姉様、姉様、ごめんなさい 作:イエスアマゾネス
奇妙な奴だ、とは思った。だが、ここまで奇妙な奴は珍しい。
俺らの時代より後だが、俺らの時代と同じかそれ以上に闘争があった時代の女が来た。見た目はガキだが、見た目だけだ。
だが、
まぁ座れよ。旅人の前に戦士だった女。ここは戦士であれば歓迎する。
「……戦士、か。そう言って貰えるのは嬉しいな」
だろうな。みてくれからして巫女かなんかだったんだろう?アマゾネスってのは戦士として戦ってたんだから戦士として扱わねぇと、俺の立つ瀬が無ぇからな。
「我が姉達も、ここであれば安らかに休めたのだろうか」
知ってる限りだが、ここは冥界で俺、テスカトリポカの支配域だ。覚えてる限りで女でここに来たのはお前が最初だな。いや、厳密に言えばここに来たお前ら側の存在はお前が初めて、って意味だな。
「だろうな。こっちはこっちの冥界があるからな。閉鎖されてたがな」
じゃなきゃここに来る理由も無ぇもんな。で、お前はそもそも死んで無いのにここに来ちまったわけか。
「理想郷まで行って来たらここに来ただけだな」
げ、そこから来たのかよお前。あそこもある意味冥界だぞ?ただ内海に近いから稀に行き着く奴がいるらしいが。
「夢魔がいるから余計にかもしれないな。嫌がるのも無理もない」
あっちで言う騎士も、俺からしたら戦士だ。戦い生きて、死んだらここに来いって感じだな。向こうは向こうであるから早々ここには来ないしな。お前が来て無けりゃあ他の闘争も聞けやしない。
「ある程度知ってるなら、話せる内容はあまりないが」
そういやそうか、トロイア戦争の話はここにいても聞けるぐらいだしな。どこにいても聞けるのは有名な事だが、当事者というか直接見てたお前からしたら、良い気分じゃないだろう。
「まぁ、な。だが、ここみたいな場所であれば良かったんだが……」
神が苦手って奴か。主神の妻がやばいんだったか。こっちは文化的なモンだが、そっちは神が直接やってんだろ?ヤバさが人災じゃなくて天災だもんなぁ。
「恨み言は並べればキリが無いが、今は単純に旅をしている。いつかは再会出来ると思ってな」
良いねぇ、旅する戦士としてお前を歓迎するぜ。
「ありがとう。幾分か気が晴れた」
気にすんな、ここは戦士の休憩所だぜ?
まぁ行ってこい。また来たら旅の話してくれよ?
アマゾネスの巫女よ。
────
あら、生きたまま来るだなんて珍しいのだわ。
え?旅の途中で寄っただけ?ここまで遠いでしょうに……
え!?ギリシャの方から!?しかも別の冥界を通って来たなんて……なんて旅してるの?
贖罪、そう……苦しい旅をしてるのだわ。死は許し、休息となる。それを否定してまで苦しむのを選んだ、貴女の選択を尊重するのだわ。
でも、ウチの冥界では休憩はしない方が良いのだわ。形無き魂を安らぎの檻に入れて管理するから、管理者ではない生者は神であっても縛られる。
──え?何も制限がかからない?それは一体……
実質冥界の加護受けてるようなもの、かしら?だから特に問題が無いのね。冥界限定の切符を持ち歩いてるのはそれはそれで珍しい。
どちらにせよ、ここを通り道として通って行った方が良いわ。
ほら、この花を持って行って。これも冥界の許可証みたいな物だと思って、ね?
……いつか、会えると良いのだわ。
──
生者がここに来るなんて珍しいでち。
ようこそ閻魔亭へ!
──なんて、なんて重いモノなんでちか。重すぎて、ここでは下ろしきれないでち。
遠く遥々来た、とんでもないお客様でち!!
「冥界に……宿とは」
珍しいでちか?まぁ国が違うので、仕方ないでち。
「国……そうか、ここは極東だったか」
日の国と書いて日本と言うんでち。ここはこの国特有の冥界、地獄とも言える場所でち。
「まて、ここに入れずとも良い」
え、スカサハ殿まで来た!?
