シン・ワカメライダー。   作:ひつまぶし太郎

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⑧おさななじみ

 

 

───僕は、彼女の内で僕の幼馴染がまだ息付いてることを嬉しく思う。

 

だからって、ちょっと派手にやりすぎたかもしれないけれど。

派手にと言うか浮かれすぎた。

 

カードを使って英霊を自分の身に降ろし、セイバーを撃破できたのはいいけど、格好が問題すぎる。

 

急激に伸びた髪は既に三つ編みになっていて、どこか猫耳を思わせるような形をしたフードが目深に下げられている。

 

首元に付けられたピンクの首輪がやたらとフェティシズムを強調しているし、申し訳程度の鎧もそこそこにスクール水着のような黒のレオタードを着て、足元は白いニーソとかいうなんかもう…なんかもうな格好だった。

 

なぜかわからないけどこれってライダーじゃなくてランサーじゃね?リリィだこれ!?と言う謎の電波を受信したけど、武器は鎖のついた杭だし石化の魔眼もあるからおそらくきっとたぶんライダーなのだろう。

 

僕のよく知るメドゥーサなのだけは間違いない。

なぜなら彼女との繋がりをすごく感じるからだ。

 

むしろ感じすぎて、頭が茹だりそうというか、変な気持ちになりそうと言うか…!!

ライダーに身体と頭の中を犯されてる感あってヤバい嵌りそうって感じというか!!!

 

「ちょっと…シンジさん…その格好はエッチすぎるっていうか…ねぇ、さっきみたいに私のこと抱きしめてみよっか…ほら、何してるの?私の言うことを聞いてほら早く!」

 

「シンジあんた…じっとしてなさい…ふ、ふふっ、げっへへへへ、だ、大丈夫よっ!ええ!なんにもしないから!ほんとに、先っちょだけだから!」

 

「うおおおおお!やっぱりシンジさん素質ありますよ!!いいですねぇ〜!最高ですねぇ〜!その涙目と必死に絶対領域を隠そうとするところがとても唆ります!おや、唆るのは石化繋がりですか!?」

 

「姉さん落ち着いて。…英霊の憑依によるスキルの発動を感知しました。魅了…とは…これはまた…業の深い…」

 

「僕の側に近寄るなあああああ!!サファイア!解説はいいから早く鏡面回路展開しろって!!美遊も何呆然としてんだ!!!」

 

「え、あ…えっと…」

 

とりあえず、現実逃避のために過去の回想に入ろうそうしよう。

つーかいつ解けるんだよこの変身は。

周りの女性陣の目が怖いんだけど。

 

 

 

 

「…アインツベルンの魔術師だろ、あんた。連れてけよ」

 

妻であるアイリと八ヶ月過ごした生活に溺れたくて。

娘に普遍的な幸せをあげたくて。

千年の悲願をそんな陳腐で聞き飽きた理由で投げ捨てたことに、後悔はない。

きっとこの願いは間違いじゃないと、信じているから。

 

かつて抱いたはずの理想を捨てる決意をして、全ての準備をするために一度冬木市に戻った矢先の話。

 

まさか足を踏み入れただけで、魔術師に見つかるとは思っていた切嗣は思わず舌打ちをしかけ、その直後目を見開いた。

 

話しかけてきたのは、あまりにも血の匂いが濃い()()だった。

 

かつての自分を思わせる重たい決意の宿った瞳に、思わず息を呑む。

 

まるで、過去の自分と向き合わないことは赦さないという、過去からの呼び声のような錯覚を覚え、しかしその少年の容姿があまりにも過去の自分とはかけ離れていてなんとか沈みかけた意識を叩き起こした。

 

「君は…」

 

「…ああ、ニンゲンは自己紹介がいるんだったか。僕の名前は、シンジ…マトウシンジ。セイハイセンソウに纏わるマキリの妄執にトドメを刺したニンゲンとして、アインツベルンとやらに用がある」

 

アインツベルン。

セイハイセンソウ。

そう口にする()()は、言葉の意味を理解しているのかいないのか。

 

