こいしちゃんの攻略をそこそこに文ちゃんの攻略に走らせる事にいたしました。
よって今回はこいしと文のダブルでお送りします。それでは本編どうぞ!!
「ぐっ……っ!?」
さとりをなだめるのに必死だったので完全に意識の外だったのが不味かった、廊下に背を向けた状態で後ろからのドロップキックをもろに食らってしまい良い感じに吹き飛ばされた。
OKここで状況の整理をしよう。
俺はさとりの前に立っていたんだ、そうしたら俺は背後からの一撃で盛大に前に吹き飛んだ。ここまではいいな?
オーライオーライ、じゃあ次にいこう。
もちろん俺は前に吹っ飛ぶわけだが俺の前にはさとりがいるんだ、こいつはいただけねぇ、んでだ、俺は反射神経だけで衝撃がいかないようにとさとりを庇ったんだ。
そしたらどうなるか、わかる奴にはわかるだろ?
「さとり……怪我はないか…?」
「はい…
「俺は正直背中が少し痛いよ……」
「ごめんなさい…家の妹が…ご迷惑をおかけして…」
「そういえば妹さんがいたんだっけか。」
「はい、こいし といいます。それより……そろそろ私の上からどいてくれませんか…?ちょっと…重いですので…」
「そうだそうだ!!おねぇちゃんからはーなーれーろー!!」
「お…おう…悪い…今退く。」
そう言いつつ俺はゆっくりと立ち上がった。
「おねぇちゃん!大丈夫!?変なことされてない?!」
「今さっきあなたのせいで変なことになりかけましたよ……」
ふと見ると、そこにはさとりを数センチほど小さくした感じの子が立っていた、やや大きめな帽子とさとりとは色違いのサードアイを持っているのが目を引く。
「ったく……いきなりドロップキックとかどういう神経してるんだお前は……」
いきなり足技かまして来た奴に丁寧に接する義理もないのでやや喧嘩腰で素のまま話しかけた。
「あれ……おねぇちゃん、この人…誰……?」
「知らない人に危害を加えてはいけないと言ってるじゃないですか!!」
おお、さとりが怒っているなんて珍しい、妹に対してはやはりしっかりお姉ちゃんをしているんだな…
ちょっかいを出したりとかしてる姿しか見てなかったから凄く不思議な気分だ。
「いやだがしかし、ダメージも少なかった事だし良しとするか……許す!!!」
「ダメですよ許したら!? 不意打ちを食らわされた上に一歩間違えば何が起こっていたかわからないんですよ!? いいんですかそんな簡単に許して?! 」
「まぁ…言われれば確かにその通りだけど別に怪我とかしなかったしなぁ…怒るにも怒れないんだよ……」
「甘すぎですよ……命を天秤に賭けてでもお空の弾幕に単身で突っ込んでいくだけありますね……」
鈍いとたまに言われる俺でもわかるぞ、俺はさとりに暗に女たらしと言われているのか……
そんなに甘いかな…?結果的に何もなかったんだからいいと思うんだが……どうなの?
「おねぇちゃんがそんなに沢山喋るのって久しぶりに聞いた気がするよー」
「そうですか? いつもと変わらないつもりなんですが……」
「俺に同意を求められても困るぞ……喋るお前しか見たことないからな、物静かな方が見てみたいくらいだ」
あれだけ突っ込んだり、ふざけたりしてるのにあまり喋ったりしないってのが妹の評価とは驚きだ、俺自信のテンションが高いから合わせてくれているのだろうか…それなら悪いことをしたな…などと考えていたのだがすぐに心配は拭われた。
「おねぇちゃんを怖がらない人間も初めてだよおにぃさん。」
「あっ、それは言っちゃ駄目っ!!!」
必死の様子で妹の口を手で塞ごうと手を伸ばすがくるりと体を
「それとね~おにぃさん」
さとりの手を避けた勢いで俺の目の前まで移動してきたこいしは人差し指を自分の唇にあて、一言だけ言った。
「お姉ちゃんを
――――――――――――――瞬間
這い上がってくるような悪寒を感じたのだ、恐怖という名の蟲が全身を包み込んでいくのがわかった。
そして無意識に刀に手を掛けようと気づいた、手が震えていると。
殺気ではない何かが目の前の生き物から発されていた、死すら刹那の合間に覚悟してしまうほどの何かがだ。
「あ……安心しろ……盗ったりしない…っ」
水分が完全に乾いた舌と噛み締めた顎からはそう答えるのがやっとだった。
セリフを考えている暇などなかった、この返答が正解かは俺がどうなるかで分かる
「そっかー、よかったー」
次の瞬間何事もなかったかのようにこいしは屈託のない笑顔を浮かべていた、向日葵でさえ負けてしまうのではないかという程の満面の笑顔を。
訳がわからなかった、理解が追いつかない、
この子は何気ない日常の中にありながら突然規格外の殺気を発し、直後に笑っている。
「久しぶりに帰ってきたからおねぇちゃんに話したいことたーくさんあるんだー、部屋でお喋りしよー?」
「いいですよ、今日はどうして帰って来たんです? 私に会いたくなったんですか?」
「えへへー、それはねー…………」
