超人酒寄彩葉と借金貧乏男子が運命的な出会いをする話 作:陸結
「...ら」
「...はら」
「有原!!!」
「うぉお?!」
大声で、それも耳元で叫ばれたせいで俺は、椅子を倒して飛び起きてしまった。
「何するんだよ。普通に起こせよな」
「お前が普通に起こしても起きないのが悪いんだろ?」
やばい。かなり怒ってる。
童山はいつものバカっぽい感じはなく淡々とゆっくり、俺を詰めてくる。
「全く、こっちの身にもなれよな。3連休あって休めたかなってこっちは期待してたのに、結果は酒寄と一緒にフラフラ〜てきたかと思えばお前は終始爆睡。酒寄はたまに目開けたまま気絶するし。こっちがどれだけ心配したか」
マジか、そういえば今日の記憶ほとんどねえや。もはや昨日あのちびっ子と酒寄が言い争い始めたあたりから記憶がない。
「ってそういえば酒寄は?」
「もう真実と綾紬と一緒に帰ったぞ。真美がおしゃれなカフェに連れてってやるって息巻いてた」
おおかた元気のなさそうな酒寄を心配して連れ出してくれたのだろう。
「なんか、すまんな」
「俺は謝られるより感謝されたいタイプだけど...まあいいよ。それじゃあさっさと準備していくぞ。
「は?いくってどこに?」
「決まってるだろ、どっか飯食い行くんだよ。約束したろ?奢ってやる」
先週のやつか...クソこいついい奴すぎる。これがリア充か...諫山も綾紬も今頃こうして酒寄を連れ出しているのだろう。
俺は心の中でこんな奴らと友達でいられることに感謝して童山の後を追った。
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「俺は奢るって言ったさ。珍しく塩らしかったお前に良いもん食わせてやろうって思ったさ。なんでお前マックチキン6個力喰いしてんの?」
「ふぇ?」
俺と童山は学校近くの某ハンバーガー屋に向かいそこでご飯を食べていた。童山が注文したのはエビフィレオセットでサイドをナゲットに変更、ドリンクにコーラとかなりオーソドックスな組み合わせ。一方俺は、マックチキン6個と野菜生活Lサイズ。こちらもオーソドックスだと俺は思う。
「なんだよ。別にそんなに値段しないだろうよ。190×6+340=1280円。ご馳走様です」
「いや別に値段に怒ってるわけじゃなくてな?いやお前毎日そういう生活してるのか?栄養偏るぞ?」
「だからちゃんと野菜生活飲んでるんだよ。栄養偏ったらバイトで動けないからな」
「論点そこじゃねえよ...」
「なんだ何が不満なんだ。文句なら聞くぞ!」
「俺はよぉ。よく真美とデートで食べるような、お前が普段食べないような奴奢ってやろうと思ったのに、どうしてこんな庶民的な、それも最安値バーガー6個とか...風情がねえよ...」
童山はやるせない思いを自らのドリンクにぶつけている。
なんやかんやいつも心配しかかけるようなことしかしないもんな。俺がいつも酒寄を心配するように、こいつらも俺を心配しているのだ。
そんな童山の姿を不憫に思ったのか、俺は恥ずかしい、それでいて大切なことを口にした。
「ありがとうな。童山」
「ん?」
「詳しくは言えないんだが、この3週間まさに嵐のように忙しくて、ゆっくりご飯も食べれなかったからほんとに助かった。色々お前らには迷惑かけるな」
童山はストローを加えたままこちらを見る。
なんだよ。なんか言えよ。恥ずかしくなるだろ。
「確かに感謝してくれた方が嬉しいとは言ったが、お前がそういう言葉を吐くとなんか気持ち悪い」
「クッソこいつ!こっちが素直に感謝をいえばこういうこと言いやる。こうなったらマックチキン追加で3個頼む。今日の夜ご飯にしてやる!」
「おー食え食え。どこまでもお前の欲を満たしてやるよ。」
俺は童山に煽られながら、共にレジへ向かった。俺の親友はやはりいい奴だったのである。
本編が少し短かったので、後書きを長めに書こうと思います。
【キャラ紹介】
有原泉(ありはら 泉】
出身は京都のはずれ。親の離婚時に兄と一緒に東京へ上京して今に至る。兄との関係は悪くないが、兄に生活面で頼らざる負えないことに引け目を感じ現在軽い反抗期。好きな教科は古文で授業は寝ずに聞いている。自主的に古文を読むほど古典が好きで竹取物語も暗唱できるほど読んでいる。
童山秀(どうやま しゅう)
諌山真実の彼氏で有原の親友。アホで単純だが、友情や彼女のことを誰よりも愛しているスパダリ男子。有原とは高1初期から親友。普段は童山がボケて有原がツッコミしたり、有原が童山を囃し立てそれを笑っているが、限界生活していて常識からズレてる有原に振り回される。
【裏話】
題名はその回のテーマ的な和歌をもじってできたものです。
今回は紫式部の歌から来てます。あんまり意味はないです。
巡り逢いて 見しやそれとも わかぬまに 雲隠れにし 夜半のつきかな
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