姉様、姉様、ごめんなさい 作:イエスアマゾネス
難産ばっかだな……
※誤字報告ありがとうございます
例の男が追い詰められたカルデアを助けて、キリシュタリアと取引をして去ったのを水鏡で確認しつつ、機材をかき集めていく。
自分を解析した所、異聞帯でも分類が冥界であるので、そこを何度も行き来した事が神核を鍛えていたのが解った。組み上げていく機神体との親和性が高まっていくのが感覚で理解していく。
完全な例外である自分だからこそ、天球に対して特効効果をテオス・クリロノミアに指向性を持たせて付着させていく。
カルデアに対して行う試練も、自分が乗り越える必要がある試練の為にも、必ず必要になるからだ。
カルデアに対する試練で使うのは結界術でガワだけの代物だが、それでも天球に存在を認知されてしまう。だが、その時点での認知されても対応も対処もできないのが分かりきっている。単純にカルデアを強化する目的である。
その為にカオスの要素が必要だ。つまり、ゼウスの死とケラウノスの要素がどうしても必要になる。そして、カオスを呼び出して貰う。裂け目を閉じる手伝いはするが、カオスが残した残滓の回収をするのが目的だ。
その為にグランドの霊基だ。ここで行われる出来事で捨てる事になるので、それを回収する。
本来の目的で使われない以上、次に引き継ぐ存在がいれば譲渡するが、いなければ使うだけ使わせて貰う。
幸いは資格は持っている。死んでないが、常に死が隣り合わせであるので例外的に持っている。あの夢魔が資格持ちである以上、自分も同様の理由である。例外という理由ではあるが。
──
「孤高の空から落ちてこい、アルテミス!俺も、一緒に落ちてやるから。宝具『其は、女神を穿つ狩人』!!」
数発の矢が煌めき、速射によって防がれる。
だが、冠位を返上してまで放った、存在しない宝具によって放った極大の1矢が、宙にいるアルテミス神の真体を貫いた。
カルデアはこれを以てして中心を泳ぐポセイドンに挑みに行った。
アルテミス神のアバターらしき影がオリオンと手を重ね、崩れゆく真体と星空を見上げていた。
オリオンの霊基が崩れ消えて、アルテミス神のアバターも薄れて来た中、彼女が現れた。
「──アルテミス様」
「誰?……いや、君は」
「冠位の霊基を借りに来ただけです。これがあれば厄介な存在に対抗できるので」
そう言って、オリオンが置いていったアイギス・エクリプスを持ち上げる。
仮にも神弓であるにも関わらず軽々と持ち上げて、その場を離れて行く彼女を見たアルテミスは──微笑んだ。
「──私の巫女。加護が効果がないのをわかっても、まだ守るんだね」
そう言って、宙にある真体が崩壊し、アバターも消えていった。
──
秘匿領域
冥界ではあるがゼウスも、ましては天球すら把握していない領域。把握する意義が無い、というのが正しいか。
そこにいた彼女に、キリシュタリアは話をかけた。
「君が、イレギュラーそのものだね」
「──誰にとって?天球?それとも、ゼウス?」
「少なくとも全員にとって、だね」
例の男と似たような少女に対して、無警戒にも程がある動きで近づく。
特に気にすること無く、虚数空間の入口を開け閉めしながら作業する彼女を見続ける。
「私がここに来る事もわかっていたようだし、君は本当に何者なんだ?」
「──旅人、まぁそろそろ終着かもだけど」
──
アフロディーテを下し、地下空間を利用してゼウスがいる場所まで上がって来たカルデア。
街での移動途中で獣におちょくられるも、カイニスを戦力に入れたカルデアは強くなっていった。
ゼウス。この異聞帯のゼウスは本来より弱い……というより、この異聞帯の運営にリソースを割いている為、何れはゼウスが保てなくなる運命が見えている。
故に、マシュのブラックバレルでの寿命計算が出来てしまった。しかも100年を下回る想定値で。
遅かれ早かれ、何れは崩壊する。そうなる前に脱出という糸口がある。だがそうすると、この世界での可能性が閉じる。
故に異聞。閉じた世界なのだという事実だ。
ブラックバレルにて撃ち抜かれ、明確に神殺しを果たすカルデア。
ゼウスも察していたのだろう。自分が長くない事を、永遠では無いことを。
悪足掻き。自分の終わりをビーコンにして──ダイソン球、カオスを呼ぶのだった。
「なに、あれ」
『いかん!!!』
ゼウス打倒を手伝っていたアレスが、空に出来た裂け目を見た瞬間にカルデアを身を挺して守ろうとした。
「鏡、返し、繰り出しよ」
フードを被った誰かが貼った結界が、アレスすら守ったのだ。
カオスの反射行動、それを水鏡で反射したのだ。
フードの者の手には、おそらくカオスの物であろう光球があり、それを取り込んだのだ。
『……貴様は』
「さ、カルデア。頑張りなさい」
魔力の矢を、裂け目に向けて放つ。
辿り着くまでの過程を縫い留める。冠位返上して得た余力を使って放たれたそれは、間違いなくカルデアが空を閉じることになるのを見越しているのだ。
ストームボーダーが向かっていくのを見て、フードの者はその場を去っていった。
アレスが役割を終えてカルデアに自身のクリロノミアのエッセンスを与えてそのまま離脱。ロムルスもカルデアが裂け目を閉じたのを確認し、そのまま離脱したのであった。
──
妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ
イギリスの異聞帯。
キャメロット城にて、誰も居ない玉座に2人だけ。
モルガンと、フードの者。
実は定期的にモルガンを「調整」しているのは、フードの者だった。魔力、身体状態、精神傾向……と言ったものをケアしている。
「……何度も言ってるが、なぜそこまで私を助けるのだ?」
「今まではあやふやな理由。だけど、今回は別」
外部観測にて、この異聞帯から初めに崩落が予測されたこと。
ベリル・ガットをビーコンにして放ったロンゴミニアドによって消耗した機能を戻しに来たこと。
そして、カルデアにこの異聞帯が問題の明確対象になったこと。大きな変化が訪れること。それを伝えながらモルガンのケアを行う。
妖精は観ることを許されず、訪れる事も踏み入る事も許されない。蟲1匹、風波、雨水1滴、全てを通さない空間。
フードを外す。モルガンと同じ銀の髪、小柄で華奢、しかし鍛えられて締まった肉付き。
月を背にしたその姿は、まるで
「アルテミシア、報告をありがとう」
「どういたしまして」
真名、巡層
キャスター:アルテミシア
キリシュタリア「尊敬」
ぐだマシュ「誰ぇ!?」
オリオン「残りカスであんだけできるんなら冠位候補だよなぁ」
真体異聞アルテミス「ただただ、感謝を」
モルガン「頼れるあなたは、目が死んでる」