最強さんに拾われたら呪術師になった話   作:サーナイト大好きっ子

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数ある作品の中から目に留めていただき、ありがとうございます。

本作は、ある日突然「呪い」の世界に放り込まれた少女が、最強の呪術師に拾われ、居場所を見つけていく物語です。

平穏だった日常が壊れた夜。
彼女の才能が目覚めたとき、運命の歯車が回りだします。

呪術高専での新しい日常、仲間との絆、そして「最強」との距離感。
丁寧に描いていければと思います。

投稿は不定期です。

※原作準拠ですが、一部独自解釈や生存ifが含まれる可能性があります。


私の最後の日常

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「あー今日の練習もきつかった〜!!」

 

廊下に二つの影が揺れている。

バドミントンのラケットバックが歩くたびに小さく跳ねた。

 

「ねぇ飲み物買ってから帰らない?」

 

「賛成っ!喉カラカラだもんね」

 

私は笑ってそう答えた。

 

私の名前は神念(しんねん)りこ。

 

どこにでもいる、普通の公立高校に通う高校一年生。

今日に限って部活の練習が長引いてしまい、もうすっかり日が沈んでしまった。

バドミントン部の仲間である友達と、二階の渡り廊下にある自販機に寄ろうと角を曲がったその時だった。

 

すると廊下の奥にドス黒い霧に包まれた奴がいた。

 

見てはいけない、目を合わせるな。

本能がそのように言ったが、すでに遅かった。

 

ドォォォンッ!

 

衝撃音が響きわたり、隣にいた友人が後ろに吹っ飛ばされた。

 

「……っ!!嘘…」

 

死にたくない。

友達を傷つけられた。

 

腹の底から煮えたぎるような黒いナニカが溢れ出し、頭が真っ白になっていく。

私は叫びながら無我夢中で手をかざした。

 

「許さない…!!!」

 

____グチャッ、ボキッ!

 

「アァアァァァッ!!」

 

怪物は悲鳴をあげながら捻れて消滅した。

すぐさま友人の元へ向かおうとした私の背後に、それまでの比ではない殺気が襲う。

 

「っあ……」

 

振り返る間もなかった。

体が宙を舞い、壁に叩きつけられる。

視界が点滅し、頭から生温かいものが流れ落ちた。

 

特級呪霊。

 

目の前に死が迫り、その手が振り翳そうとした、その時。

 

絶望が、音を立てずに霧散していく。

その後ろに、現実離れした背の高い影が映る。

 

「間一髪だったね。君、大丈夫?」

 

白い髪。

黒い目隠し。

 

そして、何よりも異次元的で圧倒的なオーラ。

 

(この人、すごく強い…!!)

 

「大丈夫です」と喉まで出かかったが、身体が限界だった。

私はそのまま糸が切れたように崩れ落ちる。

 

「あー、もう体限界?呪力もカラカラみたいだね…あっ!しょーこに見てもらおっ」

 

白髪の人がそう言うとヒョイっと私を抱き上げた。

 

そこからの記憶は朧げだ。

 

私が覚えているのは温かな体温。

そして、白い髪に黒い目隠しをした人が笑っている姿だけだった。

________________________

 

校門前。

補助監督の伊地知潔高は、黒塗りの車の横で時計を気にしていた。

 

「……遅いですね。一級、いえ、特級の可能性も報告されていた現場です。まさか五条さんに限って……」

 

不安を口にしたその時、校舎の方から長身の男が、ゆらりと現れた。

 

その腕には、意識を失った少女――神念りこが、大切そうに抱えられている。

 

「伊地知ぃ〜。今すぐ高専に向かって」

 

「えっ!? ……ご、五条さん、今すぐですか? そちらの女の子は…?それにまだ現場の保存や、事後処理の報告が……」

 

「いいから」

 

五条は、後部座席にりこを滑り込ませると、自身も乗り込みながら低く、温度のない声を出した。

 

「ねぇ伊地知。早くしてって言ってるのが、聞こえない?」

 

「…………っ!」

 

バックミラー越しに目隠しの奥にあるはずの" 瞳 "に射すくめられたような気がして、伊地知の背中に嫌な汗が流れた。

 

この男がこうして" 急かす "時は、理屈も常識も通用しないことを、彼は嫌というほど知っている。

 

「は、はい……分かりました! 他の『窓』に連絡を回しますから、少しお待ちを……!」

 

「待たない。走りながらやって」

 

「う、承知しました!」

 

伊地知は震える手でエンジンをかけ、タイヤを鳴らして急発進させた。

 

沈黙が流れる後部座席。

五条は先ほどの冷徹さを消し、少しだけ表情を和らげた。

そして、眠っているりこの前髪を、そっと指先で避ける。

 

「……悪いね、伊地知。でもこの子は、一刻も早く" 硝子 "に見せる必要があるんだよ」

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