俺はよく眠れなかった。
めぐみんから告白まがいなことをされたのだ。
多分あの『好き』は仲間としての意味か、からかいだったのだろう。
俺にそんな魅力がある気はしないし。
それ以上に俺は最後に言った一言が気になっていた。
『どんな私になっても一緒に居てくれますか』か。
その言葉を聞いた時、俺はバニルから聞いた助言を思い出していた。
バニルはこの旅で頭のまともな紅魔の娘の決断があると言っていた。
それって一体何なのだろうか。
めぐみんに聞いたら話をそらされてしまった。
とりあえず、俺にできることは背中を押すことだろう。
そんな事を考えていると...
「サトウ!今日も紅魔の里を案内してあげますよ!」
そうめぐみんに呼ばれた。
あいつは俺の気持ちが分かっていないのかもな。
「分かったよ、ありがとな」
そう言って俺達は家から出た。
どうも皆さんおはようございます、カズマです。
昨日も何事もなく一夜を明かした俺達は、今日の予定について話し合っていた。
「今日はどうする?別に行く所なくないか?」
「まあ、爆裂散歩がてらデートしますか」
「そうだな。まあ、ぶらぶらしてたら行きたい所を見つけられるだろ」
俺達は紅魔の里から出で、爆裂散歩をした。
「エクスプロージョン」
今日も爆裂魔法の出来はかなり良かった。
「流石だな、めぐみん。99点だ。これからの可能性に期待してな」
「ありがとうございます、カズマ。これからも頑張りますね。で?カズマは撃たないのですか?」
「ああ。もしかしたらシルビアがもう攻めてくるかもしれないからな」
俺は爆裂魔法を温存し、紅魔の里へ向かった。
「こんにちは、めぐみん。今日はよく会うね。これが
そう里の人からよく話しかけられる。
「私の名前はたかはしめぐみですよ」
「え?そうなの?けど、一緒にいる男だって同じじゃない。」
え?それってどういう...
「なあ、めぐみんはその男と2人きりでいたのか?」
「ええ、そうよ」
あいつらは何やってんだ。そんな事をしちゃったらこの狭い里だと噂が広がるじゃないか。
...別に良いんだったらいいが。
「それにしても本当にめぐみんにそっくりだね。めぐみんみたいに天才だったりするの?」
「私も天才ですよ。最強の爆裂魔法使いです!」
その後、数秒の空白が生まれた。
「じゃあね!めぐみの男!頑張ってね!」
そう言って里の人はそそくさと去っていった。
「おい!爆裂魔法に文句があるなら聞こうじゃないか!」
めぐみんはその後ろ姿に、叫んでいた。
「だからな、爆裂魔法のデメリットをお前は持ってないに等しいんだから戦場で見せつければいいんだって」
俺は昼食を食べながらめぐみんに言った。
「分かってますよ。けど、馬鹿にされたのは許しません」
「まあ、愛するものが馬鹿にされて怒るのは分かるけど...」
めぐみんは愛するものについて聞いてきたが、気にせず、ふと周りを見渡したら
「へー、ここが定食屋なのか」
「そうですよ。ここが紅魔の里唯一の定食屋です」
サトウ達...2人がやってきた。
「何というか、料理の名前が独特だな」
「まあ、私がおすすめを選んであげますよ」
その後、まとみんは料理を注文したあと、会話を始めた。
「何だかあの2人もいい感じそうですね」
「まとみんがサトウに惚れる要素がないと思うんだがな」
もしかしたら遺伝子的に惹かれているのかもしれない。
「さあ?あの人は私であって私ではないので気持ちは分かりませんよ」
その後、あの2人も昼食を食べ始めたのだが
「私の食べてる料理も美味しいんですよ?一口いりますか?」
「いいのか?ならもらおうかな」
「じゃあはい、あーん」
…こいつらは昨晩一体何があったんだ。
サトウもこの行動には驚いているらしく
「なあ、めぐみん、流石にこれはやりすぎだと思うんだが。からかうにしても程があるだろ。」
「さっさと食べてくださいよ。食べたいとサトウが言ってんじゃないですか」
「言ったよ?言ったけれども...」
サトウは渋々食べるとまとみんはその箸を使って普通に食べ進めていた。
「それって間接キス...」
「...?どうしたんてすか?サトウ」
サトウは顔を赤く染めていた。
まとみんの顔も赤く染まっている気もする。
俺はめぐみんに話しかけた。
「...なあ、めぐみん。俺らはこの頃はこんなにラブラブじゃなかったよな?」
「...そうですよ。私にも分からないので理由は聞かないでください」
俺達は謎を残し、定食屋を後にした。
後ろから『先輩?!来てたのか?!』とサトウの声が聞こえた。
2人ともが頬を赤く染めていた。
「大丈夫、パーティーメンバーには言わないから」
「「いや、そういう関係じゃ」」
そう2人は言ったが気にする必要はない。
「「絶対言わないので安心して下さい」」
「「全然恋人とかじゃないてすから!」」
俺達はその2人と合流してまとみんの実家に帰っていたのだが...
