【架空コミュ】極月Pが白草月花をプロデュースさせられる話 作:ミーティオル
-プロデューサーコミュ-
月花「――机の位置は、ここで足はここか。
椅子は……」
*「月花さん? 何をなさっているのですか?」
月花「ん? あぁ。
このレッスン室にあるものの位置を確認していた」
*「……なるほど?
実際のステージとレッスン室との差を図るため、とか?」
月花「まぁ、それもあるが……。
集中していると、大きく動きすぎる。
そうなった時、足をひっかけることがあるのでな。
あらかじめ位置を確認している」
*「……そ、それはケガなんかは」
月花「まぁ、悪運は強いほうだ。
毎回軽傷では済んでいる」
*「今すぐ机と椅子を出してきます。
他になにか引っかかりそうなものはないですか?」
月花「ん? そこまでする必要は――」
*「練習で最も回避しなければならないものはケガです。
アイドルにケガをさせうるものはすべて排除しなければなりません」
月花「多少ひっかき傷が残る場合が大半だ。
衣装を着ていればどうとでも……」
*「ダンボールは徹底排除。
コードもバンドも留めておかなければ――!」
月花「……戻すのは苦労しそうだな」
-第6話-
ダンスレッスン室
シルエットレッスン中の月花。
*「――3、2、1、ポーズ!」
月花「む……」
*「続けて――3、2、1、ポーズ!」
月花「ぐっ……」
*「……続けますか、月花さん?」
月花「当然だ。まだ時間はあるだろう。
その分はしっかりとやらせてもらう」
*「……時間です。今日はここまでにしましょう」
月花(……指先の感覚、筋肉の流れ。
骨の置き方――少しずつ、見えては来たが、しかし)
*「少しずつですが、止まれる時間は増えてきています。
今は、この改善を噛み締めましょう」
月花(止まるということは、ただ静止するわけではない。
運動を打ち消すということ。
重力、筋繊維の収縮、そして重心の分散――。
*「……月花さん」
月花(それらを躍動の中で制限すること。
崩れることなく、自然な流れの中で、淀みなく。
筋肉という流体を、私の意思で全て――)
*「月花さん!」
月花「……ん? どうしたプロデューサー。
そんなに大きな声を出さずとも聞こえるが」
*「聞こえていないから大声を出したのですが。
今の呼びかけ、何回目だと思います?」
月花「おかしなことをいう、一回目だろう」
*「……やっぱり。
いえ、最近少し根を詰めていらっしゃるようでしたので」
月花「私がか?」
月花(――気にしているのか、私があの事を?)
月花「……いや、大したことではない。
ただ、せっかく成長の足がかりができたからな。
それを活かしたいと思っていただけだ」
*「そのひたむきさは、月花さんの美点ではありますが……。
やはり、未だ慣れていないことを続けている状況ではある。
ストレスが蓄積していてもおかしくはないと思いまして。
少し、今日は切り替えてみませんか?」
月花「……ほう、切り替える、か」
場所はゲームセンターへ。
月花「ほう、ゲームセンター……」
*「月花さんはゲームセンターには来られたことは?」
月花「いや。ゲーム自体、あまり縁がなくてな。
私は全くやらせてもらえなかった。
……『アレ』が隠れてやっていたのを見ていたくらいだな」
*「となると、ゲームはあまり好きではないとか……?」
月花「そういうわけではない。
ただ、これまでは縁がなかったというだけだ。
とはいえ、私は比較的なんでもできるタチだからな。
せっかくの人生初ゲームセンターだ。
――もちろん、すべて制覇してしまっても構わんのだろう?」
そうして、少し時間は過ぎ――。
ゲーム機「挑戦失敗! ざんねーん!
続けて遊ぶ場合はお金を入れてね!」
*「……月花さん」
月花「どうした? ……クレジットが尽きたか。
プロデューサー、このUFOキャッチャーというゲームはカードを使えるか?」
*「いえ、使えません。
……かれこれ、50回は挑戦していますが」
月花「そうか。……初期地点から5cmは動いていると思うが。
穴に落ちるまでは――あと100回挑戦すれば行ける計算か」
*「100円玉を100枚用意する人の気持ちにもなってくださいね。
ゲームセンターにはUFOキャッチャー以外のゲームもあります。
他のゲームもやってみませんか?」
月花「ほう、他のゲームか。
いいだろう、私の実力をその目に焼き付けるが良い」
月花「なるほど、アレを狙い撃てば――」
*「なっ!? 月花さん、民間人をヘッドショットしないでください!」
月花「――プロデューサー。ゾンビに噛まれた」
*「よし、ここでダッシュプレートを――」
月花「ふっ、独走状態だな」
*「そこはコース外です……」
男の子「お姉さん、対戦相手になってくれませんか?」
月花「ほう? いいだろう、その挑戦受けてやる」
男の子「やった! これで昇格確定だ!」
*「……清々しいレベルでタコ負けしましたね」
月花「あの少年、世界を狙えるのではないか?」
*「いえ、ブロンズランクでした。……ルーキーの一つ上ですね。
ウサギと子犬のじゃれあいを見てる気分でした」
月花「そうか。なるほど、ゲーム……ずいぶんと私の知る世界とは違う」
*「……楽しめていますか?」
月花「あぁ。始めたばかりとしてはうまくやった。
そう遠くない内に私が勝つようになる」
*「これまでで一番説得力を感じないセリフです」
*(……ここまでゲームオンチなのは、本当極端というか)
ゲームセンターを歩いていると、月花があるものを見つける。
月花「……プロデューサー、あれは?」
*「ダンスゲームですね。足元のパネルを踏んで、リズムを取るゲームです」
月花「ほう――」
月花のパネルの上に立つと。
オシャレな女子高生「おっ、今プレイする感じ?」
月花「あぁ」
女子高生「いいね。じゃああたしと対戦しようよ。
この辺の人とは一通りやったんだけど、もう物足りなくてさ。
この曲でいい? ちょいBPM高いけど」
月花「――あぁ、この曲か。構わない。
だろう?」
月花がプロデューサーに振り返る。
*「……どうせ、止めてもやるでしょう?」
月花「ふっ、よくわかっているようだな」
女子高生「お、ノリいいじゃーん!
