魔法科高校の劣等生 ~隻腕の魔法使い~   作:なべを

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第四話

一科生との一悶着のあと光井 ほのか<みつい のほか>と北山 雫<きたやま しずく>と一緒に俺達は下校した。

途中、アイスを買食いしながらも、2人の興味は達也の方に向いていたので、まぁ、結果としてはオーライか。

 

そんな中、俺の隣に来た深雪は俺の事をねぎらってくれた。

俺の身長は達也くらいなので、深雪を見る目線は自然と下になる。

その心遣いは正直いって嬉しかった。結構面倒な役割を引き受けたからな。

 

「お疲れ様でした」

「ああ……、まぁ、出しゃばりすぎたかな?」

「そんな事はないかと。程よく場を治めたと思います」

「そっか、ありがとう」

「いえ!」

 

深雪はなぜか嬉しそうにしていた。俺が目立つのが嬉しいのだろうか?

そんな事を言いながら、俺達は放課後の雑談を終えて、それぞれに帰宅した。

 

帰宅後、制服から部屋着に着替え、コーヒーを取り出してリビングで今日の疲労を溶かしながら、一息ついていた時。

また「あいつ」から通話がとんできた。その声には多分に愉悦が含まれている。

 

『どうだった?』

「どうもこうも、学校2日目であんな重いイベントがあるとは……」

 

そして、向こうの「あいつ」は確信を持って聞いてきた。

 

『司波 深雪とは会えたんだろ?』

「ああ、会えたよ。それもお見通しか」

『今回のイベントを考えると必然的にそうなるだろうよ。で、どうだった?』

 

その言葉には絶世の美少女と会ってどうだったか、というのが言外に含まれていた。

 

「どうとは……。まぁ可愛らしい少女だなとは思うよ。それだけだよ、押しは強そうだけど」

『で、重度のブラコンは感じたか?』

「いや、達也に対して一定の親愛は見て取れたが、深い感じはしなかったな」

『やはりそこも改変が入っている感じか……』

 

必要があるか分からないその情報だけで「あいつ」は考え込んだ。しかし、次の言葉に俺は衝撃を受けた。

 

『司波 深雪だけどな、おそらく彼女が()()だぞ』

「え、マジで!? たしかに俺の左腕を見た時に衝撃を受けていたけど……」

『当時の資料を見るに、彼女があそこに居たのは間違いないからな』

「そっか、あの時の女の子が深雪なのか……。まぁ、良いことだと捉えよう」

『そうだな。で、明日だけど』

「明日も何かあるの……?」

 

もう、お腹いっぱいなんだけどなー。

 

『お前には直接関係無いかも知れないが、司波 達也が風紀委員に任命される』

「あー、そのイベントは覚えてるわ」

『もしかしたら、お前にもアクションがあるかもしれん。備えておけ』

「了解」

 

そして、通話は切れた。

そっか、()()()()()()()が深雪か。運命ってやつは面白いな。

そう心の中で思いながら、俺はコーヒーを置いて夕食の準備に入った。

 

同じような時間帯、司波家でも似たような話がされていた。

しかし、向こうとは対象的に深雪と達也は深刻そうな面持ちで、リビングにて話し合っていた。

 

「では、芥が……」

「はい。あの時、私を助けてくれた少年かと思います。ちゃんとお顔を見たら面影がありましたから……」

「そうか。それは何かしら礼をしないとだが……、しかし、あいつが見せたあの技術……」

「まさか、他人が発動しようとしたサイオンを横取りするとは……」

 

そう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に2人というか、達也は警戒していた。

 

「ああ。そんな技術聞いたこともない。注意を払っておく事になるだろうな」

「しかし! あの方は!」

「お前の気持ちも解る。だが、ガーディアンとしては、危険要素を見過ごすわけにはいかない」

「……わかりました」

 

しぶしぶといった感じで深雪は引き下がった。

 

そうして、2つの家の夜は更けていった。

 

翌日。

朝、最寄り駅に着いて、学校への道を一人で歩いていると、レオにぽんっと肩を叩かれた。

 

「よっ、おはよう。芥」

「ああ、おはよう。レオ」

 

2人並んで、学校へ向かう。

無意識だろうが、レオは俺の左側を歩いている。こういうさりげない気遣いがレオっぽい。

話題はそうそうに、昨日の放課後の事に移った。

 

「昨日は大変だったな!」

「大変だったのはこっちだよ。レオもエリカもやる気まんまんだったじゃないか」

「いやー、あんだけ言わわれりゃ、そうもなるって」

「そこは自制して欲しいところだったよ」

「まぁ、あの女が先に手を出さなければ、俺が動いていたしな」

 

なんて、他愛もない会話をしながら俺達は登校した。登校万歳。こういった「普通」に憧れていたのだ。

教室に着き席に向かうと、美月は既にいたが、達也やエリカはまだのようだった。

 

「おはよう、美月」

「おはようさん」

「おはようございます。芥さん、レオ君」

 

挨拶をかわして自分の席に座り、コンソールを立ち上げて今日のスケジュールを確認する。

今日は魔法の実技があるのか。ようやく魔法科高校っぽくなってきたな。

 

そうしていると、達也も登校してきた。

 

「おはよう」

「おはようございます」

「おう、おはようさん」

「おはよう」

 

美月、レオ、俺の順番で朝の挨拶を返す。

達也は席に着くと、体を俺の方に向けて尋ねてきた。どうしたんだろうか?

 

「芥、昼休みに時間はあるか?」

「昼休み? ああ、空いてるけど、何かあった?」

「ああ、朝に生徒会長と会ってな。深雪と一緒に昼食に誘われたんだが、お前も連れてきて欲しい、と言われたんだ」

「……なんで俺が?」

「昨日の立ち回りを見た限り、生徒会長はお前に興味を持ったんだろうな」

「まじかー」

 

思わず天を仰ぐ。そこまで悪目立つつもりは無かったんだけどなー。

俺は顔を達也の方に戻して、

 

「わかった、参加させてもらうよ」

「助かる」

 

言い終えると、達也は体を戻して自分の端末に向き合った。

その背中を見ながら思う。

 

もう生徒会のメンバーとコネが出来るってことか。ペースが速いなー。

もう少し、普通の高校生活ってやつを堪能したかったんだが。

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