超人酒寄彩葉と借金貧乏男子が運命的な出会いをする話   作:陸結

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キリのいいとこまで書いたら超長くなってしまいました。その上投稿も遅れてごめんなさい...3日ぐらい前にストックが尽きてるんです...


第十一話 げにやげに 冬の夜ならぬ 黒鬼も

 

 

潮のざわめき、照りつける日光、地球温暖化によって殺人級の暑さ。美少女4人に向けられる数奇な視線とそれに対抗して放つ童山の殺気。うん。とても夏っぽい。

 

「いや〜女子だけで海行ってたら、これ絶対ナンパされてたな」

「しょうがないよ。こいつらをみて惚れるのは男の本能だ」

「おっ?お前真実のこと狙ってるな?よしそこに直れ、俺が直々に成敗してやる」

「そんなことしないから安心しろって...」

 

諌山に綾紬、童山に酒寄とかぐや、俺たちは立川から1時間ほどした湘南の海水浴場に来ていた。

 

「ここはやっぱり彩葉が着ぐるみを脱いで新たな客層...あー!!私の焼きそばが!!」

 

酒寄たち女子組は日光に焼かれながら何やらかぐやのプロデュース戦略を立てていた。

 

「後はコラボとか?私たちでいいならいつでもコラボするよ〜」

「やったぁ!ありがと〜!!」

 

かぐやは満面の笑みで綾紬に抱きつく。そして彼女も満更でもない顔をしている。マジマジ見ちゃいけないんだろうけど、すごい尊い。何か目覚めそう。

 

「じゃあ後は新曲!彩葉〜新曲作って?」

「マジでこれ以上は無理だって...」

「彩葉〜?ダメ〜?

 

おっまた始まった。

 

「俺かぐやに500円」

「私かぐやちゃんに2000円」

「俺たちもかぐやちゃんに5,000円」

「みんな私が負ける想定?!」

「彩葉〜ダメ...かな?」

「でもこれ以上は...」

「じゃあライブの伴奏!」

「それだったら...いいよ」

「よっしゃぁ!!泉〜譲歩的要求法(ドアインザフェイス)刺さったよ〜」

「よくやったぞ〜でも多分もう少しおせば酒寄落ちたぞ」

 

かぐやには社会人の立派な交渉術を教えていたのだ。初めは無理難題を押し付け、今度は少し妥協した案を出すと相手は飲み込みやすい。それは譲歩的要求法(ドアインザフェイス)である。

 

「泉!!かぐやに余計なことおしえやがって!」

 

そういうと酒寄は俺の腕を引きつけた。

 

「彩葉ずるい!かぐやも!」

「よーし!このひねくれ男を海の藻屑にしやれ!」

「「そーれ!」」

 

俺はかぐやと酒寄に惹かれて海へ顔面からダイブした。そこからは童山が俺にミサイルキックを繰り出し、俺がお返しにラリアットを繰り出すなど普通の海水浴では無くなってしまった。

 

「遊びをせんとや生まれけん。戯れせんとや生まれけん...まさにこれだな...」

 

俺はこの騒々しさと平穏、それと海水と砂少々を大事に噛み締めたのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

海水浴から帰った後、かぐやは怒涛のコラボ祭りを敢行。相手は諌山に綾紬、ツクヨミ公式ライバーの忠犬オタ公....後は俺の兄貴、後々調べた所、兄貴はかなり有名なライバーで黒鬼ともよくコラボするぐらいだった。結局コラボ許すならあの時了承すればよかったのに....。

 そんなこんながこんながありまして、かぐやのヤチヨカップ順位は驚異の24位。一位は依然としてブラックオニキス、黒鬼だった。そんな黒鬼と....俺は今、なんでこんな状況になってるんだ??

 

「ありがとね〜泉。期間限定5vs5のKASSENマッチやりたかったんだけど一緒にやってくれる人がいなくてね〜」

「よろしくな泉!帝アキラだ!」

「雷だ。よろしく」

「俺は乃依。よろしく〜」

「よろしくお願いします。俺は雪平兄さんの弟...って違うでしょ!!なんで俺なんですか?!俺一般人すよ?!一般人!!」

 

そう俺はどう言うわけか兄貴と黒鬼の面々とコラボしていた。なんで俺?普通かぐやでは?

