ブジンソード 漆黒の弾丸   作:フォイオ

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超短編です。


漆黒の将軍参る

 

 俺は――――。あぁ、間違えた。この世界じゃ元の名前は言えないんだっけ。初めまして、俺の名前は桜井景和。世界平和を願う普通のフリーターだ。

 

家族は親父とお袋と姉ちゃんの4人家族。まぁ、小さい頃に事故で両親を亡くしてからは姉ちゃんと2人、親戚の家をたらい回しにされていた。当時、泣いてるばかりしか出来なかった俺に姉ちゃんは笑顔で大丈夫と言って俺の手を握りしめてくれた。俺はその優しさを一生忘れない。

 

俺と姉ちゃんはどこに行っても疫病神の厄介者で疎まれていた。いきなり子供2人の面倒を見れる所なんてなかったからだ。それにしても親戚の奴らはどいつも自分のことしか頭がないクズばかりで両親が残した金さえ無心することもあった。その上で奴らは両親から奪った金で美味い飯や綺麗な服を着て、俺たち姉弟には一日一食のパンと何年も着てボロボロに擦り切れた服しかなかった。ほんとに酷い話だよね。

 

しかし、そんな生活も姉ちゃんが高校を卒業して就職してからは都内の某所アパートで二人暮らしを始めたことで終わりを迎えた。これからはここが私たちのお家だよ、――。そう言った姉ちゃんは俺を安心させるように笑っていた。

 

だけど、姉ちゃんだけの収入じゃ足りず、俺は通っていた高校を中退してフリーターとして日中はガンガン働き、夜勤も入れて体を壊しながら何とか姉ちゃんにバレないようビクビクしながら家庭を支えていた。

 

毎日が忙しくて目まぐるしく変わる日常。バイトで客から冷や水を浴びせられ殴られ土下座を強要されることもあったが姉ちゃんがいたからなんとか耐えられた。俺の人生の存在意義は姉ちゃんただ1人。姉ちゃんさえいれば他に何もいらない。

 

姉ちゃんが外で働いて俺がフリーターとして働き家事をこなす。外の仕事で姉ちゃんが疲れて家に帰ったら俺はご飯を作り風呂を沸かせ汚れた服の洗濯をしアイロンをかける。本当に忙しい毎日だったけどあの家にいる時に比べれば遥かにマシだった。

 

稼いだお金で初めて買って姉ちゃんと食べたご飯の味を俺は一生忘れない。初めは余裕がなかったが、何年か経つと貯金もできて俺たちは生活にゆとりを持てるようになった。大変だけど幸せな毎日。

 

こんな日が続けばいいなと思ったある日、姉ちゃんに恋人ができた。

 

嬉しくも複雑な気持ちだったが、俺は我慢して姉ちゃんから勧められて姉ちゃんの恋人に会った。姉ちゃんの恋人は……何というか普通の人だった。普通に笑って普通に泣いて普通に怒って……そんな普通の人を姉ちゃんは選んだ。

 

俺は姉ちゃんの祝福を祈って自ら幸せな姉ちゃんとだけの生活に別れを告げ、ポロアパートに単身引越した。姉ちゃんには止められたが俺じゃなく、恋人を選んだ姉ちゃんには人並みの幸せを掴んでほしい。そう思っての決断だった。俺の意思が固いことを知った姉ちゃんは毎日一回電話で生存確認をすることを条件に一人暮らしを認めてくれた。

 

俺がいなくなったアパートにはあの男と姉ちゃんが2人で過ごしていた。俺たちの思い出に土足で踏み込んだあの男は許せないが、全ては姉ちゃんのためだ。俺再び我慢した。我慢するのは慣れっこだ。俺の得意分野とも言っていい。

 

一人暮らし以降、姉ちゃんのために振るっていた料理はあまり積極的にやろうとは思えず、ほぼインスタントの食品で腹を満たしていた。自分のためだけにする料理ほど虚しいものはないからね。

 

そんなこんなで2年が経過した。フリーター業も板につき、仲良くしてくれたバイト先の上司から正社員登用を受けてみないかと言われ俺の人生の軌道はようやく安定しつつあった矢先、姉ちゃんから結婚を知らせる電話が入った。