「なんかいますね」
めぐみんが見た先を見ると、シルビア率いる魔王軍がいた。
里の少し離れたところにいたのだが、まとみんの実家が近く、被害が出るかもしれないから爆裂魔法は撃てない。
「とりあえず他の人を呼ぶか」
俺達は通りかかった人に声をかけながら帰ったのだが...
「なかなか強いじゃない」
ダクネス、アクアがシルビアと戦っていた。
「私のスキルは耐久特化で攻撃には優れないのだがな」
「おーい、ダクネス!仲間を連れてきたぞ!」
俺の言葉を聞いて、ダクネスは安堵した。
「た、助かった!これで何とかなるかもしれない!」
「ちっ、分が悪いわ。撤退しなさい!」
そうシルビアは指示し、魔王軍は撤退し始めたが
「ライト・オブ・セイバー!」
「インフェルノ!」
「ライトニング・ストライク!」
「フリーズガスト!」
「エクスプロージョン!」
紅魔族は容赦なく魔法を撃ち込んだ。
「ちょ、やめ、覚えてなさいよ!」
そう言い残し、シルビア達は逃げ帰っていった。
その夜
「ありがとうございました。ダクネスさん」
ゆいゆいさんはダクネスに感謝の言葉を言った。
「いえいえ、私はただ時間稼ぎをしただけですから」
ダクネスは謙遜しているようだ。
「ダクネスお姉ちゃんすごかった!」
2人に褒められてダクネスは照れている。
「あなた達には娘を安心して任せられます。で、今日の部屋割りですが...」
「ええっと、ひょいさぶろーさんは?」
サトウはそう口に漏らした。
「主人なら、まだ魔道具製作が終わっていないからと、ここでは寝ないようです」
どう考えてもゆいゆいさんが眠らしたのだろう。
娘の貞操の危機なんかは抵抗するに決まってるからな。
「そ、そうですか」
サトウもゆいゆいさんがしたと察したのだろう。
「なあ、めぐみん。シルビアが来たときは俺のことを守ってくれよ?」
「何でそこまで私を頼るのですか...私は爆裂魔法しか使えないのですよ?」
「お前の腕力強いじゃん」
「それって、絶対に彼女に言う言葉じゃないと思います」
アクア達もこめっこと遊んでいると...