 

「ナイスノリツッコミだな。雪平からは聞いてたけど面白いやつだな」

「雪平と違ってよく喋る...」

「うちの弟おもろいやろ〜後お前ライブ活動はしてるでしょ」

「本当可愛い〜♡」

「いや説明してくださる?!なんで俺なの?!他に適任いるでしょ?!」

 

兄貴と黒鬼は俺を無視して騒いでる。酒寄も、俺とかぐやと酒寄ハブってふざけてる時こう言う気持ちだったのかな...後で謝ろう。

 

「いやね、他のライバー誘ってもこのメンバーについてける人少ないし、ヤチヨカップにも影響しちゃうしね」

 

なるほど。確かに現在ランキング1位の黒鬼とSETSUNA有数プレーヤーの兄貴とのコラボすればその影響は計りし得ない。

 

「確かにな、でも兄貴がそんなこと気にするとは思えなかったよ」

「こいつの本音は、お前とただ遊びたかっただけだと思うぜ」

「アキラは黙ろうか〜」

 

そう言って謎コラボがスタートした。

夏休み限定KASSEN5vs5マッチ。いつものKASSENとは違いメンバーが2人増えるため櫓の占拠に2人ずつ、残り1人が中央でどちらかが櫓を占拠するのを信じて最速で敵陣に向かうのがセオリーとなる。しかし、黒鬼はまさかのトップレーンに帝。中央に雷、乃依、俺。ボトムレースに兄貴を指名。つまり、兄貴と帝は少なくとも1vs2を勝ち切る必要があるわけだ。

 

「あの雷さん?」

「雷でいい」

「じゃあ雷。この作戦流石に舐めプすぎじゃない?」

「俺たちブラックオニキスは夢見させなきゃだからねぇ〜それに2人なら余裕だよ」

 

なんてことでしょう。さすがブラックオニキス。

 

「無駄話をやめろ。俺らの相手のお出ましだ」

 

目の前には死神のような大釜とダガーを持った相手プレーヤーがいた。

おそらく上下どちらかに3人、そして残った2人でここを抜く算段だろう。

 

「泉。好きに動け。俺と乃依が合わせる」

「プロゲーマーさんのカバー、痛み入ります」

 

俺は集団から飛び出すと腰に下げていた、柄だけの刀を抜き、光を放つ刀身をあらわにした。

 

光剣ーいわゆる片刃のライトセイバー。軽くて1撃で相手のHPを全損させることができるほどの火力を持つ。武器で受けても強烈なノックバックで相手を吹き飛ばす武器種。しかし、ウルトもなければ、遠距離攻撃の術もない。その上連続で刀身を出せる時間はたった5分のピーキー武器でありネタ武器。それが俺の持ち武器である。

 

 いつもは使いずらい武器だが今日は違った。乃依が相手を1人ずつスタンさせ、雷が俺に当たらないように、魔法でカバーをする。あっという間に俺は敵2人の懐まで来ていた。

 

「ここまで来ればもう勝ちだよ。光剣は。」

 

光剣の2振りで相手はポリゴンの破片となった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あの後10戦ほどしたが、さすが黒鬼、全勝である。うちの兄貴もあたり前に1vs3を勝ち切ったりしていた。何この人怖い。コメント欄も大盛り上がりだった。

 

『強すぎるwww』

『帝、雪平23戦中それぞれ21勝と20勝』

『さすが名誉黒鬼雪平』

『1vs3で勝てないのバグ』

『雷乃依泉ペアも強力。光剣強いな』

『泉くんってかぐやいろPのとこの子でしょ?まさかの雪平の弟だったとは...』

『おい鳩行為やめろ』

『運営はこの5人出禁するべき』

 

俺も勝手に出禁にされかけてる。それにかぐやのこともバレてる。

 

「じゃあ今日の配信はここまで!またな!子ウサギども!」

 

