の街をぶらぶらと歩いていた。

繁華街ではなく人々の隙間にあるような、暗がりを中心に。

 

目的はもちろんパラサイトに遭遇することだ。

ただ、物質世界では無く、精神世界に存在している存在を知覚する、なんて事は今までしたことがなかったので、なかなか見つけることが出来ない。

そんな感じで、本来掴みにくい方向に知覚を伸ばしていたからか、それに気づくのに時間が掛かった。

暗がりの中、立ち止まり振り返ると

 

「隠れて着いてこないで、普通に隣に来なよ」

 

そうつぶやくと、街灯の下に2人の()()が現れた。

2人の少女が芥に近づいてくる。年の頃は芥とそう変わらないだろう。

 

「気づかれてしまいましたか」

 

その内の、ゴシック調の真っ黒な服装をした少女が答えた。

 

「普段ならもっと早く気付けたんだけどね。今日は違う方向に視ていたから」

 

挨拶もそこそこに歩き出し、芥を先頭して少女達は後ろに着いて徘徊を続ける。

 

「それは、件の吸血鬼事件を追っていたからですか?」

 

こちらの真っ黒なノームコア系の服装をした少女が聞いてきた。

 

「そうだよ」

「自己紹介がまだでしたね。(わたくし)は黒羽 亜夜子と申します、亜夜子と」

「僕は黒羽 文弥、文弥と」

「自分の事は芥でいいよ。君たちはご当主関連だと思って良いのかな?」

「はい。その通りで御座います。ご当主より手伝うように仰せつかっております」

 

その言葉を聞いて芥は顔をしかめた。

 

「ご当主にここまでされるような事した覚えないんだけどなぁ」

(わたくし)も驚いています。ご当主様から個人のサポートをしろと言われたのは初めてですので」

「それほどご当主もこの事件が気になっているということかと」

 

そんな感じで話しながら、散策していると文弥が唐突に話題を変えた。

 

「あの! 芥さん! 九校戦のアウトスタンド・ワン凄かったです!」

 

キラキラした目で見つめてくる文弥に亜夜子が嗜める。

 

「こらこら、文弥。あまり芥さんを驚かせないの」

「ご、ごめんなさい」

「いや、いいんだ。ありがとう。結構はめを外したから恥ずかしいけど」

 

そんな雑談を話しながら渋谷の街を徘徊している。

そうしていると芥の首筋にチリチリを産毛が逆立つ感じが走った。

立ち止まり、辺りを見回す。

 

「どうかされましたか?」

 

目を閉じて感覚に委ねる。道の前にある公園からだと気づくと、そこに向かって走り出した。

何も言わずに2人も着いてくる。

 

とある公園に踏み入ると、全身をコートで固めた人物が、ぐったりとした男性を抱えていた。

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