 

俺は一瞬言葉を失うもの、すぐに取り繕い姉ちゃんにおめでとうを言った。電話越しの姉ちゃんは嬉しそうだった。俺を捨てて他の男を選んだくせに……俺は内心寂しかったのだった。

 

だから、結婚の報告を聞いて以来姉ちゃんの電話は無視をした。22歳にして反抗期の開始だった。思い出せば馬鹿なことをしたものだ。そんなことだから気づくことはできなかった。

 

姉ちゃんが死んだ。

 

あの普通を絵に描いたような姉ちゃんの恋人が酒によって姉ちゃんに逆上し腹を包丁で刺したのだという。俺は緊急速報のニュースを観て知った。

 

病院で2年ぶりに会った姉ちゃんは痩せてガリガリになっており、骨と皮の状態だった。姉ちゃんは冷たかった。もう笑ってくれることも抱きしめてくれることも手を握ってくれることもない。俺はひとしきり泣いた後、警察から事情聴取を受け1ヶ月後、あの男の裁判に行った。

 

裁判での男はひどく憔悴していた。やめろ、何で姉ちゃんを殺した奴がそんな顔してんだ。お前は加害者だろ?殺人者のクソ野郎だろ?そんな思考が渦巻く中、ぽつりぽつりと法廷で男は語り出した。

 

男は姉ちゃんと会った時、多額の借金を背負っていたのだという。姉ちゃんと出会ったのは借金取りから追われていた時だったらしい。そう言えば姉ちゃんは恋人との初めての出会いは教えてくれなかったなと俺は思い出した。

 

また男が語り出す。姉ちゃんと出会った男は姉ちゃんに泣きつき助けを求めた。お人好しの姉ちゃんは断ることができず、借金取りに会いに行って連帯保証人の紙に自分の名前を書いたらしい。そこから姉ちゃんの人生は狂い出した。

 

俺に恋人と紹介したのは嘘だった。姉ちゃんは俺が恋人がいれば遠慮して離れてくれると思い、わざと偽物の恋人を演じていたのだ。俺は姉ちゃんの手のひらの上だった。

 

男の借金は多く月の返済も利子だけで精一杯。だから、姉ちゃんは夜のそういう仕事を始めてお金を稼いでいたらしい。男はと言うと姉ちゃんのそんな優しさに甘え一切働かず姉ちゃんをレイプしてその画像をばら撒くぞと脅し金を貪った。

 

ここまで聞いて俺は頭がおかしくなりそうだった。だが、悪夢はまだ終わらなかった。

 

夜の仕事で病気になった姉ちゃんの容態は悪化し、飲まず食わずの状態で働き続けた。姉ちゃんが働けなくなると男は姉ちゃんを脅して酒を買いに行かせた。奴隷のように家事をさせたとの事だった。そして、事件は起きた。

 

俺は男に死刑を求刑した。しかし、被疑者の弁護側の供述もあり男の判決は懲役20年だった。姉ちゃんの人生を奪ったくせにたった20年で罪は許されるのかと俺は思った。

 

判決の撤回も求め俺は男を法廷で何度も糾弾した。しかし、判決が覆ることはなかった。

 

俺が悔しさで涙を流す中、あの男が俯きながら笑っていた。俺はその顔を見た瞬間、頭の頂点からつま先まで信じられないほどの怒りに飲まれあの男に向かって駆け出し何度も何度も顔を殴った。

 

邪魔をする警察官は蹴り飛ばしてやった。昔から喧嘩やいざこざに巻き込まれる体質だった俺は自分で言うのも何だが戦闘センスがあった。迫り来る警察官を片っ端からボコボコにしあの憎き男を顔が変形するまで殴り続けた。やがて、男が虫の息になった時俺の背中に熱いものが走った。

 

後ろを振り返れば最初に蹴り飛ばした警察官が硝煙が上がる銃口をこちらに向けていた。俺の腹部からは血が出ていた。あの男に重なるように倒れた俺は最後に姉ちゃんの笑顔を思い浮かべながら死んだ。これが俺の人生の顛末。

 