 

 

「お疲れ様〜みんな。特に泉今日はありがと」

「いや楽しかったからいいけど、一個質問。兄貴はどうして名誉黒鬼って呼ばれるほどブラックオニキスと仲良いんだ?」

 

俺はここ3時間ぐらいの質問を兄貴にぶつける。

 

「この前プロゲーマーの家居候してるって言ったじゃん」

「まさか...?」

「俺今帝のとこ住んでる」

「衝撃事実すぎてついていけねぇよ...」

 

兄貴があの帝アキラのところに居候??信じられねぇよ。

 

「後こいつ、彩葉ちゃんのお兄ちゃん」

「ふーん......は?」

 

帝アキラが?酒寄の?兄貴?

アキラさんは俺の方を見てサムズアップをしている。

 

「だから彩葉ちゃんと子供作った騒動の時は2人で慌ててたからね」

「俺はまだお前を認めてねぇからな!」

 

怖い怖いこの人!別に酒寄とは何もないよ!

 

「あの時は、大変だった」

「2人ともシスコン、ブラコンだからね〜」

 

心中お察しします...でもそう考えると一個疑問が浮かんでくる。

それは以前の酒寄彩葉について。命を削って完璧であり続けた彼女のこと。

 

「酒寄の兄貴ってことは...あいつちょっと前までいつ倒れるんじゃないかって暮らししてたの知ってたんですか?いや、酒寄なら援助とかは断りそうですけど...」

 

そう尋ねるとアキラさんの顔が曇る。その顔には後悔と寂しさ、それでいて自戒の感情が見て取れる。もしや...?

 

「泉。アキラは...」

「雪平。俺から言うよ。泉俺はな、彩葉を置いて家を出たんだ。それでそれから一度も会ってない」

 

 

 

「そうでもしないとあいつは1人で生きていけないから」

 

 

 

「獅子は我が子を千尋の谷に落とすって言うだろ?それや」

 

 

帝アキラはそう淡々と告げた。頭では理解できる。何か深いわけがあるのだろう。酒寄にある呪いのようなものが、目の前の彼にもあるのだろうと。しかし、俺の感情はそんな理性では止められなかった。

 

1人で生きていけない?一体何を言ってるんだ?酒寄がどう言う思いで,どれほど苦しんでたのか知ってるのか?

 

俺の口は勝手に帝アキラへの怒りを発し始めた。

 

「理解できませんね。あいつが何に呪われてるかは知らないが、それが高校生に妹にすることですか?」

 

俺の発する声は俺の声じゃないようだった。いつもよりもずっと邪気を、殺意を孕んでいた。

 

「それは彩葉は1人じゃ何もできない甘ちゃんっていいたいのか?」

「そう言うことを言いたいんじゃない。ただ少し助けてやれなかったのか聞いてるんだ」

「同じことや。それにあんたの言葉は自分じゃ彩葉を助けれなかったって泣いてるようにしか聞こえんで?」

 

 

図星だった。実際俺は酒寄を助けれなかった。酒寄を明るくしたのはかぐやだったから。

 

売り言葉に買い言葉。互いに理性を超えて静かに言い争う。

 

 

「あーもう!!お前らめんどくさいな!!」

 

そんな時、俺とアキラさんの喧嘩に兄貴が突っ込んでくる。

 

「泉も怒りすぎ、相手の立場でもの考えろ。アキラも言葉足らないし、情なすぎ。そんなに彩葉ちゃんのことが気になるなら実際試せばいいでしょう?」

 

「「は?」」

 

俺はアキラさんは兄貴の言葉に目を点にする。

 

「ブラックオニキスvsかぐやいろP。

......世紀の竹取対決ってのはどうよ」

 

兄貴は笑ってそう言った。その顔には悪戯っ子の様相と全てを受け入れる父親の様相であった。




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お知らせ
執筆が追いつかないので、10:30投稿が乱れると思います。ご了承ください。なるべく日付が変わる前に投稿するつもりです!

追記 
修正前のを投稿してしまってました!大変申し訳ございません!!
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