最強さんに拾われたら呪術師になった話   作:サーナイト大好きっ子

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翌朝のシーンを書きました。
早く戦闘シーン書きたいのでバンバン出していきます!


【あたたかな朝の、はじまりの音】

_____ジリリリ!!

 

枕の下で震えて鳴っているスマホのアラームを、慌てて止める。

 

(早く起きて学校に行く支度しなきゃ……)

 

そう思った刹那、昨夜の記憶が容赦なくフラッシュバックする。

 

先生の、驚くほどに温かった体温。

子供みたいに声をあげて泣きじゃくったこと。

 

そしてなにより_____

 

『……まだ、いてほしいです……』

 

「うわぁぁぁーーー!!!何言ってんの私!?いくら何でもそれはないでしょ!?」

 

頭まですっぽりと布団を引き上げ、ベットの上でジタバタする。

入学して早々、とんでもない黒歴史を自ら爆誕させてしまいました。

 

(無理、気まずすぎる。部屋から一歩も出れない。え、待って、隣、五条先生じゃん……!!今の叫び声聞こえた?聞かれてるよね!?気まずいどころの騒ぎじゃないよ!!)

 

お腹がキリキリ痛みだすのをぐっと抑え込んで、深呼吸を繰り返す。

 

「大丈夫、昨日のあれは一時的な感情のバグ。人間誰しもバグは起きる。大丈夫。うん私は悪くない」

 

必死の自己暗示でなんとか感情を心の奥深くにしまい込み、のっそりとベットから抜け出す。

前まで通っていた学校の制服に袖を通し、一つ一つボタンを止める。

 

(そういえばここの制服ってみんなそれぞれちょっと違うよね)

 

悠仁はトレードマークの赤いパーカー。

恵はシンプルでスタイリッシュ。

野薔薇は彼女のスタイルの良さを引き立たせるような洗練されたデザイン。

 

(私の制服、どんな感じなんだろう……)

 

髪の毛は低めの位置で一つに結び、前髪である触覚を指先でツンツンと整える。

ストレートへアイロンの熱を通しながら、クルクルと空回りしそうな思考を無理やり引き延ばしていく。

 

鏡の奥の私は"呪術師"と呼ぶにはまだ程遠い、覚悟の決まっていない頼りない顔をしていた。

両手で頬をパチン!と叩いて気合を入れる。

 

(ダメダメ!考えたら、また泣きそうになっちゃう)

 

朝ごはんを食べるため、私は恐る恐る共同のリビングへと向かった。

________________________

 

トコトコと廊下を歩き、共同リビングの扉の前に立つ。

心臓が口から飛び出そうなくらいバクバクしている。だって、隣の部屋の住人_____五条先生とばったり会う可能性が一番高い場所だからだ。

 

(大丈夫……先生は忙しい特級術師。朝早くからもう任務に行ってるはず。絶対にそう!)

 

自分に都合のいい暗示をかけながら、意を決してガラガラと扉を開けた。

 

「お、りこ! おはよー!」

 

一番に声をかけてくれたのは、エプロン姿でフライパンを握っている悠仁だった。

香ばしい醤油と焼き魚の、実家を思い出すような最高にいい匂いが鼻をくすぐる。

 

「あ……悠仁、おはよう。その格好、もしかして朝ご飯作ってくれたの?」

 

「おう! 寮の飯、当番制なんだわ。今日は俺の特製和食メニューだぞ!」

 

「おはよ、神念。あんた遅いのよ、早く席つきなさい」

 

奥のテーブルから、すでに制服を着こなした野薔薇が声をかけてくる。

その隣では、恵が静かにお茶をすすっていた。 

 

「恵、野薔薇、おはよう……。ごめんね、ちょっと支度に手間取っちゃって」

 

「別に気にしてねぇよ。座れ」

 

恵が不器用ながらに、私の分の椅子を少し引いてくれる。

席に着くと悠仁が手際よく、炊き立てのご飯、お味噌汁、ツヤツヤの鮭の塩焼き、だし巻き卵を並べてくれた。

 

「わぁ……! すごい、旅館の朝ご飯みたい……!」

 

「へへ、だろ? いっぱい食えよ!」

 

コミュ症5年目の筋金入りの人見知りで、最初は緊張していたクラスメイトたち。

だけど、こうして温かい食卓を囲んでいると不思議とお腹のキリキリした痛みが和らいでいく。

 

「いただきます」

 

と手を合わせ、だし巻き卵を一口齧る。

じゅわっと出汁と優しい甘みが広がって、思わず口角が上がる。

 

「うん! すっごく美味しいよ、悠仁!」

 

「よかったー! あ、そうだ。神念の制服、さっき学長が持ってきたぞ。あそこの棚の上に置いてあるやつ」

 

悠仁が指差した先には、ちょこんと置かれたダンボールと目が合う。

私は箸を置いて、吸い寄せられるようにその前に立った。

そっと段ボールを開けて中身を取り出すと、それは私のバドミントン部時代の動きやすさを考慮してくれたのか、すっきりとしたシルエットの、ハイウェストのショートパンツだった。

上着は野薔薇と同じような、デザインだ。

 

「……っ、かっこいい。これが、私の制服……」

 

胸の奥が、じんわりと熱くなる。

昨日まで「一人が怖い」と泣いていた自分が、一歩だけ新しい世界に進めたような、不思議な高揚感。

 

「ふーん、なかなか良いじゃない。あんたの清楚な感じにも合ってるわよ。……あ、でもちょっと地味かしら? 後でアタシが可愛いベルトでもつけてあげるわ!」

 

野薔薇が隣から覗き込んで、嬉しそうに笑う。

 

「ありがとう、野薔薇。私、早くこれ着たいな……」

 

鏡の前で曇っていた覚悟が、仲間たちの笑顔と温かい朝ご飯のおかげで、少しずつ光を帯びていく。

 

――その時だった。

 

「おはよ〜、みんな! 朝から元気だねぇ」

 

ガラガラと扉が開き、聞き慣れた、そして今一番聞きたくなかった軽快な声が響いた。

目隠しをつけ、いつもの黒い呪術師の服を着た五条先生が、ひらひらと手を振りながら入ってくる。

 

「ひゃっ……!?」

 

私は変な声をあげて、反射的に手元にあった新しい制服で自分の顔をバッと隠してしまった。

脳裏に昨夜の『まだ、いてほしいです』が最悪の鮮明さで蘇る。

 

「あれ〜? りこ、先生の顔見るなり制服で隠れるなんて照れちゃってどうしたの? 昨日はあんなに僕の服をぎゅって_____」

 

「わぁぁぁーーー!!! 先生っ! 朝ご飯っ! 悠仁の作った朝ご飯、すっごく美味しいですよ! 早く食べてください!!」

 

心臓が破裂しそうなほど赤くなりながら、私は必死に五条先生の言葉を遮った。

それを見た野薔薇が

 

「ちょっと何よアンタたち、昨日何があったわけ?」

 

とジト目を向け、恵は無言で鮭の皮を箸で突いている。

五条先生は制服の隙間から涙目で睨みつけてくる私を見て、目隠しの奥でフッと意地悪く、だけど心底愛おしそうに口元を緩めた。

 

「あはは、そうだね。じゃあ僕も、りこの隣で食べよっかな〜」

 

新しく始まった高専での日々。

恥ずかしさと、賑やかさと、それ以上の温かさに包まれて、私の“呪術師”としての第一歩が、今度こそ本当に始まったのだった。

 




日常ばかりでごめんなさい!!
あと3話ぐらい出したら戦闘にしようと思ってます
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