「…わからないな。アインツベルンなんて僕は知らないよ。ほら、もう遅い。子どもは家に帰りなさい」

 

「……そうなのか」

 

分かりやすいほどにとぼけた切嗣の言葉を疑う事もせず、しょんぼりと肩をすくめる()()はあっさりと背を向けた。

 

「ゾォルケンの集めていた資料も神父に吹き込まれた話も全部ガセか…困ったな」

 

「……………」

 

冬木の凍てつく風に吹かれ、ボロボロのTシャツ1枚で身を震わせながら、自分が苦しいということにすら気づけていないその子どもはしばらく悩んでからもう一度振り返る。

 

「…なぁ、あんたは飛行機の乗り方って知ってるか?身元のないニンゲンでも乗れるものなのか?」

 

まるで人間初心者だ。

その容姿よりもいっそ幼く見えるほど知識がない子どもを見ていられなくて、切嗣は思わず大きなため息を冬の空へと吐き出した。

 

「……わかったよ、僕の負けだ。それが演技なら大したものだよ」

 

「………?」

 

ちょっと前の自分ならきっと聞き入れず、どころか推定魔術師で聖杯戦争の関係者の少女の脳漿をぶち撒けることに躊躇はしなかったろう。

躊躇せずに実行して、何度も自己嫌悪で膝を折り、その度に決意を新たに鉄の誓いを打ち立てて進んできた機械的な自分なら、きっとそうしたという諦観にも似た確信がある。

 

だが、一人の娘と妻のために世界平和への最短手段を捨てるという決意をして、かつてないほど肩の荷が下りていた切嗣はその少女の話をきちんと聞き入れることにした。

 

「君、男の子なのかい!嘘だろ!?」

 

「……そんなに重要なのか、それは。ニンゲンって大変だな」

 

偽造パスポートを用意し、アインツベルンの城へと蜻蛉返りする道中で御三家の間桐がたった一人の少年によって壊滅したことを知った切嗣は、飲んでいたコーヒーを噴き出すことになる。

 

 

 

 

 

「そう…あの子が…」

 

「強い子だ。名前もない。親もいない。自分を証明するものを何一つ持たない彼は、たった一言で僕らと同じ結論にたどり着いてみせたんだから…」

 

シンジの拙い言葉で語られた顛末を切嗣から聞き終えたアイリがそっと憂いを帯びた表情で窓の外に視線をやる。

 

そこには、困惑しながらも律儀に娘のイリヤの相手をしている少年がいる。

 

───助けてお兄ちゃんって言われたんだ。だから、助けることにしたんだ。五百年の願いも、世界も関係ない。僕はそうしようと決めたから、そうするんだ

 

「ずるーい!シンジズルしてる!」

 

「いや、ズル…なのか?そういう風に生まれてきただけなんだけど…」

 

「知らない知らない知らないもん!このあそびつまんない!」

 

「…なら、ちがう遊びをしよう。何度だって付き合うぞ」

 

イリヤは1歳で、シンジは5歳。

イリヤはアインツベルンのなせる技なのか饒舌だが、シンジはずっと話し方がぎこちない。

 

「ねぇねぇ、シンジの妹はどんな娘なの?」

 

「わからない。だから、これから知っていけたらいいなと思う。…桜は、僕をニンゲンの形で留めてくれる…大切な妹だから」

 

「ふーん。…ふふっ、うん!きっとシンジはいいお兄ちゃんになるわ、私がホショウしてあげる!」

 

「それは心強いな」

 

「だから、ちゃんといいお兄ちゃんになりなさい、シンジ。約束よ?」

 

髪は青と白。

瞳は青と赤。

マキリとアインツベルン。

そんな全てが異なる2人なのに、妙に馬が合うのか、何度も言い合いを繰り返しながらも、飽きずに遊び続けている。

 

「可愛いわよね。マキリは何度だってアインツベルンと恋に落ちる、なんてことになったらあなたはどうする?」

 

「まさか。そんな人間的な情緒を彼が獲得するのはまだまだ先さ。その頃には…」

 

「そうね…」

 