「皆さん、お風呂が沸きましたよ」
ゆいゆいさんの言葉を聞いて、俺とサトウは同時に
「「じゃあ俺が先に...」」
同時に言ったことで、謙遜した俺達を見て、仲間達は一緒に入れば良いと言った。
ということで、俺とサトウは一緒に風呂に入ることになった。
「やっぱり2人がはいるには湯船が小さいな」
俺はそう呟いた。
「そうだな。じゃあ俺が先にシャワーを浴びるから」
そう言ってサトウは髪を洗い始めたので俺は先に湯船に浸かることにした。
「っていうか、これはどっから水を引いてるんだ?」
「さあ?多分魔法じゃないか?」
もうこの世界でおかしいものは、ほとんどネロイドか、魔法と言ったらなんとかなる気がする。
「なあ、先輩。魔法で作られた水ってどっから来てんの?」
「確か前のパーティーメンバーは周りの空気から取り出してると言ってたぞ」
「へぇ。なら土って何処からだ?」
「知らない。あいつも知らないんだから本当に分からない」
「...何というか、中途半端だな。この世界」
シャワーを浴び終えたサトウと交代したら、俺の体をまじまじと見始めた。
「どうした?まさかお前ってホモなの?」
「違うわ。生き返った割には身体に傷がないなって思ってな」
俺は久々に自分の体を見渡してみた。
俺の体には古傷というものはなく、全ての部位がちゃんと残っている。
「確かに不思議だな。全身が溶けかけたこともあったのに」
「よく無事だったな」
「俺がカズマちゃんになってたらしいけどな」
「…。」
サトウは俺のカズマを見て
「治ってよかったな」
「本当にそうだよ...」
治らなかったと思うと少しゾッとした。
風呂から出た俺達は早速寝ようとすると...
「カズマさん達は、どちらに行こうとしているのですか?」
ゆいゆいさんに後ろから話しかけられた。
...俺達2人で寝ようとしたことがバレてしまったようだ。
「「せーの」」
俺達は後ろに振り向いた
「クリエイトアース!」
「ウィンドブレス!」
俺達は順番に魔法を撃つことで不意打ちに成功したと思ったのだが...
その頃にはゆいゆいさんは後ろにおらず
「スリープ」
俺達は2人一緒にやられてしまった。
「知ってる天井だ...」
俺はそう言葉を漏らした。
「サトウったら何言ってるんですか?」
めぐみんは同じ布団に入っていた。
「めぐみんじゃないか。お前も眠らされたのか?」
「いえ、私は自分の意思ですよ?」
じゃあ、めぐみんの為に努力した意味なかったじゃないか。
「そうなの?年ごろの女の子が男と寝るのはよくないぞ」
「だからサトウにだけって言ってるじゃないですか」
本当にこいつは勘違いさせる天才かもしれない。
「はいはい」
「はいはいって何ですか?!失礼な!」
そんな事よりも今は気になっていることがある。
「そうえば昨日の話の続きをしてくれよ。大丈夫だって。お前がどんな奴でも皆は助けてくれる。例えば呪われてて胸が大きくならないとか」
「この胸は呪いじゃないですよ!別に昨日のことは...」
また話そうとしないめぐみんを諭すように俺は話しかけた。
「さっさと言っちまえよ。誰かに話したほうが楽になるぜ?」
「...誰にも言わないと約束できますか?」
「内容による」
「…。」
「大丈夫だって。本当にとんでもない事だったら相談するだけだから」
その言葉を聞いて、めぐみんは少し安心して話し始めた。
「えっとですね、私は爆裂場魔法を覚えたいのですよ」
…。
「えっと、何か反応してほしいのですが...」
え?これだけ?
「何だ、そんな話か!俺はてっきりついカッとなって人を殺してしまったのかと」
「一体貴方は私をなんだと思ってるんですか?!」
「まあ、俺は覚える魔法なんか気にしないぞ。逆にめぐみはこの事を聞いて喜ぶんじゃないか?」
それを聞いて、めぐみんは
「そうですね。まあ、もしもパーティーに捨てられてもサトウが居ますし。明日話してみます」
少し気になる所があったが気にしないことにした。
「サトウ、ありがとうございます」
「おう、別に仲間として当然のことだ」
「きっとあなた達に会えなかったら爆裂魔法を覚えることはなかったと思います」
その後、めぐみんは俺の目を見て
「サトウ、私はあなたのことが...」
その時、魔王軍襲来のアラームがなった。
なんでこんなにタイミング悪いんだよ。
俺は初めて自分の不幸を呪った。