会話が聞こえてくるがまともに頭に入ってこない。
俺はただただ立ち尽くす事しかできなかった、恐怖に打ち勝てずにどれだけ長い間そうしていただろうか。
時間の概念すら忘れかけた時に声をかけられてそのおかげで意識を取り戻した。
「憩夜………?」
「パルスィ……」
眼だけを巡らせ、声のする方を見てみると心配そうに俺の顔を覗くパルスィの姿があった。
安堵したのか限界を迎えただけなのかは分からないが、気が付くと俺はパルスィを正面から抱きしめていた。
「ちょっ!? ちょっと憩夜!? な、何してるの?! 」
「………………………」
「何かあったの……?」
「………………………」
答えずにぎゅっと抱きしめていたらパルスィはゆっくりと優しい手つきで俺の頭を撫で始め、結果としてずいぶんと長くそうしてくれていた。
俺が落ち着いた時には夕飯時で、俺、パルスィ、さとり、こいしの四人で食卓を囲むことになったわけだが、こいしに恐怖はしていない。何故なら思考を重ねた結果彼女を刺激しなければいいという結論に至ったからだ。
こいしの言動を改めて思い返してみるとわかるのだが彼女は少し病んでいる、気が触れているというよりは病んでいるのだ。俗に言うところのヤンデレだ、デレるのかなんて知らないがデレるのかもしれないとか思わないと精神的にやっていられない。因みに攻略しようとも思わない。いくら俺でも命は惜しいのだ。
「私思ったんだけどさー」
「どうしました?」
「おにぃさんって
こいしの日常会話くらいスルー安定ですとか思って黙ってたのに矛先はまさかのこっちだった。
冷や汗を垂らしつつ周りを伺ってみると
「そうなのよね、最初髪の白くなった憩夜を見たときは私も妖夢にそっくりだと思ったわ。」
「憩夜さんって元々髪の毛白いんじゃないんですか? まぁ、言われてみれば似てますね。」
「だよね、だよねー似てるよねー」
三者三様に感想を述べた後、興味が尽きないのか女性陣は次々と質問を投げかけてきた。
妖夢とはどういった関係なのだとか、髪の毛は何色だったのかとか、持ってきていた刀は何なのだとか、お風呂ではどこから洗うのかだとか。
ラストのそれは俺が男子だから良いにせよセクハラだろう。因みに聞いたのはもちろんの事ながらさとりだ、
無視をするのも良くないと思ったので地雷を踏まぬようにと、妖夢がどんなやつなのかすら知らん、黒かった、師匠がくれた。などど当たり障りのない返答をした。普段ならばもっといらんことまで話したいところなのだがいかんせんこいしが怖いので
「それより俺はお前らの話が聞きたいかな」
我ながら話題を逸らす最高の一言を発したと思う、笑顔も自然な感じに作れたしこれで………
「憩夜さんって軟派なところありますよね」
おいおいなんでそうなるんだ? いい感じだったろう?
「うわぁ………憩夜…やっぱり少しそっちよりだったのね……」
「あはー、おにぃさん集中砲火だねー」
こいしが言うとおりまさしく集中砲火だった、今思ったんだがみんなの反応が俺への非難に向かう時の引き金って大半がさとりだと思うんだが………そしてパルスィ、やっぱりってなんだやっぱりって。
「私たちの話もいいけどさー、おにぃさんとしては妖夢ちゃんの話聞きたいんじゃないの? 」
確かにそうだ、詳しくはわからないが俺とその妖夢とやらが似ているのは理由があるだろうから。
ここまで言っておいて別に偶然ですーとかっていう理由だったら俺は確実に恥ずか死ぬ。
「あぁ、聞きたいな。女の子の事を他の人から聞くのはあまりいい気がしないが………」
「じゃあざっくりとだけ話してあげるわ」
「私なら大抵のことはわかりますけどそれじゃあ面白くありませんしね」
「私も
俺は妖夢に届かぬ謝罪をしつつ三人から話を聞くことにした。
「妖夢ちゃんは剣士だよー、すっごく強いのー」
「あの子は素直ないい子よ、素直過ぎてたまに目の前の事しか見えなくなっちゃうのは
「あの子のスリーサイズは確かですね……」
スパァァン!!!
どこから取り出したのかはわからないがいつのまにかパルスィは大きなハリセンを装備してさとりの頭を後ろから重い一撃を叩き込んでいた。
「あぅ……痛いですってパルスィ……」
「自分の胸に手を当ててもう一度考えてから発言しなさい」
「……………これからきっと成長します……きっと……ってあぁやめてください!そんなに大きく振りかぶらないで!」
さとりは本当にブレないな……流石と言わざるを得ない……
「おにぃさんがいるとおねぇちゃんが楽しそうだ………」
こいしがうっかりすれば聞き逃しそうな声でそういったのを俺は決して聞き逃しはしなかった。
「こいしといる方があいつ楽しそうだぞ? やっぱりお前の事好きなんだな」
「私よりおねぇちゃんの事わかってるみたいな事言ってる……」
あぁ駄目だ、眼が!もう眼から光が消えてる!どうしようこの子との会話は地雷が多すぎる!この地雷原どう抜けるよ俺!?
