ブジンソード 漆黒の弾丸   作:フォイオ

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本編のifストーリーです。


破壊の刃
RE START


 

「いささか急展開では?」

 

「確かに四話から一気に畳んだ気がするな」

 

「これじゃ読者もついてこれないよ」

 

「それに内容がちんけだ」

 

「面白くな〜い」

 

「もっと景和くんに苦しんで欲しい」

 

「推しの曇らせ最高だよな」

 

「よし、私も同じ意見だ」

 

「お前は適当に言ってるだけだろ」

 

「おい、そこ喧嘩やめろ」

 

「オーディエンスが盛り上がる要素を詰めよう!」

 

「全会一致でやり直し決定ですね」

 

「それじゃあ、桜井景和さんには悪いけど全部リセットでお願いしまーす」

 

「頼むから百話まで続いてくれ」

 

「じゃあ、面倒なんで司会進行役の私が決めるっす」

 

「せーの!ぐるぐるまきもどーし!」

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

突然俺は真っ白な場所にいた。目が痛くなるほど真っ白な部屋。ここはどこだ?俺は死んだはずじゃ。そう思った時、目の前にある女が現れた。それはそれは美しい女だった。まさに女神と言うべき程の美貌を持つ絶世の美女。女は言った。世界は危機に瀕しています。貴方はこれからあの世界で悪人を裁く執行者として正義を成すのです。と、女は俺の後ろにあった小さな地球儀を指した。

 

そして、女は俺にとある物を渡してきた。使い方は受け取った時に瞬時に理解できた。自分でも不思議な感覚だった。

 

しかし、俺は最愛の姉ちゃんを失い空っぽになってしまった。早く、このまま姉ちゃんの元へ行かせてくれと女神に頼んだ。女神は世界平和を願っており、指を指した地球儀の世界を救うまではそれはできないと言った。

 

俺は目の前の女神がどう言う存在でどんな力を持っているか感覚的に分かっていたため渋々了承した。女神は俺を手のひらサイズまで縮めると地球儀の中に俺を放り込んだ。

 

地球儀の中の世界はリコリス・リコイルというアニメの世界らしい。悪意ある神によってこの世界の歴史の改変を防ぐため、女神の力で俺はこの世界に送り込まれた。

 

これもあの世で姉ちゃんと会うため。俺は手にしたデザイアドライバーを腰に当てた。そして、IDコアをセットしてこの世界にエントリーする。

 

俺はこの世界の始まりの地、旧電波塔の頂上に転送された。塔内では銃声と爆撃の音がしきりに鳴っていて耳が壊れそうだった。

 

見渡せば眼下に広がるのは無数の死体。大人の男だけでなく女子高生くらいの女の子も混ざっていた。

 

彼女たちはDAというテロリスト等の犯罪者を暗殺することでテロ・犯罪を未然に防ぐ治安維持組織のエージェント。

 

銃器を用い犯罪者を処分することを任務とする、DAの実働部隊員。「マーダーライセンス」を与えられ、犯罪を未然に防ぐための殺人が許可されている。

 

女神からこの世界の知識を与えられた俺はスラスラと頭の中に設定を思い出していた。この少女たちも可哀想なものだ。

 

孤児として生まれて人を殺すためのエージェントに仕立て上げられそれ以外の人生を知らない。俺は少女たちに同情した。

 

 

「いたぞ、あそこに男が立ってる!さっさと殺せ!」

 

「くっ?!」

 

 

武装した男に見つかった俺は咄嗟に壁に隠れるが、武装した男は銃を乱射し俺が隠れている壁を銃弾で削る。

 

いや、何を今更怖がることがある。俺はもう一度死んでるんだぞ。それよりも早く原作を終わらせて姉ちゃんの元に帰るんだ。

 

覚悟を決めた俺は壁からダッシュで出てデザイアドライバーに分離させたブジンソードバックルを装填する。

 

 

 【SET AVENGE】

 

「死ねえぇええええ!!」

 

 

