超人酒寄彩葉と借金貧乏男子が運命的な出会いをする話   作:陸結

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なかなか納得いくものが書けなくて遅くなってしまいました。
こっから最終章です!!是非お付き合いください!!


第十六話 心なき 身にもあはれは 異形人

 

 

 

「やばっ……緊張して寝れない……」

「彩葉が緊張ね~……ヤチヨ効果すごー」

「そもそもライブっていうのが慣れないよう〜」

 

夜の12時、ついに明日がヤチヨとのコラボライブ当日。彩葉は極度の緊張で眠れないようだった。かくいう俺も緊張で眠れない。別に本番俺の役割は観客席から応援ってだけなんだけどね...

 

「はい。ホットココア。これ飲んだら布団戻りなね」

「そうする〜」

 

キッチンで家事をこなしながら俺は彩葉と雑談に興じていた。半ば強引に始まった共同生活だったが、これと言って色っぽい事件もなく、実に今までの雰囲気で時間が過ぎていった。

 

「泉は明日観客席にいるんだよね」

「そうだよ。童山たちとしっかり、勇姿見届けるから」

「もー恥ずかしいからほどほどにしてよ?」

 

彩葉はココアを息で冷ましながら微笑む。

 

その姿に目を奪われていると突然階段上から声が聞こえる。

 

「彩葉!彩葉!!これ何!!」

 

かぐやがその手に抱えていたのは、彩葉のノートPCを広げる。そしてそれに呼応するように俺は目を逸らす。俺は女子の機密情報の塊を覗くなんて事はしないのだ。だって俺がされたら恥ずかし過ぎて死んじゃうし...今のうちにハードディスク水没させておこっかな?

 

「どうやって開くの?」

「え?あ、勝手に見ないでよ」

 

少し薄目で除くと一個の音声データだった。

 

「昔作った曲か何かか?」

「うん。お父さんと作ってたやつだ。でも続き...思いつかなくて...」

「聞いてみる??」

 

かぐやはいつものように彩葉にそう尋ねる。

 

「いいよ。どんなメロディーかも覚えてないし、それよりもう寝よ」

「そうだね。はぁライブの曲超ーむずいんだ〜」

 

かぐやはソファに飛び込んだ。明らかに不貞腐れている。

 

「珍しいな。かぐやが苦戦するなんて」

「ほんとだよ!!ヤチヨは自分がAIだからって...」

「どうする?ちょっと練習しとく??」

「いや〜大丈夫!何があっても彩葉がどうにかしてくれるし〜」

 

強がりでもなんでもなく、かぐやは本気でそう思ってるのだ。やっぱかぐやは最強だ。呆れるほど適当で、呆れるほど強くて...

 

「zzz」

 

呆れるほど寝つきがいい。

 

「寝ちゃったな...俺部屋まで連れてくわ。彩葉も早く寝るんだぞ」

「ん。ありがと」

 

俺はかぐやを抱き上げて、階段を上がった。その体は昔抱き上げた時より、ずっと重かったが、依然として軽かった。その軽さはまるで、気を抜いたらすぐに手の届かないところまで飛んでっていってしまう風船のようだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ライブ当日。

昨日あの後すぐ寝付けたのもあって、体調は万全。

アルバイトも休んだので、今日一日のスケジュールには余裕があった。

 

ギリギリまで、かぐやとヤチヨと練習をし、ライブの最終確認を繰り返す。途中まで泉も見ていたのだが、『ライブは会場で!初見で見たい!!』って言って居なくなってしまった。

 

「緊張して吐きそう...」 

「だららららら、蟹!だらららら、うさぎ!」

 

緊張しまくっている私とは対照に、かぐやは動物ルーレット……?をして遊んでいる。

 

「はいはい。可愛い可愛い」

「だらららら、どじょう!」

 

空間から突然、ヤチヨがでてきた。ビビるビビる。

 

「ヤチヨだ、おつー」

「おっつ~☆」

 

かぐやは何で、そんなヤチヨに軽いの……?

