『HUNTER×HUNTER ─ 屠鴉 ─』   作:nls

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4話

「どんな人!?」

 

ゴンは興味津々だった。

 

対して、

キルアの表情は逆に険しくなる。

 

(聞くなよ……)

 

普通、

踏み込まない。

 

強者ほど、

過去には触れられたくないものがある。

 

だがゴンは違う。

 

純粋に、

知りたいと思ったことを聞く。

 

アズはしばらく黙ったまま、

煙草を咥え直した。

 

夕暮れの街。

 

ネオンが灯り始める。

 

「……ジジイだ」

 

「へ?」

 

「クソ強ぇジジイ」

 

キルアの目が僅かに動く。

 

(まさか……)

 

アズは右目の傷を軽く掻く。

 

「昔やり合った」

 

「勝ったの!?」

 

「……引き分けだな」

 

「すごい!」

 

「お前話聞いてたか?」

 

ゴンは目を輝かせていた。

 

アズの声は淡々としている。

 

だが、

キルアには分かった。

 

その“ジジイ”は、

恐らく普通じゃない。

 

むしろ、

限界まで強い側。

 

(右目の傷……)

 

キルアはそこを見る。

 

深い。

 

ただの喧嘩傷じゃない。

 

本気で殺し合った痕だ。

 

その時。

 

「……ゼノ?」

 

マチがぽつりと言った。

 

アズは少しだけ目を細める。

 

「他にあのレベルのジジイはそう居ねぇだろ」

 

キルアの背筋が凍る。

 

「は?」

 

空気が止まった。

 

ゴンはきょとんとしている。

 

「キルア?」

 

キルアはアズを睨んだ。

 

「今……誰の名前言った?」

 

「ゼノ」

 

アズは平然と答える。

 

「ゼノ・ゾルディック」

 

周囲の喧騒が遠く感じた。

 

キルアの脳裏に浮かぶ。

 

祖父。

 

あの怪物。

 

人間を超えた殺し屋。

 

その相手と、

この男は殺し合いをして生きている。

 

「……アンタ何なんだよ」

 

キルアの声が少し低くなる。

 

アズは煙を吐いた。

 

「おっさん」

 

「もうその返しやめろ」

 

珍しく、

キルアが本気でツッコんだ。

 

ゴンはそんな空気も気にせず、

むしろさらに目を輝かせる。

 

「キルアのおじいちゃんって強いの!?」

 

「……強いなんてもんじゃねーよ」

 

「へぇー!」

 

アズはその反応を見て、

少しだけ笑った。

 

「お前、面白ぇな」

 

「そう?」

 

「普通そこは怖がるもんだ」

 

ゴンは首を傾げる。

 

「でもおじさん悪い人じゃないよね?」

 

沈黙。

 

マチが僅かに視線を動かす。

 

キルアは呆れた顔だった。

 

アズは煙草を指で回しながら、

しばらくゴンを見る。

 

その目は真っ直ぐだった。

 

打算も、

恐怖もない。

 

ただ純粋に、

相手を見ている目。

 

アズはぼそりと呟く。

 

「……お前、そのうち痛い目見るぞ」

 

「え?」

 

「人を信用しすぎだ」

 

「でもおじさんは平気だった!」

 

「俺だからな」

 

「?」

 

「……いや、何でもねぇ」

 

アズは少しだけ目を逸らした。

 

マチはその横顔を見て、

胸の奥がまた少しざわつく。

 

(……何それ)

 

アズが、

こんな風に誰かへ言葉を掛けることなんて、

滅多にない。

 

「じゃあさ!」

 

ゴンが一歩前へ出る。

 

「おじさんってどんな念能力使うの!?」

 

キルアが即座に頭を抱えた。

 

「お前ほんと何でも聞くな!?」

 

「だって気になるし!」

 

「普通聞かねーんだよ!!」

 

アズは煙草を咥えたまま、

少しだけ空を見る。

 

「……教える義理ねぇな」

 

「えー」

 

「念能力は手札だ」

 

アズの声は静かだった。

 

だが、

空気が少しだけ重くなる。

 

「簡単に喋る奴は死ぬ」

 

ゴンは「なるほど」と頷いた。

 

キルアは逆に、

その言葉へ妙なリアリティを感じていた。

 

この男は、

実際にそういう世界で生きてきた。

 

「でもさ」

 

ゴンはまだ食い下がる。

 

「ヒントくらい!」

 

「しつけぇな……」

 

アズは面倒そうに頭を掻く。

 

そして。

 

「……見えねぇ攻撃は怖ぇぞ」

 

短く言った。

 

キルアの目が細くなる。

 

(見えない攻撃……?)

 

昨日の、

“凝をサボるな”という言葉が脳裏を過る。

 

ゴンは首を傾げていた。

 

「パンチ?」

 

「違ぇ」

 

「キック?」

 

「単純だなお前」

 

アズは少しだけ笑う。

 

その瞬間。

 

マチの胸がまたざわついた。

 

(……また)

 

アズは普段、

こんな風に笑わない。

 

旅団相手でも、

もっと乾いた笑い方をする。

 

なのに今は、

少しだけ自然だった。

 

理由が分からない。

 

ただ、

妙に引っ掛かる。

 

「……アズ」

 

「ん?」

 

「帰るよ」

 

少しだけ声が硬い。

 

アズは気付かない。

 

「おう」

 

ゴンが慌てて言う。

 

「もう行っちゃうの!?」

 

「疲れた」

 

「まだ夕方だよ?」

 

「人が多い」

 

「おじさんお年寄りみたい」

 

「だからおっさん言うな」

 

「気にしてる!」

 

「気にしてねぇ」

 

「ちょっと気にしてる!」

 

アズは面倒そうに煙草を咥え直す。

 

その様子を見て、

ゴンがケラケラ笑った。

 

キルアは呆れていた。

 

(何なんだこの空気……)

 

危険人物のはずなのに、

妙に普通だ。

 

いや。

 

普通すぎるからこそ、

余計に不気味だった。

 

その時。

 

アズがふと、

キルアを見る。

 

「……ゾルディックのガキ」

 

「何」

 

「“凝”はサボんな」

 

キルアの目が細くなる。

 

「……」

 

「お前なら意味分かるだろ」

 

アズの声は静かだった。

 

だが、

妙に重い。

 

キルアは少しだけ黙った後、

小さく鼻を鳴らす。

 

「言われなくても」

 

アズは「そうか」とだけ返した。

 

それ以上は何も言わない。

 

まるで、

それだけで十分だと言うように。

 

マチはその横顔を見ながら、

また小さく胸がざわつく。

 

(……何で)

 

アズは昔から、

誰かへ何かを教えるタイプじゃない。

 

まして、

こんな風に気に掛けるなんて。

 

なのに今は。

 

まるで、

昔の自分達を少し重ねているみたいだった。




AIを使っていても自分の拙さって結構わかるもんなんですねw

ちなみにゴンがキルアのおじいちゃんってわかった理由はアズがジジイと言っており苗字もキルアと一緒だったため。
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