銃弾が俺の頬をかすめ血が出る。俺はその血を舐めて人差し指を親指でクラッキングしポキリと鳴らす。最後にバックルのバッケントリガーを引いてとある言葉を発した。

 

 

「変身!」

 

 【BLACK GENERAL BUJIN SWORD!】

 

 

BUJINSWORDのロゴが出現し、黒い霧が現れロゴがBUJIN・SWORDで左右に分断されると、禍々しい巨大な2つの腕が掴み、出現した拡張装備を無理矢理押し込む様に装備する。

 

装着に合わせて緑の竜巻が周囲に吹き荒れた後、縦に赤い斬撃のようなエフェクトが入ると共に黒い霧が晴れ、変身が完了。同時に拡張武装「武刃」が無から黒い霧を伴って生成・装備する。

 

 

 【READY FIGHT!】

 

 

全身が黒い甲冑に包み込まれ背中には黒いマントを羽織る。さながら西洋風の武士と言ったところだろか。俺は銃弾の雨を腰に構え抜きさった武刃で切り裂く。

 

 

「は……はぁ?!な、何なんだよお前!?」

 

「お前みたいな奴がいるから姉ちゃんは死んだんだ。死で贖え」

 

 

俺は武刃の鞘を投げ捨てたった一歩の踏み込みのみで5〜6メートル先の男の前に潜り込み刀を一閃。遅れて男の腹から血が吹き出し臓物が溢れ出す……はずだった。

 

 

「ごはっ」

 

「何だこの手応えは?」

 

 

俺の振るった刃は確かに相手に命中した。だが、肉を切る感覚は無く、まるで肉と骨を鈍器で叩き潰すような触感。俺は刃をよく見た。

 

 

「刃が潰されてる?これじゃあ斬れない……」

 

 

それに想定した程力が出ない。ブジンソードのパンチ力は63.3t。本気で刀を握って振えばどこに当たっても死ぬレベルだ。なのに、刃が腹に当たった男は泡を吹いて気絶だけで済んでいる。俺に一体何が起きてるんだ?

 

 

「おい!変なのがいるぞ!アイツらの仲間かもしれねえ!殺せ!」

 

「くっ?!ハァアア!!」

 

「ぐほっ」「ごはっ」「ぶふっ」

 

 

俺は後方から撃たれた銃弾を武刃で全て叩き落とし、刃を鞘に納め居合で敵を一閃する。やはり、何度やっても斬れないし殺せない。意図的に力が操作されてる感じがする。女神の力か?まぁいい。俺は俺の正義を成すだけだ。

 

 

「うぉおおおおおお!!」

 

 

俺は刀と鞘を両手に持ち、テロリストを見つけ次第ぶちのめし昏倒させる。中学の時剣道をやっていて良かった。でなければ俺の剣捌きは人に見せられないようなみっともない格好だっただろう。部活のお金をバイト代から出してくれた姉ちゃんに感謝だ。

 

 

「くそっ!?12時の方向だ!」

 

「わかった、真島!ほらよ!」

 

「危ない!」

 

『BUJIN SWORD STRIKE』

 

 

真島と呼ばれた包帯で目を隠した男の指示で隣の男が爆弾を投げる。ジャンプして叩き切るには既に距離が遠い。俺はブジンソードストライクを発動させて武刃から斬撃を放ち空中で爆弾を破壊する。

 

 

「な、何だアイツは?!アイツも奴らの仲間か?!」

 

「え?いや、俺はその!」

 

 

どうしよう、俺って根っからのコミュ症なんだよな。喋るのなんて姉ちゃん以外としたことあんまないし。人と話すのなんて久しぶりだから緊張して声がうわずってしまった。

 

 

「真島!前からくるぞ!」

 

「チィっ!どうして当たらねえ!?」

 

 

俺が羞恥心に悶えながら立ち尽くしていると前方から高速で赤い人影が走ってきた。人影は弾丸をまるで見えているかのように避けるとお返しとばかりに銃弾を打ち込みテロリストたちを気絶させていく。ちなみに俺も撃たれたが鞘で弾いた。俺も撃たなくていいじゃん。

 

 

