超人酒寄彩葉と借金貧乏男子が運命的な出会いをする話   作:陸結

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5話目。女子会パートです。いよいよかぐやの本領発揮です。


第五話 我が園に梅の花散るパンケーキ

 

 

 

「失礼しました」

 

私は頭を下げて職員室をでた。

 

な,なんとか乗り切った...

 

今日一日本当に大変だった。まず家を出るまでも大変だった。あの宇宙人を家に留めて学校に行くまでで一悶着あった。宇宙人と『水と粉だけパンケーキ』を家に残して無理矢理登校。そこからは耐え難き疲労に耐え、忍び難き睡魔を忍んで授業を乗り切った。私と同様の疲労を抱える有原は学校につくなり爆睡であった。私がそうならなかったのは完璧女子高生である責任と矜持からだった。

 

「あっ彩葉きたー」

「やっと進路面談終わった?」

「えっ芦花?真実?」

 

私が進路面談、有原が死んだように寝ていたため2人はてっきりもう帰ってると思ってた。けれど2人は下駄箱で私のことを待っていてくれたようだ。

 

「連休どうでした?」

「忙しかった〜?」

 

宇宙人に侵略されて赤ちゃんの子育てしてましたなんて口が裂けてもいえない...

おそらく2人は3連休中もずっと心配していたのだろう。もしかしたらツクヨミで待っていたのかもしれない。そう思うと自分が情けなくって少し心が痛む。

 

「連絡できなくてごめん!もーとにかく嵐に揉まれてて...」

「まーとにかく帰ろ!」

「かーえろ、かえろー」

 

2人は笑顔で私の手を取って陽光降り注ぐ帰り道へ私を連れ出した。

 

「こっちだよね?」

「うん、ここ曲がって階段登ったとこ」

「あの、芦花さん?真実さん?いつもと道が違う気がするんですが?」

「まーまーおいでー」

「えっ待って2人とも。今日なんかあったけ?」

 

私はあります。勉強にバイト、それ以上に家に閉じ込めてきた宇宙人とか...

 

「新しいカフェ、行くって約束したでしょ?」

「いや今日は...」

 

宇宙人襲来でここ3週間いつもでは考えられないほど散財しているのだ。

 

「約束したじゃんね〜」

 

ああだめだ。グルメモードの真実とこういう時の芦花は止められない。

 

「はい、れっちごー」

「ふぇぇ」

 

貧乏女子高生の連行先は、オシャレ度も価格のどちらもハイレベルな最近オープンしたてのカフェだった。

 

「どれがいっかな〜」

「やっぱおすすめのこれでしょ」

 

40日、35日、38日...って50日?!

 

私は無意識にメニューの値段を凝視してしまっていた。いや値段というより自分の生活に裏打ちされたお金の価値っていう方が正しい。

 

「彩葉〜好きなの選びな?」

「今日は私たちの奢りだから」

「あ、ありがとぉ〜」

 

正直嬉しすぎる。こんなキラキラふわふわピカピカなスイーツはいつぶりだろうか。私たちは注文を終わらせ、お目当てのパンケーキが来るまでお喋りに興じた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うおお...すごいねこれ...」

「いや〜想像以上の大きさだよ」

「これは話題になるだけのことはありますな」

 

ついに到来した3段パンケーキの輝きは想像以上だった。大量の生クリームパンケーキの温かさで少し溶け、1番上のパンケーキからメイプルシロップと共にお皿に溢れでていた。上に飾りのミントと共に乗っているベリーたちは周囲にパンケーキの香ばしさと共にフルーティーな香りを醸し出している。

 

なんだこれ、もはや視覚と嗅覚だけで幸せいっぱいだ...でも本番はここから...

 

私はナイフとフォークを手に取る。

 

「ねえ彩葉?!これってパンケーキ??!!」

 

幻聴だろうか?

 

「えー可愛いー彩葉この子誰ー?」

「こんな可愛い子独り占めしてたの〜」

 

朝まで小学生サイズだった宇宙人はもう中学生サイズになって私の目の前の現れた。

 

「ねー彩葉ー?これ食べちゃダメ?」

「そんなにほしいなら私のあげるよ」

「ちょっ芦花甘やかしちゃっ」

「えっいいの?!ありがとう!」

 

そういうと宇宙人は芦花のパンケーキにフォークを突き刺し一口で一枚平らげてしまった。

 

「おおいい食べっぷりだ〜彩葉この子彩葉の服着てるけど、彩葉の友達?」

「ねーどっから来たの?」

「月から来たの!」

 

あー!!こいつは自分のことをベラベラと!

 

「ツキジだよね?!築地!この子私の従兄弟なの!」

「築地か〜美味しいお鮨屋さん教えてね〜」

 

よし。さすが立川随一のグルメガール真実。

 

「可愛いね。名前なんていうの?」

 

よし。さすが立川随一の美容ガール芦花。

って名前?!

 

「名前?名前はね〜」

 

宇宙人が口を開いた。まずいこれで変なこと言われたら取り返しが付かない!

その時、ふと昨日話した物語を思い出した。

 

「かぐや!この子かぐやって言うの!」

「かぐや...えー可愛いじゃん」

「えーなんかぴったりじゃん」

 

納得する親友2人を横目に私は暫定かぐやに全力で視線を飛ばした。

 

頼むから余計なこというんじゃねぇぞ

 

「かぐや...?かぐや....かぐやかぁ!!」

 

どうやらお気に召したらしい。そう言えば『名前は人生最初の贈り物』っていう。これが私からのはじめての贈り物...いや散々いろんなもの買ったよ。忘れるとこだった。

 

そこからは芦花と真実からかぐやについての尋問が始まった。その度に余計なことを言うかぐやの口を押さえて、なんとか誤魔化していった。

 

 

 




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【裏話】
かぐやが初手に彩葉のパンケーキを取らなかったのは、前日に有原から「ちゃんとお願いしていいよって言われてから」と言う教育を受けてたからです。
この世界線のかぐやは少しいい子です。
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