ブジンソード 漆黒の弾丸   作:フォイオ

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モチベが死んだので打ち斬り捨てにさせてもらいます。


終幕

 

「さぁ、吉松シンジの居所を吐け」

 

「し、知らねえよ!俺たちはただ依頼されただけで……ギャァッ?!」

 

「もう一度言う、吉松シンジの居所を吐け!」

 

「知らねえって言ってるだろ!頼むから見逃してくれ!」

 

「もういい、死ね」

 

「ごひゅっ」

 

 

俺は桜井景。普通のフリーター。サードリコリス殺害未遂の犯行グループを拷問して吉松シンジの居場所を割らせようとしたが失敗に終わった。

 

コノカにも手伝わせているが、一向に連絡がないため1人変身して女神のお告げを頼りに夜の街を駆けずり回っている。

 

 

「時間がないんだ。俺にはもう……」

 

 

俺は武刃の刀身に写った自分を見る。ブラックアイの瞳は全てを飲み込んでしまいそうな漆黒だった。

 

 

「千束ちゃんの心臓の手がかりは奴しか分からない。一刻も早く吉松シンジを捕らえなければ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「千束ちゃんの人工心臓が壊れた?余命宣告?どういうことなの?」

 

「あはは、景和さんには言ってなかったっけ……私の心臓のこと」

 

「……千束」

 

 

その日のリコリコは珍しく常連客が来なかった。人一人っ子来ない閑古鳥状態。そのうえ、リコリコの空気は重くみんな神妙な顔をしていたのを思い出す。

 

 

「幼い時、先天性の心疾患でさ。人工心臓を移植してもらったんだけど人工心臓壊れちゃって……もう1ヶ月しか動かないんだ」

 

「……そんな」

 

 

分かっていたことだ。分かっていたことだが受け入れるには時間がかかった。千束の人工心臓が吉松シンジの秘書によって破壊されるのは知っていたことだった。なのに、なぜ俺はこんなにも動揺している?

 

 

「というわけで、喫茶リコリコは閉店します!みんなも私にとらわれないで自由に生きて!」

 

「くっ?!」

 

「たきなちゃん!」

 

 

たきなが歯を食いしばり喫茶リコリコから出て行った。千束の隣で最も一番彼女を見続けたたきなにとってはとても辛いことだったろう。

 

 

「……じゃあ、私は海外のイケメンでも捕まえに旅行でもすっか」

 

「ミズキさん……」

 

「リコリコが閉店するならもう用はないな……私も海外に雲隠れするよ」

 

「クルミちゃん……」

 

 

ミズキさんとクルミちゃんがリコリコから去って行った。残るは俺とミカと千束の3人。

 

 

「景和さんはどうするの?」

 

「俺?」

 

「みんな出て行ったし、景和さんも好きにしていいんだよ」

 

「俺は……俺は最後まで千束ちゃんのそばにいるよ。あの時拾ってくれた恩もあるしね」

 

 

俺がそう言うと千束が泣きながら俺に抱きついてきた。まだ死にたくない、生きたい。そう言って泣いていた気がする。

 

 

「大丈夫。俺とミカさんがそばにいるから」

 

「景和さん!景和さん!」

 

「千束……景和くん……」

 

 

例え何を犠牲にしても守らなければならないものがある。

 

例え何を失ったとしても、女神の言う理想の世界の実現が出来なくとも。彼女の笑顔だけは守ってみせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「今から1週間後、延空木の記念式典が行われるっす。主催者は吉松シンジ。主催者は当日明かされる予定っす。狙うならそこがベストっす」

 

「ありがとう、ケケラ」

 

「てか、本当にやるつもりですか?当日は吉松シンジが依頼したテロリストグループが式典を襲う予定ですし、DA側も秘密裏に始末に動く予定っす。てか、ここまで言っといて何ですが、女神様の信託から外れた行為をするとこの世界にエントリーできなくなるっすよ?景和さんがそこまでしてやる必要あるんすか?」

 

「何も出来ないのはもう嫌なんだ」

 

「そこまで言うなら止めないっす。あ、餞別に女神様から色々預かってたのを景和さんの部屋に置いてきたので後ほど確認お願いするっす。では、来世でまた会いましょう」

 

「あぁ、今までありがとう」

 

 

俺はスマホの電話を切る。今までは女神の信託の通りに正義を執行してきた。だが、今回の行いは女神のお告げを完全に無視した行動。信託から外れた行いをすればこの世界にはいられない。だが、覚悟の上だ。

 

千束の人工心臓は吉松シンジの胸の中に移植されている。奴が千束自ら手を汚させて手に入れさせようと原作でも同じことをしていた。

 

既にコノカから吉松シンジが海外で人工心臓の移植手術を受けたのは聞いている。あとはそれを奪うだけだ。

 

 

「姉ちゃん、ごめん。俺そっちには行けないかも……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 【SET AVENGE】

 

「……変身!」

 

 【BLACK GENERAL BUJIN SWORD!】

 

 

俺は延空木に忍び込み、ブジンソードに変身する。目の前では主催者である吉松シンジが開会式の言葉を喋っている。俺が欲しいのは奴に移植された人工心臓のみ。

 