そして、ここから先が俺の桜井景和としての人生の始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

突然俺は真っ白な場所にいた。目が痛くなるほど真っ白な部屋。ここはどこだ?俺は死んだはずじゃ。そう思った時、目の前にある女が現れた。それはそれは美しい女だった。まさに女神と言うべき程の美貌を持つ絶世の美女。女は言った。世界は危機に瀕しています。貴方はこれからあの世界で悪人を裁く執行者として正義を成すのです。と、女は俺の後ろにあった小さな地球儀を指した。

 

そして、女は俺にとある物を渡してきた。使い方は受け取った時に瞬時に理解できた。自分でも不思議な感覚だった。

 

しかし、俺は最愛の姉ちゃんを失い空っぽになってしまった。早く、このまま姉ちゃんの元へ行かせてくれと女神に頼んだ。女神は世界平和を願っており、指を指した地球儀の世界を救うまではそれはできないと言った。

 

俺は目の前の女神がどう言う存在でどんな力を持っているか感覚的に分かっていたため渋々了承した。女神は俺を手のひらサイズまで縮めると地球儀の中に俺を放り込んだ。

 

地球儀の中の世界はリコリス・リコイルというアニメの世界らしい。悪意ある神によってこの世界の歴史の改変を防ぐため、女神の力で俺はこの世界に送り込まれた。

 

これもあの世で姉ちゃんと会うため。俺は手にしたデザイアドライバーを腰に当てた。そして、IDコアをセットしてこの世界にエントリーする。

 

俺はこの世界の始まりの地、旧電波塔の頂上に転送された。塔内では銃声と爆撃の音がしきりに鳴っていて耳が壊れそうだった。

 

見渡せば眼下に広がるのは無数の死体。大人の男だけでなく女子高生くらいの女の子も混ざっていた。

 

彼女たちはDAというテロリスト等の犯罪者を暗殺することでテロ・犯罪を未然に防ぐ治安維持組織のエージェント。

 

銃器を用い犯罪者を処分することを任務とする、DAの実働部隊員。「マーダーライセンス」を与えられ、犯罪を未然に防ぐための殺人が許可されている。

 

女神からこの世界の知識を与えられた俺はスラスラと頭の中に設定を思い出していた。この少女たちも可哀想なものだ。

 

孤児として生まれて人を殺すためのエージェントに仕立て上げられそれ以外の人生を知らない。俺は少女たちに同情した。

 

 

「いたぞ、あそこに男が立ってる!さっさと殺せ!」

 

「くっ?!」

 

 

武装した男に見つかった俺は咄嗟に壁に隠れるが、武装した男は銃を乱射し俺が隠れている壁を銃弾で削る。

 

いや、何を今更怖がることがある。俺はもう一度死んでるんだぞ。それよりも早く原作を終わらせて姉ちゃんの元に帰るんだ。

 

覚悟を決めた俺は壁からダッシュで出てデザイアドライバーに分離させたブジンソードバックルを装填する。

 

 

 【SET AVENGE】

 

「死ねえぇええええ!!」

 

 

銃弾が俺の頬をかすめ血が出る。俺はその血を舐めて人差し指を親指でクラッキングしポキリと鳴らす。最後にバックルのバッケントリガーを引いてとある言葉を発した。

 

 

「変身!」

 

 【BLACK GENERAL BUJIN SWORD!】

 

 

BUJINSWORDのロゴが出現し、黒い霧が現れロゴがBUJIN・SWORDで左右に分断されると、禍々しい巨大な2つの腕が掴み、出現した拡張装備を無理矢理押し込む様に装備する。

 

装着に合わせて緑の竜巻が周囲に吹き荒れた後、縦に赤い斬撃のようなエフェクトが入ると共に黒い霧が晴れ、変身が完了。同時に拡張武装「武刃」が無から黒い霧を伴って生成・装備する。

 

 

 【READY FIGHT!】

 

 

全身が黒い甲冑に包み込まれ背中には黒いマントを羽織る。さながら西洋風の武士と言ったところだろか。俺は銃弾の雨を腰に構え抜きさった武刃で切り裂く。

 

 

「は……はぁ?!な、何なんだよお前!?」

 

