最強さんに拾われたら呪術師になった話 作:サーナイト大好きっ子
東京自体が初めてでワクワクしている様子が伝われば幸いです。
五条の優しさを彼らしい優しさで書いたつもりなので、そこも見てくださると嬉しいです。
________________________
伊地知さんが運転する車を降りるとそこは私の知らない世界が広がっていた。
どこを見ても人、人、人、人!!!
ディズニーランドかってぐらい沢山の人が歩いている。
四方八方からクリームの甘い匂いや、腹をくすぐる揚げ物の匂いもする。
音楽もそちらこちらから聞こえ、人混み特有のざわざわとした音と混ざり合いとても賑やかだ。
初めての原宿にキョロキョロしている私を他所に、五条先生と野薔薇はどこのお店に行くかを話し合っているようだ。
(初めて来るところだし、迷子にならないようにしなきゃ……!!友達にも気づいたらいなくなってるって言われてたぐらいだし。でも気づいたらいなくなってるのはみんなの方だと思うんだけどなぁ)
私が二人のいた前方に目をやると、既に二人の姿は人混みに消え失せていた。
首を振って辺りを見渡してみるが人の背中ばかり目に映り、五条先生の白い頭や野薔薇の強気な声は聞こえない。
(……っえ!?もういない……って言うかさっき迷子にならないようにしなきゃとか言っておいて早速迷子!?ヤバい、どうしよう……)
今まで緊張していたのもあってお腹が痛い。
早く探さなきゃとジャンプしてみたり、人混みをかき分けながら五条先生の白い頭を探してみたりするが全然見つからない。
(ど、どうしよう……怖い、どうしたらいいかわかんない……助けて……五条先生)
私が目をギュッと瞑ると後ろから温かい体温を感じた。
振り向くと五条先生の服が視界いっぱいに広がる。
どうやら五条先生の腕の中にいるみたいだ。
「もう〜勝手にいなくならないの。僕の六眼なかったらもっと探すの大変だったんだから……感謝してよね?」
「っせ、先生……!」
私は先生の温かい体温と、微かに感じる甘い香水のような香りに安心して涙が出てしまった。
「す、すみません。気づいたら野薔薇と先生の姿が見えなくてっ……探したんですけど全然見つからないからっ、怖くなって……」
私が途切れ途切れに説明すると頭をポンと優しく叩かれた。
「東京初めてだもんね。仕方ない仕方ない!次からは迷子にならないでよ?」
五条先生にそう言われてこくんと頷く。
そうすると五条先生は何かを企んでそうな顔をして
「じゃあもう迷子にならないように、はいっ!」
と私に手を差し出してきた。
なんだろう……と首を傾げていると
「手、出して?」
と言われ、言われるがままに右手を出すと、私の手が大きな手で包み込まれた。
さっきぶつかった時は無限という壁があったはずなのに、今はちゃんと暖かい体温が直に伝わってくる。
(……っえ?え〜!!なにこれ?どう言うこと?手って手を繋ぐって意味だったの!?てか五条先生の手でかっ!少し節くれだった、男の人らしいゴツゴツした手。でも、握り方は驚くほど優しく、温かい。ちゃんと生きてる一人の人間と言う感じがする。さっき言ってた無限、出さないようにしてくれてるのかな……)
「迷子防止ね」
そうニヤニヤして言いながら歩き出した。
私も慌てて足を動かす。
五条先生の一歩は私の三歩分ぐらい。
(小走りでついていかないとまた迷子になっちゃう!)
そう思っていたはずだったが普通に歩くだけで五条先生が隣にいる。
(もしかして……ペース合わせてくれてるのかな?)
その事実にちょっとだけ驚く。
(だってあんまり説明してくれないし、いつも軽率で心配だったけど……)
さっきまでお腹が痛かったのが不思議なくらい、今の私の体は羽が生えたように軽かった。
そして繋いだ手から熱が移ってくるみたいで、顔がずっと熱い気がする。
「野薔薇が怒ってるよ〜着いて早々迷子だなんてって!」
「ちゃ、ちゃんと謝らなきゃですね……」
私は意を決して五条先生の顔を見上げた。
私の身長だと思いっきり上を向かないと顔を合わせることができない。
目隠しの下の瞳と目が合ったような気がした。
「あ、あの五条先生っ!助けてくれて、ありがとうございました!」
勢いよく頭を下げるとケラケラ笑う声がした。
顔を上げるとお腹を抱えて笑う五条先生の姿が映った。
キョトンとする私を見ると悪びれもなさそうな声で
「ごめん、ごめん。そんな風に謝れたことなさすぎてさ〜本当に面白いね君は」
褒められているのかわからないが何も言わないのはアレかなと思い
「ありがとうございます……?」
とだけ返しておいた。
「ほら、野薔薇が待ってるから行こう」
五条先生のちょっと優しい声に私は
「はいっ!」
と精一杯の返事をし、野薔薇のいる元へと一歩踏み出した。