4月18日日曜日。
昨日は奈那とのデート楽しかったなと思いつつ、今日は何をするか考える。
特別用事はなかったが冷蔵庫の中が空になっていることを思い出し、買い出しに行くことにした。
やってきたのは近くの複合ショッピングモール。
様々の店舗があり、その中のスーパーが目的というわけだ。
初めて来たこともあり、買い出しは最後でいいかと考え適当にぶらついてみる。
休日だけあってショッピングモールの中は人で混雑している。
いくつかの店舗を回った後にイベント広場に行くと、どうやらこの後イベントがあるみたいで興味がわいた。
そのイベントはアイドルのミニコンサート。
この世界にも女性アイドルはいるみたいで、ファンの人たちや俺と同じようにふらっと寄った人たちでそれなりの賑わいを見せていた。
「せっかくだから少し見ていくか」
時間になり、ステージに三人の女の子が登場した。
「みなさんこんにちはー!!私たち「三つ星アイス」です!」
ほうほう、三人組のアイドルグループみたいだ。
「・・・!!」
「・・・!!」
二人が挨拶した後に最後の人が挨拶をする。
「とっても甘い、ストロベリー!「南雲苺」です!」
前二人にはそんな興味がわかなかったが、最後に挨拶したピンク髪のツインテールの女の子にはピンときた。
「なんか、あの子見たことがあるような・・・?」
妙な違和感を覚えたが、気にせずライブに集中。
三人はステージいっぱいに駆け回り可愛らしいアイドルソングを歌って会場を盛り上げる。
「~~~~♪」
「今日は来てくれてありがとうございました!!」
30分ぐらいだろうか、何曲か歌った後にライブは終了した。
結局最初は軽い気持ちで見ていたが、パフォーマンスに魅了され最後までいてしまった。
「えーこの後は、握手会を行います。希望の方は好きな子の列に並んでください」
スタッフから発表があった。
どうせ時間はあるのだ、俺は南雲苺の列に並んだ。
幾人かの順番待ちの後遂に俺の番がやってきた。
「こんにちは、ライブめっちゃ良かったです」
「・・・!!」
一瞬だろうか、俺の顔をみると苺さんは驚いたような顔をした。
「ほんとですかー!それなら良かったです!」
「初めて見たんですけど、魅了されました」
「わわ、嬉しいです!それに私に並んでくれたのも嬉しいです!」
苺さんは明るい雰囲気で初見の俺にも対応してくれる。
「もちろん他の二人も可愛かったんですけど、俺には苺さんが一番可愛く見えたので」
「ありがとうございます!!」
「また機会があれば見に行きたいと思います、今日はありがとうございました!」
「来てくれるの待ってるよ!」
最後に握手をしてもらって俺の番は終了。
アイドルなんて遠い存在の人たちかと思っていたが、身近に接することが出来た貴重な経験だった。
「楽しかったな、帰ったら調べてみるか」
その後は目的の食料品を買い込み帰宅した。
「三つ星アイス、一年ほど前から活動しているのか」
家に帰った後、先ほどのライブを思い出しアイドルのことを調べていた。
「苺さんはっと・・・俺と同い年か」
ピンときた苺さんは俺と同い年であったようだ。
こっちは暢気に大学生をやっているが向こうはアイドルとして活動している。
「すごいなぁ」
その後も動画サイトなどで彼女たちのMVなどを見た。
この世界でも輝いている彼女たちに少し惹かれてしまったのかも知れない。
今後は活動なども追えたらいいなと思った。
「あれ、芯切れか」
夜、課題をしていたところシャーペンの芯がなくなってしまったのでコンビニに買いに行く。
「散歩がてら少し遠くまで行ってみるか」
凝り固まった体を伸ばすためにも最寄りでは無く、少し遠目のコンビニに向かった。
「あったあった」
遠くのコンビニに着き、目的の物を入手。
ついでに雑誌でも立ち読みしていくかと思い、雑誌コーナーに移動する。
するとそこにはラフな格好で被った帽子からピンク髪が垂れている女性がいた。
昼間に同じピンク髪のアイドルを見たせいだろうか、ついその女性のことを見てしまった。
すると、こちらの視線に気づいたのか向こうもこちらを見てきた。
「げっ」
「えっ??」
その女性は、多少雰囲気が違って見えたが昼間見たアイドル本人であった。
「苺さん?」
「あー昼間のお客さんか」
「??」
なにやら昼間と声が一オクターブくらい低い気がする。
「こんばんは!!奇遇ですね!」
「いやいや!さっきと違くない!?」
「え?なんのことですか??」
「・・・」
怪訝な顔で彼女のことを見つめてしまう。
「あーまぁこっちでいいか。ちょっと外で話そ」
中で話していると目立つので、コンビニから出て駐車場まで移動する。
「苺さんですよね」
「そうですよー」
「なんか昼間と雰囲気違うような」
「あーこっちが素、あれはアイドルモード」
いきなりの告白に驚いた。
「てかなんでここにいるの?ファンになってくれたの嬉しいけどストーカー?」
「まさか、家がこの近くにあって用事があってここに来ただけだよ」
「そりゃそうか」
「苺さんは?」
「私も似たような感じ」
「えーと、昼間はどうも?」
「あざーす」
アイドルモードではない苺さんは結構ダウナー系だった。
「それにしても、昼間はよく私の所きてね」
「?」
「大抵、センターかもう一人の所いくのに」
「言ったかもだけど、俺には苺さんが一番だったからかな」
「じゃあ私のファンになってくれたの?」
「あぁ、なったよ」
「この姿を見ても?」
「確かに驚きはしたが、アイドルしてる時の苺さんは苺さんだろ?別に気持ちが変わったりはしないよ」
「・・・そ」
その言葉を聞いた苺さんは髪の毛をくるくるして顔を背けた。
「ね、連絡先教えてよ」
「それって大丈夫なの?」
「別に、私の所その辺はうるさくないから」
「じゃあ」
お互いにスマホを取り出して連絡先の交換をする。
「ほら、推しの連絡先だよ。他の人には内緒だからね」
「もちろん」
まさかアイドルの連絡先をゲットできるなんて、
どういう意図で交換しようと言ってきたのかは分からないが素直に嬉しい。
「じゃあそろそろ行くね」
「気をつけてね」
「ありがと」
「萩野くん、また学校でね!!」
最後にアイドルモードで彼女は言い去って行った。
「うん?学校?」
「・・・」
「あぁ!!」
思い出した!あの子俺と同じ大学だ、講義であのピンク髪を見かけたことがある。
道理で昼間違和感を覚えたはずだ。
「同じ学校でアイドルか、またすごい子と知り合いになってしまったな・・・」
一人帰り道を歩きながらそんなことを思う。
「とりあえず、今日で一週間か」
そうだ、怒濤の一週間がついに終わりを迎えた。
ここまでなかなかの密度で、目まぐるしい毎日を送った。
明日からも何が起きるか分からない、それでも童貞は守ってやるぜ!!