みんなこの曲ムズいからって嫌がるんだよねー」
通行人A「げっ、あの曲やるつもりか……?」
通行人B「というか、またアイツ勝負ふっかけてるのか……」
男の子「うわ、あのゲーム弱いお姉さんじゃん。なんであんな難しいの受けたんだろ……」
女子高生「それじゃ、ゲームスタート~♪」
そして、譜面が始まる――。
女子高生「……え?」
月花「どうかしたか?」
女子高生「いや……あんた、結構やってた感じ?」
月花「いや、このゲームは初めてだ」
女子高生「いや、そういうの良いし。
初見でここのステップ取れる初心者なんているわけないから」
月花「……まぁ、信じる信じないはお前の勝手だが」
通行人A「……お、おい。あの人、ここまで全部パーフェクトだぞ?」
通行人B「オート、なわけないな……。なんだ、あのステップ……!?」
女子高生「なんなの、あんた……! ここ落とさないわけないでしょ……!?」
月花「どうした? ――ゲームを楽しめ」
女子高生「ざ、ざけんな……! あたしが負けるわけないから!」
そうして、ゲームは進み――。
ゲーム機「最後に、決めポーズ!」
月花(――むっ!? 決めポーズ……!)
女子高生「決めッ――!」
ゲーム機「エクセレント! お疲れ様でした!」
女子高生「……嘘。そんな」
男の子「す、すごい……!」
通行人A「お、おい、アイツが負けたぞ……」
通行人B「なっ、おい……! あの点数、ハイスコアじゃないか……!?」
月花(――今の感覚。
これまでで一番上手くいった。
しかし、角度にはズレがあった。そこさえできていれば……)
男の子「す、すごい、店内ハイスコア三位……!?
お姉さん、そんなダンスが上手かったんですね……!」
月花「――いや。私はまだまだだ」
男の子「えっ……?」
月花「行くぞ、プロデューサー。
――今日はもう十分楽しんだ」
*「先ほどの決めポーズは会心の出来だったと思います。
レッスンの効果が少しずつ身になっているのを感じました」
月花「レッスンで得たものをレッスン以外で見ることになるとはな」
*「いえ、むしろそれは喜ばしいことかなと。
意識が確実に月花さんに根付いてきたということに他ならないですから」
……しかし、この時間だというのにまだこの明るさ。
少し前までは、今の時間はすでに暗くなっていたものですが」
月花「あぁ。……月も空の明るさに紛れている」
*「しかし、まさかこうして寝ても覚めても月花さんのことを考える生活になるとは。
少し前まで考えもしませんでした」
月花「――何?」
*「どうかしましたか、月花さん?」
月花「いや……なんでもない」
月花が顔を背ける。
*「最初の頃は、タチの悪い夢でも見ているのかなと思いましたが……。
今となっては、月花さんがいる生活もすっかり現実なんだなと」
月花「……ふん。夢だとしたらプロデュースを降りるか?」
*「夢から覚めるには、もう時間が経ちすぎました。
仮に、これが夢でも、現実でも――僕は『白草月花』のプロデューサーです。
もちろん、月花さんが望むのであれば、ですが」
月花「……なら、夢の終わりを見せてくれるな、プロデューサー。
これが現実であれ、夢であれ、な」
暗くなった空に月がハッキリと浮かぶ。
月花「……いずれまたゲームセンターに行くぞ。
次こそは、私の力をお前に見せつけてやる」
学年 3年生
ランク-「S」
姓名 白草 月花(しらくさ げっか)
歌唱力-S
表現力-S
ダンス力-S
忍耐力-C ←感覚ができてきた!
???-?
学内で唯一のSランクを保有するアイドル。
トップの称号である「オーバートップ」を二度にわたり獲得。
現在、ストップ&モーションに猛進中。
慣れない挑戦だが、確実に上達していっている。
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元々、走り続けることは出来てしまうタイプではあるだろうが……。
それでも慣れない挑戦で負担はあるはず。
その辺のストレスの解消に繋がっているといいのだが。
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