「チクショオオオオオオオオオ!!!」

 

「あ」

 

 

目の前まで迫った赤い少女に怯えた真島が何をとち狂ったのか爆弾の起動スイッチを押した。爆発があちこちから起き、俺の真下の床は崩れ落ち俺は崩落に巻き込まれる。

 

 

「うわぁああああああ!!?」

 

 

その姿を赤い少女が見下ろしていた。あぁ、これが転生の代償か。幼女に見下ろされながら落ちるのが俺の定め。姉ちゃん、俺当分そっちに行けなさそうかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、これで夜勤も終わったぁ」

 

「景和君、これ今日のバイト代ね」

 

「ありがとうございます」

 

「じゃあ、また明日もよろしく」

 

「また明日ー」

 

 

俺は日雇いのバイトを終えてママチャリに乗り込む。あの旧電波塔の事件から既に10年ちょいが経った。10年経てば貫禄も出るかと思いきや、俺の姿は20代前半で止まったままでお金もないため日々バイトに明け暮れていた。ヨレヨレのTシャツとズボンとパンツ、ガマ財布だけが俺の全財産だ。

 

 

「ただいま〜」

 

「景和さん、おかえりなさい〜」

 

「聞いてよ、千束ちゃん。バイト先の親方がさぁ」

 

「ほら、後で聞くから先にお風呂にする?ご飯にする?」

 

「お風呂でお願いします」

 

「じゃあ、着替え出しとくから入っておいでー」

 

「はーい」

 

 

俺はアパートに入り、自室に荷物を放り出して、風呂場に向かう。数年前に寝ずにバイトを夜通し繰り返して路上でぶっ倒れた俺はここの家主に拾われた。身分証明書がないからアパートすら借りれないと言った時にはルームシェアを提案してくれた彼女には感謝しかない。

 

 

「あ、今日の晩御飯の当番俺だった!」

 

 

俺は湯船から急いで上がり、着替えを済ませると台所に向かう。

 

 

「ごめん、今すぐ作るね!」

 

「あ、私が作るからいいのにー」

 

「ほらほら、座って待ってて」

 

 

俺は寝かしていた手打ちそばを冷蔵庫から取り出し、さっと茹でて昆布と鰹から取った出し汁にそばを入れる。これでたぬきそばの完成!け、決して手抜きではないよ!

 

 

「うわぁ、美味しい〜。染みるぅ」

 

「えへへ、美味しいでしょ?自信あるんだ俺」

 

「さすが景和さん。でも、3日連続たぬきそばは私でもキツイかな……」

 

「あはは、それしか作れないもんで……」

 

 

俺は気まずくなった空気を誤魔化すようにTVを付けた。TVにはライトアップされた延空木が映されている。

 

 

「今度一緒に遊びに行かないあそこ!」

 

「うん、いいよ!でも、俺高いところトラウマあるんだよなぁ……」

 

「私がいるから大丈夫だって!」

 

 

俺は昔、旧電波塔から落下したトラウマで今でも高いところが苦手だ。しかも、その元凶は未だ健在だしなんなら、あの時の幼女パンツ先輩も目の前にいる。俺は悩んだが千束ちゃんの笑顔を見て悩むのをやめた。俺も男だ。こうなりゃやるっきゃない!

 

 

「よし、じゃあいつ行く?俺バイトだしいつでも合わせるよ」

 

「うーん、それなら今度リコリコに来る子も連れてっていい?井ノ上たきなさんっていうんだけどさ」

 

「ふむふむ、たきなちゃんね。りょうかいりょうかい」

 

 

井ノ上たきなこと狂犬トランクスおパンツ。原作主人公錦木千束さんの相棒だ。当日は存分にもてなしてあげよう。初めて会う人は緊張するなぁ。

 

……でも、おかしいな。たきなちゃんとは初めて会うのになんていうか、既に会ったことがあるような気がする。まぁ、気のせいか。既視感てよくあるしね。

 

 

「あ、おあげもーらいっと」

 

「俺のおあげー?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、景和さん。ここからが第二ラウンドっすよ」

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