超人酒寄彩葉と借金貧乏男子が運命的な出会いをする話 作:陸結
「彩葉マジかよ...8000年って...なんか異常ないのか?」
「本当に!!普通だったら廃人コースだからね!」
「彩葉ちゃんガッツあるねぇ〜」
俺と兄貴は倒れている彩葉を見つけ、その後ツクヨミのヤチヨの部屋で合流を果たした。
各々雑談に興じたいとこだったが、かぐや奪還のために、俺たちは、親父のUSBをメモの指定通りにサーバーに差し込み、ツクヨミ内で一緒に内容を閲覧していた。
USBの中身は2つ。
一つ目はツクヨミのソースコードの編集権限。
二つ目はツクヨミのリミッター解除コード。
紅葉さんから聞いていた編集権限以外のものに俺は疑問を呈する。
「リミッター解除コードってなんだ???」
「ヤッチョの名推理によると、ツクヨミを阿防が開発したレベルに戻すってことだと思う!」
「阿防...ああ、あのちょっと頭のおかしい泉のお父さんか...」
彩葉はヤチヨの記憶を見てるわけで親父を知っているのか...俺は姿も覚えてないのに...
俺は少しばかり彩葉を羨んだ後、また思考を巡らせる。
「それじゃあ今リミッター外したら、月人が来てまたゲームオーバーだな。なんか対策は立てておかないと」
「ヤチヨ?こっちから月に行くことはできないの??」
彩葉がヤチヨにそう尋ねると、ヤチヨは頭を捻った。
「それこそリミッター外したらこっちからも、月に行けると思う。あの時月に攻められたのは、ツクヨミが月の世界と混ざっちゃったからで...」
「それってトランシーバーの混線みたいな話ってこと?」
「ズバリそんな感じ!!さっすが彩葉!!」
「でもそうすると、結局月の人たちに攻められちゃうからねぇ〜」
「なるほどなぁ...」
これは難しい問題だ...
かぐやを取り戻しに月に行くためには、ツクヨミをパワーアップさせて、月の世界とツクヨミを同期する必要がある。
でもそうすると反対に月からも大量の月の人たちが攻めてくる...
ていうかそもそも...なんで月の人たちはツクヨミを潰すんだ?
「ヤチヨ、月の人たちがツクヨミに攻める理由ってなんだ??」
「んー。おそらくただのデバックだね。電子生命体の私たちにとってバグは死活問題だから。急に変な世界が現れたらそりゃ躍起になって潰すよ...」
「じゃあ、月人の侵攻を止めながらこっちも月の攻め込めばいいわけだ...」
兄貴は涼しい顔でそう言い切った。
「まあそうだよね」
「いやいや、彩葉も兄貴も簡単に言うけどさ...あの月人の侵攻を止めるって無理じゃない?」
「あの時の敗因は第二形態による、純粋な数的不利と能力不足。純粋なプレイヤースキルだったら俺らに軍配が上がる。その証拠にチート状態の朝日と乃依は月人を圧倒してたわけで」
「じゃあどうにかして、大人数で、それも超バフ状態で月の人たちと戦えばってこと??無理じゃない?」
彩葉の言う通りだ。あの時が俺たちの出せる最高戦力だった。それに今度はあれ以上の人数で攻めてくる...だったら...
「なあヤチヨ。ツクヨミの全プレイヤーって何人ぐらいいる?」
「えっと...まあ大体一億人だよ。それがどうしたの?」
「って...泉まさか...」
俺は全ての問題に対処できる突拍子もない妙案を口にした。
「ツクヨミの全プレイヤーに月人と戦ってもらう」
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「無茶だよ!無茶苦茶!他のプレイヤーにかぐやを取り戻したいから戦ってくださいって言うの?!」
「泉。流石のヤッチョもそんなこと思いつきもしなかったし、彩葉の言う通りだと思うよ?」
彩葉とヤチヨが俺の提案に意を唱える。でもそうだよなぁ...どうやって動員すればいいんだろう。
「うん。悪くないかもね。ヤチヨのライブでもかぐやちゃんのライブでも月人は露出してるわけだから、『月人と戦えます』ってイベントにしたら人は集められそう」
「それな!兄貴!」
兄貴の発言を俺は全力で肯定する。あたかも初めからそう考えていたかのように..,
「泉...本気でそう考えてた?」
「いや?全く」
「はぁ...泉ったら...」
「泉って雪平と違って結構向こう見ずだよね」
彩葉とヤチヨは少し俺に幻滅してるがまあ良い。
「問題は月人の侵攻を食い止めるにはそれでも不十分ってことかな?」
「じゃあ、黒鬼のみんながやってたみたいにチート付与するのは?」
「そしたら全プレイヤーが垢BANされちゃうな...」
「そのための、編集権限なんじゃない?」
「「「!!」」」
「それだ!さっすが彩葉!」
俺は彩葉の肩を叩くと編集権限を用いてツクヨミのソースコードを表示した。
しかし、そこに書かれているのは日本語でもアルファベットでもなく、どっちかと言うと変な漢字みたいな集合体。
5文字で構成された塊がこれでもかとと空間を埋め尽くしていた。
「なんだ?これは...」
「キリル文字とか...でもないよね」
「一応文字自体は月の文字だよ。でもどう言うルールで描かれてるのかさっぱりなの...」
「詰みじゃん...」
ヤチヨはそういいながら、困った顔をしていた。彩葉や兄貴も同じように困った様子でそのコードを眺めていた。
しかしなぜか俺にはそのコード配置に見覚えがあった。文字自体は全く知らないのだが、その並び方はよく読んだもののように思えた。
「これ...漢詩じゃないか?」
「漢詩...ってあの漢詩??確かに5文字ごとにならんでるけど...こんなに文字数あるものなの?」
「正確には五言古詩だな。5文字を一つのブロックとして作品を作るってルールしかないオーソドックスな漢詩だよ」
「雪平わかる?」
「全く、俺高校行ってないしね」
なぜ親父が月の言語を漢詩のように書いたのかは、おそらく月の人たちに見つかんないためだろう。まあなぜ漢詩?って感じではあるが...
「泉、一個質問。お前ならこのコード全部解析できる??」
兄貴は俺にそう尋ねてくる。
「まあやってみなきゃわからないけど、ヤチヨに手伝ってもらえるなら」
「じゃあ決まり」
兄貴の顔は普段通り、何か企んでいるような、先を全て知っているような、そんな悪い顔だった。
「聞いてよ。良い作戦だから」
俺と彩葉の勢いで始まったかぐやの奪還作戦も着々とその輪郭が出来始め、最終戦争が近づいているのは火をみるより明らかだった。
待ってろよ...かぐや...お前が連れてけなかったハッピーエンドへ、俺たちが連れてってやる。
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《余談》
作者の和歌レパートリーが尽きてきて題名つけるのが一苦労になってます。和歌で縛るんじゃなかった...