イリヤを肩車しながら、子供のくせにまったく身体の軸がぶれない少年は、五百メートルは離れているにもかかわらずアイリと切嗣の視線に気が付いたらしい。

 

「「──────」」

 

振り返り、窓越しに切嗣と目線が絡む。

無言でふい、と目線を反らした少年は、イリヤを肩車したままゆっくりも森へと踏み出した。

 

静かな昼下がりだった。

その日の夜にイリヤの意識と聖杯としての機能を封印し、アインツベルンを壊滅させるとは思えないほどに。

 

「ねぇ、また会える?」

 

「ああ、約束する。…また会おうイリヤ」

 

そんな子どもたちの約束といっしょに、雪の下に全ては消え去った。

 

 

はずだった。

 

 

彼女はまだ存在していた、のはいいけど。

 

 

「待って、桜待って!!この格好はまずいって!!!」

 

「何がまずいんですか、言ってみてください」

 

「これはもう完全にそういうプレイだって!!」

 

「ええ、そうですよ?兄さんも素直じゃないですねぇ。そんな格好しといて誘ってないは嘘でしょ。兄さんは妹相手にコスプレして誘い受けしちゃうど変態マゾの監禁奴隷志望のワンちゃん。はっきりわかるんですよね」

 

「いーやお前は何もわかってないって!!ちょ、ほんと待ってお願い…!」

 

「ついでにそんだけ発情してるんだから和姦ですよね、はっきりわかるんですよ」

 

「……これもしかしてクソ強い魅了でも働いてんのか!?女神としての全盛期みたいな感じぃ!?」

 

「何を言ってるのかまったくわかりませんね、私一般人なので」

 

「一般人は普通義理の兄を押し倒さねぇよ!!一般常識だろ!?」

 

「ふふっ、折檻として定期的に私のブラで顔にマスクをつけて匂いを覚えさせてきましたけど…もうそんな程度じゃ止まりませんよ。ゾ・シアと同じです」

 

「討伐される…!」

 

「桜、ひとしきり楽しんだ後は私にも譲ってください」

 

「肉食獣が増えた!!!!!!!はい終わった!!!終わりました!!!!僕の冒険はここで終了ですね!!!!?????」

 

「ふふっ、ええ、当たり前じゃないライダー。兄さんのこの格好、理屈は分からないけどライダーの力でしょう?それならたっぷりお礼はしなきゃと思ってたの!」

 

「僕の人権は!?」

 

「ええ、ふふっ。私の力をただで使おうなんて許されるはずないですよね。シンジ…可愛いですよ。2人でたくさんいじめてあげますから…せいぜいいい声で鳴いてください」

 

「兄さん。ライダーと私。人ならざる存在と禁忌の相手。それぞれ2種類の背徳感をたぁっぷり覚え込ませて…他の女じゃ満足できないようにしてあげますから…」

 

ゾッとするほど美しい2人の女神の供物となった僕は、その日二度と後戻りできないほど致命的に壊された。

 

「へぇえるぷ!!へええるぷみいいいい!だれか!助けて!!!一生妹と使い魔なしじゃ生きられない身体にされるぅ!!!」

 

なんでシリアスバトルした後っていつもこうなんですか。

これが無駄に命をかけたご褒美だとでも?

 

───そんな慟哭もやがては二人の女に屈服され、気がつけば3日が過ぎていた。

 

その間にイリヤと美遊の友情イベントとか、アサシンカード回収でイリヤの魔力が暴発したりだとかしたらしいけれど、僕はあまりにも蚊帳の外だったので全部あとから聞いた話だ。

 

 




今回も最後まで読んでくださってありがとうございました。
個人的になぜプリズマ☆イリヤでライダー物を書き始めたかの理由というか、ライダーリリィコスのショタによる魅了誘い受け×対格差おねショタ調教とかいうやつをやってみたかったんです。
そのために戦闘シーンが必要だったわけですね(いつもの)。
書きたいものが書けて大満足しています。
でも夢幻召喚とかエッチすぎるだろ、とか思ってる作者は絶対美遊兄に謝ったほうがいい。

自己満足小説ですが、もしよろしければ感想や評価、ここすきを頂けると幸いです。
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