片やわいわいと騒ぎ、もう一方は精神世界でサバイバルを繰り広げていると知らない声が聞こえてきた。
「いや~、何だか楽しそうですね~」
声が聞こえてきた瞬間、全員が全員戦闘態勢をとった。
「やだなぁ、みなさん落ち着いてくださいよ~」
少し焦ったような様子でそこに立っていたのは黒い翼を持った天狗のような服装をした女の子だった。
翼が生えてる天狗ってなんていうんだっけ? あ、そうそう、
「あ、でもいい絵なので一枚貰いますね?」
そういうと首元から下げていたデジカメを取り出し、パシャリとシャッターを落とした。
「何しに来たんですか、腹黒烏天狗」
「仲良く夕飯……なんてわけないわよね…?」
誰も戦闘態勢を崩さない中、最初に動き出したのは俺だった。
「飯、食ってくか? 」
「え? ほんとですか? 」
「さとり、まだ一人分くらい余ってたよな? 持ってきてくれるか? お前らも警戒解いていいぞ、大丈夫だ」
「でもこいつ何するかわからないわよ? 」
それでもまだ警戒をするパルスィに言ってやる
「大丈夫だ、目的は俺だろ、多分な 」
「あら…やっぱりわかっちゃいますか? 」
悪戯が発覚した子供のような少し困ったような顔で烏天狗は頭を掻いた。
そうして新たに一人を加えて、改めて食卓を囲む。
「私は
そういって懐から一部の新聞を取り出し、俺に手渡してくる。
中身を見てみると、それはとても興味を惹かれるものだった。
小見出し、効果的な写真、固くなり過ぎない程度の語り口調、十分な考察。見ているだけでついつい最後まで読んでしまうような新聞だった。
「凄いな…新聞でここまで書けるのか……」
「この新聞の良さがわかってくれるんですか!?」
身を乗り出して詰め寄ってくる文をなだめつつ、俺は賞賛の言葉を口にする。
「あぁ、お前は良いものを持ってるな。面白いぞこれ。」
「わかってくれる人はやっぱりいるんですね!!書いててよかったです!!」
「褒めると調子に乗るのであまり褒めない方がいいですよ? 」
ここまで良いものを作るのにどうしてこいつらはそんなにも嫌っているのだろうか、面白いんだぞ?
「記事にするのは構わないんだけど脚色が多いのよこの子……たまったものじゃないわ………」
「私はみんなと違って私は記事にされたことないんだけどねー、あははー」
「脚色とは失礼な!誇張と言ってください!全ては読者の興味を惹くためです!!」
それってどっちも大して意味変わらないんじゃ……
でもわかってきたかもしれない、さとりもパルスィもその脚色…もとい誇張の餌食になったから嫌っているわけか。
「んで、そのジャーナリスト様が俺に何の用だ? 」
「この新聞の良さをわかってくれる人にこれを言うのは気が引けるんですけどね、貴方を記事にするために来たんですよ、要は取材って事です!」
ほほう、取材か、普通の生活を送ってきた俺としてはそういう特殊な響きの言葉には多少なりとも興味がある。
「でも特に俺って記事にするところ無くないか? 」
俺は周りのメンツに同意を求めたのだが返ってきた反応は芳しくなかった。
「本当に何もないと思ってる? 」
「一度頭の中を見てみたいくらいですよ」
「おにぃさん程話題に事欠かない人はいないよねー」
「何でだ!?」
俺の周りに味方はいないようでした。
「とは言っても大体わかりましたしこれといった取材もないんですけどね!!!」
顔が語っている、ドヤァ……と。
そして嫌な予感がする、こいつを止めろと。
「それではっ!!さらばですみなさんっ!!」
翼をはためかせ、瞬く間に窓から外に飛び出して行く文。
その姿、まさに神速、後に残るは数枚の黒い羽と部屋に舞う一迅の風のみだった。
「憩夜? 止めないと危ないわよ? 貴方の社会的地位が」
「それはやばい!?」
「無い事無い事書かれますよ、頑張って止めてくださいね」
「100%脚色ってか妄想の域だそれ!?」
「おにぃさん頑張ってねー」
「うん…お前は案外普通なのな? 」
「「「いってらっしゃーい」」」
「他人事だと思っていい笑顔しやがって!!帰ってきたら全員あの天狗に取材させるからな!!」
「「「い……いってらっしゃい……」」」
三人の
どうでしたか十四話!今回話の中でいい感じに恐怖感を出したかったのですが難しいものですね……まだまだ勉強が足りないと痛感いたしました……
次回からは主人公と文のチェイスが始まる予定です。勿論何事もなくこの逃走劇を終わらせるわけないじゃないですか。えぇ、フラグの一つや二つ立たせちゃいますよ?
それではまた次回お会いしましょう~( `・ω・)ノシ
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