「お前みたいな奴がいるから姉ちゃんは死んだんだ。死で贖え」

 

 

俺は武刃の鞘を投げ捨てたった一歩の踏み込みのみで5〜6メートル先の男の前に潜り込み刀を一閃。遅れて男の腹から血が吹き出し臓物が溢れ出す。

 

 

「ガハッ……」

 

 

男は自身の血の海に溺れて死んだ。俺は人を殺したことに何の感慨もわかなかった。あるのはただ空虚な孤独のみ。虚はもはや姉以外の何者でも満たされることはない。

 

 

「この力で叶えてやるよ……女神が願った理想の世界を」

 

 

俺はゆっくりと階下に降りてゆき、手当たり次第に銃を持った男たちを斬り捨てた。

 

斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って……

 

気づけば俺の後ろには骸の山が出来ていた。だが、銃声と爆発音がまだ聞こえる。俺はさらに下に降りる。すると、数メートル先に目を包帯で隠した男が隣の男に方向を指示して爆弾を投げさせていた。

 

俺はバッケントリガーを納刀、抜刀し斬撃を飛ばし空中で爆弾を破壊した。

 

 

 【BUJIN SWORD STRIKE】

 

「チッ!いきなりなんだ?!」

 

 

俺は刀を八相に構え、腰を深く下ろし下半身に力を込める。

 

 

「ヤベェのが2人来るぞ!?」

 

 

2人?どう言うことだ?俺は疑問に思い包帯男の前を見つめると赤い制服を着た幼い少女が銃を持って高速で銃弾を避けながら走ってくるのを見つめた。

 

そうか、あれが原作主人公の錦木千束か。卓越した洞察力と常人離れした視覚によって相手の射線と射撃タイミングを見抜き、至近距離から放たれた銃弾すら回避する「天才」。

 

そう言えば包帯男……真島とはこの時点で顔を合わせているんだったな。

 

しかし俺には関係ないことだ。女神は言った。正義を成せと。俺は俺の正義を執行する。

 

俺は足元を爆発させる勢いで踏み込み猛然と包帯男に迫る。錦木千束も真島に迫る中で奴は恐怖に叫びなら爆弾の起動スイッチを押した。

 

 

「ギャァアアアア?!」

 

 

俺の刀は真島の右腕を切り飛ばすだけに終わり、爆発に飲まれ足元が崩れ落下する。電波塔からミシミシと音がする。爆発の勢いで折れるんだったな。

 

俺は落下に身を任せながら爆発から身を逃れた少女 錦木千束を見上げる。彼女もこちらを見ていた。俺たちはしばらく見つめ合いながらやがて互いを見失った。

 

 

「あなたはいったい?」

 

 

そして、あれから10年が経った。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「景和さーん、たぬき蕎麦追加おねがーい!」

 

「うん、わかった!」

 

 

あれから10年が経って俺は悪を斬りながらバイトに励んでいた。女神様は俺に悪を倒す力を与えただけでお金まではくれなかった。なので、こうしてバイトして毎日の生活費を稼いでいる。

 

 

「景和さん、蕎麦2つ追加です!」

 

「うん!てかそんなに俺の蕎麦美味しいのかな?」

 

「ははは、自信持ってくれ景和君。今じゃこの店の看板メニューなんだから」

 

 

浅黒い肌に眼鏡をかけた店長が俺に諭すように喋る。前世でも料理の腕には自信があった俺が出したたぬき蕎麦は和菓子とコーヒーが美味いこの店で人気を博していた。

 

 

「景和ー、お腹減ったから私にも蕎麦くれー」

 

「わかったよ!少し待っててねクルミちゃん」

 

 

俺はダボダボのTシャツを着た眠たげな少女にそう伝えてテーブル席に座るよう促す。

 

 

「景和くーん、お酒追加でー」

 

「……ダメです」

 

「ケチー!」

 

 

業務をサボってお酒を飲んでいる飲んだくれは無視して俺は蕎麦を作り続ける。ここ喫茶リコリコは店長ミカさんと千束ちゃんにたきなちゃん、クルミちゃんにミズキさん、そしてバイトの俺の計6人で回している。

 