テロリストグループはまだ動かない。ならば、今が絶好のチャンスだ。

 

 

「フッ!」

 

 【READY FIGHT!】

 

 

俺は拡張武装【武刃】を取り出し、吉松シンジ向けて走る。ブジンソードは100メートルを2秒で走りきれるスピードがある。俺は上段に構えた刀を奴目掛けて振り下ろそうとするも奴の秘書が吉松シンジを押して俺と吉松の間に割って入った。

 

 

「チッ!」

 

「きゃああ!」

 

「なっ?!これは一体どういうことだ?!」

 

 

俺は秘書を斬り捨て吉松シンジの首根っこを掴み無理やり立たせる。悲鳴をあげ逃げる観客と報道陣を無視して、俺は奴の心臓を武刃で斬り抜く。

 

 

「ガァアアアア!!」

 

「これで千束ちゃんは助かる。地獄に堕ちろ、吉松シンジ」

 

 

俺は血に濡れた人工心臓を片手に持ち、吉松シンジを投げ捨てる。もうここにいる意味はない。一刻も早く人工心臓を彼女に届けなければ。俺はブジンソードバックルを外しコマンドジェットバックルをドライバーにセットする。

 

 

『COMMAND TWIN BUCKLE ENTRY』

 

『SET』

 

「変身!」

 

『GREAT』

 

『READY FIGHT』

 

 

拡張武装【レイジングソード】のエネルギーを貯めるために自分の体を何度も何度も斬りつけエネルギーを充填しコマンドキャノンバックルを解放する。

 

『FULL CHARGE』

 

「変身!」

 

『TWIN SET』

 

『TAKE OFF COMPLETE JET AND CANNON』

 

『READY FIGHT』

 

 

俺はジェットモードに変身して、延空木のガラスを突き破り空を飛行する。目指すは喫茶リコリコ。もうこの世界にエントリーし続けられる時間はあとわずかしかない。急げ俺!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい、いらっしゃいませって景和さん?!どうしたのその格好?!」

 

「はぁはぁ、千束ちゃん。これを……」

 

「こ、これって?!」

 

 

俺は血に濡れた人工心臓を彼女の手に渡し握らせる。俺の体は半透明になり消えかかっている。もう時間がない。

 

 

「千束ちゃん、お別れを言いにきたんだ」

 

「お別れってどういうことなの?!」

 

「俺は女神の力でこの世界にエントリーしていた。でも、約束を破ったからもうこの世界にはいられない。今までありがとう」

 

「景和さん待ってよ!私全然意味わかんないよ!」

 

 

千束ちゃんが叫ぶ中、俺は意識が混濁してきてその場に倒れる。千束ちゃんが駆け寄り、俺を起こし上げる。

 

 

「ごめん、もう時間みたいだ……」

 

「待ってよ!自分だけ納得して勝手に行かないでよ!景和さんお願いだから私をひとりにしないで!」

 

「実は記憶喪失って嘘なんだ。あれはリコリコに近づくための演技で本当は君たちを監視するために……」

 

「いいよ、そんなこと!それより景和さんが消えちゃう!」

 

「俺の本当の正体はタイクーンなんだ。今まで伝えれなくてごめん」

 

「私、わかってたよ。だって、タイクーンと景和さんの背中そっくりだったもん」

 

「千束ちゃん、俺……」

 

「お願いだからここにいて、そばにいて!」

 

「もう無理みたいだ、さよなら千束ちゃん……」

 

「景和さん!景和さ!景和……!」

 

 

俺は完全に意識を失った。最後に千束ちゃんにお別れをすることができた。一方通行だったけど無いよりはマシだろう。さようなら世界。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「景和さーん、いつまで寝てるっすか?いい加減起きて欲しいっす」

 

「え?は?何で俺この世界にいるの?」

 

 

俺は喫茶リコリコの畳の上で寝ていた。

 

 

「何って信託から外れた行為をしても別にこの世界から消えるわけじゃないっす。与えられた力がなくなるだけっすよ」

 

「本当だ、デザイアドライバーが無くなってる……」

 

「ていうか、そろそろ代わって欲しいっす……」

 

「景和さん!起きたの!?」

 

「景和さん、やっと起きたんですね!」

 

「うわぁ?!」

 

 

俺の顔を間近で見つめる2人の少女 千束とたきなにびっくりして俺は情けない声を出す。

 

 

「景和さん、あれから2週間も眠りっぱなしだったんだよ!」

 

「私たち心配したんですから!」

 

「コノカ、俺そんなに寝てたの?」

 

「もう死んだんじゃな〜いてくらいぐっすりだったっすよ」

 

「そ、そうだったんだ」

 

 

俺は仰向けの状態から起き上がる。周りを見ればミズキやクルミ、ミカがいた。みんな帰ってきたんだ。

 

 

「ただいま」

 

「「「「「「おかえりなさい!」」」」」」

 

 

こうして俺の物語は終わった。短くて長かった物語だが、これからも俺は戦い続ける。いつか、姉ちゃんと会うその時まで。しばらくは、リコリコにお世話になるけども。きっとそれがいい。

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