超人酒寄彩葉と借金貧乏男子が運命的な出会いをする話   作:陸結

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第九話 橘の花散る里のホトトギス

 

 

 

 

物事を成し遂げる時に何よりも大切なのは行動すること、とまぁよく言いますが、私の知り合い...娘?まあ...そんな間柄に「かぐや」という少女がいまして、彼女は好奇心旺盛で遠慮もない。二番煎じやパクリ、面白くない企画でも体当たりで特攻。そんな彼女も継続したことでより多くのファンを獲得し...

 

 

やばい。授業についていけないせいで落語の枕みたいな独白やってた。

 

 俺は今学校の夏期講習を受けていた。うちの高校は公立のため受験のための範囲が高3の後半でも終わらない。だからこうして長期休みに補講を行なっている。

 

 先程の独白でも言ったが、かぐやは着々とファンを増やして、知名度も上がってきた。知名度の割に、やってる企画は酷いもので『ペットボトルロケットランチャー作ってみた』、『人気映画同時視聴配信』、『食べられる道草紹介』などなどで様々で、中でも俺と酒寄に仕掛けるドッキリ系は悔しいことに人気コンテンツだった。

 

 でもまあ下手な鉄砲数撃ち当たるっていうからか、人を惹きつけるかぐやの天性の才によるものか...ヤチヨカップの順位は順調だった。

 

 ツクヨミライバーの収益は人の心を動かしたことのご褒美?として公式からふじゅ〜、それとファンからの投げ銭だ。その人の心を動かすという部分がかぐやにはハマり、ライブだけでなく、作曲酒寄、作詞俺のかぐやの歌はそこそこのヒットとなった。かぐやだけでなく、俺と酒寄もガッポガッポである。ようやく限界高校生2人は健康で文化的な最低限の生活を送るようになったのである。

 

♪ー♪ー

 

チャイムがなり夏期講習は終了。酒寄は俺と違い国公立文系志望なのでまだ学校に幽閉される。

 

「酒寄〜。かぐやには伝えてあるんだけど、今日俺久々の夜勤で夜いないから」

「あっそうなんだ。オッケー」

 

酒寄は筆記用具を片付けながら俺にそう返答する。そんな俺と酒寄の会話が聞こえていたのか、いつもの面々が現れる。

 

「まるで2人夫婦じゃん。」

「彩葉〜学校でそういう話しない方がいいよ?」

「有原お前今日は夜道に気をつけた方がいい」

 

そんなことを言われ周囲を見ると男子、女子問わず皆、訝しげな顔をしている。最近ほぼ毎日一緒にいて忘れていたが、この酒寄彩葉は学校にファンクラブがあるほど人気で、そんな彼女と深い関係であることを匂わせたら、そりゃ大変なことになる。

 

「今日のバイト、シフト抜けるってこと、なんでそんな紛らわしく言うかな?」

 

綾紬が少し大きな声でそう言った。勿論その内容は嘘だが、これで俺はともかく酒寄への疑念は晴れただろう。流石!!天晴れ!!綾紬は毎回俺たちを助けてくれる。諫山と童山がアホだけにとても頼りになる。

 

「てなわけでさ〜」

「どういうわけなんだがさ〜」

「彩葉〜この日みんなで一緒に海行かない?」

 

諌山と童山がいつもの独特の雰囲気で酒寄を誘う。

 

「ちょっと待ってね。うん。丁度予定ないあからいいよ。行こっか」

「有原も行くだろ?」

「お前さっきの忠告はどうした」

 

酒寄と海になんて言ってみろ。俺なんかはガチで海の藻屑にされる。

 

「てなわけだから、じゃあ秀くん行こっか」

「またツクヨミでね」

 

そう言ってあいつらは去っていった。

 

「じゃあ俺も。また」

 

酒寄に見送られながら俺は家に帰る。自分に部屋に入って制服から私服に着替え、うちの部屋まで侵食してきているかぐやの小道具たちを整理する。そしてかぐやの元に行き、一緒に昼ごはんを作った。メニューは冷やし中華。うん、夏っぽい。実に夏休みっぽい。

 

「野菜...野菜が美味しい...苦い草じゃないよ...」

「泉、ここ最近毎日野菜食べて泣いてるじゃん...かぐやはこのハムとか麺とかの方が美味しいと思うよ?」

「かぐや...いつかわかる。こうしてお野菜を食べられる喜びがね...」

「ふーん。ねぇそういえば彩葉いつ帰ってくるの??」

「俺より2コマ多いからあと1時間ぐらいかな?」

「じゃあ彩葉にも冷やし中華作ってあげよ〜」

 

お昼ご飯を食べた後、俺とかぐやは酒寄のために冷やし中華を作り、冷凍庫に入れた。かぐやは配信をするため俺は自分の部屋へと戻った。

 バイトは夜からで余裕があった。だからだろうか?俺は食後の睡魔に抗えず意識を飛ばしてしまった。それがこの後の修羅場の始まりだったのだ。

 

自分の家の玄関が開く音で目を覚ました俺は、まず目に入ったのは俺の腕で寝るかぐやの姿。そして玄関には人影が2人分。1人は見慣れた少女、酒寄彩葉の姿だった。そして最後の1人。

 

 

細身で高身長、最近家に帰っていなかった、俺と顔が似ている男。

 

 

「久しぶり。泉。色々彩葉ちゃんとそこで寝てる子と一緒に聞きたいことがあるんだけど、大丈夫かな?」

 

 

俺の兄貴...有原雪平の姿であった。

 

 

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございます!
励みになりますので、感想と評価よろしくお願いします
今日はちょっと短めでごめんなさい!

【裏話】
泉の兄、雪平についてここまでの描写をまとめておきます。

有原雪平(ありはら ゆきひら)

泉の兄で今は知り合いの家に居候中。

うんほとんど情報がないですね...次回をお楽しみに!
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