普段は「和洋折衷」をコンセプトとした普通のカフェだが、閉店後や休日には常連客を交えたボードゲーム大会が開かれている。時給もいいしやりがいがあって楽しいバイト先だ。

 

それに原作主人公たちの監視も出来る。数年前に記憶喪失を装って潜り込んだ甲斐があるな。原作主人公たちとはバイトを通して積極的に交友を結んだ……今じゃお泊まりもするほど仲が良い。

 

いや、交友を結びすぎたような気もするが監視するくらいなら仲が良すぎるくらいがいいだろう。その方が情報が手に入りやすい。

 

 

「そろそろ店を閉めよう。景和君、店仕舞いを頼むよ」

 

「はい、わかりました」

 

 

俺は店内をモップで拭いたりゴミの片付け、掃除を行う。

 

 

「景和さんって本当に何でもできるよね。うちに来てくれてありがとうー!」

 

「ははは、千束ちゃん。褒めてくれるのは嬉しいんだけど抱き付かないでね。勘違いしちゃう人もいるから」

 

「景和さんの鈍チン……」

 

「ん?何か言った?」

 

「なんでもないでーす!」

 

 

千束ちゃんの機嫌を損ねてしまったようだ。一体何が悪かったのだろうか。あとでまた彼女のお家に遊びに行く時に好きなパンケーキでも作ってあげることにしよう。その時には一緒に映画でも見ながらね。

 

 

「け、景和さん!一緒に帰りませんか?!」

 

「え?大丈夫だけど急にどうしたの?」

 

「い、いえ!景和さんとも、もっとお、お話がしたくて……」

 

「わかったよ。じゃあ、千束ちゃんも連れて俺の家にまた来なよ。晩御飯ご馳走してあげる」

 

「お、おおお、お家ー!?」

 

 

自分から誘っておいてたきなちゃんは顔を真っ赤にしながら逃げていった。以前、彼女の食生活を見直すために毎日お弁当を作ったことがあるがそれ以降様子がおかしい。増してたきなちゃんは最近変だ。やたら、俺と2人っきりになりたがるし、もしや俺の正体に勘付いたのか?ボロが出ないよう気を引き締めないとな。

 

 

「景和くーん、今度宅飲み行くから予定空けといてねー」

 

「ミズキさん、美味しいおつまみ用意して待ってますね」

 

「よしっ!」

 

「景和ー、来週の休みゲームに付き合ってくれー」

 

「いいよ、クルミちゃん。次は負けないからね」

 

「それにしても景和君はうちの看板娘たちにモテモテだな」

 

「そ、そんなことないですよ。みんなが優しいだけです」

 

 

俺はミカ店長の軽口を華麗にスルーして店仕舞いを終えて更衣室に入り私服に着替える。そして、店を出て千束ちゃんとたきなちゃんと一緒に俺の家に向かった。

 

 

「ケイワサンハゼッタイニガサナイ」

 

「ケイワサンアイシテマス」

 

 

なんだろう、一瞬すごく背筋がゾッとした。気になって後ろを振り返ると千束ちゃんとたきなちゃんが笑っていた。目は暗黒のように暗かったけど気のせいだろう。

 

俺はふと懐に入っているドライバーに触れる。見ているか、女神。お前の言う通りに正義を執行し、原作を守ってるぞ。だから、必ず姉ちゃんに……

 

 

「景和さん、怖い顔してどうしたの?」

 

「あ、ごめん千束ちゃん」

 

 

千束ちゃんとたきなちゃんが心配するそぶりを見せる。いけない。俺は俺の役目をまっとうしないと。

 

 

「わっ!け、景和さん!?」

 

「け、けけけこけこっこー!?」

 

「2人とも俺は大丈夫だよ」

 

 

俺は彼女たちを抱き寄せ頭を撫でる。たきなちゃんがおかしなことになっているが、まぁいいか。必ずこの子達は守ってみせる。

 

姉ちゃんのような悲劇は二度と繰り返させない。もし、彼女たちを害するものがいたらその時は……斬るだけだ。




オリ主景和くんはリコリコのみんなの好感度調整をバグり散らかしてます。好感度が天元突破してるのはオリ主の宿命だよね。
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