ここ最近ずっと一緒にいたのに私はこれっぽっちもなれることができなかった。

 

「ねー彩葉〜練習しすぎて、お腹すいた~。終わったらパンケーキ作ろ〜」

「あんたはギリギリまでご飯のことかい...」

「パンケーキいいな~ヤチヨも食べたいな~」 

「一緒に食べる?」

「……よよよ、ヤチヨは電子の海の歌姫だから食べられないのです」

「え~!それ何の拷問!?かぐやだったら絶対無理!!」

 

流石食いしん坊兼我が家の料理番。

 

「じゃあ、ヤッチョがかわいそうだからこれ上げる!」

そう言ってかぐやが差し出したのは、かぐやが生まれた時から付けていたブレスレット……。

 

「こらこら、そういうのはもっと大事な人にあげるものなんだぞ☆」

「ふ~ん……?」

 

大事な人ね...

 

ピロリン

 

不意に私へ泉からメッセージが届いた。

 

『ライブ緊張してないか?童山たちと一緒に勇姿見届けるぜ!

 

p.s. 俺は最前列でペンライト3本持ちしてるから探してみてよ』

 

メッセージと一緒にライブ会場で撮ったであろう自撮りが載せられている。芦花や真実に童山くんが楽しそうにライブを心待ちにしている様子だ。泉は先日の発売された私たちカラーのペンライトを両手で3本ずつ握っている。そして、彼がこの物販のために単発バイトに連日繰り出していたことも思い出した。

 

ふふ。なんかやる気出てきた...♪

 

演奏を届ける相手が見えるだけで、緊張は和らぐし、不安は薄まるのだ。それが意中の相手なら尚更である。

 

泉...ちゃんとみててよね...♪

 

私は先程より軽い足取りでもって、かぐや、ヤチヨと共にステージへ向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「めーーーーーーーーーーちゃ楽しかった!!もう毎日ライブでいいよ!!」

「それはご勘弁ください」

 

私とかぐやはライブの熱気と高揚感に踊らされていた。実際ライブは終始楽しくて、ヤチヨが可愛くて、泉がオタ芸やり、初めて芦花に怒られてて、童山くんにペンライト没収されて...泣き叫んで...とても愉快だった。

 

「彩葉...好き♡」

 

かぐやもライブが楽しかったのか私へそう呟く。

 

「あーもう彩葉と結婚しようかな〜?あっ結構するなら泉でもいいのか...うっ選べない!!」

「何馬鹿なこと言ってるの??」

「えー!!彩葉はかぐやとずっと一緒はいや?!」

「生活費は泉と折半するなら良いよ」

「ほんと?!や....ぁぁ....」

 

楽しみライブの多幸感から一転して、違和感の始まりだった。

かぐやの音声がぶつ切りになってツクヨミ全体がラグくなる。まるでサーバー全体がddos攻撃を受けているかのように...

 

次の瞬間モニターがジャックされた、全面に月の写真?が写り、目の前は意味のわからない数字の羅列で埋め尽くされる。

 

 

『2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 『2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 『2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12』

 

私はこの異常自体に体をこわばらせる。

そして行燈の頭の異形人が周囲を埋め尽くす。

 

その異形の1人がかぐやの腕を掴んだ瞬間。

 

ドサッ

 

かぐやが膝から崩れ落ちた。

 

「かぐや!!ふっ!!!」

 

私はKASSENの武器を取り出し、異形の腕を切り落とす。その腕は黒色の体液と共に宙を舞った。

 

「っ?!」

 

気持ち悪い。現実世界で人を斬ったような感触が手を支配する。

 

でも!かぐやは私が守る!

 

私が再び武器を構えた時。

 

『おいたはダメだよ〜』

 

ヤチヨが指を振るのに合わせて異形たちはかぐやから吹き飛ばされ、

 

シャンッ

 

どこからともなく現れた藤色の斬撃が宙に弾き飛ばされていた異形たちを両断する。泉だ...

 

「モウシワケゴザイマセン」

 

異形たちはヤチヨに向かってそういうと煙となって姿を消した」

 

なんだったんだ...

 

『今のは一体なんなのか?!続編を待て!!』

 

ヤチヨはそうスピールして、ライブを締めた。

 

 

 

 




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