「影の城まで来られても困るからな」
──
閻魔亭まで来たら紅閻魔と会い、中に入る直前でケルトの冥界とも言える場所からスカサハが中から出てきた。
確かにここを通ったらそのまま向かうつもりだったが、目的も一通り知っているのだろう。
「重い荷物だったな。どれだけ不老であろうとも苦痛は感じる。なら私からは試練しか与えられないな」
暗に「ウチには居ない」という返答と、これからの道筋を示されてしまった。
「カルデアを助けろ。助けるタイミングはお前の自由だが、いずれはお前から助ける必要が出てくる」
そう言って、赤い槍を投げつけて来た。横から掴んで受け取る。ゲイボルグだろうか。
「お前さんなら、使うべき時がわかるだろう?名に恥じぬ使い方ができるとな」
…………
粋な人だ。もしかして、生前で使ってたかもしれない。それがわかる奴なんてひと握りか、異邦の存在ぐらいしかいないはずだが。
それでも良いと受け取る。そしたら、槍から剣に変形した。
もしかして、アレス神の剣?冥界にまで武器が流れていたとは予想外。
「むぅ、折角槍に仕上げたんだがな。まぁ本来の持ち主に渡ったと思えば良いか」
魔力を流すと小型化して腕輪になる。馴染むのは、アレス神の血が流れているのもあるのだろう。
そして、我ら姉妹の繋がりそのものである。アレス神の血筋、その証明。
既にヘカテー神から貰っている杖でも充分だが、これは武器というより、受け取るべき物品だ。
腕輪から光?進めと、言っているのか?
その方向に、何があるのだろうか。
──暗闇が見えた。
──星が1つだけ、輝いていた。
──行け、我が子よ。
──輝ける我が子よ。
……無重力に放り投げられた。
空だ。今は空にいる。
魔術の修行中にキルケーに何度か空中に投げ出されたことはある。特に恐れる必要はない。
結界術の応用で、落下に対する衝撃を拒絶する。
孤島に着地。空中から観た限り、海が広大で陸地が少ない。
特異点に来たのだろう。
封鎖終局四海オケアノス。
……ここには、厄介事そのものがある。契約の箱の事だ。
それ以外には同じギリシャ出身の女神エウリュアレがいる。同様の物を持ってしまった私に何かしら言ってくるかもしれない。
だが、それ以上に懸念がある。ここにある勢力、イアソン陣営だ。
そこにはヘラクレスがいる。この距離でもわかるほど、その光を感じ取れる。──狂戦士で本来の技量が弱くなっても、未だ英雄は健在だ。
仕方ない。本格的に助けるのはまだ早いが、ヘラクレスを倒すのに契約の箱を使うのは分が悪い。ヘラクレスでも生贄にすれば特異点ごと消滅しかねない。
だから助けろ、か。あの夢魔め、最初からカルデアに関わっていてこれを予見できてなかったのか。後で夢ごと結界で囲って顔を歪ませてやる。
水鏡。水が綺麗であればより解像度が上がる望遠鏡だ。冥府式魔術はこういう浄化や汚染に滅法強い。自分のテリトリーをその場で形成して聖域にする様な物。聖域とは真反対な冥界にするんだが。
場所を固定、範囲観測開始。──見つけた。
カルデアのマスターが女神を抱えて逃げている所か。ほぼ直前ではないか。
2つ程先の島か。余裕で矢が届くだろう。
杖を変形、弓へと。魔力を通し、結界を矢の形に。
構え、放つ。
───
「捕まえろヘラクレス!!その調子だ!!」
「██████ーーーーー!!!!」
巨体が何度も何度も襲いかかって来る。
残機はまだまだ健在。仮に逆転されても押し切れる。そう確信しているイアソンは船から指示を出す。
例え理性を失っていてもその強さに絶対の信頼を置いてるイアソンは、油断しきっていた。
遠方より、音より早く飛んで来た矢によって、ヘラクレスは文字通り消し飛んだ。
「は────────」
遅れて来た衝撃でイアソンが乗っていた船が大きく傾き横転。
「何が起きたんだい!?」
「わかりません!!何かが飛んで来たとしか……!!」
聖杯によって強化されていて頑丈な黄金の鹿号でも踏んきれずに大きく傾きかけるも、何とか持ち直した。
船に向かって飛んできたカルデアのマスターと女神をアステリオスと船員が達がキャッチし、そのまま離脱。
復活して泳いできたヘラクレスが一気に船に近づくも、1本の大木が飛んで来てヘラクレスを吹き飛ばした。
黄金の鹿号のほぼ側面スレスレで放たれた、超絶精度の遠距離攻撃だった。
これによってアステリオスがヘラクレスに組み付く際に勢いが付き、ヘラクレスを抑え込む様に海へと道連れにして行ったのだった。
──人理保証機関カルデア。
特異点を解決し、レイシフトから戻ったマシュと藤丸立香は、ヘラクレスを2度も足止めした攻撃に関する事をDr.ロマンに聞いた所。
「いや、何一つ分からない。魔神柱も言っていたけど、特異点の外側からの介入かもしれないんだ。カルデア以外は消えてる筈なのに、一体どこからなんだか……」
おかげで契約の箱によるリスクが無くなったのは良い事だけど、と続ける。
「アステリオスの道連れでそのまま撃破できたのは良かったよ。余力を残したまま黒髭に挑めたんだし、結果オーライって事で」
ダ・ヴィンチはそう言いながら、特異点の上空で何かしらの歪みがあったのを計測していたのを黙っていた。それ以外は何一つ観測出来てない、不確定要素が増えたのだから。
ロマンもそれをわかった上でマシュと藤丸に休む様に言って休息を促して部屋から出す。
「──で、何か召喚されたって事?」
「違うとは思う。転移……それこそ、神霊クラスの何かが介入した……んじゃないかなぁって予想しかできないなぁ」
「私もそう思う、というよりそう思うしかできないかな?証拠もなにもかも足らないんだから」
2人して悩みの種が増えたことに溜息を吐く。
カルデアの外には何も無い。
彼女はレイシフトを解析し、そのままカルデアを外側から見ていた。
「確かに、助けは必要だろう。だが、まだ早い」
「仕事しろ、夢魔め」
「ごはぁ!?」
そこには顔が膨れ上がった夢魔──マーリンがいたのだった。
「いてて……でも、君もスッキリしたんじゃないか?」
「全然。既に死んで英霊となっている時点で、意味が無い事でしかない」
フードとコートで顔も何も見せないようにしている彼女は、マーリンを引きずる。
「で、必ず君が必要な場面がある。ただまぁ、しばらくは出番は無い……かな?」
「お前で済むならそれが良いだろう。助け過ぎて歪みが大きくなると、今以上に異邦の存在に観測されかねない」
彼女は、介入し過ぎる事である怪物の対処をしなければならなくなる事を懸念していた。
「カルデアがアレの相手をするのは早すぎる。いくら特異点という異常を正すとは言え、何かしらの拍子で凝視されてしまったら神霊クラスで漸く相手になる」
「その辺りは大丈夫さ。カルデアの技術はそれも折り込み済みだ」
そう言ったマーリンを水鏡に放り込む。行き先は理想郷。
幼体を利用して観ているとは言え、介入の結果を見に来るレベルでのめり込んでいるマーリンに呆れながらも、最後の砦となったカルデアを観る。
「──何れ、直接話し合いたいものだ」
例の神
まぁ戦士だろ。俺がそう判断した
てかあいつら姉妹全員は戦士だぞ??
冥府の姫
檻に収まらないからノーセンキュー
また会ったらお茶ぐらいはしたい
舌切り
荷降ろし不可能でち。良い人なのはわかるでち
ケルト女子
槍……
ヘラクレス
初撃:なんだこいつ!?
2撃目:うせやろ????????????
アルテミス
あらぁ?勘違いかしら?
オリオン
あん?
アルテミス
うーん……懐かしい感じがしたんだよね〜
カルデア
何の何の何??????????